もう税務署は「動いて」いるかもしれません
~どうしたらいいのか? 税金の滞納・その1~

もう税務署は「動いて」いるかもしれません  ~どうしたらいいのか? 税金の滞納・その1~

2019/4/5

 
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事業を営んでいるあなた。あなたは、支払うべき税金を滞納していませんか? 「本業が忙しくて、つい」「何年か払っていないけれど、税務署がやって来てないので」--。ちょっと待ってください。税務署は、すでに「滞納処分」のアクションを起こしているのかもしれません。放っておくとどんな事態が考えられるのか、林聰先生(林会計事務所)にうかがいました。

「滞納処分」はこう進む

「税金を滞納しているのですが、どうしたらいいでしょう?」という相談は、けっこうあるのですか?
「けっこう」はないのですが(笑)。何年か納めていなくて心配になって来られる方、税務署が財産を調べに来たという人、中には差押えになってから慌てていらっしゃる人もいます。
そもそも滞納者に対して税務署はどのように対応するのか、順を追って説明してください。
わかりました。当然のことながら、税金には必ず納付期限があります。それを過ぎても納税が行われない状態が滞納ですね。その状態が続く納税者に対して税務署の取るのが、「滞納処分」と言われる手続きです。
 税務署は、まず滞納者に対して督促状を送ります。それでも納税者側からなんらの返答がない場合には、「どうして税金を払わないのですか?」と、ある日突然やってきて、所得を把握し、しかるべき財産があるのかどうかを調べるわけです。そして、最悪の場合には財産の差押えということになります。
差押さえられる財産には、どんなものがあるのでしょう?
預金、有価証券、車などの動産、あるいは不動産、さらには事業の売掛債権なども対象になるんですよ。売れるものは、その後公売に掛けられて、国庫に納められることになります。
預金も押さえられてしまうわけですね。
税務署からすると、それが一番手っ取り早い。逆に言うと、私が関与した案件で物が差押さえられたというケースはありませんでした。
 ちなみに預貯金は、本人のところに来る前に金融機関に行って押さえられてしまいます。税務署には自力執行権というのが認められていて、いちいち裁判所の許可を得ることなく、勝手に差押えることができますから。
それは恐ろしいですね。やはり滞納を甘く見ないほうがよさそうです。

銀行は税の滞納者に融資はしない

それにしても、所得の一部を隠そうとするならまだしも、税逃れを目的に無申告でいるということは、あまりないと思うのですよ。
そうですね。事業に追われていて申告ができなかったとか、たまたま申告の時期に病気になってしまったとか。それで2年、3年と滞納すると、もう面倒になってしまいますから。
ただし、税務署が見逃してくれることは絶対にない。
そう考えてください。お話ししたように、いつピンポンとやってくるのかわかりません。税務署の掌の上で踊らされている、とイメージしてほしいのですよ。
 事業をやって利益が上がれば納税が必要だ、ということを知らない人はいないでしょう。いつ税務署に「捕まる」のかとヒヤヒヤしながら時間が経過し、気づけば納税額自体も膨らんでしまっているはずです。観念して支払うとなれば、延滞税や無申告加算税、場合によっては重加算税などのペナルティが課せられる可能性もあります。
滞納が発生している場合には、できるだけ早く手を打つ必要があるということですね。
納税をしていないことのデメリットは、それだけではありません。金融機関から事業資金を借りる時には、納税証明書などの提出が求められます。利益が上がっていたとしても、税金を滞納していては、信用はガタ落ち。融資を受けるのは、まず無理でしょう。
本業にも悪影響を与えてしまう。
目先の税金は免れても、将来の代償は小さくないということです。ですから、一日も早く専門家に相談して、税務署との話し合いを始める必要があるのです。
税務署は、どの程度「話し合い」に応じてくれるのですか?
次回は、その点についてお話ししましょう。
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