貿易業・輸出入業の経理・税金で知っておきたい基礎知識とは?

貿易業・輸出入業の経理・税金で知っておきたい基礎知識とは?
公開日:
2021/05/19
最終更新日:
2021/07/20
 
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中小企業や個人事業においても、海外と取引を行うのは、もはや珍しいことではなくなりました。ただ、事業として軌道に乗せていくためには、当然のことながら正しい経理処理や納税が必要で、そこには国内取引とは異なる難しさや煩わしさが伴うのも事実です。今回は貿易業・輸出入業の経理・税金で必ず押さえておくべきポイントについてまとめました。

まずは貿易の「国際ルール」を確認しよう

貿易が盛んになるにつれ、その取引条件が国ごとにバラバラな状況を改めようという動きが高まり、国際商業会議所(ICC)によって「インコタームズ」という国際規制が制定されました。グローバル化の進展や商習慣の変化に対応して、数次の改訂が行われ、直近では2020年に新ルールがスタートしています。

貿易の取引条件とは、「運賃や保険料を売主・買主のどちらが負担するのか」といったもので、

  • 「いかなる単数または複数の運送手段にも適した規則」
  • 「海上および内陸水路運送のための規則」

の2つがあります。

インコタームズの規則は、下表のようにアルファベット三文字で表されます。売主・買主間の物品の引き渡しに関する危険の移転の分岐点や、役割や費用の負担区分など、それぞれの規則の下で売主・買主が行うべき義務をまとめた取引条件を示しています。

1.いかなる単数または複数の運送手段にも適した規則

EXW 工場渡し
FCA 運送人渡し
CPT 輸送費込み
CIP 輸送費保険料込み
DAP 仕向地持込渡し
DPU 荷卸込持込渡し
DDP 関税込持込渡し

2.海上および内陸水路運送のための規則

FAS 船側渡し
FOB 本船渡し
CFR 運賃込み
CIF 運賃保険料込み
※インコタームズの詳細は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の公式ページをご確認ください。

例えば海上輸送で一般的な「FOB」では、「売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用を負担し、それ以降の費用、リスクは買主が負担する」という条件が定められており、両者が合意すれば、それに従った契約が結ばれるわけです。
貿易業・輸出入業の経理に携わる場合は、まずはこの規制について頭に入れておく必要があります。自社の事業に関連する条件は限られるはずですから、それについて熟知することが大事です。

輸出取引の売上計上のタイミングとは?

では最初に、輸出取引のポイントから、みていきましょう。
海外に現地法人などを持たず、単純に輸出ビジネスを行う場合には、その利益には日本国内で法人税が課税され、輸出先で税金が発生することは基本的にありません。

売上計上のタイミングは4つ

注意すべきは、「売上をいつ計上するのか」という点です。具体的には、次の4つのタイミングが考えられます。

1.商品を倉庫や工場から出荷した日

国内取引では、ここで売上を計上するのが一般的です。インコタームズの「EXW」(工場渡し)で契約している場合などには、このタイミングで計上することになるでしょう。

2.商品が通関された日

「通関」とは、税関から輸出入の許可を受ける手続きのことです。船積日や引渡日よりも早く売上が立つことになります。

3.船積日

荷物が港で本船に積み込まれた日に売上を計上します。さきほど例に挙げた「FOB」による取引を行う場合には、多くこのタイミングが採用されます。貿易取引においては、これが最も一般的と言えます。

4.商品を引き渡した日

荷物を相手国の港やターミナルに荷揚げしたタイミングで、売上計上します。「CIF」(運賃・保険料込み)の取引などで採用されますが、実際にはあまり使われない方法です。

輸出では消費税の扱いにも注意する

輸出入では、消費税の扱いも注意すべきポイントです。

消費税は、日本国内の消費に課税される税金です。そのため、輸出でどれだけ儲けても、消費税が課税されることはありません。例えば、アメリカに輸出した商品がアメリカで購入されても、そこに日本の消費税はかけられないのです。
一方、輸出する商品の国内での仕入れなどには、消費税が課税されています。国内で物を売った場合には、自分たちが販売価格に上乗せした消費税額(a)から、この仕入れなどの際に支払った消費税額(b)を差し引いた金額を、消費税として納めます(「仕入税額控除」と言います)。

ところが、輸出の場合には、説明したように消費税は非課税ですから、輸出金額に(a)は上乗せされません。しかし、国内販売同様、(b)は負担していることになるため、税務署に申告すれば、このぶんは「払い過ぎ」として還付してもらえます。

輸入仕入には、消費税が課税される

次に輸入です。仕入れの計上時期には、やはり4つのタイミングが考えられます。

  • 仕入れ先が商品を倉庫や工場から出荷した日
  • 仕入れ先による船積日(輸入仕入の計上は、このタイミングが最も一般的です)
  • 商品を日本で輸入通関させた日
  • 商品を検収(納入された品物が、発注どおりであるかを検査して受け取ること)した日

国内仕入では、このタイミングが一般的です。つまり、仕入れを計上するタイミングが、国内の場合よりも早くなるわけです。

輸出売上は消費税非課税ですが、輸入仕入には消費税がかかってきます。この消費税は、輸入品を受け取るまでに、関税とともに納付しなくてはなりません。

輸入品であれ、国内で造られたものであれ、税負担が発生すると同時に、売上のために使った金額=経費が計上できるのは、実際に売れたときです。輸入で仕入れた商品が在庫で残ると、そこに費やした関税や消費税、国際送料などのコストも経費にすることができません。

貿易・輸出入業に詳しい税理士をお探しの方へ

輸出入に関わる経理業務には、国内取引とは違う難しさがあります。万全を期すには、国際税務に詳しい税理士などのサポートを受けるのがいいでしょう。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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