特に問題のなかった兄弟仲が、親の相続で揉めたことが原因で、修復不可能なほど悪化してしまった――。残念ながら、それをフィクションとは言えない現実があります。相続をこじらせないために、注意すべきポイントは? 力になってくれる税理士は、どうやって選んだらいいのか? 相続に詳しい税理士法人アクトライズの松尾基宏先生にうかがいました。
円満な相続のために気をつけること、税理士の選び方
2019/11/22
骨肉の争いの末、みんなが損をすることも


当人同士の話し合いではまとまらず、家庭裁判所での調停を申請。こうなると、もう税理士がどうこうできる話ではなくなります。それぞれが弁護士を立てて、争うことになりました。ちなみに、税理士は税金面のアドバイスを軸にして、遺産分割協議の全体をまとめていくことができますけど、弁護士は基本的に特定個人の「代理人」として働きます。


しかも、単なる「痛み分け」では終わりません。長い時間弁護士を依頼すれば、報酬は馬鹿にならないでしょう。争った末に、トータルの取り分が減ってしまう。裁判までやったら、人間関係もガタガタになってしまうわけです。
被相続人(亡くなった人)の遺言書がない場合の、相続人それぞれの遺産の取り分。この事例では、配偶者が1/2、子どもは1/2を3人で案分し、1人1/6ずつとなる。
揉め事の芽は摘んでおく



私は、相続の際に、ことさら我慢する必要はないと思っています。ただし、主張の裏側には、他の相続人に納得してもらえるだけの行動、説得力が伴っていなくてはなりません。それを欠く「災いの芽」は、早い段階で摘んでおく必要があるのです。



「二次相続の先」まで視野に入れる


一次相続では、配偶者控除(※2)が使えるわけですが、だからといってお母さんに遺産のほとんどを渡しても、そのお母さんが亡くなれば、結局子どもたちが相続することになります。一次、二次トータルの相続税は、かえって高額になる場合もあるのです。ですから、一次相続の時に、「目先の利益」だけにとらわれず、先々のことも考慮したシミュレーションを行う必要があるのです。加えて、私はその先のことも考えるべきだと思っているんですよ。








配偶者が相続した遺産のうち、課税対象となるものの額が1億6000万円まで、それを超えても法定相続分までは課税されない制度。
「頼りになる税理士」は、こう選ぶ




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