2026年夏ボーナス平均47万円―中小企業の賞与相場、大企業との格差はいくら?

2026年6月11日、帝国データバンクが発表した「2026年夏季賞与の動向アンケート」によると、正社員1人あたりの夏季賞与の全体平均は47.7万円(前年比+1.8万円)となりました。4割の企業が「増額する」と回答する一方、大企業と中小企業の格差は依然として大きく、経営者にとって賞与戦略の見直しを迫る内容です。
この記事では、TDBの調査データをもとに、中小企業の賞与相場と規模間格差の実態、そして経営者が賞与を考えるうえでの視点を整理します。
1. 2026年夏季賞与の全体像―平均47.7万円・5年連続増
帝国データバンクが全国1,043社を対象に実施した調査では、2026年の夏季賞与について以下の結果が出ました。

出典:帝国データバンク「2026年夏季賞与の動向アンケート」(2026年6月11日発表)
支給額の分布を見ると、最多は「30万円以上50万円未満」が37.0%、次いで「50万円以上75万円未満」が26.2%、「15万円以上30万円未満」が19.4%となっています。
2. 規模間格差が鮮明―大企業は100万円超、中小・小規模との差はいくら?
今回の調査で最も注目すべきは、企業規模による格差の拡大です。
【「増額する」企業の割合:規模別比較】

出典:帝国データバンク「2026年夏季賞与の動向アンケート」(2026年6月11日発表)
大企業と小規模企業の「増額」割合の差は13.0ポイント。さらに支給額の絶対値を見ると、日本経済新聞の大企業調査では2026年夏の平均が初めて100万円を超えた(104.7万円)のに対し、TDB調査(全規模)の平均は47.7万円です。大企業と中小・小規模の間には実質50万円以上の差があるとみられます。
【支払えない企業の実情】
「賞与なし」と回答した企業は全体の15.0%にとどまりますが、その多くは小規模・零細企業です。賞与は法的な支給義務はなく、就業規則や労働契約に定めがなければ支払わなくても違法ではありません。ただし、採用競争が厳しくなる現在、支給なし=求職者から避けられるリスクが現実的な問題として浮上しています。
3. 中小企業経営者が賞与で直面する3つのジレンマ
【①「出したいが原資がない」―利益と賞与の綱引き】
2026年春闘では中小企業の賃上げ率が平均3%超に達した一方、経常赤字でも賃上げを実施した企業が報告されています。賞与もまた同様で、「競合他社が出しているから自社も出さなければ」というプレッシャーから、収益に見合わない支給をするリスクがあります。賞与は定期給与と異なり業績連動にしやすいという特性を活かし、利益が出た年のみ支給する仕組みを就業規則で明確化しておくことが重要です。
【②「定額支給が慣行化している」―見直せない賞与体系】
「毎年夏冬◯ヶ月分」と慣行的に続けてきた企業では、業績が悪化しても支給額を下げにくくなります。賞与原資の決め方を「月給×係数」から「全社利益の一定割合」に変える「業績連動型」への移行を検討する価値があります。
【③「人材確保コストとしての賞与」―採用・定着への効果は?】
大企業との格差が広がるなか、中小企業が賞与を維持・増額することは採用広告費・離職コストの代替投資と位置づけることができます。厚生労働省の調査でも、賃金水準(賞与含む)は離職理由の上位に常に挙がります。1人当たりの採用コストが数十万円かかることを考えると、賞与を数万円増額して定着率を上げる方が経営合理性が高いケースもあります。
この内容を自社のケースで確認したい方へ
マネーイズムの運営元・株式会社ビスカスが、全国の税理士を無料でご紹介しています。
どれにあてはまりますか?(入力は30秒)
累計 44万件
登録税理士 8,758人
相談・紹介料 無料
※ 実績値は同社調べ(累計ご紹介実績2026年1月時点/登録税理士数2026年10月時点)。
4. 賞与を経費で落とすと税金はどうなる?経営者が知っておくべき税務
従業員に支給する賞与は、全額損金(必要経費)に算入できます。ただし、いくつか注意点があります。
【役員賞与の扱い(要注意)】
従業員の賞与と異なり、役員賞与は原則として損金に算入できません。ただし、「事前確定届出給与」として税務署に届け出た場合は例外的に損金算入が認められます。届出は賞与支給日の前に必要なため、支給を予定している場合は顧問税理士と早めに確認してください。
【賞与にかかる社会保険料】
賞与を支給すると、会社・従業員の双方に社会保険料(健康保険・厚生年金)が発生します。賞与額の約15%(会社負担分)が追加コストとなるため、「賞与50万円支給」には実質的に約7.5万円の社会保険料負担が生じることを念頭に置いてください。

※社会保険料率は2026年度時点の概算。詳細は事業所の加入保険組合により異なります。
5. まとめ―「出すか・出さないか」より「いくら・どう出すか」を設計する
2026年夏季賞与は平均47.7万円と5年連続増、大企業との格差は拡大傾向にあります。中小・小規模企業にとって、賞与は単なる慣習ではなく、人材確保・従業員モチベーション・採用競争力を左右する経営戦略です。
「出したいが仕組みがない」「役員賞与の税務処理が不安」という場合は、税理士や社会保険労務士に相談して、自社の状況に合った賞与制度を設計することをおすすめします。
参照:帝国データバンク「2026年夏季賞与の動向アンケート」(2026年6月11日)
参照:日本経済新聞「4割の企業が夏季賞与増額 平均は47万円、帝国データ調べ」(2026年6月11日)
中小企業経営者や個人事業主が抱える資産運用や相続、税務、労務、投資、保険、年金などの多岐にわたる課題に応えるため、マネーイズム編集部では実務に直結した具体的な解決策を提示する信頼性の高い情報を発信しています。
新着記事
人気記事ランキング
-
2026年10月1日の酒税改正、ビールとチューハイはいくら変わる?加熱式たばこの値上げも税理士に聞いた
-
貯蓄「平均2,059万円」に届かない世帯が3分の2——中央値1,264万円との795万円差はどこから生まれるのか
-
ニデックTOBインサイダーで追徴金7.5億円超、利益の約13倍でも税金はかかる?税理士に聞いた
-
平均給与は1.9%増、源泉徴収された所得税は17%増。なぜ?今年の年末調整で起きることも税理士に聞いた
-
プルデンシャル生命に業務停止命令、解約したら税金は?ドル建て保険は円安だけで課税も、税理士の見解は
-
アジア大会の報奨金、五輪と違って税金がかかる?ぷよぷよ11歳金メダリスト「報奨金なしの見通し」から税理士が解説
-
100歳以上が初の10万人超え、親100歳・子80歳の「老老相続」で税金はどうなる?税理士が解説
-
元税務署職員が競艇に8億6,000万円、脱税1億3,500万円か。税理士「使った額はそのまま引けません」
-
新型iPhone、税込40万円超でも会社で一括経費にできる?「30万円→40万円」に変わった新基準を税理士が解説
-
「節税しただけ」なのになぜ逮捕?エンジェル税制、節税と脱税の境界線



