税理士の変更を検討する際のタイミング・手順や契約解除の注意点を徹底解説

- 最終更新日:
- 2025/08/27

- この記事の監修者
- 税理士紹介業界で30年・40万件超の現場を知るパイオニア
株式会社ビスカス 代表取締役 八木美代子
この記事のアドバイザー

梶本公認会計士・税理士事務所 所長
梶本卓哉
早稲田大学卒業後、関東信越国税局採用。税務大学校を首席卒業(金時計)し、税務署法人課税部門にて法人税、消費税等の税務調査に従事。複雑困難事案の事績により署長顕彰。税務署勤務中に公認会計士試験に合格し、大手監査法人に入所。製造業や不動産業をはじめ様々な業種の上場会社監査やIPO監査に従事。その後、中央官庁勤務を経て、大手証券会社の投資銀行部門で多数のIPOの実現に関与。2023年公認会計士・税理士事務所開設。主に法人の税務顧問を務める。
「顧問税理士を変えたい」と思うきっかけは?
本当に今の税理士のままでいいのか迷っていませんか?
「今の税理士に不満はあるけれど、長年の付き合いだし…」「本当に変えてしまって大丈夫なのだろうか?」――そんな葛藤を抱えたまま、なんとなく現状を続けてしまっている経営者は少なくありません。
本来、顧問税理士は会社の税務をしっかり処理し、節税や資金繰りの提案をしてくれる経営のパートナーであるはずです。ときには経営判断の相談にものってくれる、心強い存在であってほしいもの。
しかし現実には、「期待していた役割を果たしてくれていない」「こんなはずじゃなかった」と感じる瞬間が訪れることもあります。
顧問税理士に抱きがちな不満とは?
実際、多くの経営者がこんな悩みを抱えています。もしあなたにも当てはまるものがあれば、それは見直しのサインかもしれません。
- 【対応面でのモヤモヤ】
- 「相談したいのに、担当が税理士じゃなく無資格のスタッフで不安…」
- 「税理士が上から目線で、気軽に質問できない…」
- 「メールや電話の返事が遅くて、急ぎのときに本当に困った…」
- 【サービス内容のギャップ】
- 「顧問料は高いのに、具体的な節税や経営の提案がほとんどない…」
- 「毎月試算表を渡されるだけで、決算対策の助言がゼロ…」
- 「うちの業界事情を理解していないから、相談してもピンとこない…」
- 「まだ手書きの申告書?この時代に…と不安になる」
こうした不満は、決して珍しいことではありません。むしろ多くの経営者が同じような悩みを経験しています。
もし一つでも当てはまると感じたなら、顧問税理士を見直すタイミングに来ているのかもしれません。
税理士を変更するのはなぜ?代表的な理由
「なんとなく不満」が、ある日経営の遅延やムダなコストに変わる瞬間があります。前章の“きっかけ”をもう一歩踏み込み、現場で起きるリアルと見切るサインをまとめました。
コミュニケーションなど対応に不満
事業を始めたばかりの頃は「税務を肩代わりしてくれるだけで助かる」でも、電話・メールだけ、返信が遅い、LINEやチャットで手早く確認できない——こうした積み重ねが意思決定のブレーキになります。
例:決算前の質問がメールの往復で滞り、資料提出が後ろ倒しに。画面共有の打ち合わせに応じてもらえず認識違いが残る。
見直しのサイン:午前に送った要件が翌日まで未返信が続く/チャットやオンライン会議への対応を一貫して避ける/月次連絡が電話・メールのみで齟齬が多い。
経営者が代替わりした
税理士とは会社の財務を共有しているため、関係が深く「切りにくい」のが本音。一方で、経営者交代は体制を見直しやすい節目です。
例:「経営体制を一新するにあたり、顧問税理士も変更したい」と伝えると納得してもらいやすい。新方針に合わせた会議体やレポートへの切り替えも進めやすくなります。
見直しのサイン:交代後もしばらく旧来のレポート・会議体のまま/新方針に沿った指標や資料の提案が出てこない。
事業転換・新しいニーズへの対応
新規事業や業態変更(店舗→EC、単発→サブスク、国内→越境など)では、経費の解釈・収益認識・在庫評価・消費税の考え方が変わります。会社の成長スピードに会計・税務の運用が追いつかないと、数字が意思決定に間に合いません。
例:ECの前受金処理や返品対応が曖昧/サブスクの売上計上が月ごとにぶれる/海外販売の消費税対応が場当たり的。——分野に強い税理士への切り替えで解消できます。
見直しのサイン:新モデルの論点について、根拠と運用を示した処理方針メモが提示されない/月次の数字がぶれ続ける。
税理士事務所の体制が変わった
担当者の退職や事務所の合併で、訪問回数・回答の質・フォロー体制が変わることがあります。
例:新担当になってから試算表の提出が遅れがち、具体的な助言が減った、窓口が分かりにくい。——「以前はできていたこと」が続けられなくなったときは変更を検討しましょう。
見直しのサイン:以前より遅延や抜けが目立つ状態が複数月続く/問い合わせの最終窓口・責任者が不明確なまま。
税理士が新しい技術に対応できない
経営改善の一環としてクラウド会計や電子帳簿保存などを導入したいのに、税理士が消極的というケースがあります。紙やExcel前提のままだと、入力・確認の手間が減らず運用も非効率なままです。
見直しのサイン:クラウド導入の段取りや移行計画が提示されない/銀行・カード連携や証憑の電子化に前向きでない。
クラウド会計に移行したい
クラウド会計は、どこからでも入力・自動仕訳・データ共有が可能になり、月次の早期化と可視化に直結します。導入に積極的な税理士なら、勘定科目設計・自動連携・データ移行・運用ルール作りまで伴走してくれます。
例:銀行/カードのAPI連携、証憑の電子保存、承認フローの設計を初期にまとめると、月次が安定します。
見直しのサイン:連携未設定のままCSV手入力が続く/自動仕訳のルール化が進まず、いつまでも二重入力が発生。
労務と税務のワンストップ対応を求めている
給与や社会保険などの労務と税務は実務で密接に関連します。社労士資格を持つ税理士や、事務所内に社労士がいる/グループで連携できる事務所なら、一つの窓口で完結し、手戻りが減ります。
例:入退社・給与改定の情報が即時に税務処理へ反映され、年末調整や法定調書でのミスが減少。
見直しのサイン:労務の変更情報が税務へ遅れて伝わる/年末調整・源泉の手戻りが毎年発生/問い合わせが部署間でたらい回し。
提案力が弱くコスト削減に貢献してくれない
税理士の役割は申告だけではありません。会社の状況や将来像を踏まえ、決算対策・節税・補助金・資金繰りなど具体的な提案がほしいところ。
例:四半期の着地予測に基づく決算前の打ち手(減価償却の見直し、設備投資のタイミング、各種優遇の適用可否)、納税資金の確保や融資の事前準備、利用可能な補助金の提示など。
見直しのサイン:毎月の説明が「結果の報告」で終わる/税制改正の影響と対応期限が示されない/決算前の具体策(誰が・いつまでに・どの効果)が提示されない。
顧問税理士変更のベストタイミングはいつ?
税理士を変更したいと思ったとしても、契約期間や事業時期が関係するため、変更タイミングは慎重に検討する必要があります。
結論、新しい顧問税理士に変更するタイミングとして適しているのは「法人税申告書提出後」と「税務調査の完了後」です。一方、決算月の変更は避けなければなりません。ここでは、変更に適したタイミングと避けるタイミングについて解説します。前の顧問税理士との契約書で決められている契約解除期限に留意しながら、顧問税理士変更のタイミングを考えましょう。
法人税申告書提出後
企業は事業年度終了後、決算をしてから2か月以内に、法人税の申告書を税務署に提出します。申告書を提出すると税理士の業務は一段落するため、申告書提出後は顧問税理士を変更する良いタイミングです。例えば、決算月が3月末の企業の場合、5月末が法人税申告書の提出期限なので、6月に顧問税理士の変更を計画するとよいでしょう。
税務調査の完了後
自社に税務調査が入る場合、調査が終わって結果が明らかになってから顧問税理士を変更しましょう。税務調査は、申告書や関連書類を作成した税理士が立ち会うことになります。調査前には社内の経理担当者や経営者と税理士とで打ち合わせを行うほか、調査で誤りが見つかった場合は修正申告を行う必要があります。顧問税理士の変更は、調査が完全に完了してからが安心です。
決算月を避けて変更
1年間の業績や税額を算出する決算は、税理士のサポートのもと行います。決算月に顧問税理士を変更してしまうと、決算書類の作成や税務処理に支障が出る可能性があります。顧問税理士の変更は決算月を避けましょう。さらに、決算には数か月を要するため、少なくとも決算月の2カ月前を切ったら、税理士を変更しないほうがよいです。
税理士変更の手順
税理士を変更するときの具体的な流れを見ていきましょう。
現在の税理士との契約内容をよく確認すること、預けた書類を返してもらうこと、契約解除の通告やスケジューリングを文書化すること、新しい税理士が見つかってから契約を解除することに注意しましょう。以下に、税理士変更の手順について詳しく整理します。
番号 | 手順 | 重要なポイント |
---|---|---|
1 | 現在の税理士との契約内容を確認する | 契約書をよく読み、解約予告期間や手続きを確認する |
2 | 次の税理士を事前に探す | 新しい税理士が決まってから解約する |
3 | 解約の意思を現在の税理士に伝える | 文書で意思を伝える(内容証明郵便推奨) |
4 | 重要書類を回収し新税理士へ引き継ぐ | 紙・データ両方の形式で回収。チェックリストで漏れ防止 |
5 | 新税理士との業務開始日を調整する | 契約期間がダブらないよう調整する |
税理士変更時の重要書類回収ガイド
書類回収の基本方針
- 紙原本とデータ(PDF、Excel、CSV等)の両方で回収
- 過去3年分を基準に回収(法人税申告書等は7年保存が原則)
- チェックリストを作成し、手元資料と照合して漏れがないか確認
- 旧税理士に返却予定日を明確に伝え、書面で受け取りを確認
【会計関連書類】解約手続きが完了する前に回収が必要
- ☑ 決算書・決算申告書(過去3年分)
- ☑ 総勘定元帳
- ☑ 仕訳帳・仕訳データ(CSV、Excel形式含む)
- ☑ 試算表(月次・年次)
- ☑ 会計ソフトのデータファイル(弥生、freee等)
- ☑ 電子申告関連データ・電子証明書情報
- ☑ 減価償却資産明細表
- ☑ 棚卸資産明細表
- ☑ 請求書・領収書・契約書類
- ☑ 銀行取引明細・預金通帳のコピー
【税務関連書類】
- ☑ 各種税務申告書(法人税・消費税・地方税等)
- ☑ 税務調査関連書類
- ☑ 申請・届出書の控え
- ☑ 納税証明書
- ☑ 更正の請求書・修正申告書
【給与・労務関連書類】
- ☑ 給与明細・賃金台帳
- ☑ 年末調整関連書類
- ☑ 源泉所得税納付書・領収書
- ☑ 社会保険・労働保険関係書類
- ☑ 就業規則・労働契約書
- ☑ 出勤簿・タイムカード
書類回収時の注意点とトラブル防止策
- 返却拒否への対応:契約書に返却義務の記載があるか確認。記載がない場合は書面で返却を求める
- データ互換性の確認:新税理士が使用する会計ソフトとの互換性を事前に確認
- 受け取り確認:書類受け取り時は必ず書面で受領確認を取る
- コピー保管:重要書類はコピーを手元に保管してから旧税理士に預ける
- 連絡方法:引き継ぎ期間中は旧税理士・新税理士双方との連絡方法を明確化
効率的な書類管理のコツ
書類回収では、事前に「回収書類チェックリスト」を作成し、旧税理士と共有することが重要です。手元に保管している書類と照らし合わせながら、リストに沿って一つずつ確認していきましょう。また、電子データについては、新税理士が使用する会計ソフトとの互換性を確認し、必要に応じてCSVやExcel形式での出力も依頼しておくと安心です。
税理士変更の際にトラブルにならない断り方は?
税理士変更に際しては、現在の税理士に極力トラブルにならないような断り方をする必要があります。
まず押さえるトラブル回避の原則
「次の決算まではお願いし、翌期から変更」を基本線にすると、期中解約の工数ロスや料金トラブルを避けやすくなります。通知の前に契約書の解約予告期間・決算料の扱い・違約金条項を必ず確認しましょう。伝える順序は、感謝 → 意思決定(変更) → 変更時期 → 引き継ぎ依頼。原因追及や比較評価は避け、前向きな体制変更として淡々と伝えるのがコツです。
【シーン別】よくある状況ごとの断り方
決算前に変更を検討しているとき
決算を区切りにする旨を先に明言し、引き継ぎの主体は先方の指示に従う姿勢を示します。
これまでのご支援に感謝しております。今期の決算までは引き続きお願いし、翌期より体制を変更したく存じます。引き継ぎ資料の準備・受け渡し方法について、貴事務所のご都合に合わせて進めさせてください。
新しい税理士がすでに決まっているとき
決定事項であることを淡々と伝え、日付と引き継ぎの依頼を添えます。
経営方針見直しに伴い、○月○日付で翌期から新任税理士に業務を引き継ぐことに致しました。これまでのご尽力に深く感謝申し上げます。必要書類の受け渡し方法をご指示ください。
後任が未定だが契約を見直したいとき
見直しの事実と終了時期だけを簡潔に。決まり次第の連絡を約します。
今後の事業展開に合わせ体制を再構築中です。○月末をもって顧問契約を終了し、後任が決まり次第、引き継ぎのお願いを改めてご相談させてください。
【伝え方スタイル別】書面・メール・面談の実例
メール/書面(事務的に短くまとめたいとき)
件名:顧問契約終了のご連絡(○○株式会社)
平素より大変お世話になっております。○○株式会社の○○です。
経営体制見直しのため、○年○月末をもって顧問契約を終了させていただきたく存じます。これまでのご尽力に深く感謝申し上げます。引き継ぎおよび書類返却につき、手順をご教示ください。
面談/電話(関係を損ねずに伝えたいとき)
冒頭で感謝、次に決算区切り、最後に引き継ぎ協力の依頼という順序で。
長年のご支援にまず感謝をお伝えしたく存じます。今後の事業方針に合わせ、次の決算を区切りに翌期から体制変更を考えております。引き継ぎ方法は貴事務所のご指示に従います。
内容証明が必要なとき(骨子)
条項に基づく終了日と返却期限・対象物を明記します。
貴事務所との顧問契約を○年○月末日をもって終了いたします(契約○条・解約予告○日)。引き継ぎに必要な書類(決算書・申告書控・総勘定元帳・仕訳データ・電子申告情報等)は、○年○月○日までにご返却願います。
通知前の最終チェック(短く要点だけ)
・解約予告期間を満たす日付で通知しているか|・決算料が顧問料と別建てか|・違約金条項の有無と算定方法|・返却依頼に紙・データ双方と期限を記載したか
進め方のモデル(期末から逆算)
期末の3〜4か月前:後任候補の選定と相見積。
期末の2〜3か月前:現税理士へ口頭打診(決算まで→翌期変更を共有)。
期末の1〜2か月前:書面(メール)で正式通知(予告期間を満たす)。
期末〜翌月:決算対応→引き継ぎ(返却物・データ形式はチェック表で管理)。
返却依頼は本文に併記しておく
「引き継ぎに必要な下記資料のご返却をお願いします。
【会計】決算書一式/総勘定元帳/仕訳データ(CSV)/試算表(月次)/会計ソフトデータ/電子申告関連情報|【税務】各種申告書控/納税証明書/届出書控/税務調査関連書類」

梶本 卓哉
税理士からのワンポイントアドバイス
昨今、税理士変更は当たり前になってきていますので、税理士としてもその可能性は常に認識しており、変更するというだけでトラブルになることはそれほど多くはないと思います。
しかしながら、契約形態や変更時期によっては円満な変更が難しい場合もあります。例えば、月額の顧問料とは別途に決算料を支払う報酬体系の場合、決算前の期中に解約するのはトラブルの原因になりやすいです。
期中での解約については、違約金が設定されていることもあります。決算まで対応してもらえないのに違約金を支払わなければならないというのは、納税者にとっては納得しづらい面もあるかと思います。一方で、違約金が設定されていない場合、税理士としては決算を見越して前広に対応していることもありますので、期中に解約されるとその工数が無駄になってしまうということがあります。
以上から、税理士の変更については、次の決算までと早めに税理士に伝えておくことが望ましいと思います。
税理士変更のメリット・デメリット
ここで改めて税理士変更のメリットとデメリットを整理しなおします。
税理士変更のメリット
自社に合った税理士に変更することで、以下のようなメリットが得られます。
業界知識を持つ税理士なら、経営に役立つ提案が得られる
自社の業界に関する知識に乏しく、自社の事情に合わせた経営アドバイスが得られない税理士から、業界の事情に詳しい税理士に変更すれば、経営判断に役立つ情報や提案が得られる可能性があります。
たとえば、
- 節税策や補助金の活用方法
- キャッシュフロー改善に向けた財務アドバイス
- 同業界の事例を踏まえた売上アップやコスト削減のプラン
など、単なる税務処理にとどまらない経営のヒントを得られるでしょう。
実際に、提案力のある税理士がパートナーとして付くと、事業成長に向けたサポートを受けられるため、経営者の負担や不安を大幅に減らすことができます。
コミュニケーションの改善
税理士変更のきっかけとして多いのが、「電話やメールのレスポンスが遅い」「人柄が合わず気軽に相談しにくい」といったコミュニケーション面の不満です。
こうした問題を解決できる税理士を選べば、以下のようなメリットが期待できます。
- 迅速なレスポンスで、意思決定や書類提出がスムーズに
- 経営者が本音で相談できる関係が築ける
- 税務・財務以外の経営課題も気軽にアドバイスを得られる
コミュニケーションが円滑になると、経営者の精神的ストレスも軽減されます。自分の経営スタイルや性格に合った税理士を探すことが、長期的に見て大きなプラスにつながるでしょう。
試算表などの早期提出が可能
融資申請や経営状況の把握のために、**試算表を早めに用意してほしい**というニーズは多くの経営者が感じています。一般的には1~2週間程度で提出が可能ですが、1か月以上待たされるケースもあるのが現実です。
もし試算表の提出が遅い場合、考えられる原因としては
- スタッフ不足で作業が滞っている
- 優先順位が低く後回しにされている
- 税理士自身のスケジュール管理がうまくいっていない
などが挙げられます。
こうした問題を解消できる税理士事務所へ変更すれば、融資対応や経営判断が格段にスピードアップするでしょう。事務所スタッフの人数や担当者の経験値などを事前に確認し、迅速に試算表を出してくれる体制が整っている税理士を見極めることが大切です。
税理士変更のデメリット
税理士を変更したばかりに「こんなはずではなかった」と後悔することもあります。変更を考える際は、あらかじめデメリットも知っておきましょう。
顧問料が上がる可能性
新たな税理士と契約することで、顧問料が今よりも高くなる可能性があります。サービスの質と顧問料は相関関係があるため、今よりも良いサービスを受けたいと考えるなら、今よりも高い顧問料を支払わなければなりません。顧問料が上がることを理由に、税理士の変更を躊躇する経営者の方もいらっしゃるでしょう。しかし、経営者の希望を満たせない税理士と契約し続けるほうが、経営上の不利益をこうむります。
必要な手続きと書類の準備
顧問税理士を変更する場合、顧問契約を結ぶときにかわした契約内容を確認し、契約解除の手続きをする必要があります。また、税理士に預けていた決算関係の書類を返却してもらいます。顧問税理士に契約解除を申し出て承諾してもらい、手続きを進めるのは相当なエネルギーと時間が必要です。顧問税理士との付き合いが長いほど、経営者にとっては重荷になります。
変更後の新しい税理士の選び方
税理士を変更するなら、自社に合ったパートナーを見つけることが大切です。以下のポイントを押さえて効率的に選びましょう。
重視すべき3つのポイント
業界への理解度
同業界での実績があり、業界特有の税務処理や経営課題を理解している税理士を選びましょう。
デジタル対応力
クラウド会計、電子申告、オンライン面談など、ITツールを活用できる事務所なら業務効率が向上します。
コミュニケーション力
レスポンスが早く、説明が分かりやすい税理士を選ぶことで、円滑な関係を築けます。
面談時の確認事項
確認項目 | チェックポイント |
---|---|
料金体系 | 基本料金・決算料・追加業務料金の内訳が明確か |
対応速度 | 試算表提出・相談回答の目安時間 |
担当体制 | 代表者対応かスタッフ制か |
サービス範囲 | 月次顧問料に含まれる業務内容 |
ミスマッチ防止チェックリスト
【面談前】
- ☑ 現税理士への不満点を整理
- ☑ 予算上限を設定
- ☑ 求める条件の優先順位を決定
【面談時】
- ☑ 同業界実績の確認
- ☑ 料金とサービス内容の詳細確認
- ☑ 担当者の経験・人柄の確認
- ☑ 契約・解約条件の確認
【決定前】
- ☑ 引き継ぎスケジュールの調整
- ☑ 契約書の最終確認
複数の税理士を比較検討し、必ず面談で相性を確認してから決定しましょう。
効率的な探し方:税理士紹介サービスの活用
自分で一から税理士を探すのは時間と手間がかかります。税理士紹介サービスを活用すれば、あなたの業種や要望に合わせて最適な税理士を効率的に見つけることができます。
税理士紹介センタービスカスでは、税理士変更をお考えの方に最適な税理士を無料でご紹介しています。累計40万件以上の相談実績をもとに、お客様の業界や規模、ご要望に応じた税理士をマッチングいたします。現在の税理士にご不満をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
税理士変更で失敗しないためのポイント
データや書類の返却漏れを防ぐためのチェックリストを用意しておく
毎月の月次監査や決算などで必要になるデータや書類を準備するために、あらかじめ準備用のチェックリストを用意しておきましょう。特に税理士を変更した直後は、新しい税理士がデータや書類の存在に気が付かないことがありますので、リスト化して一目で分かるようにしておくのがよいでしょう。また、チェックリストに書類の貸出欄を設けておけば、書類の返却漏れを防げます。
前任税理士とのコミュニケーションをしっかり取れる状況にしておく
税理士を変更するといっても、前任税理士が持っている情報を新しい税理士に漏れなく引き継ぐことは簡単ではありません。引き継ぎ忘れた項目などを再度聞き取りするため、前任税理士に問い合わせるといった状況もあり得ます。税理士を変更する際には、前任税理士とも連絡が取れる状況にしておくのがよいでしょう。
経営課題に合った事務所の選定
「事業の拡大にともない、今よりも税理士と密にコミュニケーションを取り、節税対策だけでなく経営的なアドバイスも得たい」など、自社が抱えている経営課題を明確にし、課題解決につながるような税理士事務所を選びましょう。自社に合った税理士事務所を見つけるには、自社の経営状況や今後の目標、経営課題をピックアップして整理しておくことが重要です。
事務所への期待と体制を明確にする
税理士事務所に望むことや、社内の今後の経理体制について方向性を決めておきましょう。クラウド会計の導入や経理のアウトソーシング化など、社内の体制をどうするかによって、新たな顧問税理士に依頼する内容は変わってきます。また、将来的に事業承継を視野に入れている場合、事業承継に関わった実績のある税理士を探す必要があります。
専門の税理士紹介会社への相談
自社に合った税理士・税理士事務所を探すにあたって、経営者のツテだけでは限界があります。税理士と企業をマッチングする紹介会社への相談をおすすめします。税理士紹介会社は、ヒアリングをもとに企業の経営課題や要望に合った税理士事務所を探してくれます。
まとめ
顧問税理士を交代するのか・しないのかは、「経営第一」で判断を。新しい人を頼むときには、自分のニーズに見合ったスキルや人間性を備えた税理士なのかきちんとチェックしたうえで、納得感を持って顧問に就いてもらいましょう。とはいえ、自社に合った顧問税理士を自力で探すのは簡単ではありません。税理士紹介会社を活用することで、企業を成長に導いてくれる顧問税理士に出会える可能性が高まります。
税理士変更に関するよくある質問(FAQ)
税理士への解約通知はどう伝えればよいですか?
「経営方針見直しのため、○月○日で契約解約をお願いします。預かり書類の返却と引き継ぎ資料の準備をお願いします」と書面(メール可)で通知してください。
税理士が書類を返してくれない場合の対処法は?
まず契約書で返却義務を確認し、内容証明郵便で正式に返却要求します。それでも拒否される場合は税理士会への苦情申立てや法テラスに相談してください。
決算期直前でも税理士変更は可能ですか?
可能ですが推奨しません。決算作業に支障が出るリスクがあります。最低でも決算月の2ヶ月前までに変更を完了させることをおすすめします。
税理士変更時に必要な書類の具体的なリストはありますか?
以下が主要書類です:
会計関連:決算書、総勘定元帳、仕訳データ、試算表、会計ソフトデータ
税務関連:各種申告書、納税証明書、届出書控え
労務関連:給与明細、年末調整書類、社会保険関係書類
旧税理士から新税理士への引き継ぎ期間はどのくらい必要ですか?
通常1~2週間程度です。複雑な案件がある場合は1ヶ月程度を見込んでください。新旧税理士の面談や書類確認に時間がかかることがあります。
税理士変更で顧問料が上がるのはなぜですか?
サービス品質と料金は比例関係にあるためです。より専門的なアドバイスや迅速な対応を求める場合、相応の料金が必要になります。事前に料金体系を確認しましょう。
会計ソフトのデータ移行で注意すべき点は?
新税理士が使用するソフトとの互換性確認が重要です。データ移行できない場合はCSVやExcel形式での出力を依頼してください。弥生・freee・マネーフォワード間での移行は要注意です。
税理士変更を家族経営の会社で行う際の注意点は?
経営陣全員の合意を事前に取ってください。特に代表者以外の家族が税理士と個人的な関係がある場合、感情的なトラブルになりやすいので慎重に進めましょう。
複数の税理士と面談する際の効率的な比較方法は?
統一した質問リストを作成し、料金・対応速度・業界経験・提供サービスの4項目で点数化して比較してください。感情的な相性も重要な判断材料です。
税理士変更後に前の税理士に質問したいことがある場合は?
変更時に「引き継ぎ期間中の問い合わせ対応」について合意しておきましょう。通常1~3ヶ月程度は対応してもらえますが、有料になる場合があります。
税理士変更時の違約金はどのくらいかかりますか?
契約書により異なりますが、月額顧問料の1~3ヶ月分程度が一般的です。期中解約の場合、決算料の一部負担を求められることもあります。契約前に必ず確認してください。
新しい税理士の業界経験はどう確認すればよいですか?
「同業界のクライアント数」「類似規模企業の担当経験年数」「業界特有の税務処理事例」について具体的に質問してください。曖昧な回答の場合は経験不足の可能性があります。
税理士変更を社員に説明する際の注意点は?
「業務効率化のため」「より専門的なサポートを受けるため」など前向きな理由を強調してください。旧税理士への批判的な発言は避け、引き継ぎ期間中の協力を求めましょう。

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