相続税と贈与税は何が違う?税率・基礎控除・節税効果を税理士が解説

相続税と贈与税は何が違う?税率・基礎控除・節税効果を税理士が解説
最終更新日:2026/06/23
この記事の監修者
税理士法人日根野会計事務所広島事務所
所長 末永 寛
「相続税と贈与税、どちらがかかるの?」と疑問を持つ方は多いですが、両者は財産を受け取るタイミングと課税の仕組みが根本的に異なります。相続税は死後に発生・基礎控除が大きく大半の家庭では非課税、贈与税は生前に発生・年間110万円超から課税。どちらが有利かは財産総額や家族構成によって変わるため、違いを正確に把握することが節税の第一歩です。

相続税と贈与税の基本的な違い

相続税と贈与税は「財産移転に課される税」という点では共通していますが、発生タイミング・課税対象・基礎控除額が大きく異なります。相続税は被相続人の死後に遺産全体を対象として課され、基礎控除が「3,000万円+600万円×法定相続人数」と大きいため、一般的な家庭では課税されないケースが大半です。一方、贈与税は生存中に個人間で財産を渡す際に発生し、年間110万円を超えた分から課税されます。一度に多額の財産を贈与すると最高55%の税率が適用されるため、相続税より高負担になることもあります。

項目 相続税 贈与税(暦年課税)
発生タイミング 死後(相続開始時) 生前(贈与を受けた年)
基礎控除 3,000万円+600万円×法定相続人数 年間110万円
税率 10〜55%(取得分に応じた累進) 10〜55%(一般)/特例税率あり
申告期限 相続開始を知った日の翌日から10か月以内 翌年2月1日〜3月15日
課税対象 遺産総額から控除を差し引いた額 年間贈与額から110万円を差し引いた額

相続税と贈与税の違いで押さえておきたいポイント

相続税と贈与税は名称は似ていますが、計算方法・使える特例・有利不利の判断基準が異なります。実際に寄せられる疑問をもとに、相続税と贈与税の違いについて監修税理士に詳しく伺っていきましょう。

相続税と贈与税、どちらのほうが税率は高い?

質問: 相続税と贈与税は税率が違うと聞きました。どちらのほうが高くなりますか?

末永 寛先生

末永 寛先生

税率の表では双方とも最高55%と同じですが、実際には贈与税のほうが割高になりやすいです。相続税は法定相続分に応じた分割後の取得額に課税されるため、相続人が複数人いると税率が下がります。贈与税は1人が受け取った年間贈与額(110万円控除後)に直接累進税率が適用されるため、まとまった金額を一度に渡すと高い税率が適用されます。少額を複数年に渡って、分散して贈与することが節税の基本です。

年間110万円以内の贈与でも相続税がかかるケースがある?

質問: 毎年110万円以内で贈与してきましたが、それでも相続税がかかることがあると聞きました。本当ですか?

末永 寛先生

末永 寛先生

はい、あります。2024年1月1日以降の贈与から、相続開始前7年以内に行われた贈与は相続財産に加算されるルールに変更されました(改正前は3年以内)。ただし、延長された4年分(相続開始前4〜7年以内)については合計100万円までは加算不要という緩和措置があります。長年の暦年贈与の効果が薄まるケースがあるため、最近始めた方は注意が必要です。

相続時精算課税制度とは何か?暦年課税とどう違う?

質問: 贈与税の「相続時精算課税制度」というものがあると知りました。通常の贈与税(暦年課税)と何が違うのですか?

末永 寛先生

末永 寛先生

相続時精算課税制度は、生前に最大2,500万円まで贈与税なしで財産を渡せるかわりに、贈与者が亡くなった際に贈与財産を相続財産に加算して相続税を精算する制度です。2024年以降は年間110万円の基礎控除が加わり、使い勝手が向上しました。一方、暦年課税は、相続開始前の7年以前の贈与について贈与税課税及び生前贈与加算も不要です。どちらが有利かは財産額・贈与者の年齢・相続までの期間によって異なります。一度選択した相続時精算課税は撤回できないため、専門家への相談が不可欠です。

生前贈与と相続、節税効果が高いのはどちら?

質問: 相続税対策として生前贈与が有効と聞きますが、相続より実際に節税効果が高いのでしょうか?

末永 寛先生

末永 寛先生

財産総額が大きい場合は計画的な生前贈与が有効ですが、単純に「贈与のほうが得」とは言い切れません。贈与税は少額を長期にわたって分散するほど節税効果が出ますが、前述の7年加算ルールにより短期集中では効果が限定されます。また、不動産を贈与すると登録免許税・不動産取得税が相続より高くなる場合があります。財産の種類・総額・相続人の人数を踏まえて試算することが重要です。

贈与税がかからない財産や特例にはどのようなものがある?

質問: 贈与税がかからないケースや非課税になる特例があると聞きました。具体的にはどんなものですか?

末永 寛先生

末永 寛先生

暦年課税の年間110万円非課税枠のほか、主な非課税特例として結婚・子育て資金の一括贈与(最大1,000万円)や住宅取得等資金の贈与(省エネ住宅等で最大1,000万円)があります。また、夫婦間で居住用不動産を贈与する場合は最大2,000万円の配偶者控除(婚姻20年以上が条件)も利用できます。それぞれ適用要件・期限が異なるため、利用前に必ず確認してください。

相続税と贈与税で申告や手続きの違いはあるか?

質問: 相続税と贈与税では、申告の手続きや期限が違うのでしょうか?

末永 寛先生

末永 寛先生

大きく異なります。相続税は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」に申告・納付が必要で、申告が必要かどうかの判断も財産評価を経て行います。贈与税は「贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日」に申告が必要で、110万円以内であれば原則申告不要です。申告期限を過ぎると延滞税・加算税が発生するため、特に相続税では相続開始後すぐに税理士へ相談することを強く推奨します。

まとめ

相続税と贈与税は、財産を渡すタイミング・基礎控除の規模・計算方法のすべてが異なります。相続税は死後に遺産全体へ課税され、基礎控除が大きいため多くの家庭では非課税です。贈与税は生前の財産移転に年間110万円超から課税され、まとまった金額では税率が高くなりやすい特徴があります。2024年の税制改正により相続前7年以内の贈与が加算対象となったことで、従来の節税戦略の見直しが求められています。「うちはどちらが有利?」という判断は財産総額・家族構成・贈与の期間によって変わるため、相続に強い税理士への相談が確実です。

相続財産センターでは、相続税・贈与税の両方に精通した税理士を無料でご紹介しています。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
税理士法人日根野会計事務所広島事務所
所長 末永 寛
専門学校卒業後、一般企業において経理事務を約25年経験。39歳で一念発起し、働きながら税理士試験に合格。税理士法人勤務を経て、2023年スエナガ会計事務所開業。特に「相続税」分野を強みとし、相続や中小企業の事業承継(後継者問題)について、相談に応じたり、セミナーを開催したりするほか、金融機関の勉強会やハウスメーカー主催の相続情報や相続対策の講演なども行っている。趣味はマラソンで、これまで100レース以上に出走、現在も記録更新中であり、将来はバイク(自転車)で47都道府県制覇を狙っている。

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この記事の執筆者
相続財産センター編集部

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