調査官が来るのは、8月から12月。そのわけは?
~「税務調査」にはこう臨む・その1~
調査官が来るのは、8月から12月。そのわけは?  ~「税務調査」にはこう臨む・その1~

2019/4/15

 
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア

ある日、以前に行った税務申告の中身について税務署が調査に入る、という連絡が。初めてそんな場面に直面すれば、誰しもドキッとするでしょう。でも、年間30件ほどの税務調査を対応している税理士法人エム・エム・アイの高橋節男先生は、「調査は誰のところにも来ると思ってください。不正を働いているのでなければ、なんら怖がる必要はありません」と話します。そもそも、税務調査とは何なのか? まずは、そこから説明していただきましょう。

調査は任意。事前に連絡がある

今回は、税務調査についてうかがいます。その言葉はよく耳にするのですが、経験した人でないと、どういうものなのか実はよくわからないですよね。突然、大人数で踏み込んでくる「マルサ」のイメージだったり。
それは国税局査察部というところが行う強制捜査です。納税に関する不正を働いている疑いの強い会社に、その証拠固めのために入るんですね。一般的な税務調査では、調査官がいきなりやってくるようなことは、基本的にありません。
 税理士の代理権限証書付きで税務申告が行われていれば、まずその税理士に連絡が入ります。調査も任意ですから、理屈の上では拒否することもできる。まあ、頑なに拒んだりすれば、「何かあるのではないか」という疑いを深める結果になる可能性が高いとは思いますが。
すべて税務署の言いなりに従う必要はないということですね。
例えば、飲食業などの現金商売をやっているところには、調査官が突然やってくることもあるんですよ。レジまわり、要するに手元の現金と伝票の金額が一致しているか、といった現金実査が目的です。事前連絡して帳尻を合わされてしまったら意味がない、という彼らなりの思惑があるわけですね。ただ、そうした場合でも、その場に責任者がいなければ、調査を待たせることはできますし、顧問税理士の立ち合いを求めることもできます。
急な調査に動揺してきちんとした説明ができなかったりすれば、いたずらに不利な立場に置かれてしまうかもしれません。
そういうことです。
 ちなみに、任意調査にも税務署が行う一般調査と、国税局資料調査課の特別調査があります。後者は、急成長した会社や、広域活動をやっている、あるいは多くのグループ企業を有して運営している企業などを対象にするもので、大人数で突然やってくることもあります。ですから、彼らは「ミニマルサ」とも呼ばれているんですよ。

「ちゃんと事業をしていれば、調査は来る」

調査が入りやすい業種とかは、あるのでしょうか?
基本的にそれはありません。そこそこの規模で事業を営んでいれば、税務調査は必ず来ると思ってください。
税務署は、調査の成果がありそうなところ、つまり追徴課税(※)ができそうな会社をターゲットにする、という話も聞くのですが。
私の経験上、そんなことはありませんよ。会社を設立して3年から5年後くらいの間には、だいたい来ています。あえて言えば、ちゃんと事業が軌道に乗って、儲けの出ているところには、その実態を把握するために調査に入る、という感覚です。
 逆に言えば、ずっと小規模のままで、赤字続きといった会社は、「お目こぼし」の対象なんですね。「税務調査に入られたことがない」と喜んでいるうちは、まだ一人前と言えないのではないかとさえ、私は感じます。
個人事業の場合でも、税務調査は入りますよね?
個人は、無申告で調査になるケースが多いです。売り上げが1000万円に満たないような規模でも、「申告されていませんね」と来ます。
そこは、「お目こぼし」はないわけですね。
はい。ところで、税務署が調査に入るのは、だいたい8月から12月の時期なんですよ。
それはなぜですか?
税務署は、他の官庁と違って7月1日に人事異動が発令されるのです。だから、6月に調査を開始することはないし、7月も引継ぎなどでバタバタする。一方、2月、3月は確定申告で、その期間は調査を行わないよう、税理士会が申し入れているほど。そこにかかる可能性がある1月スタートの調査というのも、稀です。
業界全体が大忙しですから。
さらに5月は、3月期決算の会社の決算申告が待っていますから、やはり税理士の立ち合いは厳しいわけです。その結果、消去法ではないですけれど、さきほど申し上げた期間に、税務調査が集中することになるんですよ。
※追徴課税
申告漏れや脱税の目的で、本来支払うべき税金よりも納税した金額が少なかった場合に、追加で税金を支払うこと。加算税(過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税)と延滞税がある。
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア
全国の税理士を無料でご紹介しています
税理士紹介ビスカス