確定申告の「青色申告」は、誰でも聞いたことがあるはずです。では、「青色申告会」という団体があるのを、ご存知でしょうか?
基本的に各地の税務署単位に、個人事業主を中心として組織された納税者団体で、入会金・年会費を払えば、会員になることができます。そもそもどんな団体で、入会するメリットは何なのか、まとめました。
目 次
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そもそも青色申告とは?
確定申告には、「青色申告」と「白色申告」があります。では、青色申告とはどういうものなのか、あらためておさらいしておきましょう。
青色申告には事前の届け出が必要
青色申告は、一定のルールに従い正確に帳簿を記帳することで、納税者に有利になる特典をつける申告制度です。
青色申告ではない申告のことは、白色申告と呼ばれます。
青色申告をするためには、事前に税務署に対して届出をしなくてはなりません。届出を行い、承認された人は青色申告を行うことができ、そうでない場合には白色申告になります。
青色申告にすれば様々な特典がある
青色申告では、基本的に複式簿記という正式な簿記のやり方で、毎日の取引を正しく記帳(帳簿付け)する必要があります。その帳簿に基づいて、正確な所得金額や税額を計算し、定められた期日までに確定申告を行うことになります。
白色申告に比べてかなり手間はかかりますが、この青色申告にすれば
- 家族の給与を経費にできる(青色専従者給与)
- 最高65万円の青色申告特別控除を受けられる
- 売掛金や貸付金などの債権の一定額を、貸し倒れる前に経費にできる(貸倒引当金)
- 赤字の金額を3年間繰り越して、翌年以降の黒字と相殺できる
- 少額減価償却資産の特例
といった様々な特典を受けることができるのです。
ただ、青色申告を自力で行うのは大変なため、税理士に依頼する事業主も数多くいます。
青色申告会は「正しい申告・納税を推進」する団体
青色申告について述べましたが、では青色申告会とはどのような団体なのでしょうか?
全国青色申告会総連合のホームページから、「青色申告会とは」について述べた部分を抜粋してみましょう。
「青色申告会」は個人事業主を中心として組織される納税者団体です。「税は公平でなければならない」というシャウプ勧告(※1)をもとに、納税者が自主的につどい、結成されました。
それから今日に至るまで、青色申告会は正しい申告・納税を勧め、公平な税制の創設、社会保障制度の改革を要望し、税制改正史上数々の成果をあげてきました。全国各地の青色申告会は、会員の中から選ばれた役員を中心に自主的・民主的に運営されています。その活動は会ごとに特徴をもち、後継者専従者や若手経営者を中心とした青年部や、配偶者専従者を中心とした女性部が組織されるなど、多彩な活動を展開しています。
事業を手伝う家族への給料を経費にできる「青色事業専従者給与制度」や、「青色申告特別控除」、「小規模企業共済制度(個人事業者の退職金制度)への共同経営者の加入」といった制度の導入は、青色申告会の活動の成果だそうです。
青色申告会に入会するメリットは?
青色申告にはメリットがある半面、「帳簿付けなどのやり方がよくわからない」「とはいえ、税理士にお金を払ってお願いするほどの事業規模でもない」といったケースもあります。そんなとき、青色申告会が役に立つかもしれません。
青色申告に関わる相談ができる
青色申告会では、個人事業主の「記帳・決算・申告の相談」を活動の柱にしています。
会員になれば、複式簿記の帳簿の付け方や賃借対照表の作り方などを、丁寧に教えてくれます(※2)。
経営相談・経営に関わる専門家の紹介・無料講習会への参加ができる
青色申告会では経営相談にも対応しています。
必要に応じて税理士や弁護士、ファイナンシャルプランナーなどの紹介を行うほか、無料講習会などを開催しています。
金融・サービスを紹介してもらえる
日本政策金融公庫などの融資制度のあっせんをはじめ、各種の融資制度を扱っていますから、相談に乗ってもらえます。
また、労働保険事務の代行も行っています。
親睦・異業種交流に参加できる
多業種にわたる会員同士の交流が可能です。会ごとに、研修旅行やレクリエーション、サークル活動などを実施、青年部や女性部の集いや地域イベントの参加などを通じて、交流範囲を広げることができます。
「青色共済」など福利厚生が充実
会員及びその家族は、会員相互の助け合い制度である「青色共済」に加入できます。死亡・入院から火災まで補償され、掛け金は必要経費(※3)として計上できます。
他にも、傷害保険、交通事故保険、がん保険、PL保険など各種保険も用意しており、万が一の怪我や病気でも安心です。
各種共済制度に加入できる
青色申告会は、
- 小規模企業共済制度(事業主・共同経営者対象の退職金制度)
- 中小企業退職金共済制度(専従者・従業員対象の退職金制度)
- 経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済制度)
の加入窓口ともなっています。
複式簿記の独習用テキストなど役に立つ資料が手に入る
青色申告を始める方・複式簿記が苦手な方でも安心の、複式簿記独習テキストが手に入ります(※4)。
また、青色申告についてのリーフレットや、税制改正を反映したハンドブックなど、青色申告をする人にとって役に立つ資料が購入できます(※4)。
会員向け機関誌「BLUE RETURN 青色申告」を購読できる
全国青色申告会総連合(全青色)の活動や、事業に関係する制度の解説などが掲載されている機関紙「BLUE RETURN 青色申告」を購読できます。
※3 必要経費:業務に必要だと認められる経費。所得税課税のベースとなる利益から差し引くことができる。この場合は、事業主が加入する場合は「諸会費」、従業員などが加入する場合には「福利厚生費」となる。
※4 これらは青色申告会会員しか購入できません。
青色申告会に入会するデメリットは?
上記の通り、青色申告会加入は様々なメリットがありますが、逆にデメリットはあるのでしょうか?
結論から言うと、入会のデメリットは
- 費用がかかる
- 確定申告に対する基礎知識がある人は、青色申告会を利用する機会がそこまで無い可能性がある
- 税務相談に関しては、あくまで一般的な回答に留まる(経費の判断等は出来ない)
などが考えられます。
逆に、「これから青色申告に切り替えたい」「基本的なことでも色々聞きたい」という人は、青色申告会に入会して損はないと言えるでしょう。
ただ、青色申告会は、確定申告書の作成など、実際の作業を担当してくれるわけではありません。実際に作業を手伝ってほしい場合は、税理士を探しましょう。
青色申告会入会の流れや必要な費用
青色申告会に入会するには?
青色申告会に入会するには、まず自身が住んでいる・あるいは事業を行っている地域(納税地)の青色申告会を探しましょう。
最寄りの青色申告会は、青色申告会の窓口検索から探すことができます。
詳細ページから、該当地域の青色申告会のホームページにアクセスできます(地域によってホームページが無いこともあります)。
ホームページには必ず「入会フォーム(お問い合わせフォーム・資料請求フォーム)」がありますので、そこから申し込みましょう。
青色申告会にかかる費用は?
各地域の青色申告会は、税務署の管轄地域ごとに自発的に組織されています。そのため、青色申告会は、地域により、相談方法・サービス・費用(入会金の有無や、年会費の金額など)が異なります。
詳細は、入会予定の青色申告会に問い合わせましょう。
青色申告会独自開発の会計ソフト「BLUE RETURN A」とは?
青色申告をするのであれば、会計ソフト選びも非常に重要なのはご存知かと思います。
青色申告会に入会することで、独自開発の青色申告特化型会計ソフト「BLUE RETURN(ブルーリターン)A」を購入することができるのです。
「BLUE RETURN A」の購入は強制ではない
青色申告会に入会したら、ブルーリターンAの購入を勧められる可能性はありますが、買わないと強制退会…といったことはありません。
購入を検討する場合は、ブルーリターンAの体験版をダウンロードして、実際の機能を確かめてみても良いでしょう。
また、既に使っている会計ソフトがある場合や、これから使ってみたい会計ソフトが他にある場合は、それらの入力方法を青色申告会で相談できます。
他の会計ソフトはどのようなものがある?
会計ソフトも色々なものがありますので、機能やデザイン・インターフェースをよく確認して購入するのをおすすめします。
ちなみに、よく選ばれている会計ソフトとして、
があります。これ以外にも青色申告対応の会計ソフトは沢山ありますので、自分に合ったものを探してみてください。
まとめ
青色申告を自分で行う場合には、青色申告会のサポートを受けることができます。最寄りの会は、全国青色申告会総連合のホームページなどから探すことができます。
参考文献・URL
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