「宗教法人は課税されない」は本当?宗教法人の税金のポイント・正しい申告のための注意点を解説

「宗教法人は課税されない」は本当?宗教法人の税金のポイント・正しい申告のための注意点を解説
公開日:
2021/08/16
最終更新日:
2022/04/14
 
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「宗教法人がもうけても、税金はかからない」という情報がたまにインターネット等で出てきますが、それは誤解です。宗教法人であっても、収益事業を行い、所得が発生すれば、そこには法人税などが課税されることになるのです。ただ、何が収益事業に当たるのかの線引きなど、宗教法人の経理には一般の企業とは異なる注意も必要です。
今回は宗教法人の税金のポイントや、正しい申告のために注意すべきことを解説します。

「宗教法人は非課税」と勘違いされるのはなぜ?

世間には、「宗教法人は課税されない」と思っている人が多くいます。
その誤解は、「宗教活動には課税されない」ことから来ているのではないでしょうか。

法人税は、法人の所得=利益=もうけに対して課税される税金です。しかし、宗教活動は、一般の企業活動と違い、営利を目的に行われるものではありません。そのため、所得税の対象にはならないのです。例えば、お賽銭は寄付の一種とされ、所得にはなりません。

一方で、宗教法人が所有する土地を駐車場にして、料金を取った場合はどうでしょうか? こちらは宗教活動とは無関係の「駐車場業」とみなされ、しっかり所得税が課税されるのです。課税・非課税の判断は、収益事業か・そうではない宗教活動なのかがポイントになります。

宗教法人の収益事業とは?

宗教法人の収益事業は34ある

では、何が収益事業にあたるのでしょうか?
国税庁では、以下の34種類の事業を挙げ、これらについて継続的に事業場を設けている場合、収益事業に該当するとしています。

  • 物品販売業
  • 不動産販売業
  • 金銭貸付業
  • 物品貸付業
  • 不動産貸付業
  • 製造業
  • 通信業
  • 運送業
  • 倉庫業
  • 請負業
  • 印刷業
  • 出版業
  • 写真業
  • 席貸業
  • 旅館業
  • 料理店業その他の飲食店業
  • 周旋業
  • 代理業
  • 仲立業
  • 問屋業
  • 鉱業
  • 土石採取業
  • 浴場業
  • 理容業
  • 美容業
  • 興行業
  • 遊技所業
  • 遊覧所業
  • 医療保健業
  • 技芸教授業
  • 駐車場業
  • 信用保証業
  • 無体財産権の譲渡又は提供を行う事業
  • 労働者派遣業

これは収益事業にあたる?

ただし、収益事業かそうでないかの実際の線引きは微妙な場合が多くあります。課税当局の見解を、もう少し具体的にみていきましょう。

お守、お札、おみくじなどの販売

売価と仕入原価との差額が実質は喜捨金(宗教活動に関わる寄付金)と認められる場合の販売は、物品販売業に該当しません(収益事業ではありません)。しかし、例えば、絵葉書、写真帳、暦、線香、ろうそく、供花などを一般の物品販売業者とおおむね同様の価額で参詣人などに販売している場合には、物品販売業に該当するとしています。一方、線香やろうそく、供花などの頒布であっても、専ら参詣に当たって神前、仏前などに捧げるために下賜するものは、収益事業には該当しません。

墳墓地などの不動産の貸付け

不動産に関わる活動であっても、墳墓地の貸付けは、収益事業に該当しません。この墳墓地の貸付けには、その使用期間に応じて継続的に地代を徴収するもののほか、その貸付け当初に「永代使用料」として一定の金額を一括徴収するものも含まれます。

境内地などの席貸し

宗教法人の境内地や本堂、講堂などの施設を不特定または多数の者の娯楽、遊興または慰安ために供するための席貸しは、すべて収益事業(席貸業)に該当します。また、会議、研修などのための席貸しも、国、地方公共団体の用に供するためのものなど一定の要件に該当するものを除き、収益事業に該当します。

宿泊施設の経営

宗教法人が所有する宿泊施設に信者や参詣人を宿泊させて宿泊料を受ける行為は、その宿泊料をいかなる名目で受けるときであっても、収益事業(旅館業)に該当します。ただし、宗教活動に関連して利用される簡易な共同宿泊施設で、その宿泊料の額がすべての利用者につ
き1泊1,000円(食事を提供するものについては、2食付きで1,500円)以下となっている場合は、収益事業には該当しません。

所蔵品などの展示

宗教法人が、所蔵している物品または保管の委託を受けたものを、常設の宝物館などにおいて観覧させる行為は、収益事業には該当しません。

茶道、生花などの教授

宗教法人が茶道教室、生花教室などを開設し、生徒を募って教える事業は、収益事業(技芸教授業)に該当します。この場合の「特定の技芸」としては、茶道、生花のほか、洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザインなどがあります。

駐車場の経営

境内の一部を、時間極めなどで不特定または多数の者に随時駐車させるもののほか、月極めなどで相当期間にわたり継続して同一人に駐車場所として提供する事業は、収益事業(駐車場業)に該当します。このほか、駐車場に適する土地を駐車場所として一括して貸し付ける事業も同様に取り扱われます。

結婚式場の経営

宗教法人が神前結婚、仏前結婚などの挙式を行う行為で、本来の宗教活動の一部と認められるものは収益事業に該当しません。ただし、挙式後の披露宴における宴会場の席貸し、飲食物の提供、衣装などの物品の貸付け、記念写真の撮影またはこれらの行為のあっせんなどは、収益事業に該当します。

所得税には「軽減税率」が適用される

このように、「収益」を上げれば、所得税が課税される宗教法人ですが、税法上「公益法人等」に分類されるため、税率は一般の企業より優遇されています(収益事業から生じた所得の19%、年800万円以下の金額については15%)。

収益には地方法人税も。消費税も課税の可能性がある

地方法人税

法人税の納税義務がある宗教法人には、地方法人税の納税義務も生じます。地方法人税の額は、各事業年度の課税標準法人税額に10.3%の税率を乗じて計算した金額になります。

消費税

また、前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超えている宗教法人は、課税資産の譲渡などを行えば、消費税の納税義務を負うことになります。課税売上高が1,000万円以下だった場合は、消費税は非課税です。
消費税の課税対象となるかどうかの判断基準は、その事業が収益事業となるかどうかの区分によるのではなく、原則として事業として行われる行為が対価性のある資産の譲渡などに当たるかどうかで判断され、例えば以下のようなものが該当します。

  • 墓地、霊園の管理料
  • 駐車場の経営
  • 常設の美術館、宝物館などにおける所蔵品の閲覧
  • 挙式後の披露宴における飲食物の提供
  • 新聞、雑誌、講話・法話集、教典の出版、販売

宗教法人に強い税理士のサポートを受けるのがおすすめ

宗教法人の経理では、宗教活動による収入と収益事業による所得をきちんと分ける必要があります。「宗教法人の税優遇」については、社会から厳しい目が向けられる風潮が強まり、課税当局の姿勢もそれを反映するものになっています。不明な点は、実績のある税理士のサポートを受けるようにしましょう。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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