コロナ禍で住宅の新築工事に遅れ 「住宅取得等
資金の贈与税の非課税の特例」はどうなる?

公開日:
2021/07/13
 
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新型コロナウイルス感染症は、住宅建設にも大きな影を落としています。緊急事態宣言に伴う移動制限などの影響で、工期に遅れの生じるケースが、多発しているのです。そこで問題になるのが、住宅取得に関する贈与に適用される「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」です。この特例には、贈与された資金を使って住宅を取得する期限や、居住する期限に「縛り」があるのですが、想定外の建築の遅れによって、その要件を満たさなくなる恐れがあるからです。実際には、どのような対応が行われるのでしょうか? 国税庁の見解を基に解説します。

2021年内に贈与を受けるのが条件の特例

はじめに「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」について説明しておきましょう。父母や祖父母などの直系尊属から、住宅取得(新築、購入、増改築など)のための資金を援助してもらった場合に、その一定額が贈与税非課税扱いになるというもので、今年12月31日までに贈与を受けた人が対象になります。

 

では、いくらまで非課税にしてくれるのか? 限度額は、契約時期などによって異なり、次のようになっています。

 

◆消費税の税率が10%の住宅(新築住宅の購入、住宅の新築や増改築など)
〈契約時期〉

  • 2019年4月1日~2020年3月31日=2,500万円(一般住宅)/3,000万円(省エネ等住宅)
  • 2020年4月1日~2021年12月31日=1,000万円(一般住宅)/1,500万円(省エネ等住宅)

 

◆上記以外の住宅
〈契約時期〉

  • 2016年1月1日~2020年3月31日=700万円(一般住宅)/1,200万円(省エネ等住宅)
  • 2020年4月1日~2021年12月31日=500万円(一般住宅)/1,000万円(省エネ等住宅)

 

ちなみに、贈与税には年110万円の「基礎控除」(この金額までは非課税)がありますから、上記の金額に110万円を足した分だけ、贈与税は課税されないことになります。

ただし、「取得期限」「居住期限」などの要件がある

とはいえ、わざわざ非課税にするわけですから、当然厳格な要件が設けられています。特に、確実に住宅取得のために使われること(=他の目的の贈与でないこと)は重視されます。

 

主な受贈者(贈与を受ける人)の要件を見てみましょう。

 

  • (1) 贈与を受けた時に、贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
  • (2) 贈与を受けた年の1月1日に、20歳以上であること。
  • (3) 贈与を受けた年の年分の合計所得金額が、原則として2,000万円以下であること。
  • (4) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
  • (5) 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること。または、同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできず、修正申告が必要となる。

 

このうち、コロナ禍で問題になるのは、(4)と(5)です。ひとことで言えば、「贈与を受けた翌年の3月15日までに住宅を取得し、その年の年末までに実際に住まなければ、この特例は受けられない」ということ。贈与を受けたのに、住宅建設が遅れて、この取得期限や居住期限に間に合わなかった、ということが起こりうるわけです。

新型コロナは「災害に基因するやむを得ない事情」に該当するか

大きなメリットのある特例が、降って湧いたようなコロナ禍でフイになるとしたら、やりきれません。「救済措置」はないのでしょうか?

 

この点について、国税庁は、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」で、次のようなケースで特例は適用されるのか? という問いに答える形で見解を示しています。

 

  • ①2019年に住宅資金の贈与を受けて、家屋の棟上げまで工事が終了し、2020年12月31日までに居住する見込みだったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、その後の工事の工期が延長され、年末までに居住できなかった。
  • ②2020年に贈与を受けた住宅資金について、特例の適用を受けるつもりで住宅取得の契約を結んだが、新型コロナウイルス感染症の影響で工期が延長され、21年3月15日までに取得することができなかった。

 

①の「棟上げ」とは、家の基本骨格、屋根ができた状態のことで、特例で言う「取得」に含まれます。つまり、取得期限はクリアしたものの、居住期限に間に合わなかったケース。また、②は、取得期限自体、要件を満たすことができなかったケースです。

 

結論を言えば、いずれのケースも、「災害によって住宅用の家屋に被害を受けた場合等」に該当するとして、適用要件の緩和が認められることになりました。この特例に関して、国税庁は、従来次のような考え方を明示しています。

 

住宅用の家屋の新築等をする人が、災害に基因するやむを得ない事情により、その家屋の新築等が取得期限(贈与を受けた年の翌年3月15日)までにできなかったとき又はその家屋に居住期限(贈与を受けた年の翌年12月31日)までに居住できなかったときには、それぞれの期限が1年延長され、住宅取得の際の贈与税の特例の適用を受けることができます。

 

コロナ禍は、この「災害に基因するやむを得ない事情」に該当する、というわけです。その結果、

  • ①は、1年間延長された居住期限=2021年12月31日までにその家屋に居住すれば、特例の対象
  • ②は、取得期限と居住期限がそれぞれ1年間延長されるので、22年3月15日までに家屋を取得し、22年12月31日までにそこに居住すれば、特例の対象

ということになります。

特例を受けるためには、贈与税の申告が必須

家を持とうという人にとってはありがたい特例ですが、注意点もあります。

 

さきほども触れたように、現行制度は、今年12月31日までに贈与を受けた場合に適用されます。この特例の適用を考えるのならば、年内に住宅取得資金をもらう必要があります。

 

また、仮に特例を使うことで贈与税がゼロになった場合でも、必ず申告しなくてはなりません。忘れないようにしましょう。

まとめ

親などから住宅資金として贈与を受けた場合には、要件を満たせば、一定額まで贈与税が非課税になる特例があります。要件には、取得期限と居住期限も定められていますが、コロナ禍による新築工事の遅れなどの場合には、その延長が認められることになっています。不明な点は、税理士に相談をしましょう。

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