農業経営者・農家が経理・税務を頼むならどんな税理士がいい?農業の税金のポイントを解説

農業経営者・農家が経理・税務を頼むならどんな税理士がいい?農業の税金のポイントを解説
公開日:
2021/07/13
最終更新日:
2022/04/20
 
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農業には、他の業種とは異なる会計・税務の仕組みがあります。事業に専念し、節税を実現するためには、税理士のサポートを受けるのがベストと言えるでしょう。ただし、すべての税理士が農業に詳しいわけではないことに注意が必要です。事業の助けになる税理士の条件とは? 今回は農業の税金のポイントや、農業に詳しい税理士について解説します。

農業経営者に課税される税金は?

農業には、そもそもどんな税金がかかるのでしょうか?
実は、農業経営に対する課税の仕組みは、個人経営と法人経営で違います。

個人経営の場合

個人農家に課税されるメインの税は「所得税」です。この点は、他の業種の個人事業主と変わりありません。
当然のことながら、農業以外に事業を営んでいれば、その所得と合算した金額に所得税がかかります。所得税は、所得が増えるほど税率も高くなる累進課税になっています。

多くの業種に課税される「個人事業税」は、農業に関しては非課税となっていますが、畜産業は課税対象ですから注意しましょう。
では、農業と畜産業を併せて営んでいたら?その場合には、経営形態によっては非課税となる場合もありますから、専門家の判断を仰ぐ必要があります。

法人経営の場合

公益法人を除く普通法人(株式会社、合同会社)と協同組合等は、すべての所得が「法人税」の課税対象です。税率は、中小法人(資本金1億円以下)が23.2%、協同組合等が19%ですが、ともに年800万円以下の部分の所得については、15%の軽減税率が適用されます。

農業経営には、農業経営基盤強化準備金などの税制面の優遇措置が設けられていますが、それを受けられるのは、市町村の農業委員会が認めた「農地所有適格法人」のみ。法人形態要件、事業要件、議決権要件、役員要件という4つの要件をすべて満たす必要があり、申請に当たっては、やはり専門家のフォローが必要になるでしょう。

農業経営の会計・税務の特殊性とは?

農業と他業種の違いには、次のような点があります。

勘定科目

農業簿記(農業を営む人が利用する会計の手法)には、一般的な簿記では使わない、次のような専用勘定科目があります。

  • 種苗費:種子や苗などの購入費用。
  • 素畜費:子牛や子豚の購入費用や引取運賃など。
  • 飼料費:飼料や飼料添加物の購入費用。
  • 小作料:小作地の使用料。
  • 土地改良費:農地の区画整理などにかかった費用。

棚卸

一般的な簿記は、物品の売買などを前提にしているため、棚卸の際には「商品」などの勘定科目を利用します。
一方、農業においては、生産資材や収穫前後の農産物などさまざまな種類の在庫が発生するため、それらを次の4つに分類して棚卸を行います。

  • 農作物:販売目的で生産したもので、収穫済みの農産物のうち未販売で在庫となっているものなど。
  • 仕掛品:生産のために栽培中・未収穫の農産物や、販売目的で飼育途中の動物など。
  • 原材料:生産目的に使われる種子、肥料、飼料、農薬、冷凍精液など。
  • 貯蔵品:生産・販売以外の目的で貯蔵される物品。物品燃料、包装材料、収入印紙など。

「生物資産」の管理

成熟した果樹・搾乳牛・繁殖豚など生産活動を行っている状態の果樹や家畜は「生物」という勘定科目を用いて、固定資産として減価償却(※)の会計処理を行います。生産活動を開始するまでに要した育成費用を積み上げた金額を、固定資産の取得価額として計算します。

※減価償却:建物、機器、設備などの固定資産は、年々価値が減少していく。その目減り分を費用として計上すること。

農家・農業経営者はどんな税理士に頼めばいい?

自らのニーズで考える

事業規模などにもよりますが、経理や税務を経営者自らがすべて行うのはかなりハードルが高いということがお分かりいただけたと思います。
では、税理士にサポートを依頼する場合には、どのような基準で選ぶべきなのでしょうか?

農業経営には、それに付随するさまざまなニーズが発生することもあるでしょう。経営に関わる税務に加えて、そうした部分にも強みを持つ税理士を選べば心強いはずです。

税理士選びのポイント

農業経営のサポートに実績がある

当然のことながら、説明したような農業簿記や税制、関連する法律、制度に精通していて、多くの実績を持つ税理士かどうかは、前提条件として非常に重要です。

相続に詳しい

代々農業を生業にしているような場合には「農地の相続あるいは譲渡をどうするか」という問題から逃れられません。この分野も、税理士の知識や経験のあるなしによって、納税額などに大きな差が出ます。

不動産に詳しい

農業の傍ら、不動産収入を得ているような場合には、不動産に強い税理士のサポートを受けるべきでしょう。これは、相続対策としても大きな意味を持ちます。

法人化に強い

個人から法人になること(法人化)には、対外信用力の向上、人材の確保・育成、経営承継の円滑化、節税(所得税から法人税へ)といったメリットがありますが、いざ法人を設立する際にもやはり税理士などの支援が必要です。

農業経営のアドバイスをもらうには

節税対策から一歩踏み込んで、経営に対するアドバイスが欲しい、という場合もあるでしょう。そんなときに頼りになるのが、「農業経営アドバイザリー」の資格を持った専門家です。日本政策金融公庫が認定するもので、有資格者には、労務やマーケティングなどの農業経営全般についての相談に乗ってもらえます。もちろん、税理士にもこの資格を持つ人がいます。

農業に詳しい税理士をお探しの方へ

農業経営には、頼りになる税理士のサポートが必要です。実績のある税理士紹介会社を使えば、ニーズに合った税理士をスムーズに見つけることができるはずです。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
税理士紹介センタービスカスは、 株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」サイトです。 税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
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