記帳代行のメリット・デメリットと記帳代行の料金相場、丸投げとの違いを解説

記帳代行のメリット・デメリットと記帳代行の料金相場、丸投げとの違いを解説
公開日:
2019/04/03
最終更新日:
2024/02/28
 
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経理事務・税務申告に関連する業務を、どこまで税理士に頼むべきでしょうか?
「記帳代行も含めて、作業はすべてお願している」という場合もあれば、「そもそも税理士には頼まずに、会計ソフトを使って全部自分でやっている」という人もいます。それぞれのケースで、どんなメリット・デメリットがあるのか、まとめてみました。

「丸投げ」と「記帳代行」どう違う?

会計事務所の仕事の1つに「記帳代行」があります。「記帳」とは、仕訳帳や総勘定元帳といった、税務申告に必要な帳簿を作成すること。「うちは税理士に丸投げしている」という場合、一般的にはこの記帳代行や税務署への申告を一任している状態を指すことが多いようです。
ただし、「丸投げ」と言ってはいても、実際には帳簿類のうち日々の現金取引の収支を記入する「現金出納帳」は自分(自社)で付けているケースと、それに該当する作業も含めてすべてお任せ、というケースが存在します。
大して変わらないようにみえて、どちらにするかによって、事業を進めるうえでちょっとした「違い」が生まれたりするのも事実(後述します)。この記事では、「丸投げ」と「記帳代行」を使い分けて話を進めたいと思います。

整理すると、以下の表の通りです。

丸投げ 領収書、請求書、通帳のコピーなどの原資資料を全部会計事務所に送り、関連する作業を一任する。
記帳代行 現金出納帳は、手書きやエクセルを使用する形で、自分(自社)で作る。それ以外は、同様に会計事務所に一任する。

記帳は義務だということをご存知ですか?

ちなみに、この記帳は、事業を行う以上は「義務」となります。
確定申告には、「青色申告」「白色申告」があります。ごく簡単に言うと、記帳などを厳格に行って申告することで、特別控除をはじめとする税の優遇措置を受けられるのが「青色申告」、そうでないのが「白色申告」です。
2013年までは、白色申告なら帳簿を作成しなくてもOKでした。税の優遇を受けられない代わりに、申告に向けた労力は、青色申告に比べ、はるかに少なくて済んだのです。しかし、2014年からは、白色申告でも記帳と帳簿などの保存が義務づけられることになりました。
付け加えておけば、現在でも青色申告が基本的に複式簿記による記帳を必要とするのに対して、白色申告は簡易な方法でいいなど、依然として作業面では「白色」のほうが楽なのは確かです。しかし、青色申告のような節税ができないことを天秤にかけると、そちらを選択するメリットは、以前に比べて薄れたと言えるでしょう。

記帳代行の費用相場は?

記帳代行にかかる料金の金額は、大まかに仕訳数(領収書や伝票の枚数)で決まります。

税理士に依頼する場合の費用相場

税理士に依頼する場合には、以下のような料金になります。なお、これはあくまでも相場の目安と考えてください。また、税務申告など他の仕事も依頼したり、顧問契約を結んだりすれば、記帳代行自体のコストは割安になるのが普通です。

仕訳数 金額の目安
~200枚 15,000円
201~300枚 20,000円
301~400枚 25,000円
401~500枚 30,000円
501枚~ 35,000円

記帳代行業者に依頼する場合の費用相場

記帳代行を専門に請け負う業者もあります。比較的低価格に設定されているのがメリットで、仕訳数100枚で10,000円、200枚で20,000円~というのが相場です。

経理代行業者に依頼する場合の費用相場

経理代行とは、その名の通り企業の経理業務を請け負うアウトソーシングサービスで、その業務の一環として記帳代行を依頼することができます。相場の目安は、おおむね以下のようになっています。

仕訳数 金額の目安
~100枚 10,000円
101~200枚 15,000円
201~300枚 20,000円
301~400枚 25,000円
401枚~ 30,000円

記帳代行と経理代行の違いとは?

上記の記帳代行業者と経理代行業者の違いは、ひとことで言えば、頼める業務が「記帳代行だけ」なのか、「給与や税金関連なども含めた経理業務全般」なのか、ということです。会社が経理業務を”丸投げ“して負担軽減を図りたい場合は後者、記帳代行に絞って依頼して、業務代行のコストを少しでも減らしたい場合には前者を選ぶのがいいでしょう。

税理士と記帳代行業者・経理代行業者の違いとは?

一方、税理士(会計事務所)には、記帳代行業者、経理代行業者にはない特徴があります。税務相談や税務申告、税務書類の作成代行は、税理士、税理士法人でなければできない、という点です。逆に言えば、税理士には記帳代行から申告まで、税に関することを一気通貫で依頼することができます(後述)。

なお、記帳代行業者、経理代行業者が税理士と提携し、税務申告代行などのサービスを提供しているケースもありますから、自社のニーズに合わせて利用することが可能です。ただし、その場合には、プラスのコストがどのくらいになるのかをきちんと調べておく必要があるでしょう。

税理士に記帳代行を依頼するメリット

本業に集中できる

では「税理士に一任」のメリットからみておきましょう。そもそも、こうした作業を税理士に頼む主な動機は、「帳簿を付ける時間がない、または面倒くさい」「自分でやって間違ったら困る」ということだと思います。まさに、その問題を解消できるところがメリットです。

各種の帳簿を付けるのはただ煩わしいだけでなく、専門知識のない人にとっては結構ハードルの高い作業になります。しかも、記帳作業そのものは、直接利益に結びつくわけではありません。そこをプロに任せることができれば、貴重な時間をフルに本業に振り向けることができるでしょう。

逆に、税理士にかかる費用を気にして、すべてを自分でやる人もいます。それを可能にする会計ソフトも普及しましたが、入力ミスなどの間違いが起こらない保証はありません。税務申告自体に間違いはなくても、専門家に頼めば可能だった節税ができなかった、などということもありえます。

確定申告まで税理士に依頼できる

厳密に言えば、記帳代行とは「申告に必要な帳簿の作成」のことですが、税務署への確定申告自体も、会計事務所・税理士に頼むことができます。税金は自己申告・納税が基本ですが、税理士には「税務代理」と言って、本人に代わって申告を行う業務が法律で認められているのです。
もちろん、出来上がった帳簿を基に申告書類を作成して自ら確定申告を行えば、その分のコストは抑えることができるでしょう。ただ、この場合も、せっかく税理士に帳簿の作成をしてもらったのに、その先の作業でミスがあったり、申告期限に遅れたりしたのでは本末転倒です。そうしたリスクや労力とコストを考えて、どこまで依頼するかを判断する必要があるでしょう。

個人の場合だとどうなる?

個人の確定申告に限った話をすると、「青色申告」にすれば、65万円の「特別控除」などの特典を受けることができます。この分を所得から差し引けますから、所得税の税率が20%だとすると、65万円×20%=13万円の節税になるのです。しかし、「青色申告」にするためには、日々の取引を複式簿記という原則に基づいて記入し保存するのが条件ですが、これが素人にはなかなか大変です。そこで、今の13万円を原資に税理士に記帳代行を依頼する、と考えたらどうでしょう。それで全体的な節税対策をフォローしてもらえたら、コスト面でもメリットがあることになります。

人件費削減になる

営業活動の増加に比例して、伝票の起票や仕訳計上、会計帳簿への転記など、記帳業務の事務負担は増加します。経理に携わる人員だけで処理しきれない場合、追加で人員を雇用しなければならず人件費が増加するといったケースも想定されます。記帳業務を代行してもらうことで、記帳業務の事務負担を減らすことが可能となりますので人件費削減に繋がります。

記帳の品質が上がる

▼見出し概要(本文)
税理士は会計についてのプロフェッショナルですから、記帳代行についても常にプロの目線で処理を行います。単純な仕訳計上だけではなく、取引内容を確認し収益や費用が妥当なものかの判断をしながら処理をしていきます。また、2023年10月施行のインボイス制度や2024年1月の改正電子帳簿保存法など、税法の変化にも柔軟に対応してくれますので、日々の記帳業務の品質向上に繋がります。

税理士に記帳代行を依頼するデメリット

リアルタイムで数字が掴めない

今の話の裏返しで、税理士を頼むのには、コストがかかります。当然、「記帳代行」よりも「丸投げ」のほうが税理士に頼む業務内容が多くなるため、費用は高くなります。

 

一番の問題は、税理士に丸投げしてしまうと、自分の事業の経営状況を示す数字がリアルタイムで把握できないところにあると言っていいでしょう。丸投げ、記帳代行を受託した会計事務所は、送られてきた資料を基にして試算表(貸し借りの合計額や残高などを記した表)を作成するのですが、それが手元に届くのは、通常2~3ヵ月後になるからです。

これだと、届いた時には、事業の状況は変わっている可能性があります。数字を生かして資金繰りや経営方針を検討したくても、制約は避けられません。他人頼りですから、自分(自社)の「経理能力」を高めるようなこともできないでしょう。これらのデメリットを回避したかったら、できるところは自分でやるのがベターということになります。

そこで、さきほどの「丸投げ」と「記帳代行」の違いです。後者のように、現金出納帳だけでも自らで作成していれば、大まかな「お金の状況」は、タイムリーに知ることができるはず。現金出納帳の記入まで丸投げする場合でも、その帳簿だけは頻繁に確認する、それに応じてくれる税理士を選ぶことが大事になるでしょう。

料金が分かりづらいケースもある

直接利益に結びつかない記帳代行に、過大なコストをかけることはなるべく避けるべきでしょう。さりとて、税金に関わる仕事が「安かろう悪かろう」では困ってしまいます。「適正価格」でサービスを提供してくれる業者を選ぶのはとても大切なことです。
しかし、事務所の料金比較は、簡単ではありません。料金設定は、「1仕訳あたり○○円」としているところもあれば、「30仕訳まで月額○○円~」などとなっている場合もあります。この月額料金に含まれるサービスは、事務所によって違いがあります。加えてさまざまなオプションもあって、結局総額でいくらになるのかが分かりづらい、という声をしばしば耳にします。実際、ホームページを見比べただけで、自分にとって最適のコスパが得られる事務所を探し出すのは、かなり難しいかもしれません。

社内にノウハウが溜まらない

記帳代行はコスト削減や記帳業務の品質向上には繋がりますが、その反面、社内に記帳業務に関するノウハウが溜まらないというデメリットも生じます。正確な記帳業務を行うには簿記の知識はもちろん、記帳技術や取引内容を精査する着眼点、税法の知識など幅広い知識が求められます。これらは記帳の実務を通して習得していくものですが、記帳代行に依頼してしまうと社内で記帳実務を積む機会が少なくなってしまいます。

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まとめ

税理士をどう「使う」のかの答えは1つではありません。「丸投げは楽」「税理士費用は高い」といった“決まり文句”をいったん脇に置いて、自分に最も合ったスタイルは何なのかを検討すべきです。今は事業を軌道に乗せるので精一杯だけれど、いずれ人が雇えるようになったら丸投げをやめて、徐々に経理機能を取り込んでいこう、といった戦略を持つのも重要です。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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