1度しかない「創業」。だからこそ、注意すべきことがある ~会社をつくりたいと思ったら・その3~
1度しかない「創業」。だからこそ、注意すべきことがある ~会社をつくりたいと思ったら・その3~

2019/4/1

 
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独立して事業をするという夢を叶えるために、会社を設立したい。そのためには、前回まで述べたように、資金面でのハードルを越えなければなりません。様々な手続きも、当然必要になります。安易な会社のつくり方をすると、後々困った状況に見舞われるかも。今回も、創業時に注意することを中心に、アスラン会計事務所の大谷理先生にお話しいただきます。

資本金や、定款の事業目的はよくよく考えて

すぐにでも会社をつくりたい一心の起業家が、陥りやすいミスは何か? 今回は、そんなお話をうかがいたいと思います。
いろいろあるのですが(笑)、けっこう「盲点」になりやすいところを挙げてみましょう。まず、資本金。今は「1円起業」が可能です。でも、だからといって資本金を10万円だとかにすると、1年後には「増資したい」という話になることが多いんですよ。
 事業資金が潤沢で、将来にわたって外から調達する必要が生じないというならいいのですが、もし金融機関から運転資金を借りたいというようなことになった場合、「資本金10万円」がネックになる可能性があるのです。
信用力の問題ですね。
そうです。融資に限らず、決算書を外に出す必要があるのなら、資本金を「なるべく信用力のある」金額にしておくべきでしょう。
 また、会社には定款(※1)が必要ですが、そこに記載する事業目的も、よく考える必要があります。事業は、そこに書かれている範囲でしか行えません。これも1年ぐらいしたら、別の仕事に手を広げたくなった、でも記載されていない、というケースがけっこうあるんですね。そういうことを見据えて、関連する事業などはあらかじめ盛り込んでおくのがベストです。
事業目的の追加は難しいのでしょうか?
そんなことはないのですが、会社の事業目的の追加は登記をしなくてはなりません。登記費用として、3~4万円はかかるんですよ。
 また、会社を設立したら、納税地の税務署に、今の定款や出資者名簿などを添付した「法人設立届出書」をはじめとする届けを提出しなければなりません。中でも気をつけたいのが、「必要に応じて」提出する、とされている青色申告(※2)の申請です。第1期からその適用を受けようと思ったら、「設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで」という期限内に申請する必要があるのです。
設立後の忙しさで、うっかりそれを忘れていると、青色申告は認められなくなってしまうわけですね。
青色申告のメリットの1つは、法人の場合、平成30年4月1日以後に開始する各事業年度においてその期に出た赤字を、10年まで繰り越せること。この期間内であれば決算が「黒転」しても、当期の赤字分と相殺して、節税することができるのです。1期目から適用されるのが望ましいのは、設立当初は売上が安定しないため赤字になりやすいからにほかなりません。
 会社を設立するタイミングは、1度だけです。そこで不備があったために、後で支障をきたすようなことがないよう、万全を尽くす必要があるでしょう。

※1定款
公益法人・会社・協同組合などの社団法人の目的・組織・活動などに関する根本規則。また、それを記載した書面のこと。

※2青色申告
複式簿記の手法に基づいて帳簿を記載し、その記帳を基に所得税、法人税を計算して申告すること。

経営者なら、数字に興味を持つ

個人事業で営んでいた事業を法人化するケースも、少なくありません。そのタイミングは、どう考えるべきでしょうか。
個人が「法人成り」する第1のメリットは節税です。一般的に、収入から事業に使った必要経費を差し引いた所得が400~500万円のレベルになってきたら、法人にしたほうが税金は安くなる可能性が高くなると思います。すなわち、会社としては役員報酬を計上することにより経費を増やしつつ、個人としては役員報酬から給与所得控除を控除し所得を少なくできるからです。つまり、まるで経費を二重に計上できるようになることにより節税効果を得ることができるからですね。
比較的所得が低くても、節税効果が生まれるわけですね。ただ、「法人になったら、社会保険料の負担が大きくて」という声も、よく耳にします。
そうですね。その数字も、損益分岐点を計算する方程式には載せる必要があるでしょう。
 社会保険料の会社負担については、中小・零細の場合は、従来「見逃されて」きた部分もあるのですけど、今は厳格になってきています。日本政策金融公庫の融資なども、社会保険加入が条件になってくるでしょう。たとえ自分1人だけの会社であっても、創業したら最初から社会保険の加入も考慮する必要がでてくると思います。
ずっとお話をうかがってきて、やはりノウハウと経験を持つプロのサポートを受けるのが、創業という大イベントを成功させるカギだと感じました。最後に、サポート役を選ぶポイントを教えてください。
例えば、規模が大きくて歴史もある事務所を選ぶか、当事務所のような小さいけれど創業支援に専門特化したところに頼むのか、という選択があると思います。後者の特徴を言えば、「担当職員」ではなく、常に専門の税理士が直接対応するという点でかかりつけ医が会社にいる感じになると思います。ですから、経営者と税理士が直接やりとりし専門的な質問に対してもすぐに回答が返ってきたりして、より充実したサポートを受けることができると思います。そこは、とにかく忙しい経営者にとって、大きなメリットなのではないでしょうか。
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