「常日頃の準備」があれば税務調査は怖くない

「常日頃の準備」があれば税務調査は怖くない

2020/4/27

 
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事業を行っていれば誰しも気になるのが、税務調査です。税の申告に関してやましいところがなかったとしても、もし税務署の調査官がやってきたら、どう対応したらいいのか、そもそも何を調べられるのかがわからないのは、やはり不安です。今回は、企業の経営サポートに実績があり、多くの税務調査事例を持つ斎藤英一先生(税理士法人 斎藤会計事務所)に、調査に対する心構えをうかがいます。

調査は「雑談」から始まる

税務調査に入られやすい会社って、あるんですか?
まず、利益の出ているところですね。中小企業は7割くらいが赤字決算ですから、黒字は目立つわけです。そういう会社には、3~5年に1回くらいのペースで調査に来ると考えてください。

もちろん、「狙い」をつけてやってくることもあります。税務署が見ているのは、申告書の数字の変化なんですよ。売上や利益だけではなくて、例えば原価率が期によって違いすぎるとか、経費が急に伸びたとか。統括というポジションにいる調査官がそういうのを見つけると、部下に「この会社に行って、調べてこい」ということになる。

当然のことながら、「税逃れ」を目的に数字をいじったりすれば、目につきやすいわけですね。
そうです。仮に税務調査の結果、そういう行為が見つかると、不足分の税に加えて、延滞税や各種「加算税」の追徴といったペナルティが課せられることになります。
そうした不正を働いていなくても、税務署は来るというお話ですが、実際の調査はどのように行われるのでしょうか?
調査期間は、基本的に2日間です。1日目の午前中は、社長相手の「雑談」。といっても、無駄話をするわけではありません。調査官に「いやー、社長はお若いのにすごいですね」などと乗せられて、いろんなことをしゃべらないほうがいいでしょう(笑)。
調査官のほうには、雑談を通じて社長自身や会社について探ろうという、意図がある(笑)。
そして、その日の午後から、帳簿を見てその会社のお金の流れを把握しながら、例えば「この売上の請求書を見せてください」などと、気になるところを詰めていく。売掛金の計上漏れは税額に直結しますから、特に入念にチェックしますね。経費関連では、言い方は悪いのですが、会社が「ズル」しやすい交際費や旅費なんかを重点的に調べます。税務調査で調査官が見るポイントは、だいたい決まっているんですよ。
税務署の調査官が、いきなり会社のオフィスにやって来ることはあるのですか?
令状を見せて、「動かないでください」というテレビドラマなどでおなじみのシーンは、国税局査察部、通称マルサによる強制調査なんですね。悪質な脱税の容疑が濃厚な場合に行われます。

お話ししてきたのは、同じ税務調査でも税務署が行う任意調査です。この場合は、申告書と同時に税務代理権限証書、要するに「今回の申告はこの税理士に依頼しました」という委任状を税務署に提出していれば、その税理士のところにまず連絡が行きます。そこで日程調整したうえで、調査には税理士も同席するのです。

ただし、いきなり来るケースが、まったくないわけではありません。特に「狙われ」やすいのが、現金商売をしている飲食業です。署員がお客様として夜飲みに行って、支払うお札にマークを付けておき、翌日開店準備でシャッターを開けた瞬間に「税務署ですけど、レジの中を見せてくれませんか?」と入ってくることも。目印のお札がそこにあるか、つまり勝手に「拝借」したりしていないか、確認するためです。

その場合、拒否はできないのでしょうか?
あくまで任意ですから、税理士の立ち合いを要求すれば、彼らもノーとは言えません。税理士が「後日改めて」と言ったら、それに従うしかないのです。

ちなみに、任意調査でも、調査自体を拒否することはできません。ただし、営業を邪魔してまで調査をするわけではないので、“後日”という日程調整は可能です。。基本的に、調査官には「質問検査権」が認められていて、これに答えないと罰則が科せられることもありますから、注意が必要です。

説明できる「証拠」を準備しておく

決して来てほしくはないのだけれど、もし税務調査になった場合を想定して、問題なく終わらせるために気をつけておくべきことはありますか?
真面目に納税していれば、税務調査を恐れる必要はありません。かといって甘く見ていると、主張が通らずに、余計な税金を支払う結果にならないとも限りません。やはり、常日頃から細かなところまで気を配り、脇を固めておくことが必要だと感じます。

例えば、領収書。さきほど、経費では交際費と旅費がポイントだと言いましたけど、飲食の際には、必ず「誰と」というのを記入しておく。記入がない領収書は、税務署に全部否認されるかというと、そんなことはありません。でも、そういうところから「いいかげんな社長だな」という印象を持たれると、調査でどんどん「深追い」されたりもする。反対に、きちんと記入されていたら、すんなり「問題なし」で終わることもあるわけです。

少しの手間で、いざ調査になった場合には大きな違いになりかねないのですね。
旅費についても、海外への渡航が多かったりすると、彼らは「プライベートなものを紛れ込ませているのではないか」という疑いを向けます。「そんなことはない」と言っても、後から客観的に証明するのは、意外に難しいこともあるんですよ。当事務所では、独自に渡航日程表というフォーマットを用意して、お客さまには必ず記入してもらうようにしています。出張の報告書にそれを添えれば、「しっかり処理されていますね」と褒められて終わりです(笑)。
「脇を固めておく」とおっしゃる意味が、よくわかりました。

斎藤英一(税理士)

税理士法人斎藤会計事務所 代表税理士
開業して20年以上、むずかしい会計・税務を“わかりやすく簡潔に説明”することをモットーにしている。新規法人設立支援、医業経営、経営計画立案に強く、経験豊富なスタッフが様々な面から顧問先の経営をバックアップ。決算を組むことがゴールではなく、未来に向かってどう決算組むか、といった未来会計を指南。
URL:https://www.s-zj.com/

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