会社登記を行う際の登録免許税と 登記費用の違いとは? | MONEYIZM
 

会社登記を行う際の登録免許税と
登記費用の違いとは?

会社を設立する際のみならず、本店の移転や事業内容の変更、役員の変更など登記簿に記載されている情報が変更となった場合は、登記申請を行う必要があり、登記費用がかかります。また、登記を行うにあたって登録免許税という国税も課税されます。
この記事では、登記費用と登録免許税の違いを説明し、登記の際の費用を最小限に抑えるコツをご紹介します。

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会社登記とは

会社の種類と登記項目

  • 株式会社
    株式会社とは株式を発行するかわりに資金を集めて経営を行う会社の形態です。出資者は株主となり、会社を所有することになります。出資者の責任の範囲は出資額を上限とする「有限責任」です。一方、会社の責任者は代表取締役(社長)や取締役などの役員であり、実際に事業を運営して会社を経営します。つまり株式会社は会社の所有と経営が分離されているのが特徴です。役員は任期制(最長10年)となります。
    全ての株式会社が必ず登記しなければならない登記項目は、商号、本店および支店の所在地、事業目的、資本金の額、発行可能株式総数、発行済株式の総数並びにその種類および数、取締役の氏名、代表取締役の氏名および住所、公告方法についての定め(公告方法について定めのないときは、官報で公告する旨)です。次に、定款などで定めている場合に登記すべき登記項目の主なものは、存続期間または解散事由の定め、単元株式数、などがあります。なお、株式会社の定款は、第三者に証明してもらう必要があるため、本店所在地の管轄の法務局内にある公証役場で「定款認証」という手続きをする必要があります。
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  • 合同会社
    合同会社は、2006年5月1日に施行された会社法で新しく設けられた会社の形態です。株式会社との一番の違いは、合同会社は出資者が会社の経営もする会社で、会社の所有と経営が同一になるのが特徴です。会社の所有者自らが会社を経営することになりますので、会社経営に自由度があり、会社経営に関する意思決定も柔軟にスピーディーにできるメリットがあります。また、合同会社では出資者を社員と呼びます。社員=出資者=経営者であり、出資額を上限に責任を負う「有限責任社員」となります。合同会社の代表者は株式会社の代表取締役ではなく、代表社員と呼びます。合同会社の設立に関しては、「定款認証」を受ける必要がないことや、株式会社と比較して登録免許税が安く登記費用が安いというメリットもあります。合同会社の主な登記項目は、商号、本店および支店の所在地、事業目的、資本金の額、業務執行社員の氏名、代表社員の氏名および住所、職務執行者の氏名および住所(代表社員が法人の場合)です。
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  • 合名会社
    合同会社と異なり、合名会社は「無限責任社員」のみで構成されている会社の形態です。
    「無限責任社員」とは、会社への出資額の上限を超えても債権者に連帯して責任を負う社員を言います。無限責任であることから個人事業主に近い性格の会社形態とも言われています。合同会社と同じように登録免許税を含む登記費用が安いというメリットもあります。合名会社の主な登記項目は、商号、本店および支店の所在地、事業目的、存続期間または解散の事由について定款の定めがあるときはその定め、社員の氏名および住所、代表社員の氏名(合名会社を代表しない社員がある場合に限る)、職務執行者の氏名および住所(代表社員が法人の場合)などです。
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  • 合資会社
    合資会社とは「有限責任社員」と「無限責任社員」の両方で構成されている会社の形態です。株式会社、合同会社、合名会社の設立に必要な社員数は1名に対し、合資会社は有限責任社員と無限責任社員の計最低2名となっているのが特徴です。合同会社や合名会社と同じように登録免許税を含む登記費用が安いというメリットもあります。合資会社の主な登記すべき事項は、商号、本店および支店の所在地、事業目的、社員の氏名、社員が無限責任社員又有限責任社員のいずれであるかの別、代表社員の氏名および住所、職務執行者の氏名および住所(代表社員が法人の場合)などです。

登記費用と登録免許税

登記費用

会社登記にかかる登記費用は、登記にかかる税金(登録免許税)と印紙代やその他の手数料を合計したものとなります。具体的には、自分で株式会社を設立する場合の登記費用は約22~26万円となります。内訳は、定款認証手数料3万円※、定款印紙代4万円(電子定款の場合は不要で0円)、登録免許税15万円、その他2万円となります。司法書士などに依頼した場合は代行手数料がプラスされ、合計で約35万円~40万円の相場となります。

※定款認証手数料は、資本金が100万円未満の場合は「3万円」、100万円以上300万円未満の場合は「4万円」、その他の場合「5万円」となります。

 

また、合同会社・合名会社・合資会社を設立する場合の登記費用は約8~12万円となります。内訳は、定款印紙代4万円(電子定款の場合は不要で0円)、登録免許税6万、その他約2万。司法書士などに依頼した場合は代行手数料がプラスされ、合計で約25万円~30万円の相場となります。

登録免許税

登録免許税とは会社設立時や会社の登記事項を変更する際に、法務局に納付する国税です。登録免許税は税額分の収入印紙を購入して申請手続き際の印紙貼付用台紙に貼り納付する方法と、申請手続き前に法務局が指定する口座に振込して納付する方法の2つがあります。

 

  • 登録免許税の計算方法
    会社設立時の登録免許税に関しては、株式会社と合同会社の場合、登録免許税は資本金の7%です。ただし最低課税金額は株式会社が15万円、合同会社は6万円となっています。なお、合名会社と合資会社の場合はいずれも最低課税金額の6万円となります。また、会社の資本金の額を増資する場合は、増額する資本金分の0.7%で最低課税金額3万円となっています。その他会社の登録事項の変更については、1件あたり3万円です。

登記費用を最小限に抑えるには?

複数の登記事項を一括で申請

会社の登記事項を変更する場合は法務局に変更登記手続きが必要となります。複数の登記事項を変更する場合は一括で一つの変更登記申請書にまとめて申請することで、変更登記にかかる登録免許税を最小限に抑えることが可能です。例えば、商号と事業目的の変更登記を同一の変更登記申請書にまとめて一括で申請した場合の登録免許税は3万円となります。一方、商号と事業目的の変更登記を別々の変更登記申請書で申請した場合の登録免許税は6万円(3万円+3万円=6万円)となります。また、本店所在地の管轄法務局以外に新規の支店を設置する場合、本店所在地の管轄法務局に同一の変更登記申請書で一括して申請することもできます。複数の会社の登記事項を変更する場合は一括で申請することで、登録免許税などの登記費用を最小限に抑えましょう。

自身で登記の手続きを行う

  • 登記にかかる費用
    会社登記を専門家である司法書士に依頼すれば、登記の手続きにかかる業務の負担や煩わしい作業がないので安心な一方で、代行手数料がかかってしまいます。登記費用を最小限に抑えるためには自身で会社の登記手続きにチャレンジしてみましょう。
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  • 紙の定款か電子定款かの選択
    自身で会社登記の手続きをする場合、まず定款を紙の定款にするか、電子定款にするかを決めます。電子定款にすることで、定款印紙代4万円の費用を削減できます。一方、電子定款の手続きをするには、Adobe Acrobatなどの電子署名が可能なPDFソフトや、ICカードリーダライタなどのソフトや機材が必要になります。新規で購入する場合は数万円の費用がかかるため、電子定款にするかどうかについて、十分に検討することをおすすめします。
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  • 法務局への提出
    定款の準備が出来れば、次は法務局に提出する必要書類を準備しましょう。会社登記の手続きは、申請書や必要書類を管轄の法務局に持参もしくは郵送で申請する方法と、法務省のオンラインサービスを利用し申請書類データを送信して申請する方法があります。オンラインサービスを利用するには、事前に、電子証明書、電子署名、登録免許税を電子納付するためのネットバンキング口座の準備が必要です。しかし、多くの登記申請が見込まれる会社の場合は、オンライン申請を導入することで、今後の申請業務の効率化を図ることが可能となりますので、是非導入を検討して下さい。

 

☆ヒント
会社設立、登記内容変更の際は必ず登記の手続きが必要となります。司法書士に依頼することもできますが、なるべく費用を抑えたい場合はご自身で申請手続きを行うことも可能です。ご自身で手続きを行いたいものの、登録免許税などの税金面で不明点や不安のある方は、いつでも相談できる税理士がいると安心です。

まとめ

会社登記にかかる登記費用を最小限に抑えるためにも、なるべく自身で申請手続きは行いたいものです。また、会社設立する場合、登録免許税を含む登記費用など会社設立前にかかった費用(創立費)や、会社設立から営業開始にともなって特別にかかった研修費用や広告宣伝費などの費用(開業費)は、経費計上もしくは資産計上として処理することが可能です。会社登記に関する経理や税金面の不安点と不明点を、いつでも相談できる顧問税理士がいると安心です。

マネーイズム編集部
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