フランチャイズオーナーが支払うべき税金と節税ポイントとは?

フランチャイズオーナーが支払うべき税金と節税ポイントとは?
公開日:
2020/11/02
最終更新日:
2021/09/22
 
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すでに実績のあるビジネスを展開するフランチャイズ経営は、成功モデルやノウハウを活用できるというメリットがあり、経営未経験者や業界知識がない人でも始めやすいことから人気があります。とはいえ、オーナーが「経営者」であることは、他の業態と同じ。フランチャイズ経営ならではの注意点もあります。今回は、「税金」という切り口から、心得ておくべきことについてまとめました。

フランチャイズ経営ではどんな税金がかかるのか?

フランチャイズ経営に乗り出すタイミングは、人それぞれでしょう。ビジネスの経験がなく1から始める場合や脱サラしてチャレンジする場合、別に仕事を持ちながら副業としてスタートさせることもあるかもしれません。

いずれにせよ、事業を営む以上、税金をきちんと支払わなくてはなりません。ビジネスを軌道に乗せるためには、節税の意識も強く持つ必要があります。サラリーマンであれば、税金まわりのことは会社任せでよかったのですが、独立したら、自分で判断し行動しなくてはならないのです。

まず前提として、フランチャイズオーナーは“個人事業主”です。最初に、個人事業主に課せられる一般的な税金について説明します。

〈1〉所得税

個人事業主には、毎年1月1日~12月31日の間に稼いだお金に対して、所得税が課税されます。
所得には、給与所得や不動産所得など10種類あるのですが、フランチャイズ経営で得るのは「事業所得」です。この所得については、自分で税務署に確定申告を行い、併せて納税する必要があります。
確定申告というのは、その年の所得を計算して税務署に申告し、税金を納めるための手続きのことで、原則として、翌年2月16日~3月15日までの間に済ませなくてはなりません。

ちなみに、所得税は「累進課税」といって、所得が増えるほど税率自体も高くなっていきます。それだけに、節税=所得を低く抑えることは重要な意味を持ちます。

〈2〉住民税

所得税が国に納める「国税」なのに対して、これは都道府県、市区町村に収める「地方税」です。所得税の確定申告を行うと、その内容に基づいて税額を計算した市区町村から、納付書が送られてきます。

〈3〉事業税

290万円以上の事業所得にかかる税金です。所得が290万円に満たなければ、課税はされません。税率は、業種ごとに決まっていて、多くの場合5%です。
したがって、事業税の額は、

( 所得 - 290万円 )× 5% 

ということになります。

〈4〉消費税

この税金は、全員に納付義務があるわけではありません。課税対象になるのは「前々年の売上高が1,000万円以上、または前年1月から6月までの売上高か給与支払額が1,000万円以上ある事業主」です。「年間売上高1,000万円」を超えるかどうかというのが、1つのラインになるのです。

課税対象になった場合の消費税(税率10%)の額は、

課税売上高の10% - 課税仕入れ等の10%

で計算されます。
「課税仕入れ等の10%」とは、仕入金額などに上乗せして取引先に支払った消費税の金額です。納付の際には、忘れずにこの分を差し引く必要があります。

節税のカギは「経費」にあり

上記の〈1〉~〈3〉の納税額は、所得によって変わります。ですから、節税のためには、「できるだけ所得を抑えること」がポイントになります。

ここで押さえておきたいのが、「収入(売上)と所得は違う」ということです。
収入を得るためには、必要な備品を購入したり、人を雇えば人件費を支払ったりと、さまざまな支出が発生します。総収入からそれらの「経費」などを差し引いたものが、これら税金計算のベースになる所得なのです。
フランチャイズ経営の場合には、後述するように、「本部」に支払うロイヤリティ(経営指導料、フランチャイズ手数料)なども、この計算に大きく影響することになります。

何を経費(正確には「必要経費」)で落とせるのかは、業種やフランチャイズ契約の内容などによって異なりますが、基本的には次のような「原則」があると覚えておきましょう。

  • 収入を得るために支出したものであること
  • 領収書などにより、支出の証明ができること
  • 妥当な範囲の支出であること

例えば、プライベートで着る洋服が経費になることはありませんが、仕事用のユニフォームであれば、認められます。
仕事先との会食の出費は、基本的に「接待交際費」として認められるものの、数人で10万円も飲み食いしたら、「妥当な範囲」とみなされない公算大なのです。

加盟金やロイヤリティの扱いに注意する

フランチャイズ経営が他の業態と違うことの1つに、スタートアップ時の加盟金、月々のロイヤリティというお金の発生する点が挙げられます。税務処理の際には、これらの扱いに少し注意する必要があります。

加盟金

フランチャイズに加盟する場合に、ノウハウ提供料・経営指導料・エリア取得料といった名目で一時金を支払うことがあります。「収入を得るために支出したもの」ですから、初年度に全額を経費で落としたいところですが、それはできないのです。
このように、将来的に返還されないことが確定している一時金は、「繰延資産」として、いったん資産に計上しなくてはなりません。そのうえで、何年かにわたって「費用」として経費に計上していきます。

フランチャイズの加盟金は、原則として5年間が償却期間(費用に計上する期間)とされますから、5年間、均等額を経費にしていくことになります。

ロイヤリティ

事業体本部に定期的に支払うロイヤリティは、当然経費ですから、確実に計上しましょう。

さきほど、「事業税は290万円以下ならば課税されない」という話をしました。「そんな金額はすぐに超えてしまう」と感じるかもしれませんが、これも説明したように、290万円は売上ではなく「所得」です。
ロイヤリティをしっかり経費計上すれば、事業所得は圧縮され、免税ないし納税しても金額が低く抑えられることになるでしょう。

一方、「消費税については、売上1,000万円が分岐点」という話をしました。個人商店などであれば、「年間売上を1,000万円未満に抑えて、消費税を免除される」という行動がありえるかもしれません。しかし、フランチャイズの場合には、ロイヤリティの支払いを考えると売上の抑制などは非現実的です。最初から、消費税の支払いを織り込んだ事業計画が必要になるでしょう。

フランチャイズ業に詳しい税理士をお探しの方へ

フランチャイズ経営者が節税するためには、この他にも、確定申告を青色申告(※)にして特別控除を受ける、といったノウハウがあります。不明な点は、フランチャイズ経営に詳しい税理士に相談をしましょう。実績ある税理士紹介会社に依頼すれば、最適のプロが見つかるはずです。

※青色申告:複式簿記の手法に基づいて帳簿を記載し、その記帳を基に所得税、法人税を計算して申告すること。特別控除(65万円)などの特典がある。
この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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