会社設立の費用はいくら必要?会社設立でかかる費用・料金について解説

会社設立の費用はいくら必要?会社設立でかかる費用・料金について解説
公開日:
2021/03/11
最終更新日:
2024/02/07
 
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脱サラして会社をつくりたい。個人事業が軌道に乗ったので、法人化を考えている。そんな会社設立の夢を叶えるためには、いったいいくら必要なのでしょうか?また、自力で会社設立するのと専門家に依頼するのはコスト面でどう違うのでしょうか?今回は「会社設立でかかる費用」について、わかりやすく解説します。

「会社は1円で作ることができる」って本当?

会社設立を検討中の人の中には、「会社は1円でつくれる」という話を聞いたことがあるかもしれません。
この「1円」とは「資本金」のことであり、運転資金などのために"事業を始めるに当たって会社に積んでおくお金”の話。かつては、株式会社の設立ならば資本金1,000万円を用意する必要がありましたが、今は1円でもOKになりました。金銭面でのハードルを下げて起業を促進しようというのが国の狙いです。

資本金はいくらにするべき?

ただし、「じゃあ自己資金はほとんど必要ないんだ」と考えるべきではありません。資本金が少なすぎると、例えば金融機関からの融資の際に「マイナス査定」になるなど、対外的な信用という面で大きなハンデになりかねません。反対に1,000万円以上にすると、事業を開始した期から消費税がかかってきます(※1)。
事業内容や手持ちのお金などと相談しながら、慎重に金額を設定すべきでしょう。
ちなみに、総務省統計局の令和元年経済センサス基礎調査の結果によると、資本金を「300万円~500万円」にしている会社が多いようです。

※1:消費税の納税義務は、基本的に課税売上高が1,000万円を超えた2年(2期)後から課せられる。

会社設立に必要な法定費用とは?

ここからが本題です。
会社をつくるには、資本金以外にも、定額の「法定費用」が必要になります。これは、設立する会社の種類を「株式会社」か「合同会社」にするかで変わってきます。
違いを簡単に言えば、合同会社は、株式会社よりも簡単につくることができますが、対外的なイメージなどの点でデメリットもあります。会社名を看板に仕事をするならば株式会社、単に税金対策で法人化を行うような場合には合同会社で十分、と考えればいいでしょう。

では、株式会社と合同会社でそれぞれどのくらい法定費用がかかるのでしょうか。
それぞれの設立に必要な法定費用は、以下の通りです。

〈株式会社〉の法定費用

定款(※2)認証:72,000円~92,000円程度

  •  ▼定款認証の費用の内訳
  •  公証人の手数料:30,000円~50,000円※
  •  謄本代:約2,000円
  •  印紙代:紙の定款の場合40,000円(電子認証の場合は不要)

登録免許税:150,000円(ただし、資本金の7/1,000がこれを上回る場合には、その金額)
→合計:約222,000円~242,000円(「電子定款」なら約182,000円~202,000円)

※定款認証手数料は、資本金が100万円未満の場合は「30,000円」、100万円以上300万円未満の場合は「40,000円」、その他の場合「50,000円」となります。

〈合同会社〉の法定費用

定款認証:印紙代のみ40,000円(電子認証の場合は不要)
登録免許税:60,000円(ただし、資本金の7/1,000がこれを上回る場合には、その金額)
→合計:100,000円(「電子定款」なら60,000円)

その他にはどのような費用がかかる?

このほか、株式会社、合同会社を問わず、設立時(各種契約、銀行口座開設など)には、登記簿謄本代(書面請求で1通600円)や、印鑑証明書代(同450円)などが必要になります。

※2 定款:会社を運営していく上での基本的規則を定めたもの。会社の商号(名称)や目的(事業内容)、本店所在地、株式や機関設計の内容、事業年度などを規定する。会社の本店所在地を管轄する公証役場に提出して、認証の手続きを受ける必要がある。

株式会社と合同会社の設立費用の違い 早見表

株式会社 合同会社
定款認証 紙面の定款の場合:72,000円~92,000円
電子定款の場合:32,000円~52,000円
紙面の定款の場合:印紙代40,000円
電子定款の場合:0円
※定款認証自体は不要
登録免許税 150,000円 60,000円
合計金額 紙面の定款の場合:222,000円~242,000円
電子定款の場合:182,000円~202,000円
紙面の定款の場合:100,000円
電子定款の場合:60,000円
その他の費用(共通)
  • 登記簿謄本代
  • 印鑑証明書代

設立を専門家に依頼した場合の費用

会社の設立は、司法書士や税理士などの専門家の助けがあると安心ですが、その費用はどのくらいかかるのでしょうか。
 
会社設立に関わる費用は、専門家の料金や登記費用などで構成されます。具体的な金額は、専門家の料金体系や業務内容によって異なりますが、一般的には5万円~20万円ぐらいの手数料がかかるでしょう
司法書士の費用は、会社の登記手続きや必要な書類の作成などを担当するため、その業務内容によって料金が決まります。また税理士の費用は、会社の税務申告や経理業務などを担当するため、その業務内容によって料金が異なるのが一般的です。
 
さらに専門家に依頼する費用以外にも、前出した会社設立のための登記費用もかかります。これらの費用はあくまで目安であり、具体的な金額は専門家との相談や契約によって決まります。
 
また専門家の料金には消費税やその他の諸費用が含まれる場合もあるので、事前に確認することが重要です。会社設立には費用がかかりますが、専門家のサポートを受けることで、スムーズかつ正確な手続きを行えます。

はじめから会社設立と個人事業主から法人化する時のメリット・デメリット

法人を設立する方法としては、はじめから法人として会社を設立する方法と個人事業主として初めて、その後、法人化する方法があります。それぞれメリットとデメリットがあるので、ここで解説します。

はじめから会社設立する場合

はじめから会社を設立する場合には、いくつかのメリットとデメリットがあります。
 
まずメリットとしては、会社を設立することでビジネスを本格的に展開できることです。個人事業主として活動する場合に比べて、会社としての信頼性や信用力が高まります。また会社としての法的な枠組みが整っているため、契約や取引のリスクを低減できます。
 
さらに会社設立によって資金調達の幅も広がるでしょう。銀行からの融資や投資家からの資金調達がしやすくなり、事業の拡大や新しいプロジェクトの実現が可能になります。
 
一方、デメリットとしては、会社設立には手続きや費用がかかります。設立費用や登記手続き、税金などの負担が増える可能性があるわけです。また会社としての運営や管理も必要となり、時間や労力が必要になることもあります。
 
はじめから会社を設立する場合にはメリットとデメリットがあります。自分のビジネスの特性や目標に合わせて慎重に判断することが重要です。

まずは個人事業主からスタートして後に法人化する場合

個人事業主としてスタートし、後に法人化する場合にも、いくつかのメリットとデメリットがあります。

まず個人事業主としてスタートするメリットの一つは、手続きが簡単であることです。個人事業主としてビジネスを始めるには、とくに法的な手続きは必要ありません。また、個人事業主としての税金の申告も比較的簡単です。
 
しかし個人事業主としてのデメリットもあります。個人事業主は、個人と事業が一体となっているため、個人の責任も事業に反映されます。つまり個人の財産も事業の負債に充てられる可能性があるということです。
 
後に法人化することによるメリットは、責任の分離です。法人化することで、個人と事業が別々になります。これにより、法人の負債は法人の資産に限定され、個人の財産は保護されることになるわけです。
 
しかし法人化するデメリットもあります。法人化には、手続きや費用がかかることがあります。また法人としての税金の申告も複雑になる可能性があるのです。
 
以上が、個人事業主から法人化する場合のメリットとデメリットです。個人事業主としてスタートする場合は、将来的な事業の発展や責任の分離などを考慮し、法人化のタイミングを慎重に検討する必要があるでしょう。

会社設立後にかかる費用

以上で、形の上では立派な会社ができました。ただし、設立後すぐに、次のような費用が発生することを頭に入れておいてください。

社会保険料

個人事業と違い、法人には「社会保険」への加入が義務付けられていて、たとえ社長1人の会社であっても保険料を納めなくてはなりません。未加入のままでいると、懲役や罰金という罰則の対象になる可能性もありますので、注意してください。従業員からみると、社会保険に加入できるというのは大きなメリットであるため、「求人にも有利になる」と前向きに考えるべきでしょう。

社会保険は国や地方自治体による社会保障事業の一部で、次のような制度の総称です。

健康保険

病気や怪我をしたときなどに、給付を受けることができる医療保険です。保険料は会社と従業員で折半となります。
詳しくは令和3年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます | 協会けんぽ | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp) をご確認ください。

厚生年金

企業に勤める人を対象とした公的年金制度です。保険料は会社と従業員で折半となります。
詳しくは保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険) |日本年金機構 (nenkin.go.jp) をご確認ください。

労災保険

業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な給付を行う公的保険制度です。保険料は全額会社負担となります。
詳しくは令和3年度の労災保険率について~令和2年度から変更ありません~ (mhlw.go.jp) をご確認ください。

雇用保険

労働者が失業した場合などに必要な給付を行う制度です。保険料は会社と従業員双方が負担します。
詳しくは雇用保険料率について |厚生労働省 (mhlw.go.jp) をご確認ください。

介護保険

介護が必要になった時に所定のサービスが受けられる公的保険です。保険料は会社と従業員で折半となります。
詳しくは協会けんぽの介護保険料率について | 協会けんぽ | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp) をご確認ください。

オフィスの家賃や備品にかかる費用

個人事業から「法人化(法人成り)」するだけであれば必要ありませんが、法人化するにあたり新たにオフィスを借りる場合には、家賃だけでなく敷金・保証金として家賃の6~12ヵ月分程度の初期費用が発生します。また、机や椅子・インターネット環境の整備・名刺にかかる費用なども計算に入れておきましょう。

税金

会社が納める税金には、次のようなものがあります。

法人税

税率は、資本金1億円以下の中小企業の場合、課税所得金額が800万円以下は15%、それを超える金額は23.2%です。

法人住民税

法人税額にリンクする「法人税割」と、所得に関わらず(たとえ赤字であっても)納める必要のある「均等割」の“2本建て”となっています。

法人事業税

法人の事業所得に対して地方自治体(都道府県)が課す税金です。税率などは各都道府県によって異なります。

消費税

基本的に課税売上高が1,000万円を超えた2年(2期)後から課税されます。会社設立時の資本金が1,000万円以上の場合には、その期から課税対象になります。

固定資産税

毎年1月1日時点(賦課期日)で事業継続に使われる法人の財産・設備に課税されます。東京23区は東京都、それ以外は市町村によって徴収されます。

会社の種類を変更する時にかかる費用

合同会社から株式会社に変更する場合

さきほど「株式会社と合同会社の違い」について述べましたが、合同会社でスタートし、事業規模の拡大などに伴って株式会社に変更したいという場合、費用はどれくらいかかるのでしょうか?

合同会社から株式会社に変更する場合に最低限必要な費用は、

  • 官報公告掲載費用:約30,000~35,000円(文字数、行数などにより変わります)
  • 登録免許税:計60,000円
    •    合同会社解散:30,000円
    •    株式会社設立:30,000円または資本金額の1000分の1.5のどちらか大きい金額

合計90,000円~95,000円となります。

つまり、実質的には、合同会社を解散し新しく株式会社を設立することになり、以下に説明する手順を踏む必要があります。

手順①次の事項を記載した「組織変更計画書」の作成

組織変更計画書では、以下の事項を記載します。

  • 事業内容
  • 商号
  • 本店所在地
  • 発行可能株式総数
  • 定款
  • 取締役
  • 株式会社へ変更後の発行株式数
  • 合同会社の社員の役職割り当て
  • 効力の発生日

手順②総社員の同意

組織変更計画書記載の効力発生日(=株式会社となる日)の前日までに、原則として合同会社の総社員の同意を得る必要があります。

手順③債権者保護手続き

  • 官報への公告掲載
  • 個別の債権者へ勧告

手順④組織変更効力発生

手順⑤組織変更の登記

本店を管轄する法務局に、登記の申請をします。その際、合同会社の解散の登記と株式会社の設立登記を同時に行います。

株式会社から合同会社に変更する場合

一方、決算公告(決算書の公表)の義務がなく、また組織が簡素で素早い意思決定が可能であるといったメリットがあることから、株式会社から合同会社に変更するケースもあります。
変更の手続きは、「組織変更計画書」の作成~債権者への公告、催告~総株主の同意~効力発生~組織変更の登記と、合同会社から株式会社に変更する場合と概ね変わりません。

ただし、費用については、合同会社→株式会社のときと同様の

  • 官報公告掲載費用:約30,000~35,000円
  • 登録免許税:計60,000円

に加え、株式会社の解散に必要な

  • 清算人選任:9,000円
  • 清算決了:2,000円

を合わせて、合計101,000円~106,000円となります。

専門家に依頼することで会社設立をスムーズに

会社設立の手続きをすべて自分で行えば、以上のコストで完了させることができます。
しかし、手続き自体が煩雑なうえに、“資本金をいくらにするか”や“定款の中身はどうするのか”…といった、会社設立初心者にとっては判断が難しいうえに、その後の事業運営に大きく影響する事柄も多くあります。

大変さの1例を紹介します。
さきほど「定款認証」の費用の説明で「印紙代4万円は電子認証であれば不要である」と述べました。
当然、印紙代のかからない電子認証を選択をした方が良さそうに見えますが、そのためにはICカードリーダライタをはじめとする設備やIT環境が必要で、ゼロから揃えるとなると、結局は4万円近くの投資になってしまいます。
自力で会社設立をしようとして、電子証明書の取得などに余計に時間やエネルギーを費やしてしまうのは、会社設立の準備期間の有効活用という観点からも好ましいことではないでしょう。

会社設立を専門家に依頼するメリット・デメリット

そこで、スムーズな会社設立のために専門家の力を借りる、という選択肢が出てきます。
最初に述べておけば、専門家に依頼するデメリットは「さらにコストが発生する」ことです。実際にかかる費用は、税理士や依頼内容、設立の方法により異なります。
一方で、専門家に頼むメリットとして、

  • 煩雑な手続きを代行してもらうことで、自分はそれに煩わされることなく、スピーディーに会社を設立することができる
  • 定款の内容をどうするかなど、将来を見据えた相談に乗ってもらえる
  • 契約によっては、初期費用を抑えることができる

といった点があります。
メリット・デメリットを比較検討しながら、依頼の仕方(例えば、定款の作成だけをフォローしてもらうなど)も含めて判断するのがおすすめです。

どの専門家(士業)に会社設立を依頼する?

ただ、「専門家」とひとくちに言っても、会社設立に関連する“士業”には、司法書士(法務局への登記)、行政書士(行政書類の作成)、税理士(税務相談、申告)などがあります。
それぞれ得意分野や、その士業でなければできない仕事(独占業務)もありますから、会社設立を総合的にサポートしてもらいたいときには、それらのネットワークを備えた事務所に依頼するのが便利です。

税理士に頼めば、コストダウンも可能

先ほど「契約によっては初期費用を抑えることができる」と言いましたが、それが可能になるのが税理士です。
会社設立後もついてまわるのが、税金の問題。毎年の申告や、節税策の実行などのために、多くの会社は税理士と顧問契約を結びます。その契約が前提であれば、説明したような法定費用の部分を、特別割引価格などの形で格安に請け負ってくれることもあります。

ただし、注意すべきなのは、あくまでも「会社設立に詳しい税理士」を選ぶ必要があることです。会社設立が得意でない税理士も勿論います。
実績のある税理士紹介会社を使えば、会社設立に詳しい税理士・専門家を、手間いらずで見つけられるでしょう。

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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
税理士紹介センタービスカスは、 株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」サイトです。 税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
創業から28年、税理士紹介で培った知識とノウハウから、確定申告・決算・会社設立・融資・節税のご相談や、税理士料金の相場情報など、「初めて税理士に依頼したい」「顧問税理士を変更したい」という経営者・事業主の皆様に役立つ情報をお届けします。

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