経理代行とは?何を依頼できる?
メリット・デメリット、導入の流れを解説

経理代行とは?何を依頼できる?  メリット・デメリット、導入の流れを解説
公開日:
2020/02/14
最終更新日:
2024/07/03
 
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事業を成功させるためには、毎月の利益をしっかりと確認することが重要です。しかし、中小企業や個人事業主の場合はなかなかそこまで手が回らないこともあります。そこで利用したいのが経理代行です。しかし、「経理代行のことはよくわからない」という人も多いのではないでしょうか。ここでは経理代行について解説します。

経理代行とはどんなもの?

経理代行とは、簡単にいうと、外部の人や業者に経理を依頼することです。ひとくちに経理代行といっても、そのサービスは多岐にわたります。ここではまず、経理代行とはどのようなものかを見ていきます。

具体的に何を代行してくれる?

経理代行では、基本的に経理部分の業務を代行します。
税理士(会計事務所、税理士事務所、税理士法人)に経理代行を依頼する場合は、具体的には下記のような内容です。

記帳業務

日々の取引を会計ソフトなどを用い、帳簿付けする業務です。

給料計算業務

従業員の毎月の給料の計算やそれに伴う業務を代行します。

年末調整業務

年末調整による源泉所得税の還付額や徴収額の計算、それに伴う業務を代行します。

決算・申告業務

決算仕訳の入力や決算書、税務申告書の作成などを行う業務です。

売掛金・買掛金管理業務

売掛金の請求漏れや入金漏れ、買掛金の支払い漏れの確認などを行い、売掛金や買掛金を管理する業務です。中には振込や支払代行をする場合もあります。

※経理代行会社やオンラインのアウトソーシングでの依頼の場合は、依頼できる内容が異なります。

逆に代行依頼できないことは?

経理代行では、あくまで経理部分の業務を代行します。そのため、財務部分の業務については代行できません。代行できない業務として、次のようなものがあります。

資金調達業務

融資を申し込んだり、銀行との折衝をするなどの業務です。

予算管理業務

予算の策定や軌道修正などの予算を管理する業務です。

資金運用業務

投資やM&Aなど資金を運用する業務です。

経理代行のメリット・デメリットとは?

経理代行を依頼するためには、そのメリットやデメリットを把握しておく必要があります。ここでは、具体的なメリットやデメリットをご紹介します。

経理代行のメリットとは

経理代行には、次のようなメリットがあります。

人件費の削減ができる

経理を社内で行う場合は、経理担当者を雇用する必要があります。給料や社会保険料などの人件費を考えると、経理代行の方がコストがかかりません。

本業に専念できる

経理代行に依頼することで、経営者は経理業務に時間を割くことなく、本業に専念できます。

経営判断をスピーディーにできる

経理代行に依頼することで、毎月の利益や財務状況などをすぐに把握できるので、経営判断もスピーディーに行うことができます。

経理代行のデメリットとは

次に、経営代行のデメリットを見ていきましょう。

会社にノウハウが蓄積できない

会社の経理には、その会社特有のものもあります。外部に経理を依頼することで、社内に経理のノウハウが蓄積できず、経理担当者を育成できません。

経理代行にコストがかかる

経理代行は、外部に経理を依頼するため、コストがかかります。

内部情報の流出の危険性

外部に経理を依頼するため、会社の売上や利益などの内部情報が流出するリスクが100%ないとは言いきれません。

経理代行を依頼できるところとは?

会計事務所や代行業者など、経理代行を依頼できるところは複数あります。特に「代行サービス」という名称の会社については、運営母体などにも注意する必要があります。
ここでは、経理代行を依頼できるところやそのメリット・デメリットを見ていきましょう。

会計事務所や税理士事務所、税理士法人の経理代行サービス

会計事務所や税理士事務所・税理士法人が、経理部分のみを代行するサービスです。
税理士や公認会計士が在籍する事務所・法人に経理代行を依頼する場合にかかる費用は、おおよそ以下のとおりです。
 

代行サービス内容 サービス内容 費用の目安
記帳 領収書やレシートなどを受け取り、会計ソフトに入力する。資金繰り表、経営分析レポート、在庫棚卸や減価償却費の月次計上などのオプションメニューを設けている事務所もある。 1仕訳あたり100円程度。※「特急」「領収書ファイリング」などのオプション料金あり。
給与計算 情報入力から保険・税金・控除の計算、支給額算出まで。 1名あたり1,500円程度。
年末調整 給与計算業務と併用で1人あたり2,000円程度。
決算・申告 毎月の記帳から決算書・税務申告書の作成まで。 月額顧問料・記帳業務なども含めて20万円~。

会計事務所や税理士事務所・税理士法人が経理代行サービスを行う場合、記帳業務の代行のみをメニューとして掲げ、給与計算や年末調整の業務には対応しているところとしていないところがあります。

また、決算・申告業務については、会計事務所や税理士事務所・税理士法人の本来の業務スタイルである「顧問契約を結んで、記帳代行から申告まで一貫して引き受ける」かたちを取っています。

メリットとしては、なんといっても正確性です。税や会計の専門知識を持って経理を代行するため、間違いはありません。また、税金のことで困ったことがあったら、経理代行サービスを行っている税理士などに税の相談もできるので安心です。

デメリットとしては、他の経理代行に比べて費用が高い場合もあることです。コストよりも正確性の担保を第一に考える場合は、会計事務所や税理士事務所、税理士法人の経理代行サービスを利用しましょう。

経理代行会社を利用する

経理代行会社とは、経理代行のみを専門としている会社のことです。
経理代行会社に経理代行を依頼する場合、代行する業務内容や依頼側企業の従業員数などに応じた複数プランが用意されていたり、見積りしてから料金が提示されたりするケースが多いです。たとえば、以下のようなプランがあります。
 

  • クラウド会計ソフトを活用した月間300仕訳程度の記帳と月次決算・帳簿作成がセットになったプランで月額3万円
  • 従業員20名~50名程度の企業で、月間500仕訳程度の記帳・月次締め作業・税理士との連携などで月額10万円
  • 月間200仕訳程度の記帳・5名までの給与計算や勤怠管理・10件までの請求書発行・未収管理で月額6万円~

メリットとしては、経理だけでなく、労務にまたがる業務もメニューに挙げている経理代行会社が多く、バックオフィス業務をワンストップでアウトソーシングできることです。バックオフィス業務全般費用における経理代行費用という捉え方をすると、会計事務所や税理士事務所、税理士法人の経理代行サービスよりも費用を抑えられるため、経理代行を依頼しやすくなります。

デメリットとしては、品質が落ちる場合があることです。経理代行会社では多くの企業の経理を代行するために、派遣社員を大量に雇用して業務を行う場合もあります。そのため、他の経理代行に比べ、品質は低くなることがあります。コスト面を重視するなら、経理代行会社を利用するのがよいでしょう。

フリーランス事業者・個人事業主に依頼する

会計事務所や税理士法人、経理代行会社のほかに、フリーランス事業者や個人事業主に経理代行を依頼するという選択肢もあります。

個人で事務所を経営している税理士だけでなく、副業OKの企業の経理部門などに在職しながら、フリーランスとして経理代行を受託している30〜40代の人が増えています。

こうした人材は、主に依頼者と受託者をマッチングするプラットフォーム上で仕事を引き受けているので、経理代行を依頼したい場合、プラットフォームで募集をかけます。

大手マッチングサービスのプラットフォームを見ると、フリーランスや個人事業主が経理代行の業務を請け負う価格は1万円~です。ただし、業務内容には差異があり、たとえば「1か月分100仕訳までの記帳を、納期5日で1万円」という人もいれば「200仕訳の記帳を、納期3日で1万円」という人もいます。

フリーランスや個人事業主に依頼するメリットは、会計事務所や税理士法人、経理代行会社よりも費用が安く、短期間から気軽に依頼できる点です。起業直後で経理にリソースが割けない個人事業主や企業でも利用しやすい料金設定で、1カ月間だけのスポット利用にも応じてくれる人も多いです。

お試しの意味で1カ月分の記帳をお願いし、信頼関係ができれば依頼量を増やしていくことも可能です。

一方で、相手の信頼性や業務のクオリティという面において、確認が難しい点がデメリットです。フリーランスや個人事業主で経理代行を引き受けている人は、個人で税理士事務所などを開業している人から、税理士事務所に勤務経験がある元スタッフ、一般企業の経理部門で経理業務に当たっていた人までさまざまです。ネット上の限られた情報から、信頼できる人を見つけることは簡単ではありません。

フリーランスや個人事業主に経理代行を依頼する場合は、まずはスポット的に利用して、コミュニケーション能力や成果物の品質をチェックしましょう。

経理代行サービスの仕事の流れ

では、経理代行サービス業者はどのような手順で仕事をするのでしょうか。業者や依頼内容によって仕事の流れは変わってきますが、ここでは、記帳代行を中心に一般的な仕事の流れについて見ていきましょう。

①資料の送付

請求書や領収書、レシートなどの証憑類(しょうひょうるい/取引の成立を示す書類のこと)を経理代行サービスに送付します。資料は原本でもコピーでも良いところが多いです。

②日々の取引の記帳と各種帳簿、試算表などの作成

預かった証憑類を基に日々の取引を記帳し、各種帳簿や試算表を作成します。

③作成した各種帳簿や試算表、預かった証憑類の返却

毎月、経理代行サービスから作成した各種帳簿や試算表が送付されます。その際には預けた証憑類なども返却されます。経営者は送付されてきた各種帳簿や試算表を確認することで、会社の経営状態や財政状況を確認できます。

毎月の流れは、基本①~③の繰り返しです。
業者によっては、毎月もしくは数ヵ月に一度、経理代行サービスの担当者が会社に訪問し、打合せをすることもあります。

④決算に必要な資料の送付

年末や年度末の決算には、棚卸表など決算に必要な資料を経理代行サービスに送付します。

⑤決算書や税務書類の作成と送付

年末や年度末には、預かった決算に必要な資料をもとに、決算書や申告書などの税務書類を作成し、依頼主に送付します。

※④⑤は、税理士(会計事務所、税理士事務所、税理士法人)に経理代行を依頼する場合に可能です。経理代行会社やオンラインのアウトソーシングでの依頼の場合は、内容が異なります。

経理代行サービス導入の流れ

仕事の流れを確認したところで、ここからは経理代行サービスを最初に依頼する際の導入の流れについて見ていきましょう。

①依頼したい経理代行サービスを探す

インターネットなどで、自社に合った経理代行サービス(または経理代行仲介サービス)を探します。

②内容の問い合わせ

自社に合った経理代行サービスが見つかったら、本当に自分の求めているサービスを受けられるか、料金体系はどうか、電話やホームページのお問い合わせフォームから、内容を問い合わせしましょう。

③申し込み

依頼したい経理代行サービスが見つかったら、電話や経理代行業者のウェブサイトなどから、申し込みます。

④打合せ

会社にはどのような証憑類があるか、どの資料を送付すればよいかといった打合せを行います。経理代行サービスの担当者が会社に訪問し、経理や証憑類の確認を行う場合もあります。

⑤契約

サービスに内容や料金に納得がいったら、契約を交わします。契約後に資料を送付したら、経理代行サービスの開始です。

まとめ

経理代行サービスは、会社の経理をアウトソーシングできるサービスです。本業に専念できたり、経営判断をスピーディーにできるなど、経理代行サービスには多くのメリットがあります。

経理代行サービスを行う会社は、会計事務所や税理士事務所であったり、経理代行を専門とする会社であったりします。また、対人でのやりとりだけでなく、オンラインでやりとりするスタイルもあります。各業者、スタイルにはそれぞれメリットやデメリットがあります。

大事なのは、自社に合う経理代行サービスを選ぶことです。事前に経理代行業者の情報を調べ、自社に合った経理代行サービスを選びましょう。

よくある質問

経理代行とは何ですか?

経理代行とは、外部の専門家や業者に経理業務を依頼することです。記帳、給与計算、年末調整、決算・申告業務などを代行します。

経理代行を依頼するメリットは何ですか?

人件費の削減、本業に専念できる、経営判断のスピードアップなどのメリットがあります。

経理代行のデメリットは何ですか?

会社にノウハウが蓄積できない、コストがかかる、内部情報の流出リスクがあるなどのデメリットがあります。

経理代行サービスの仕事の流れはどのようなものですか?

資料の送付、日々の取引の記帳と帳簿作成、帳簿や証憑類の返却、決算資料の送付、決算書や税務書類の作成・送付などの流れで行われます。

経理代行を依頼できるところにはどんな種類がありますか?

会計事務所や税理士事務所、経理代行会社、オンラインのアウトソーシング業者などがあります。それぞれにメリット・デメリットがあります。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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