相続税の課税対象はどこまで?実は自分も課税対象者かも?

相続税の課税対象はどこまで?実は自分も課税対象者かも?
最終更新日:2026/05/26
この記事の監修者
徳永税理士事務所
所長 徳永 圭(税理士)
相続税の課税対象は、現金・預貯金・不動産などの本来の遺産だけでなく、死亡保険金などのみなし相続財産、一定期間内の生前贈与財産も含まれます。遺産総額から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引き、残額がある場合にのみ課税される仕組みです。「うちは大した財産がない」と思っていても、生命保険金・名義預金・暗号資産が申告漏れとなるケースが実務では頻繁に見られます。

相続税の課税対象となる財産の3区分と課税の仕組み

相続税の課税対象財産は、①本来の相続財産、②みなし相続財産、③一定の生前贈与財産の3つに区分されます(参考:国税庁 No.4105 相続税がかかる財産)。

  1. 本来の相続財産は、被相続人が死亡時に所有していた、金銭に見積もれる経済的価値のあるすべての財産です。現金・預貯金・不動産・有価証券・自動車・貴金属のほか、貸付金・借地権・ゴルフ会員権なども含まれます。
  2. みなし相続財産は、遺産そのものではありませんが、死亡を原因として受け取る死亡保険金や死亡退職金などが対象です。
  3. 一定の生前贈与財産は、相続開始前の加算対象期間内に被相続人から受けた暦年贈与財産や、相続時精算課税を適用した贈与財産が該当します。

これらの合計から債務・葬式費用・非課税財産を差し引いた「正味の遺産総額」が基礎控除額を超えた場合にのみ相続税が課税されます。国税庁によれば、令和5年分の相続税の課税割合は9.9%(被相続人約10人に1人)です。課税対象の財産があっても、必ずしも相続税が発生するわけではありません。

申告漏れになりやすい課税対象財産を税理士が解説

相続税の課税対象には、名義預金や生命保険金など「自分には関係ない」と見落とされがちな財産が多く含まれます。申告漏れが発覚した場合には延滞税や過少申告加算税が課されるリスクもあります。ここからは、実際に寄せられた質問をもとに、課税対象の判断で迷いやすいポイントを監修税理士に詳しく伺っていきましょう。

死亡保険金や死亡退職金は相続税の課税対象になる?

質問: 父が死亡し、生命保険金2,000万円と勤務先からの死亡退職金500万円を受け取りました。これらも相続税の対象になりますか?

徳永 圭先生

徳永 圭先生

どちらもみなし相続財産として相続税の課税対象になります。ただし、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が設けられており、法定相続人が3人であれば非課税枠は1,500万円です。保険金2,000万円のうち課税対象は500万円となり、退職金500万円は非課税枠の範囲内で全額非課税です。なお、受取人が相続人以外の場合はこの非課税枠を使えません(参考:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金・No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金)。

生前贈与した財産も相続税の課税対象になる?

質問: 亡くなる前に子どもに毎年110万円以内で贈与していた財産も、相続税の課税対象になるのでしょうか?

徳永 圭先生

徳永 圭先生

相続や遺贈で財産を受け取った人が、被相続人から加算対象期間内に受けた暦年贈与財産は、相続財産に持ち戻して課税対象となります。贈与税の基礎控除(年間110万円)以下であっても同様です。現在(令和8年12月31日以前の相続)は「相続開始前3年以内」が加算対象期間ですが、令和9年1月1日以降の相続からは段階的に延長され、最終的に7年以内となります。孫など相続財産を受け取らない者への贈与は持ち戻しの対象外です。(参考:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税))

墓地や仏壇は相続税の課税対象にならない?

質問: 親が残した墓地・墓石・仏壇も相続税の対象になりますか?

徳永 圭先生

徳永 圭先生

墓地・墓石・仏壇・仏具・神棚などの祭祀財産は、相続税の非課税財産です。ただし実務上の落とし穴があります。純金製の仏像・仏具などは骨董品・投資目的とみなされ、税務調査で課税対象と判断されるリスクがあります。また、生前に購入したお墓のローン残債は「非課税財産に係る債務」として、債務控除の対象にもなりません。日用的な礼拝用途のものに限り非課税と理解してください(参考:国税庁 No.4108 相続税がかからない財産)。

タンス預金や名義預金も相続税の課税対象になる?

質問: 自宅に保管していた現金(タンス預金)や、子ども・孫の名義の預金口座も課税対象になりますか?

徳永 圭先生

徳永 圭先生

いずれも課税対象となる可能性が高い財産です。課税対象かどうかは「名義が誰か」ではなく「誰の財産か(帰属)」で判断します。被相続人が管理・通帳を保有していた子ども名義の預金(名義預金)は、被相続人の財産として申告が必要です。国税庁のデータでは、税務調査で発覚した申告漏れのうち現金・預貯金が全体の30.3%を占めており(令和5事務年度)、税務署は金融機関への調査権限を持っているため発覚リスクは高いと認識してください。

暗号資産(仮想通貨)も相続税の課税対象になる?

質問: 故人がビットコインなどの暗号資産を保有していた場合も、相続税の課税対象になりますか?

徳永 圭先生

徳永 圭先生

暗号資産も「金銭に見積もれる経済的価値のある財産」として相続税の課税対象です。評価額は原則として相続開始日(死亡日)における取引所の時価で計算します。実務上の問題は、パスワードやウォレット情報が不明で存在を把握できないケースです。取引所からの入金・メール履歴や、銀行口座への出金記録を起点に保有状況を確認することが重要です。国税庁も暗号資産等の税務上の取り扱いを明示しています。

基礎控除の範囲内でも相続税の申告が必要な場合はある?

質問: 遺産が基礎控除額以下であれば、相続税の申告は一切しなくていいですか?

徳永 圭先生

徳永 圭先生

課税遺産総額がゼロになる場合、原則として申告は不要です。ただし、配偶者控除(配偶者の税額軽減)や小規模宅地等の特例を適用することで税額がゼロになる場合は、税額がゼロでも申告が必要です。これらの特例は「申告することが適用の要件」となっているため、「どうせ税額がゼロだから」と申告しなかった場合、特例の恩恵を受けられず多額の相続税が発生することがあります。

まとめ

相続税の課税対象は、本来の相続財産・みなし相続財産・一定の生前贈与財産の3区分です。名義預金・タンス預金・生命保険金・暗号資産など見落としやすい財産も多く、特例適用のために申告が必要なケースもあります。課税対象の判断は複雑なため、相続開始後は早めに相続税に精通した税理士への相談をお勧めします。相続財産センターでは、相続税を専門とする税理士を完全無料でご紹介しています。

この記事の監修者
徳永税理士事務所
所長 徳永 圭(税理士)
大学で財務会計ゼミに入ったことがきっかけとなり税理士資格を取得。総合不動産会社、不動産証券化(SPC)特化型事務所、総合会計事務所を経て令和へ年号が変わるとともに開業。これまでの職歴から不動産周りの税務会計、資産税(相続)に強みがあります。

事務所公式ホームページはこちら
tel line line
相続に強い税理士を探す

相続に強い税理士無料紹介 お問い合わせフリーダイヤル

電話 0120-659-376
受付時間 平日9:00〜19:00 土日祝9:00〜18:00

相続に強い税理士無料紹介
お問い合わせフリーダイヤル

tel

「相続に強い税理士探し」「変更を検討中」
「顧問料相場を知りたい」など
お気軽にお問い合わせください。