顧問税理士を変更した方がいいかな?と思ったらやるべきこと、考えるべきことを解説

顧問税理士を変更した方がいいかな?と思ったらやるべきこと、考えるべきことを解説
公開日:
2019/08/16
最終更新日:
2024/01/30
 
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父親から事業を受け継いだのだけど、顧問税理士もそのまま。自分よりかなり年上で、感覚も違うし、フランクに相談もしにくい。かといって、先代と長い付き合いの人間に、正面切って「契約を解除します」とは、なかなか言いにくい…。そんな悩みを抱える社長も多いのではないでしょうか。
今回は、そうしたケースも含め、「税理士との顧問契約の解除」について考えていきましょう。

顧問税理士に抱く不満とは?

会社の税務をそつなく処理してたくさん節税してくれて、ときには経営についての的確なアドバイスをしてもらえる――。顧問税理士を雇うなら、そんな役割を誰しも期待するでしょう。でも、すべての税理士がそのニーズに応えられるわけではないのが実情です。

現実には以下のような不満で、経営者が顧問の交代を検討するケースも少なくありません。

事務所の対応の悪さ

  • 税理士ではなく無資格(資格取得中)の担当者任せになっている
  • 税理士が上から目線で相談しにくい
  • メールや電話のレスポンスが遅い

サービス内容への不満

  • 税理士顧問料が高すぎる
  • 試算表を渡すだけで決算対策の助言がない
  • 業界知識が乏しく経営の相談に乗ってくれない
  • いまだに手書きで申告書を作成している

税理士の変更をするベストなタイミングとは

経営者が代替わりしたタイミング

顧問税理士を変更するタイミングにはいくつかありますが、変更することを躊躇してしまう理由の1つに「繋がりを切りにくい」ことが挙げられます。税理士や監査担当者とは会社の財務内容という重要部分を共有することから必然的に繋がりが深くなります。また、会社の財務内容は誰にでも開示できるものではないため、簡単に税理士を変更しづらいという側面もあります。変更するタイミングとしては、経営者の代替わりを理由として「新しい体制で経営を再スタートさせたい」とすれば税理士の変更もしやすいでしょう。

会社の規模が大きなってきたと判断したタイミング

業績が伸び事業規模が拡大した際も、税理士を変更するには良いタイミングです。利益が大きくなれば税額も当然大きくなりますから、タイムリーで適切な監査指導というのがより重視されるようになります。大規模な会社であればあるほど毎月監査にくる税理士、適切な指導ができる税理士を選択することが結果的に会社にとって有益になるのは間違いありません。税理士のサービスに不満があることを理由にすれば税理士の変更もしやすいでしょう。

経理業務の経費削減を目的にアウトソーシングしたいタイミング

経理にかかる人件費を削減する目的で、会社の記帳業務を記帳代行業者にアウトソーシングする場合があります。経理業務のために従業員を常時雇用するより、結果としてコスト削減に繋がるケースがあるためです。税理士事務所が提供する記帳や給与計算の代行サービスを利用することで、顧問としてのサポートを受けつつアウトソーシングによる業務の効率化や全体としてのコストダウンを実現することが可能となります。
 

税理士変更のタイミングに関して詳しく知りたい方は「税理士を変更する方法やタイミング、必要な準備とは?メリット・デメリットも解説」をご覧ください。
 

ただし、税理士の交代には、いろいろな意味で勇気も必要です。先代社長が雇い、長く会社に「貢献」してきた税理士の場合は、しがらみや情実が絡むだけに、なおさら。
どうしたらいいのでしょうか?

税理士交代で注意すべきポイントは?

本題に入る前に、そもそも顧問税理士を変えるのは「アリ」なのでしょうか?
答えは、もちろん「イエス」です。難しい手続などは不要で、基本的に「契約解除の意思を伝える」「預けていた書類を返却してもらう」「正式に契約を解除する」だけでいいのです。変更を税務署に届け出る必要もありません。

ただし、いくつか注意すべき点があります。

契約書の内容を確認しておく

解約の場合は何カ月か前に申し出が必要といった取り決めのある場合があります。即解約の場合は違約金を請求されるかもしれません。決算期の途中で解約した場合の報酬がどうなっているかなども契約解除の意思を伝える前に調べておきましょう。

預けていた書類やデータを確実に返してもらう

顧問税理士には、決算書、仕訳帳、総勘定元帳、請求書や領収書など、会社のさまざまな重要書類を預けているはずです。これらは、解約手続きが完了する前に、すべて回収する必要があります。解約後では、「もう返したはずだ」といった事態が起こりかねないからです。返してもらう必要があるのは、書類だけではありません。
 

依頼している仕事が、「税理士が依頼者の提出した資料に基づき、自らの会計ソフトを利用して会計帳簿を作成し、データを出力して紙ベースの帳簿を納品する」というパターンの場合は、その会計データ(電子データ)も渡してもらう必要があるのです。次の税理士への依頼も含め、この電子データが入手できないと、大変困ったことになってしまいます。
 

通常、税理士が依頼者に会計データを渡すことのデメリットはないでしょう。しかし、解約をめぐって感情的なしこりが生じたりすると、返却に応じてもらえない可能性が0ではありません。この問題で争いになった結果、「会計データの所有権は税理士にある」という判決が出たこともあります。そういうリスクをなくすために重要になるのは、やはり顧問契約書です。税理士の業務範囲に決算書・税務申告書・帳簿作成(監査)等が含まれていることを確認し、データか書類で納品されることで業務が完了することを確認しましょう。

タイミングを間違えないようにする

解約を避けるべきタイミングとして挙げられるのが企業の申告直前の時期です。税務申告に向けて1年分の会計データの集計に入っているようなタイミングで税理士を解約、交代すると、節税対策に悪影響が出たり、申告でミスが起こったりというリスクが高まります。
 

解除するか継続するか、「経営ファースト」で考えよう

それはわかった。とはいえ、今の顧問税理士を切るとなると、自分自身、相当のストレスを覚悟しなくてはならない――。
そういう場合に、課題をソフトランディングさせる方法の1つが、「欲しい役割を別の税理士に求める」ことです。

例えば、今の税理士には申告業務などの限られた仕事をやってもらい、経営に対するアドバイスなどは、新しい税理士に頼む。そうすれば、多くの不満は解消されるでしょう。
ただ、トータルの税理士報酬がアップすることを覚悟する必要はあります。

契約解除の際に、違約金を払う必要はある?

税理士との顧問契約を解除する場合、解除する1~2カ月前に申し出ることが一般的です。しかし、税理士とのトラブル等により顧問契約を即時解除したいというケースもでてきます。
税理士契約を即時に解除する際の違約金については、顧問契約書に定めがあれば、それに従う必要があります。違約金が発生する場合、顧問契約の1~2カ月分というのが相場のようです。
ただし現実には、契約書に違約金の定めのないことが少なくありません。そうした場合、依頼者の側によほどの問題がない限り、余計な費用を請求されることはないでしょう。契約に記載がない以上、基本的に支払い義務もありません。一方で、支払う場合でも、違約金ではなく、さきほどの「お気持ち」として渡すことができれば、意味合いはだいぶ違ってきます。なお、高額な違約金などを請求されたら、「日本税理士会連合会の窓口などに相談する」という方法もあります。

キレイに契約解除をするには?

一番すっきりするのは、やはり正面から契約解除の意思を示すこと。重要なのは、「何のために税理士を雇うのか」という原点に立ち返ることではないでしょうか。不満を抱えたまま雇い続けることは、経営にプラスを生まないどころか、デメリットになる危険性を孕んでいます。解約の理由は、「知人が税理士として独立したから」でもいいでしょう。経営のためには、心を鬼にするのが必要なこともあるし、「嘘も方便」と割り切るべきときもあると思うのです。

解約したい税理士への伝え方は、「取引先の社長に頼まれて、どうしても断れない」「親戚が会計事務所に就職した」など、いろいろあるでしょう。一方、「今後の糧にしたいので、問題点があったら指摘してほしい」という税理士がいたら、理由を真摯に説明すればいいと思います。

避けなくてはならないのは、頭ごなしに文句を言ったりした結果、「契約期間が残っているので、解約には応じられない」というふうに、税理士が態度を硬化させてしまうことです。こうなると、先ほど述べた資料の返還などの作業に影響を与える可能性が出てきます。

いずれにせよ、“契約は自由”ですので、要は気持ちの問題です。「ご苦労さまでした」と、顧問料の数カ月分を渡すのも、しこりを残さないテクニックといえるでしょう。

先代からの顧問税理士の解約は慎重に

先代からの顧問を解約する場合には、先代に理由も含めて説明して理解を得ておくのがいいでしょう。場合によっては、先代から話してもらう、解約の話に同席してもらう、といった方法が有効かもしれません。

「次の人」をきちんと決めておく

いくら今の税理士に不満があるからといっても、「切る」ことを優先して、顧問のいない「空白期間」が生まれたりするのは問題です。その時期にたまたま税務調査(※)に入られたりすると、困った事態になりかねません。契約解除を通告する前に、次の顧問税理士を決めておくことが大切です。

新しい税理士と契約する前に

わざわざ交代するのですから、「新しい税理士もハズレだった」という事態も避けなくてはなりません。顧問税理士の候補には、「税理士を変えたいと思った理由」「税務以外に求めるもの」などを具体的に話して、今度こそニーズを満たしてもらえるのか、しっかり見極めるようにしましょう。なるべく早くそうした税理士を探したいときには、信頼できる税理士紹介会社を利用するのも、1つの方法です。

※税務調査:国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

契約期間の重複には要注意

今の税理士との契約を解除する前に、次の税理士を決めておくのは大切ですが、契約期間がダブるのは避けましょう。
税理士顧問料の二重払いになるばかりでなく、作業をめぐってトラブルが発生するリスクがあるためです。結果的に多少の空白期間が生じても、新しい税理士にフォローしてもらうのが良いでしょう。

まとめ

顧問税理士を交代するのか・しないのかは、「経営第一」で判断を。新しい人を頼むときには、自分のニーズに見合ったスキルや人間性を備えた税理士なのかきちんとチェックしたうえで、納得感を持って顧問に就いてもらいましょう。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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