こんなはずじゃなかった!
税理士選びでよくある失敗5選

こんなはずじゃなかった!   税理士選びでよくある失敗5選
最終更新日:
2024/11/26
この記事の監修者
髙谷公認会計士・税理士事務所
代表 髙谷 武司(税理士・公認会計士)
 
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税理士も人間。いろんな人がいる

実は、税理士事務所にはそれぞれ得意・不得意があり、法人税・所得税・相続税・資産税といった全ての税金に詳しいとは限りません(事務所の規模や体制により異なります)。
また、他の商売でもあるような「金儲け主義」の気持ちが強く、結果的に誠実に対応してくれないケースもあります。
のっけから否定的なことを言いましたが、税理士選びの第一歩は、そういう現実をきちんと認識するところから始まると言っていいでしょう。
逆に、そうしたシビアな視点を持たずに税理士を選ぶと、得てして次のような問題を抱えることになるかもしれません。

税理士選びの失敗例① ちゃんと節税をしてくれない

経営者・事業主が顧問税理士に期待するのは、第1に「税金対策」でしょう。
税務申告をしっかりやってくれることはもちろん、支払う税金をどれだけ減らして、事業に回せるお金を確保してくれるのか、ということです。

自分のニーズに応えてくれるか

税理士ならば、当然してくれるだろうと考える節税ですが、そうとは言えない現実があります。「税理士の仕事は節税ではなく、正確な納税をサポートすることだ」という原則に則り(それは正しいことなのですが)、どちらかというと「税務署寄り」のスタンスで仕事をする税理士も沢山いるのです。
さきほども言ったように、関係する税の知識が乏しいために、節税対策をしたくてもできない場合もあるでしょう。そういう税理士に「もっと節税できませんか?」と聞いても、曖昧な答えが返ってくるばかり。申告が近づいてから、「今期の税金はこれだけになります」と予想を超える金額を知らされて、慌てることになったりもします。

税理士選びの失敗例② 税理士報酬が高すぎる

社長仲間と話していたら、顧問税理士の話題になった。報酬金額を聞いたところ、うちよりかなり安い。仕事の中身は、さして変わらないようなのに……。
顧問契約の際に、他の事務所との見積もり比較をしなかった場合などに、起こる問題です。比較はしたけれど、契約してみたら、含まれると思っていたサービスがオプション扱いで、追加料金が発生したというのもよく聞く話です。

顧問料の「適正な価格」を知ろう

税理士の報酬には一定の目安があります。ただし、具体的な料金設定は、事務所の自由。同じサービスでも月に数万円の差が出ることが珍しくありません。「ちりも積もれば」会社にとって大きな不利益になるでしょう。

税理士選びの失敗例③ レスポンスが遅い

「何をやってくれるか」はもちろん、「どれだけ早く対応してくれるのか」も、事務所選びの重要なポイントです。
これもよくあるのが、「税金や財務関係のことがらについてメールで質問したのに、何日経っても返答がない」という状況。そういう事務所の場合、改善を求めてもまた同じことが起こるのです。

万一の時にも素早い対応の税理士を

「平時」ならまだしも、税務署から税務調査(※)の連絡が来たとか、申告間際になって経理のミスが見つかった、などといった時に迅速な対応をしてもらえなければ、会社にとって死活問題になりかねません。

※税務調査:国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

税理士選びの失敗例④ 自社の業界や、会社の置かれた状況に疎い

例えば、同じ製造業でも、平均的な原価率には大きな違いがあります。取引上の独特の商習慣もあるでしょう。節税対策一つとっても、そうしたことを理解しているかどうかで、雲泥の差が出てしまいます。
「うちの業界を知らない先生に頼んで、えらい目に遭った」と嘆くことのないようにしたいもの。

各ステップに合った対応をしてくれるか?

自社の成長段階や置かれた状況に関係なく、毎年の税務申告だけを淡々とこなしていくタイプの税理士も、要注意と言えるでしょう。例えば、早くから会社の跡取りが決まっていたのに、事業承継の対策を怠っていたために、みすみす後継者に負担を負わせることになってしまった。「わかっている」事務所ならば、徐々に自社株を譲渡するといった方策を講じつつ、確実にバトンを渡すアドバイスがもらえたはずです。

税理士選びの失敗例⑤ なんとなく“上から目線”

税理士は、難しい資格試験を突破して、税務代理などの独占業務を認められた専門職です。そういう背景もあって、『私はこの世界の専門家だ』と偉そうな振る舞いを見せる人も中にはいます。
でも、そういう「先生」は単に人を不快にさせるだけでなく、仕事の上でもイマイチなことが多く、顧問先の課題に親身になって対応する・何か積極的な提案を行うといった「お客様を大事にする」精神が希薄であることが多いです。

税理士に聞いたマッチングの失敗例とは?

監修者

髙谷 武司

監修税理士からのワンポイントアドバイス

税理士の立場から見たミスマッチの例を2つご紹介します。

1つ目は、とにかく報酬を抑えたいというお客様とのミスマッチです。この場合、お客様の意向に沿って、提供するサービスを絞ることがあります。例えば、記帳代行は契約せず、自社で行うといったケースです。しかし、自社で行った記帳が正確にされておらず、その修正の手間が記帳代行の手間を超えるという本末転倒な状況になりました。このケースでは結局、年度の中途に記帳代行の契約をしてもらいました。

2つ目は、コミュニケーション手段のミスマッチです。例えば、面談は、基本的にオンラインでの対応にしているが、お客様は対面を希望されている場合です。この場合、面談はオンラインで行うという前提で報酬が設計されているため、対面だと報酬が上がることがあります。また、普段の対応についても、税理士側ではメールやチャットを基本としているところ、お客様は電話で相談したいなどのミスマッチもあります。

税理士業界も少しずつ変化しています

税理士業は長く規制に守られ、記帳代行や税務申告などのルーティンワークをこなしていれば、食べていける世界でした。
現在はさすがに環境は変わったのですが、他の業界に比べるとまだまだ「サービス業」に脱皮しきれてはいません。逆に言えば、保守的な業界の中で、サービス精神の旺盛な税理士が着実に増えてきてはいます。

 

税理士選びに「失敗」する理由

問題のある税理士を、わざわざ顧問税理士にしたがる人はいません。
お話ししたような状況になってしまうのは、繰り返しになりますが、税理士選びを安易に考えすぎているからと、しか言いようがありません。

金額だけで選んではいけない

失敗しやすいのが「値段」。さきほど、「報酬が高すぎる」という話をしましたが、反対に「他の事務所に比べて、とにかく安いから」という理由で飛びつくのはおすすめできません。安さには何か理由があるはずだと、まずは疑ってかかるべきでしょう。

人間関係も絡んでくる?

「よく分からないから、知り合いに紹介してもらう」というのも、ちょっと考えもの。その税理士に不満を感じても、知人の手前、断りにくくなることも考えられるからです。

税理士の正しい選び方

会社にとって有益な情報を常に提供してくれる

最後に、正しい税理士選びのポイントを整理してみましょう。税理士はその名のとおり「税務会計に関するプロフェッショナル」ですから当然、税法や会計に精通しています。法の範囲内で正しい会計処理を行い、正しい税額を計算し作成した税務申告書類を期限内に提出することが仕事です。ただ、それだけでは会社にとって「正しい税理士」とは言い切れません。基本的なことですが、良い税理士は仕事が正確なことに加え、関与する会社に有益なサービスをタイムリーに提供できるかも問われます。選ぶポイントとしては、記帳代行や税務申告書類の作成しか頼めない税理士よりも、頻繁に来社し情報提供や指導監査をしてくれる税理士の方が会社にとって有益であるといえます。

有益な情報をタイムリーに提供してくれること

決算前に税理士から有益な情報を得られなかったため、決算対策が間に合わなかったという経験がある経営者の方もいるかもしれません。いくら豊富な知識を持って正しい会計処理・税務処理を行ったとしても、情報提供の時を逸してしまえば意味がありません。税法には期限が定められているものが多いため、それを見越した早めの情報提供が求められるのです。
会社に有益な情報をタイムリーに提供するには、税理士や担当者が毎月会社を訪れ、財務内容をリアルタイムで正確に把握した上で適切な情報を提供するのが理想です。税理士を選ぶ際には、毎月の巡回監査を重視している事務所なのかを確認するようにしましょう。

税理士の選び方で重要となる点とは?

監修者

髙谷 武司

監修税理士からのワンポイントアドバイス

税理士選びでは、相性が合うか?と依頼の目的に合うか?の2つが特に重要となります。

まず、相性が合わないと、コミュニケーションがうまく取れなくなります。お客様は相談しにくくなるでしょうし、税理士は連絡の頻度が落ちるでしょう。そうなると、結局、他のサービスを受けられず、税金の申告だけで終わってしまうかも知れません。そのため、契約前の面談では、相性が合うか?を重点的に見てほしいと思います。なお、面談相手は税理士だが、担当は事務所のスタッフという場合があります。この場合、担当するスタッフとの相性も確かめられると、尚良いでしょう。

次に、依頼の目的が達成されるかも大事になります。例えば、依頼の目的が資金調達の支援だとします。この場合、税務申告の実績が豊富であることよりも、資金調達の支援が得意かどうかがポイントになります。そのため、事前に依頼する目的を明確にし、その目的に合った(強い)税理士を選ぶことが重要となります。

まとめ

税理士選びの失敗は、事業に大きなマイナスをもたらすこともありますから、もし税理士を選んでいる最中であれば慎重に進めていきましょう。迷った時には、実績のある税理士紹介会社に依頼するのもいいでしょう。

よくある質問

税理士選びでよくある失敗は何ですか?

税理士選びでよくある失敗には、税理士が節税に積極的でない、報酬が高すぎる、レスポンスが遅い、自社の業界に詳しくない、上から目線の態度がある、などがあります。

税理士を選ぶ際、どのような点に注意すべきですか?

税理士選びでは、節税提案力、報酬の適正性、対応の速さ、業界知識、そしてコミュニケーションのしやすさが重要です。複数の税理士と比較して、自社に合う人を選びましょう。

税理士報酬の相場はどのくらいですか?

月次顧問料は3万円~5万円、決算申告料は20万円~50万円が一般的な相場です。ただし、事務所ごとに異なるため、見積もりで確認しましょう。

税理士の対応が遅い場合、どうすればよいですか?

まずは対応についてフィードバックし、改善を求めましょう。それでも改善しない場合、契約内容の見直しや他の税理士への変更を検討してください。

自社の業界に詳しい税理士を見つけるには?

自社の業界に詳しい税理士を見つけるには、業界専門の税理士紹介サービスを利用するか、業界のネットワークや知人からの紹介を活用することが効果的です。

この記事の監修者
髙谷公認会計士・税理士事務所
代表 髙谷 武司(税理士・公認会計士)
同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。事業会社で経営企画なども経験していることから、会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。

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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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