保険外交員・生保レディの税金と確定申告
ポイントと注意点を解説

保険外交員・生保レディの税金と確定申告  ポイントと注意点を解説
公開日:
2022/02/18
最終更新日:
2022/04/14
 
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保険会社と業務委託契約を結び、保険への加入の勧誘などに従事する保険外交員・生保レディの方は、原則として所得税などの「確定申告」をする必要があります。この確定申告は、やり方によって納税額(節税額)に大きな差が出るばかりでなく、怠ったり間違ったりするとペナルティの対象になることもありますので、注意しなくてはなりません。確定申告のポイントを解説します。

所得税の確定申告とは?

個人事業主は確定申告が必要

保険外交員の働き方には、

  • ①雇用契約を結んだ「正社員」「契約社員」
  • ②業務委託契約を結んだ個人事業主

の2つがあります。
収入は、①は「固定給(給与)+歩合(報酬)」の形態が基本です。一方で②は「完全歩合制」であることが多いですが、固定給+歩合の形態もあります。

①の場合は、所得税、住民税が毎月の給与から源泉徴収(天引き)され、毎年、年末調整で払い過ぎや不足分が調整(還付、徴収)されます。いずれにしても、社員(従業員)に関しては、これらの納税を本人に代わって会社がしてくれますから、原則として確定申告は不要です。
②の場合は、源泉徴収はされますが、年末調整はしてもらえません。個人事業主の場合には、税務署に自分で申告し、納税する必要があるのです。

正社員・契約社員の場合 個人事業主の場合
契約形態 雇用契約 業務委託契約
収入 固定給+歩合給が基本 完全歩合制
または固定給+歩合給
源泉徴収 あり あり
年末調整 あり なし
確定申告 不要 必要
※上記はあくまで一般的な保険会社の場合です。

確定申告では、期限までに所得を申告する

確定申告は、名前の通り毎年(1月1日~12月31日)の所得と、それに応じた所得税と住民税の税額を確定して、税務署に申告する制度です。原則として翌年3月15日が申告期限となっています。

※2022年の確定申告に関しては、新型コロナ(オミクロン株)の感染拡大を考慮して、期限内の申告が困難な場合には、4月15日まで1ヵ月間の期限延長が認められています。延長申請の方法は国税庁のリーフレット をご確認ください。

確定申告をしないとどうなる?

確定申告の必要があるのに行わなかったり、申告した税額が少なかったり、意図的に所得を隠したりしたことが発覚すると、未納付分を支払うだけでは済みません。状況に応じて「無申告加算税」「過少申告加算税」「重加算税」さらには「延滞税」といったペナルティが課せられることになります。
なお、反対に税金の払い過ぎが分かった場合には、税務署に対して「更正の請求」という手続きを行うことで、5年間は還付してもらうことができます。

無申告のペナルティについては「脱税とは?節税とどう違う?バレたらどうなる?脱税についてわかりやすく解説 」でより詳しく解説しています。

所得税計算の基本を知ろう

所得税がかかる「所得」は、「収入(売上)」とは異なります。収入から「必要経費(仕事に必要なコスト)」を差し引いたものが所得、要するに利益です。さらにここから各種の「所得控除」を引いたものが「課税所得」で、これに一定の税率を掛けて所得税の税額を計算します。住民税の計算も、これがベースになります。
整理すると、

収入-必要経費=〈所得〉-所得控除=〈課税所得〉

となります。

所得控除には、例えば年間48万円(所得2,400万円以下の場合)が所得から自動的に差し引ける「基礎控除」があります。上の式から明らかなように、所得が48万円以下ならば、基礎控除によって課税所得がマイナスになるため、所得税はゼロになります。この場合、基本的に確定申告の必要はありません。

個人事業主の保険外交員が経費にできるのは?

節税の鍵を握る必要経費

所得税は、所得が増えるほど税率自体も上がっていく「累進課税」制度になっています。その意味でも、節税のためには、課税所得をできるだけ抑える必要があります。

これもさきほどの数式を見ていただければ分かるように、キーになるのは「必要経費」で、申告の際に“支払った金額を確実に計上すること”が大事になります。ただ、何を経費にできるのかは判断が難しいことも多く、「とりあえず経費にしておこう」という姿勢で申告すると、税務署に「過少申告」を指摘される可能性もあります。どのように考えるべきなのか、具体的に見ていきましょう。

飲食代

顧客との商談や打ち合わせの飲食代は、経費になります。ただ、喫茶店に入って1人で仕事をしたといった場合には、原則として経費計上はできません。

交通費

外回りをしているので、交通費の出費も多いはずです。タクシー代も電車賃、バス代も仕事で使った費用は経費にできます。
車で移動する場合には、ガソリン代も経費で落ちます。ただし、プライベートと兼用の場合には、”仕事で使った分”のみが経費として認められることに注意してください。使用した日時などの証拠を残したうえで、割合を計算します。
このように、ある費用のうち事業に関連する部分だけを経費計上することを「家事按分」といいます。

贈答品代

自己負担で顧客に贈答品を渡した場合にも、経費になります。誰に渡したのかなど、仕事上の贈答であることを証明できるようにしておきましょう。

家賃、水光熱費

自宅を事務所として使用する場合の家賃については、家事按分して経費計上することができます。按分の基準は、事務所スペースの割合や使用時間などがベースになります。水光熱費も同様に考えます。

通信費

保険外交員の方は、他の職種に比べ顧客との連絡などに電話代がかさみます。これらも、当然経費にできます。インターネットの通信費やプロバイダ料金なども、プライベートと共用の場合には、やはり按分して計上します。

仕事用のパソコン購入費

顧客管理用などにパソコンを購入した場合にも、経費にすることができます。ただし、購入費用が10万円を超えた場合は一括で経費にすることはできず、4年間に分けて計上していきます(減価償却と呼びます)。

セミナー参加費、書籍代

保険外交員としてのスキルアップのために参加したセミナーの費用や、購入した書籍の代金も、「収入を得るために必要なもの」として、経費にすることができます。

スーツ、衣装代

一般的には、スーツなどを経費で落とすことは困難です。作業着や制服と違い、仕事以外でも着ることがあると考えられるからです。しかし、保険外交員や住宅営業マン、弁護士など業務上スーツの着用が不可欠な人の場合は、「仕事着」として購入したものは、経費にすることが認められる可能性があります。
ただし、「業務に使用している」と明確に主張できることが条件で、例えば「仕事に似つかわしくない」と判断されれば、経費にはできません。

最大55万円までは経費として控除される

なお、個人事業主の事業所得には、最大55万円までは経費にできる「家内労働者等の必要経費の特例」があります。例えば、計算した必要経費が合計40万円だったとしても、55万円を経費計上することができるのです。

消費税が課税されることもある

売上1,000万円超になると消費税課税事業者に

個人事業主の収入が1,000万円を超えると、消費税も納める必要が出てきます(1,000万円以下は免税です)。この場合の基準は収入(売上)で、所得ではありません。また、消費税の課税対象は「事業収入」で、「給与」には課税されません。この点については後述します。

「簡易課税」の利用を考える

消費税の税額は、「収入にかかる消費税額」から「経費にかかる消費税額(例えばパソコン購入時に支払った消費税額)」を差し引いて算出します。

収入にかかる消費税額 - 経費にかかる消費税額 = 消費税の税額

※原則課税の場合

そのため、やはり経費が多いほど税額は押さえられるのですが、実は保険外交員という仕事は、他の職種に比べて経費が発生しにくいという特徴があります。

そこで検討したいのが、売上5,000万円以下の事業者に認められている消費税の「簡易課税」という制度です。これは、「経費にかかる消費税額」の部分を、「収入にかかる消費税額」に「みなし仕入れ率」という一定の割合を掛けた金額で代替できるという制度です。保険外交員の場合は、みなし仕入れ率が50%と決められています。
そのため、

収入にかかる消費税額 -(収入にかかる消費税額×50%)=消費税の税額

という計算になります。

経費にかかる消費税額をいちいち計算しなくて済むというメリットがありますが、原則課税のほうが有利なケースもないわけではありません。少なくとも消費税が課税される売上になったら、税理士に相談してみることをおすすめします。

保険外交員は所得の区分に注意が必要

給与所得か事業所得か

さて、個人事業主として働く保険外交員の受け取る報酬は、「固定給+歩合給」の場合(保険会社からの支払いが、そのように明確に区分されている場合など)があります。そういう方は、所得区分に注意する必要があります。
というのも税法上では、

  • 固定給の部分→「給与所得」
  • 歩合の部分→「事業所得」

になるためです。確定申告のときには、それぞれを分けて申告しなくてはなりません。

さきほど説明した必要経費は、事業所得に認められますが、給与所得には認められません。一方で給与所得には、必要経費に代わるものとして、所得により一定額を控除できる「給与所得控除」があります。

また、消費税は事業所得が対象で、給与所得については非課税です。
そのため例えば、給与所得が200万円・事業所得が900万円だった場合、年収は1,000万円を超えますが、事業所得単体では1,000万円を超えていないので、免税事業者となるのです。

確定申告をするなら青色申告がおすすめ

青色申告・白色申告とは?

確定申告には、帳簿付けを複式簿記で行うなどの条件で認められる「青色申告」と、それ以外の「白色申告」があります。青色申告のほうが作業は大変ですが、最大65万円の所得控除(青色申告特別控除)が受けられるなどの大きなメリットがあります。

確定申告の流れ

最後に、確定申告までの流れを簡単にまとめておきましょう。

  • 確定申告書の準備(国税局のホームページからダウンロードできます)
  • 所得の計算(保険会社から「支払調書」を受け取ります)
  • 経費の集計(領収書の金額を集計します)
  • 控除の集計(さきほどの「基礎控除」のほか、一定額を超えた医療費などの「医療費控除」「生命保険料控除」などがあります)
  • 確定申告書への記入
  • 申告期限までに税務署に提出

確定申告は、パソコンやスマートフォンを使った電子申告(e-Tax)が可能です。

まとめ

個人事業主として働く保険外交員の方は、原則として確定申告が必要です。経費の扱いや所得区分の問題など、判断に迷う場合には、税理士などの専門家に相談しましょう。税理士には申告書の作成や税務署への提出などを依頼することもできますので、本業に専念したいときなどには、依頼を検討してみてください。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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