外形標準課税、うちは対象?判定基準と令和6年改正の影響は?
- 最終更新日:
- 2026/03/26

- この記事の監修者
- 髙谷公認会計士・税理士事務所
代表 髙谷 武司(税理士・公認会計士)
外形標準課税とはどんな税金か
外形標準課税は、法人の事業規模という外形(外から見える指標)をもとに課税する仕組みで、2004年度(平成16年度)に導入されました。課税対象は所得割・付加価値割・資本割の3区分で構成されており、このうち付加価値割・資本割は所得の多寡にかかわらず課税されます。
なぜ赤字でも課税されるのか
赤字法人であっても、地方自治体の行政サービスを利用している事実は黒字法人と変わらない、という「応益課税」の考え方がその根拠です。従来の法人事業税は所得にのみ課税されていたため、景気悪化で赤字が続く大企業が税負担をほぼ免れるケースが生じ、地方税収が不安定になるという問題がありました。外形標準課税はこの課題を解消するために創設されており、事業規模に応じた負担を求める制度です。
導入の背景にある4つの目的
外形標準課税が導入された目的は大きく4点に整理できます。第一に地方財源の安定化、第二に応益課税としての本来の法人事業税の性格の明確化、第三に税負担の公平性の確保(大規模な赤字法人が負担ゼロになる不均衡の是正)、第四に企業経営の合理化・経済構造改革の促進です。所得を課税標準にしないことで、法人がより利益創出を前提とした経営を行うインセンティブが生まれるとも考えられています。
どんな会社が対象になるのか
事業年度終了時点で資本金が1億円を超える法人が原則対象です。ただし令和6年度税制改正により要件が追加され、現在は以下の3基準のいずれかに該当する法人が外形標準課税の対象となります。
①資本金1億円超(従来からの基準)
最も基本的な基準です。事業年度終了の日において資本金または出資金が1億円を超える法人はすべて対象となります。ただし、公益法人・特別法人・人格のない社団等・投資法人・特定目的会社・一般社団法人および一般財団法人は除外されます。
②減資した場合はどうなるか(2025年4月1日以後開始事業年度から適用)
前事業年度に外形標準課税の対象だった法人が、当事業年度に資本金を1億円以下に引き下げた場合でも、資本金と資本剰余金の合計額(払込資本の額)が10億円を超えるときは引き続き対象となります。
これは、会計上の資本金から資本剰余金への組み替えによって外形標準課税を回避する事例が増加し、対象法人数がピーク時の約3分の2まで減少したことへの対応策です。実質的に大規模な企業が課税を免れる状況を是正するため、2025年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
③100%子法人はどうなるか(2026年4月1日以後開始事業年度から適用)
資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人(特定法人)の100%子法人等で、資本金が1億円以下かつ資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超える法人も対象に加わります。純粋持株会社化や分社化の際に子会社の資本金を1億円以下に設定して課税を免れるケースへの対応で、2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。グループ企業を持つ大企業は、子会社単位での影響を把握しておく必要があります。
判定の際に見落としやすいポイントとは?

髙谷 武司
監修税理士からのワンポイントアドバイス
令和6年度の税制改正により、特に注意すべきなのは、100%子法人等への対応でしょう。
例えば、親会社は外形標準課税の対象外であっても、100%グループ内の特定法人が発行済株式等の全部を保有していれば、外形標準課税の対象法人となります。
また、子会社は、グループ内の経理情報を把握するのが困難であるため、親会社等における増資や組織再編による資本金および資本剰余金の変動があった場合などは、慎重に判定する必要があります。
なお、子会社において、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるかどうかの判定では、資本剰余金の配当があった場合、その配当相当額を合算して判定する点も気を付けましょう。
税額はどうやって計算するのか
外形標準課税の税額は、所得割・付加価値割・資本割の3つを合算して求めます。外形標準課税の対象法人は、対象外の法人よりも所得割の税率が低く設定されている一方で、付加価値割と資本割が上乗せされます。なお、税率は各都道府県の条例によって異なり、東京都のように標準税率を超える「超過税率」を適用している自治体もあります。
所得割
法人の所得に一定の税率をかけて算定します。外形標準課税の対象法人は所得割のみを負担する法人と比べて税率が低く設定されているため、利益が出ているほど相対的な恩恵が大きくなります。赤字の場合は所得割がゼロになりますが、残りの2区分は課税されます。
付加価値割
「単年度損益」と「収益分配額」の合計(付加価値額)に税率をかけて算定します。収益分配額とは、報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料の合計です。人件費が多い労働集約型の事業ほど付加価値額が大きくなる点に注意が必要で、赤字であっても従業員を多く抱える会社は相応の税負担が発生します。なお、報酬給与額が収益配分額の70%を超える場合は、雇用安定控除の適用により付加価値額から一定額を控除できます。
付加価値割の計算要素
| 項目 | 内容 |
| 単年度損益 | 繰越欠損金控除前の所得額 |
| 報酬給与額 | 給与・賞与・企業年金掛け金等の合計 |
| 純支払利子 | 支払利子から受取利子を控除した額 |
| 純支払賃借料 | 支払賃借料から受取賃借料を控除した額 |
付加価値割の計算における注意点とは?

髙谷 武司
監修税理士からのワンポイントアドバイス
付加価値割の計算では、以下の点に注意が必要となります。
報酬給与額
・法人税で損金に算入されるものが含まれるため、未払給与として計上した額は含める一方、引当計上した賞与や退職給付費用は含みません。
・労働者派遣法に基づく派遣契約料は、その75%相当額を算定に含めます。
・出向に係る報酬は、実質的な負担額を算定に含めます(例えば、給与分担負担金は、出向元法人の算定から除外します)。
・社会保険料などの法定福利費は、算定に含みません。
純支払利子
・売上割引は、純支払利子に含みません。
純支払賃借料
・リース料は、賃貸借処理の場合は純支払賃借料に含めますが、法人税法上のリース取引の場合、利息相当額を純支払利子として算定します。
資本割
資本割は、資本金等の額に税率をかけて算定します。無償増資・無償減資があった場合は調整が必要です。なお、資本金等の額が資本金と資本準備金の合計額を下回る場合は、その合計額を課税標準として用います。
申告・納付はどうすればよいか
外形標準課税の対象法人の申告・納付の流れは、対象外の法人と基本的に同じ枠組みですが、事業年度が6か月を超える場合は、中間申告が必要になる点に注意が必要です。また、令和7年4月1日以後に開始する事業年度からは、前事業年度に外形標準課税の対象法人であったかどうかによって中間申告義務を判定します。
確定申告は事業年度終了から2ヶ月以内
各事業年度終了の日から2ヶ月以内に、所得割・付加価値割・資本割の合算額を事業所・事務所の所在地の都道府県に申告します。申告書には貸借対照表や損益計算書の添付が必要です。
中間申告は事業年度開始から6ヶ月後に必要
事業年度開始の日から6ヶ月が経過した日から2ヶ月以内に中間申告・納付を行います。計算方法は、前期実績をもとに算定する「予定申告」と、上半期の実績をもとに算定する「仮決算による申告」の2種類があります。なお、外形標準課税の対象法人については、事業年度が6か月を超える場合に中間申告が必要となるのが原則です。
損金算入のタイミングに注意
法人事業税(外形標準課税を含む)は損金算入が認められますが、損金算入の時期は課税方式や損金経理の有無によって扱いが異なります。そのため、決算時に未払計上する場合や中間納付額を処理する場合は、申告・納付の時期だけで判断せず、税理士や会計士に確認したうえで処理することが重要です。
令和6年度改正で何が変わったのか
令和6年度の税制改正による外形標準課税の変更は、「減資への対応」と「100%子法人等への対応」の2段階で実施されます。改正の背景には、減資・分社化を活用して対象外となる企業が増加し、外形標準課税の対象法人数がピーク時の3分の2にまで落ち込んだという実態があります。
自社が新たに対象になるかどうかの確認ポイント
以下のいずれかに該当する場合、改正後に新たに外形標準課税の対象となる可能性があります。
まず、直近で資本金を1億円以下に引き下げたが、資本剰余金を含む払込資本の合計が10億円を超えている場合です(2025年4月以後開始事業年度から)。次に、資本金と資本剰余金の合計が50億円超の親会社の100%子会社で、かつ資本金と資本剰余金の合計が2億円を超えている場合です(2026年4月以後開始事業年度から)。
経過措置(負担変動軽減措置)の内容
改正により新たに対象となった法人で、従来の計算方法よりも税額が増加する場合は、段階的な負担軽減措置が設けられています。2025年4月から2026年3月末までに開始する事業年度は該当税額の3分の2、2026年4月から2027年3月末は3分の1を限度として軽減が適用されます(100%子法人等への対応については別途設定)。詳細は税理士や顧問会計士に確認することをおすすめします。
よくある質問
赤字でも外形標準課税はかかりますか?
かかります。所得割はゼロになりますが、付加価値割と資本割は所得の有無にかかわらず課税されます。特に従業員が多い法人は付加価値割が相応の金額になるため、赤字期間中の資金繰りに影響することがあります。
資本金を1億円以下に減資すれば対象外になりますか?
令和6年度改正以降は必ずしもそうとは限りません。前事業年度に外形標準課税の対象だった法人が減資した場合、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超えていれば引き続き対象となります(2025年4月以後開始事業年度から)。減資を検討している場合は、事前に税理士に相談することが不可欠です。
外形標準課税の申告は自社で対応できますか?
付加価値割の計算(報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料の集計)は実務上の手間が大きく、計算誤りが過少申告につながるリスクもあります。また令和6年度改正による適用判定も複雑なため、税理士への依頼または税理士によるチェックを強く推奨します。
まとめ
外形標準課税は、赤字でも事業規模に応じた税負担が求められる法人事業税の特殊な課税方式です。資本金1億円超という従来基準に加え、令和6年度改正で減資対応・100%子法人対応という2つの新基準が段階的に追加されており、これまで対象外だった法人が新たに課税される可能性があります。
自社が対象かどうかの判定・税額計算・申告対応は、いずれも専門的な判断が必要です。外形標準課税を含む法人税務全般について、実績ある税理士に早めに相談することが、適切な税負担管理と経営判断の精度向上につながります。
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