経営コンサルの倒産・廃業が2026年上半期に過去最多ペース——AI台頭と補助金バブル崩壊が背景、中小企業への影響は?

帝国データバンクが2026年6月5日に発表した調査によると、2026年1〜5月の経営コンサルティング業の倒産・廃業件数は242件に達し、年間600件超となる可能性があるとのことです。これは2000年以降で過去最多ペースです。IT補助金(現:デジタル化・AI導入補助金)の申請サポート業務に依存したビジネスモデルの崩壊と、生成AIの台頭が主な要因とされています。
補助金コンサルを活用している中小企業の経営者にとっては、「自社が依頼しているコンサルは大丈夫か」「今後の補助金申請はどうすれば良いのか」が気になるところでしょう。本記事では、何が起きているのか・なぜ増えているのか・中小企業への影響と対策を中立的に解説します。
1. 何が起きているか——経営コンサルの倒産・廃業が急増
ここでは、帝国データバンクが発表したデータをもとに、経営コンサル業の現状を解説します。
2026年1月〜5月の5か月間で、経営コンサルティング業の倒産・廃業件数は242件と判明しています。前年通年の568件を約1割上回るペースで、このまま推移すれば年間600件超が見込まれます。倒産(法的整理)だけで74件、休廃業・解散が168件という内訳です。

参照:帝国データバンク「経営コンサルティング業者の倒産・休廃業解散動向(2026年1-5月)」2026年6月5日
注目すべきは、倒産件数も前年比最多ペースである点です。これは、コンサル業全体が急速な逆風にさらされていることを示しています。(2026年6月時点の情報に基づく)
2. なぜ増えているのか——2つの「崩壊」が重なった
ここでは、経営コンサルの倒産・廃業が急増している背景を解説します。
① IT補助金バブルの崩壊
コロナ禍以降、中小企業のDX支援を名目とした「IT導入補助金(現:デジタル化・AI導入補助金)」の申請サポート業務が急拡大しました。申請書類の作成・提出をサポートするだけで報酬が得られるこのビジネスモデルは、多くのコンサルにとって主要な収益源でした。(なお、補助金申請書類の作成代行は本来、行政書士またはIT導入支援事業者など正規ルートで行うべき業務で、無資格者の代行は行政書士法上の違反という論点もあります)
しかし、次の3つの変化がビジネスモデルを直撃しました。
・審査の厳格化:審査基準が引き上げられ、形式的な申請書の通過率が低下
・参入増による競争激化:申請サポート業者が増加し、価格競争が深刻化
・需要の一巡:ITツール導入が一定程度普及し、新規顧客の獲得が困難に
その結果、受注が急減し、資金繰りが悪化した事業者が相次いで廃業・倒産に至っています。
② 生成AIによるコモディティ化の加速
もう一つの要因が、生成AIの急速な性能向上です。経営コンサルの業務の中でも「データ収集・分析」「資料作成」「申請書のひな形作成」といった作業は、生成AIで代替されやすい部分です。
専門性や独自ノウハウで差別化できていたコンサルは影響を受けにくい一方、「申請サポート業務」「補助金斡旋」「汎用的な経営改善提案」を主軸としてきた事業者には厳しい状況となっています。
帝国データバンクは「生成AIによる業務代替を直接の倒産理由とするケースはまだ確認できないものの、今後さらに淘汰が加速するとみられる」としています。
3. 中小企業への影響——依頼先のリスクと補助金申請はどうなる?
ここでは、経営コンサルを利用している・検討している中小企業への実際の影響を解説します。
① 契約中のコンサルが突然廃業するリスク
依頼先のコンサルが突然事業停止するケースでは、次のような影響が想定されます。
・申請書類の作成が中断し、補助金申請のタイミングを逃す
・返金交渉が難航する(着手金を受領後の廃業など)
・機密情報(財務データ・事業計画等)の管理が不明確になる
特に、着手金を先払いしている場合は注意が必要です。倒産・廃業後の返金は困難なケースが多く、事前に契約内容や支払い条件を確認しておくことが重要です。
② 補助金申請自体はなくならない
経営コンサルが減少しても、デジタル化・AI導入補助金などの補助金制度自体はなくなりません。申請は依然として中小機構のポータル(it-shien.smrj.go.jp)で受け付けており、IT導入支援事業者(登録ベンダー)経由で申請することも引き続き可能です。
ただし、悪質な申請サポート業者によるトラブルも増加傾向にあるため、補助金申請を依頼する際は、中小機構に登録された正規のIT導入支援事業者かどうかを確認することを推奨します。
③ 「補助金頼み」以外の支援ニーズを見直す機会にも
今回の淘汰は、補助金申請サポート業務に特化した事業者が主な対象です。財務・税務・経営戦略など、自社の課題に特化した専門性を持つコンサル・士業(税理士・中小企業診断士等)の価値は、むしろ高まっています。
補助金を活用したい場合も、税理士や中小企業診断士など、コンサルに加えて別の専門家のサポートを組み合わせると、リスク分散になります。
4. まとめ
帝国データバンクの調査によると、2026年の経営コンサルの倒産・廃業は過去最多ペースで推移しています。主な要因は「IT補助金バブルの崩壊」と「生成AIによるコモディティ化」の2点です。
補助金コンサルを活用している中小企業にとっては、依頼先の財務状況・事業継続性を改めて確認するとともに、正規のIT導入支援事業者かどうかを公式サイトで確認することをお勧めします。補助金申請サポート業務への依存度が高い場合は、税理士・中小企業診断士といった資格を持つ専門家との連携も検討してみてください。
本記事は帝国データバンク(2026年6月5日発表)の調査データをもとに作成しています。今後も最新情報が出た場合は随時更新します。(2026年6月時点の情報に基づく)
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