飲食店経営の税金・納税を解説!
かかる税金や注意点、開業時のポイントとは?

飲食店経営の税金・納税を解説!  かかる税金や注意点、開業時のポイントとは?
公開日:
2020/12/21
最終更新日:
2021/01/21
 
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新規の出店も多いけれど、数年で閉まる店も珍しくない飲食業界。経営を軌道に乗せていくには、「魅力ある店づくり」はもちろんのこと、冗費の節減や節税に努めて、手元に残すお金を確実に確保していくことが大事になります。節税は、店の経営者が税金のことをある程度わかっているかどうかで、大きな差が出るもの。飲食業として注意すべきポイントを解説します。

飲食店経営ではどのような税金がかかる?

個人が営む飲食店でも、個人事業として営んでいる場合と、法人化している場合があります。当然、それぞれの場合で課税される税金は違ってきます。

個人事業主にかかる主な税金

所得税

個人事業主には、毎年1月1日~12月31日の間に稼いだお金に対して、所得税が課税されます。
収入(売上)から家賃などの経費や、医療費控除などの控除を差し引いた「課税所得」に税率を掛けて計算され、所得が増えるほど税率も高くなる「累進課税」という仕組みになっています。

住民税

所得税が国に納める「国税」なのに対して、住民税は都道府県、市区町村に収める「地方税」です。

個人事業税

個人事業税は、290万円以上の事業所得にかかる税金です。所得が290万円に満たなければ課税はされません。
税率は業種ごとに決まっていて、飲食業の場合は5%です。
したがって事業税の額は、

「( 所得 - 290万円 )× 5% 」

ということになります。

法人にかかる主な税金

法人税

法人税は、課税対象となる所得に対して、15%~23.2%の税率を掛けて計算されます。

地方法人税

地方法人税は、法人税の10.3%の金額が課税されます。

法人住民税

法人住民税は、所得や資本金を基準に自治体(都道府県、市町村)ごとに決められた税率に基づいて課税されます。

法人事業税

法人所得税は、所得に対して都道府県が定めた税率に基づいて課税されます。

個人事業と法人の違いは?

個人経営と法人経営のどちらを選ぶかの基準は、「納税額」です。
さきほど説明したように、個人事業の所得税率は、5%から始まって、所得がアップするほど高くなっていきます(最高税率は45%)。所得がある程度の規模になったら、税率の変わらない法人税のほうが有利になるのです。

ただし、「所得がいくら以上ならば法人」というふうに線を引くのは、簡単ではありません。
法人になると、社会保険への加入が義務づけられ、その保険料の一部を会社が負担しなくてはなりません。また、法人化すると、社長個人はその法人から報酬を受け取る形になりますが、その所得には、所得税や住民税がかかってくることも計算に入れる必要があります。
逆に言うと、そうした条件を加味したうえでトータルの納税額が少なくなるのであれば、法人化=節税になるわけです。

飲食店経営の消費税は「軽減税率」に要注意!

個人であれ法人であれ、かかってくるのが消費税です。ただし、全員に納付義務があるわけではありません。

消費税がかかるケースは?

資本金が1,000万円以上の法人を除き、基本的に開業から2年間は、消費税は課税されません。ですから、飲食店を法人として開業ないし個人から法人化する場合には、資本金を1,000万円未満にしておけば、2年間は消費税が免除されることになるのです。

また、基準期間(個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度)の課税売上高(消費税抜きの売上高)が1,000万円以下の事業者は、原則としてその課税期間の納税義務が免除されることになっています。
簡単に言うと、「年間(法人は事業年度)売上高1,000万円」を超えるかどうかというのが1つの基準で、これを超えた場合に、個人経営の場合は基準年度の2年後に、法人経営では翌年から「消費税課税事業者」となります。

なお、消費税には「特定期間」(個人は前年の1月1日~6月30日、法人は事業開始の日から6ヵ月間)が設けられていて、この間に課税売上高と給与支払額がともに1,000万円を超えた場合には、翌年から消費税が課税されることになっています。

課税対象になった場合の消費税(標準税率10%)の額は、

「 課税売上高の10% - 課税仕入れ等の10% 」

で計算されます。
「課税仕入れ等の10%」とは、仕入金額などに上乗せして取引先に支払った消費税の金額です。納付の際には、忘れずにこの分を差し引く必要があります。

標準税率と軽減税率に注意

ところで、今の計算式に用いた10%というのは、大半の取引に適用される「標準税率」です。2019年10月に消費税率の引き上げが行われた際、食料品などについては税率を8%に据え置く「軽減税率」が設定されました。

食料品といっても、レストラン・居酒屋などの店舗で提供されるものについては、標準税率が適用されます。ケータリングや出張料理もその範疇です。

一方、テイクアウト・出前・宅配・移動販売などは、同じ料理を提供していても軽減税率で販売することができます。普通の飲食店であっても、弁当のテイクアウトや宅配を行えば、そのぶんは消費税8%でいいのです。新型コロナウイルス対策として持ち帰りを始めた場合などには、この点に注意しましょう。

請求書の記載方法などは、国税庁の軽減税率制度のページをご参照ください。

飲食店開業時に気をつけるべき点は?

では飲食店を開業するにあたり、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?

「青色申告」にする

個人事業主が確定申告する場合、事前に税務署に届けを出したうえで“正しい記帳”を行えば、「青色申告」をすることができます(そうでない申告は「白色申告」での確定申告となります)。
青色申告制度は法人にもあり、それぞれ次のようなメリットが期待できます。

個人経営の場合
青色申告特別控除

青色申告では、最大65万円を所得から差し引くことができます。逆に白色申告の場合の控除は10万円です。

損失の繰り越し

赤字分を翌年以降3年間繰り越す(黒字分と相殺する)ことができます。設備投資などで開業初年度に大きな赤字の出やすい飲食店にとっては、ありがたい仕組みと言えるでしょう。

青色申告専従者

配偶者など同居の親族に支払う給与を、条件付きで全額経費として計上できます。

法人経営の場合
損失の繰り越し

法人の場合は、損失を10年間繰り越すことができます。

損失の繰戻しによる法人税額の還付

欠損金の繰越控除ではなく「法人税の還付」という方法も選べます。赤字を出した場合に前年度の法人税を返してもらうのです。

推計による更正又は決定の禁止

青色申告事業者に対しては、税務署長の推測で税額を直させたり、決めたりすることはできません。

中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入

2022年3月31日までに取得した30万円未満の減価償却資産は、全額費用にできます。

初期費用は「細分化」が正解?

今述べた「減価償却資産」とは、飲食店で言えば、例えば厨房機器・テーブル・電気・水道設備といった、事業に必要な「固定資産」のことです。
これらは、それぞれに定められた耐用年数に応じて、毎年費用として計上していくことになっていて(減価償却)、原則として初年度に一気に経費として落とすことはできません。

ただし、10万円未満の品目については、消耗品費として一括で経費に計上することができます。さらに、資本金1億円以下の中小法人と個人事業主は、今の「少額減価償却資産」の特例が使えるのです。
内装工事の契約の際に、「工事一式〇百万円」ではなく、「冷蔵庫」「調理台」などと項目を細分化すれば、この枠内に収まって、初年度に多くの設備を経費化することも可能になります。ただし、それがベストかどうかはケースにもよりますので、迷った場合には飲食業に詳しい税理士に相談してみましょう。

まとめ

飲食店経営には、さまざまな「税の問題」がついて回ることをご理解いただけたでしょうか。対処次第では納税額に大きな差が出ます。必要に応じて税理士などの専門家の手も借りながら、先を見た経営を目指しましょう。

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