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飲食店でも税理士に依頼すべき?
飲食店の開業を考えているものの、「別に税理士は必要ないのでは?」と迷っている方は少なくありません。
同じ飲食業でも、個人事業で営む場合と法人をつくる場合(会社設立・法人化)があります。
法人化を選ぶ最大の理由は、所得が一定の水準(目安として年間所得が800万円前後)を超えた場合、法人化した方が節税できるからです。このような事業規模では、顧問税理士との契約が一般的です。
しかし、個人事業で飲食店を営む場合でも、税理士のサポートは経営の安定性に大きく貢献します。特に開業初期は、適切な経理体制の構築が将来の成長の鍵となります。
個人事業でも、青色申告にするのであれば税理士との契約は必須
開業時の資金は限られているため、できるだけ経費を抑えたいという思いは当然です。しかし、税務関係を自己処理することで失うものも少なくありません。以下に具体的なメリットを見ていきましょう。
青色申告と白色申告、それぞれに税理士をつけるメリットがある
個人事業主の確定申告方式には、青色申告と白色申告があり、それぞれの特徴を理解することが重要です。
青色申告では最大65万円の特別控除が適用可能です。これは年間で見れば大きな節税効果となりますが、申告にあたっては以下の要件を満たす必要があります。
- 複式簿記による日々の記帳
- 決算書類の作成
- 期限内の確定申告書の提出
- 事業用の資産と個人用の資産の区分管理
一方、白色申告は比較的シンプルですが、以下の業務は必須となります。
- 日々の売上・経費の記録
- 領収書等の証憑書類の保管
- 月次での売上集計
- 確定申告書の作成と提出
これらの業務を全て自身で行うとなると、1日あたり30分から1時間程度の作業時間が必要となります。この時間を接客や店舗運営、メニュー開発といった本業に充てることで、売上向上や顧客満足度の改善につながる可能性が高くなります。
税理士に依頼することは、単なる「経費」ではなく、経営を支える重要な「投資」と考えることができます。
飲食店が税理士と顧問契約をする価値とは?

中川 麻未
監修税理士からのワンポイントアドバイス
実は、飲食店は、税務調査リスクの高い業種でもあります。現金売り上げがあることや、売上除外をしている事例が多いこともあり、比較的税務調査の対象となりやすいと言われています。
税務調査に強い税理士と顧問契約をし、売上伝票や領収書の管理について指導をうけたうえで、普段から適切に帳簿をつけていくことが大切です。万が一税務調査の調査が入った場合も、税理士と顧問契約をしておくことで、税理士が窓口となりスムーズに対応できます。
また、税理士と顧問契約していることで、金融機関からの信用力もあがります。税理士との顧問契約は、単なる「コスト」ではなく、「投資」として考えるべきです。 店舗の成長と経営の安定に寄与する重要なパートナーとなることで、長期的な利益を生み出すサポートを受けることができます。
時間とエネルギーの削減だけではない、税理士に依頼するメリット
飲食店経営において、税理士に依頼することの価値は、単なる事務作業の外注以上のものがあります。特に飲食業特有の会計処理や経営判断において、税理士の専門知識は大きな資産となります。
確実な申告と税務リスクの軽減
税務申告の誤りは、事業継続に大きな影響を与える可能性があります。特に飲食業では、現金取引が多いことから税務署の注目度も高く、申告内容の正確性が重要です。
申告内容に誤りがあった場合、追徴課税として以下のようなペナルティが課される可能性があります。
- 過少申告加算税(通常10%、重加算税の場合35%)
- 延滞税(年間約8.8%)
- 修正申告のための追加事務作業
- 税務調査の可能性増加
飲食店経営に特化した節税対策
確かに会計ソフトの進化により、基本的な経理処理は効率化されています。しかし、飲食店特有の経費処理や節税方法については、専門家のアドバイスが不可欠です。例えば、
- 食材や消耗品の仕入れ時期の調整による節税
- 設備投資の適切なタイミングと減価償却の活用
- 従業員の給与体系の最適化
- 家賃や光熱費の按分方法の検討
- 在庫管理と経費計上のタイミング
これらの対策を適切に組み合わせることで、法令に則った効果的な節税が実現できます。さらに、事業の成長段階に応じて、これらの戦略を柔軟に調整していくことも可能となります。
経営改善につながる財務アドバイス
税理士は毎月の会計数値を分析することで、あなたの店舗の経営状態を詳細に把握しています。このため、以下のような具体的なアドバイスが期待できます。
- 売上高に対する原価率の適正化
- 人件費の効率的な配分
- 収益性の高いメニューの分析
- 季節変動への対応策
- 新規出店や設備投資の判断材料提供
これらの分析に基づくアドバイスは、単なる数字の管理を超えて、店舗の収益性向上と持続的な成長につながる具体的な施策となります。定期的な経営相談を通じて、より戦略的な事業運営が可能になるのです。
税務調査への専門的な対応
飲食業は税務調査の対象となりやすい業種の一つです。実地調査では以下のような点が重点的にチェックされます。
- 現金売上の計上漏れがないか
- 従業員の給与支払い状況
- 在庫の管理状況
- 個人経費との区分
- 日々の売上記録と申告内容の整合性
税理士がいれば、調査官との専門的なやり取りを任せられるだけでなく、調査対応の準備から実施まで一貫したサポートを受けることができます。また、予め税務調査に備えた帳簿の整理や、指摘を受けやすいポイントの事前確認なども行ってもらえます。
このように、税理士との契約は、単なる税務申告の代行以上に、飲食店経営の安定性と成長性を支える重要な経営判断といえます。
税理士に依頼するデメリットはズバリ費用
上記の通り、税理士に依頼すると様々なメリットがありますが、一方で実際に税理士と契約するとなると、税理士に支払う費用(報酬)が発生します。
税理士報酬の金額は、
- 年商・年間売上高
- 税理士の訪問回数
- 依頼したい内容
の3つの要素により異なります。例えば、個人事業主の飲食業経営者の場合、具体的な費用の目安は以下の通りです。
年商・年間売上高 | 訪問回数 | 税理士に支払う料金の目安 |
---|---|---|
年商500万円未満 | 確定申告のみ | 70,000~80,000円/年 |
年商500万円以上1,000万円未満 | 確定申告のみ | 100,000円~/年 |
年商1,000万円以上3,000万円未満 | 確定申告のみ | 150,000円~/年 |
年商3,000万円以上5,000万円未満 | 3-4ヶ月に1回 | 15,000円~/月?+?決算申告料 |
年商5,000万円以上1億円未満 | 3-4ヶ月に1回 | 20,000円~/月?+?決算申告料 |
年商1億円以上 | 要相談 | 30,000円~/月?+?決算申告料 |
もちろん、上記の表はあくまで目安ですので、実際にはこれより安い料金で依頼できる税理士もいます。
まずは依頼したらどれくらいかかるかを確認して、それから税理士に実際の価格感を相談してみても良いでしょう。
税理士紹介センタービスカスでは、飲食業に詳しい税理士を無料でご紹介しています。
- なるべく安く税理士に依頼したい
- フットワークが軽く、細かい相談にものってくれる税理士を探している
- 手間ひまかけずに税理士を探したい
こういったお悩みを解決します。ご利用は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
実際に飲食店が税理士に依頼できる業務
月次損益を把握するための巡回監査業務
税理士に会計や税務の業務を依頼するメリットの1つに挙げられるのが、毎月の業績を把握できるという点です。経営者としての経験から、ご自身の飲食店がいま儲かっているのか損しているのか大まかに把握することはできる出来るかもしれません。しかし実際には「赤字経営だった」「予想以上に利益率が悪かった」といった読み違いが起こり得ます。プロの目線で正確な損益を毎月計算してもらい業績報告を受けることは、飲食店に限らずどの業種であっても事業を継続していく上で必要不可欠であるといえます。
事務的負担を軽減する記帳代行
調理から接客、店内の清掃や食器の片付けまで経営者の方が1人で行っているケースでは、記帳業務や資金繰りといった経理まで1人でこなすと負担が大きくなります。そんな時に依頼したいのが記帳代行です。請求書や領収書、レジペーパーといった証憑書類((取引の証拠書類))をまと纏めて税理士に渡せば、伝票入力や会計帳票の作成といった記帳代行を行ってくれる便利なサービスです。費用がかかるというデメリットはありますが、専門家による会計処理でスピーディな経理と正確な損益の把握ができるという大きなメリットがあります。
資金繰表や事業計画書の作成
運転資金や設備資金を金融機関から調達する際、金融機関から資金繰り表や事業計画書の提出を求められる場合ことがあります。いずれも飲食店が今後、どのように成長していく予定なのか?そのためにどれだけの資金が必要なのか?といった将来のビジョンを金融機関に伝えるための重要な資料です。損益計算の予想に加え、キャッシュの増減予想まで加わるこれらの書類を作成するためには、ときに簿記や税法の知識が必要になります。その点、税理士は損益とキャッシュの関係を熟知していますので、作成が難しい場合には税理士に依頼することをおすすめします。
飲食業に詳しい税理士とは?選ぶポイントを解説
税理士に依頼することで様々なメリットが得られますが、その効果を最大限に引き出すためには、適切な税理士選びが重要になります。特に飲食業界特有の会計処理や経営課題に精通した飲食業の専門税理士を選ぶことで、より実践的なサポートを得ることができます。
飲食業に強い税理士の特徴
飲食業に強い税理士には、以下のような特徴があります。
- 複数の飲食店の顧問実績がある
- 食材原価の管理方法に詳しい
- 従業員の労務管理や社会保険についても知見がある
- 飲食店特有の設備投資の減価償却に精通している
- 現金取引の多い業態での売上管理のノウハウを持っている
これらの要素を備えた税理士は、飲食業界特有の課題に対して、具体的で実効性の高い解決策を提案することができます。
創業期の飲食店に必要なサポート体制
新規開業を考えている場合は、以下のような支援体制が整っているかどうかも重要な選定ポイントとなります。
- 事業計画書の作成支援
- 開業資金の調達アドバイス
- 設備投資の適正規模の判断
- 各種許認可申請のサポート
- 販売管理システムの選定アドバイス
- 従業員雇用に関する労務相談
特に創業期は、経営の土台を作る重要な時期です。この時期に適切なアドバイスを受けることで、将来的な経営リスクを大きく軽減することができます。
税理士との相性を見極めるポイント
継続的な関係となる税理士との相性は、以下の観点から確認することをお勧めします。
- コミュニケーションの取りやすさ
- 質問や相談への対応の丁寧さ
- 経営者の考えや事業visionへの理解度
- 月次報告や経営アドバイスの分かりやすさ
- 緊急時の対応力
これらの要素は、長期的な関係を築く上で非常に重要となります。初回の面談時にこれらの点を意識して確認することで、ミスマッチを防ぐことができます。
適切な税理士を見つける具体的な方法
飲食業に強い税理士を探す方法として、以下のような選択肢があります:
1. 税理士紹介サービスの活用
- 専門のコーディネーターによる細かなマッチング
- 複数の候補から比較検討が可能
- 紹介後のフォローアップ体制がある
- 紹介料が無料
2. 同業者からの紹介
- 実績が確認しやすい
- 業界特有の課題への対応力が期待できる
- ただし、相性が合わない場合の契約解除がしづらい
3. インターネット検索
- 多くの選択肢から検討できる
- 事務所の特徴や強みを比較しやすい
- ただし、実績や専門性の確認が必要
これらの方法を組み合わせながら、複数の候補と面談することで、最適な税理士との出会いにつながります。特に当社のような税理士紹介サービスは、経験豊富なコーディネーターが間に入ることで、より的確なマッチングが期待できます。
税理士選びは、事業の将来を左右する重要な経営判断の一つです。単に近いから、知人の紹介だからという理由だけでなく、上記のポイントを意識して慎重に選定することをお勧めします。
飲食店に強い税理士を見つけられないときは?

中川 麻未
監修税理士からのワンポイントアドバイス
飲食業に強い税理士を探すのは理想的ですが、必ずしも「飲食業専門」である必要はありません。
税理士を選ぶうえで大切なのは【コミュニケーション力】と【相性】だと思います。業種特化の経験が多少浅くても、コミュニケーションがスムーズであれば、経営の状況を深く理解し、適切なサポートが期待できます。一度面談してみて、相手に聞きたいことを聞ける雰囲気か、すぐにレスポンスが返ってくるか、という点を重視されるのが良いと思います。
税理士は税務・会計のプロフェッショナルであり、基本的な仕組みはどの業種にも共通しています。もちろん、製造業や農業など特殊な原価計算を扱う業種は専門知識が必要ですが、一般的に飲食業であれば大半の税理士が対応できるかと思います。飲食業の知識にこだわるより、コミュニケーション力や相性を優先して、信頼できる税理士を選ぶとよいでしょう。
まとめ
飲食店経営なら、飲食業に詳しい税理士のサポートを受けることをお勧めします。税理士探しに迷ったら、実績ある税理士紹介会社に依頼してみてはいかがでしょうか。
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よくある質問
飲食業に強い税理士とは何ですか?
飲食業に強い税理士とは、飲食業界特有の経理や税務知識を持ち、経営アドバイスや節税対策など幅広いサポートを提供できる税理士のことです。
例えば、現金取引の多い業界特有の売上管理や、食材の原価管理、労務管理などの深い知識を持っています。
飲食業が税理士に依頼するメリットは何ですか?
正確な申告ができ、節税が期待でき、経営アドバイスがもらえ、税務調査の際に安心できる点がメリットです。
特に、飲食業特有の課題を解決するための具体的な提案や、税務リスクの軽減が期待できます。
飲食業が税理士に依頼するデメリットはありますか?
税理士報酬が発生する点と、飲食業に詳しくない税理士に依頼すると適切なアドバイスが得られないリスクがあります。
ただし、飲食業に特化した税理士を選ぶことで、このリスクを回避し、より大きなメリットを享受できます。
飲食業に強い税理士の選び方は?
飲食業の知識と経験を持つ税理士を選び、過去の実績や専門分野を確認することが重要です。
また、税理士との相性も考慮しましょう。初回相談の際に、業界への理解度や対応の丁寧さを見極めることがポイントです。
税理士に依頼できる具体的な業務は何ですか?
月次損益の把握、記帳代行、資金繰表や事業計画書の作成などが含まれます。
また、節税対策や、設備投資の減価償却の最適化など、経営に直結するアドバイスも期待できます。