普通預金の金利が0.5%に、100万円の利息は年5,000円でも手取りはいくら?個人と法人で違う「利息の税金」

日本銀行の利上げを受けて、預金の金利がじわじわと上がっています。三菱UFJ銀行などのメガバンクは2026年11月2日から普通預金の金利を年0.40%から年0.50%に引き上げ、ゆうちょ銀行も11月9日から通常貯金の金利を年0.50%にします。「100万円預けておけば年5,000円の利息」と聞くと少しうれしくなりますが、口座に入るのは税金を差し引いた後の金額です。
結論から言うと、個人の預金利息には所得税・復興特別所得税と住民税を合わせて20.315%がかかり、100万円の利息5,000円の手取りは約3,984円です。法人の場合は住民税(利子割)がかからず15.315%で、差し引かれた税金は法人税から控除できます。
本記事では、今回の金利引き上げの内容、預金額別の利息と手取りの目安、個人・個人事業主・法人それぞれの利息にかかる税金の仕組みを解説します。
1. 普通預金の金利は11月から年0.5%に
ここでは、2026年11月に実施される預金金利の引き上げについて解説します。
日本銀行は2026年9月の金融政策決定会合で政策金利を1.25%程度に引き上げました。これを受けて、主な銀行は普通預金の金利の引き上げを発表しています。三菱UFJ銀行は2026年9月18日の発表で、「日本銀行の金融政策決定会合の結果、ならびに市場金利上昇を受けて」円普通預金の金利を変更するとしています。
| 銀行 | 変更前 | 変更後 | 改定日 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 年0.40% | 年0.50% | 2026年11月2日 |
| 三井住友銀行 | 年0.40% | 年0.50% | 2026年11月2日 |
| みずほ銀行 | 年0.40% | 年0.50% | 2026年11月2日 |
| ゆうちょ銀行(通常貯金) | 年0.40% | 年0.50% | 2026年11月9日 |
※三井住友銀行の改定は同行の2026年9月18日の発表、みずほ銀行の改定は報道(共同通信)によります。ネット銀行なども、それぞれ独自に金利を見直しています。
ゆうちょ銀行は「2026年11月9日(月)以降は、引き上げ後の金利を適用いたします」と案内しています。すでに預けているお金にも、改定日以降は新しい金利が適用されます。
2. 預金100万円の利息はいくら?手取りの目安
ここでは、普通預金の金利が年0.5%になった場合の利息と、税金を差し引いた手取りの目安について解説します。
利息は毎日の残高をもとに計算されますが、ここでは分かりやすくするため、同じ残高を1年間預け続けたと仮定して計算します。個人は20.315%、法人は15.315%の税金が差し引かれるものとしています(1円未満は四捨五入した目安で、実際の金額は銀行の端数処理によって前後します)。
| 預金額 | 年0.4%の利息(税引前) | 年0.5%の利息(税引前) | 個人の手取り(0.5%) | 法人の入金額(0.5%) |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 4,000円 | 5,000円 | 約3,984円 | 約4,234円 |
| 300万円 | 1万2,000円 | 1万5,000円 | 約1万1,953円 | 約1万2,703円 |
| 1,000万円 | 4万円 | 5万円 | 約3万9,843円 | 約4万2,343円 |
| 3,000万円 | 12万円 | 15万円 | 約11万9,528円 | 約12万7,028円 |
100万円を預けている個人の場合、金利が0.4%から0.5%に上がることで、税引前の利息は年1,000円、手取りでは年800円ほど増える計算です。
一方、法人の入金額は個人より多く見えますが、これは住民税(利子割)が差し引かれないためです。差し引かれた15.315%の税金も、後で説明するように法人税の申告で精算します。
3. 個人の預金利息にかかる税金は20.315%、確定申告は不要
ここでは、個人が受け取る預金利息にかかる税金の仕組みについて解説します。
利息を受け取った時点で納税が終わる「源泉分離課税」
預貯金の利息は「利子所得」に当たります。国税庁は、利子所得について次のように説明しています。
利子所得の金額に一律15.315パーセント(他に地方税5パーセント)の税率を乗じて算出した所得税および復興特別所得税が源泉徴収され、これにより納税が完結する源泉分離課税の対象となり、確定申告をすることはできません。
つまり、給与や年金などの所得と合算されることはなく、利息が増えても確定申告や年末調整で何かをする必要はありません。所得税・復興特別所得税15.315%と住民税(利子割)5%の合計20.315%が、利息が口座に入る前に差し引かれています。
なお、利子割は住民税の一種で、金融機関などを通じて利子等の支払を受ける個人が納める税金です(東京都の場合「都民税利子割」)。
2027年以降も合計の税率は変わらない
令和8年度税制改正で「防衛特別所得税」が創設され、2027年(令和9年)以後に適用されます。利息から差し引かれる国税は「所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税」に変わりますが、国税庁は改正前と改正後とで、防衛特別所得税および復興特別所得税の合計税率に変更はないとしています。預金利息から差し引かれる税金の合計(個人20.315%、法人15.315%)は、2027年以降も同じです。
個人事業主の事業用口座の利息はどうなる?
個人事業主が事業用に使っている口座でも、預金の利息は預貯金の利子であることに変わりはありません。預貯金の利子は源泉分離課税で納税が完結するため、事業所得の売上(収入)に含めて申告する必要はないと考えられます。
帳簿では、事業用口座に入った利息を「事業主借」として処理するのが一般的です。具体的な仕訳は「個人事業主の受取利息は、貸方「事業主借」ですご存知でしたか?」で解説しています。
4. 法人の預金利息は15.315%、法人税から差し引ける
ここでは、会社(法人)が受け取る預金利息にかかる税金について解説します。
法人には住民税(利子割)がかからない
東京都主税局は「平成28年1月1日以後、法人に対して支払われた利子等については、利子割課税の対象外となりました」と案内しています。そのため、法人の預金利息から差し引かれるのは所得税・復興特別所得税の15.315%だけです。
差し引かれた税金は「所得税額控除」で精算する
法人の場合、差し引かれた15.315%で納税が終わるわけではありません。受取利息は税引前の金額で会社の収益(益金)になり、他の利益と合わせて法人税が計算されます。
その代わり、利息から差し引かれた所得税等は法人税の前払いのような扱いになります。国税庁は、法人が支払を受ける利子等について源泉徴収される所得税および復興特別所得税の額は「法人税の額から控除することができます」としており、控除しきれなかった金額は還付されます。赤字で法人税がかからない年でも、申告すれば還付を受けられます。
所得税額控除を受けるには、法人税の確定申告書に別表6(1)を添付し、利息の金額や差し引かれた税額などを記載します。金利が上がって利息の金額が大きくなるほど、銀行から届く「利息の計算書」を決算までに集めておくことが大切です。
仕訳の方法(総額で計上する方法と、入金額だけを計上する方法)や、所得税額控除と損金算入のどちらを選ぶかについては、「法人が利息を受け取ったら?税金・仕訳処理・所得税額控除の活用と2026年金利上昇対応を解説」で詳しく解説しています。
5. 金利が上がったときに確認したい3つのこと
ここでは、預金金利の上昇を受けて、個人や会社が確認しておきたいポイントについて解説します。
(1)預金保険で守られるのは元本1,000万円まで
銀行が破綻した場合、利息のつく普通預金や定期預金は、1つの金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息が保護されます。「無利息・要求払い・決済サービスを提供できること」の3つの要件を満たす決済用預金(当座預金など)は全額保護されますが、利息はつきません。
金利がつく口座に資金を移す場合、1つの銀行に1,000万円を大きく超えて預けると、保護の範囲を超える部分が出てくる点に注意しましょう。
(2)金利の高い預け先は「税引後」で比べる
ネット銀行の普通預金や定期預金、個人であれば個人向け国債など、金利の選択肢は増えています。比べるときは、利息から20.315%(法人は15.315%)が差し引かれることを前提に、税引後の金額で考えると実感に近くなります。キャンペーン金利は期間や対象額に条件があることも多いため、適用条件まで確認しましょう。
(3)借入の金利も上がる
預金金利が上がる局面では、住宅ローンの変動金利や会社の借入金利も上がりやすくなります。預金が多少増えても、借入の利息がそれ以上に増えることもあります。住宅ローンについては「住宅ローンの変動金利は今後どうなる?2026年「5年ルール」と確認したい5つの対策」、会社の借入については「日銀が政策金利を1%に引き上げ。中小企業の借入・資金繰りへの影響と今すぐやるべき対策」もあわせて確認してください。
まとめ
普通預金の金利引き上げと、利息にかかる税金のポイントをまとめます。
- 三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行は2026年11月2日から、ゆうちょ銀行は11月9日から、普通預金(通常貯金)の金利を年0.50%に引き上げる
- 100万円を1年預けた場合の利息は5,000円。個人の手取りは約3,984円で、0.4%のときより年800円ほど増える
- 個人の預金利息には20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)がかかり、源泉分離課税で納税が終わるため確定申告は不要
- 2027年から防衛特別所得税が加わるが、預金利息にかかる合計の税率は変わらない
- 法人には利子割がかからず15.315%。差し引かれた税金は所得税額控除で法人税から差し引け、控除しきれない分は還付される
- 預金保険で保護されるのは1金融機関あたり元本1,000万円とその利息まで。借入金利の上昇にも注意する
利息の金額は小さく見えても、会社の預金が数千万円規模になると、源泉徴収される税金も数万円単位になります。所得税額控除の漏れがないか、決算の際には税理士に確認しておくと安心です。
※本記事は2026年11月2日時点の情報に基づいています。金利は各金融機関の発表を確認してください。
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