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パートを巡る諸問題

京都市の税理士・中小企業診断士 安田徹事務所
政府は、今の国会に「パート労働法改正案」を提出しました。政府の目指す「格差是正」の一環で、パート労働者の処遇改善を図るためです。この法律の改正は、施行14年目にして初めてのことです。
改正点の特徴は、賃金、教育訓練、福利厚生などで正社員とパート労働者との「均衡処遇」の原則を明記し、会社側にその努力義務を課したことです。
21世紀職業財団(東京都千代田区)が05年に全国約2800の事業所を対象に行った調査では、15%の事業所で職務や権限、人材活用の仕組みが正社員と同等なパートがいたと報告されています。この改正案では、このような「正社員型パート」に対して、正社員との「均衡処遇」を原則に、同一賃金同一労働の原則に則って「均等処遇」を目指します。
しかし、「正社員型パート」にならない従来のパートについては、会社側に努力義務を課すにとどまり、パート雇用にあてる総人件費が変わらないとすれば「正社員型パート」の待遇を改善するあまり、その他のパートの待遇が切り下げられる可能性があると指摘されています。
バブル期に人件費の抑制から、正社員からパートへのシフトをしてきた会社側にとって、「都合の良い人材」からパートを活力ある戦力として如何に登用していくか試されるときが来たようです。

税理士:安田徹
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