建設業に強い税理士とは?選ぶポイントや税理士に依頼するメリットを解説

建設業に強い税理士とは?選ぶポイントや税理士に依頼するメリットを解説
最終更新日:
2025/05/14
 
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建設業に強い税理士とは、建設業特有の会計処理(未成工事支出金・出来高計上など)を熟知し、建設業許可や経営事項審査に伴う書類作成までワンストップで対応できる専門税理士のことです。本記事では、そんな建設業に強い税理士の選び方、依頼できる具体的な業務、費用相場を分かりやすくまとめ、全国対応の無料紹介サービスを活用して最適な税理士と出会う方法まで解説します。

事業内容は「多種」、仕事の流れも複雑な建設業

数ある業種の中でも、建設業は普通の製造業などとはかなり業態が異なります。
そもそも、ひとくちに建設業と言っても、2種類の一式工事(土木、建築)と、大工工事、左官工事、とび・土木工事、鉄筋工事、内装仕上工事など、27種類の専門工事に分類されていて、会計処理が少しずつ違うのです。

仕事の流れも複雑です。例えば、小売業や卸売業ならば、「仕入→売上」をたどることで、業務の流れはわかります。
これに対して建設業では、「受託→施工開始→施工完了→売上」というフローが複雑で、工期が長い場合には、その掌握がいっそう難しくなります。

建設業の会計には「建設業会計」が適用される

建築業には、「建築業会計」という特有の会計処理が適用されます。
例えば、住宅建築の際の資材は「材料費」であり、施行する大工さんの工賃は「外注費」に仕訳されるのですが、それは住宅が完成してからのこと。工事中は、それらを「未成工事支出金」という勘定科目で処理する必要があり、算定も煩雑です。工事が完成前か完了後かで、「同じもの」が別々の勘定科目に入るわけで、税理士を選ぶ際には、そうした複雑さを熟知している税理士を選ぶ必要があります。

加えて、建築業は、仕事をするためには許可が必要になるところも、普通の製造業や小売業とは異なります。頼む方からすれば、数字面でのフォローも許可関連についても、ワンストップでやってもらえるのが理想でしょう。

建設業に強い税理士とは?選び方のポイント

それらを踏まえて、建設業に強い税理士を選ぶポイントを挙げてみましょう。

「建設業界の会計」を知っている

説明したような「建設業会計」に精通していることはもちろん、業界特有の商習慣や、コストが多岐に渡ることなども理解している必要があります。例えば、材料費や外注費に加え、現場への移動にかかる交通費、作業に伴う廃棄物の処理費用など、他の業種に比べて多種多様な支出が発生します。そうした実情を知らない税理士だと、処理に時間や余分なコストがかかる可能性があります。

常に資金繰りを把握し、的確なアドバイスをくれる

事業規模などにもよりますが、大きな金額のお金が一時に動くのも建設業です。受注の時期や投下した資金の回収時期を読むのも難しく、それだけに資金繰りの状況を常に正確に捉えておくことが求められます。
例えば、予定より工期が伸びて入金も当初予定よりズレ込んだ結果、一気に資金繰りが悪化するようなことが起こり得るからです。
日々の業務に忙殺される社長に代わって、会社の財務状況をできるだけリアルタイムで把握し、先を見据えたアドバイスのできる税理士にフォローを依頼するのが理想です。規模的に経理担当者を雇う余裕がなく、社長自らがそれを担っている場合などには、信頼できる税理士を見つけて「外注」するのも1つの方法です。
経営に専念することで、業績の向上につながるかもしれません。

金融機関からの融資をしっかりサポートしてくれる

この仕事では、基本的に工事が完成するまで入金はありません。その間、支出はどんどん積みあがっていきます。別の案件に取り掛かる必要に迫られる可能性もあります。さまざまな理由で融資を受けたいと思ったときに、スムーズにそれを実現してくれるサポーターがいれば安心できるでしょう。

建設業許可関連も任せられる

建設業では、説明してきたような税理士業務と建設業許可に関連する業務、すなわち行政書士業務が、密接不可分の関係にあります。ですから、行政書士資格を持つ税理士、ないし行政書士事務所を併設ないしそれと連携する税理士事務所に依頼して、両方の業務を請け負ってもらうことが重要です。

例えば、建設業許可を得るためには、申請直前の決算において財産的基礎(※)という要件を満たさなくてはなりません。許可を念頭に置いた税理士ならば、そうしたことを踏まえた決算対策を講じてくれるはずです。

※財産的基礎:建設業は多額の材料費、施工費などが発生するため、一般消費者や取引企業等を保護するため、一定の財産的基礎がなければ建設業許可を取得することができない。「一般建設業」の場合、「直前の決算において自己資本が500万円以上あること」などが要件となる。

税理士に依頼できることとは?

資金繰り・原価管理・税務調査――
建設業を営む社長が抱えるリアルな悩みを、建設業に強い税理士ならどう解決できるのかを具体的にご紹介します。

税理士顧問

「現場別の黒字・赤字が分からず不安…」という方へ。
年間契約(顧問契約)を結べば、材料費・外注費・労務費を工事別に仕訳し、数字で原価を可視化します。

  • 公共工事入札や金融機関説明に耐えうる決算書を作成
  • 訪問頻度・記帳範囲は現場体制に合わせて柔軟に設定

税務調査への対応

「税務調査の通知が来たらどうしよう…」という社長も安心です。
顧問税理士がいれば、調査連絡の窓口から交渉・立会いまで一括対応できます。

  • 原価の年度またぎ・前受金処理など建設業特有の論点を事前整理
  • スポット依頼でも対応可能で、本業への影響を最小化

無申告への対応

『申告しておらず不安…』という方でも大丈夫です。
一人親方で数年無申告でも、減免制度や分割納付を活用しダメージを最小限にします。

  • 加算税・延滞税を抑える最適な申告手順を提案
  • 売上把握前に自主的に申告し、安心して現場に集中

法人化・会社設立のサポート

「税負担が増えてきたので法人化したい…」というタイミングを逃さず支援します。

  • 建設業許可取得・社会保険加入までワンストップで対応
  • 最適な設立時期・資本金設定をアドバイスし信用力を向上

資金調達のサポート

「材料費の支払いが先行して資金が足りない…」という悩みも解決します。

  • 自治体の補助金・助成金情報を活用したつなぎ資金確保
  • 金融機関への事業計画書作成サポートで審査通過率UP

経営のサポート

「赤字現場が止まらない…」という課題にも数字でアプローチします。

  • 出来高管理・粗利分析で赤字要因を早期発見
  • 重機購入・リース判断など設備投資の意思決定も支援

税理士に依頼できないことは?

一方、建設業界に関連するサポート業務には、税理士資格だけでは対応できないものもあります。国家資格である「士業」には、その資格がないと代行などができない「独占業務」があるためです。

建設業許可申請:行政書士

建設業は、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合は「国土交通大臣」、一の都道府県の区域内のみに営業所を設けて営業しようとする場合は「都道府県知事」の「許可」が必要です。この許可申請の代行は、行政書士の仕事になります。自分で申請することも可能ですが、行政書士に依頼すれば、スピーディーにミスのない申請ができます。

経営事項審査のサポート:行政書士

国、地方公共団体などが発注する公共工事を直接請け負おうとする場合には、「経営事項審査」という資格審査を受けなければなりません。行政書士に依頼すれば、必要書類の収集から、申請書類の作成、行政機関や分析機関への申請書類の提出までを代行してもらえます。

労働保険や社会保険の手続き:社労士

人を雇っていれば労働保険(労災保険、雇用保険)、法人は社会保険(健康保険、厚生年金)に強制加入となっています。ただ、労働保険の年度更新事務、社会保険の算定事務を中心に、事務は煩雑で事業者にとって大きな負担となります。これらを的確に処理してくれるのが、社会保険労務士(社労士)です。

労災保険への特別加入手続き(一人親方などが対象):社労士

建設業の中小事業主や一人親方が現場で労災事故に遭っても、請負関係の従業員(労働者)ではないため、元請業者の労災を申請することはできません。労働者とリスクが変わらない一人親方なども労災補償を受けることができるようにしたのが、労災保険の特別加入制度です。この手続きを依頼できるのも、社労士です。

労働基準監督署調査への対応:社労士

労働災害が発生しやすい建設業には、特に法令違反などをしていなくても、労働基準監督署による立入調査が入ることがあります。調査の際には、労働者名簿のほか、時間外及び休日労働に関する協定届、労働時間管理に関する書類(出勤簿等)など、さまざまな書類の提出が求められます。社労士には、その調査に対応してもらうことができます。

建設業に強い税理士に依頼した際にかかる費用の目安

ここからは、建設業に強い税理士に依頼した際にかかる費用の目安を、依頼内容別に見ていきましょう。

税務相談

税理士事務所によって様々ですが税務相談のみを依頼する場合、相談費用の目安は5,000円から10,000円程度です。税理士事務所によって、税務相談1回あたりの料金設定をしているところもあれば、30分5千円など時間制で設定しているところもあります。顧問契約や確定申告を依頼している場合は、無料で税務相談が受けられることが多いです。
なお、お試しの意味合いで無料相談を実施している事務所もあります。

確定申告のみ依頼

確定申告のみを依頼する場合、多くの場合1年間の売上に応じての税理士費用が変わります。確定申告のみ依頼する場合、税理士費用の目安は下記のとおりです。

年商・年間売上高 料金の目安
年商500万円未満 70,000~80,000円/年
年商500万円以上1,000万円未満 100,000円~/年
年商1,000万円以上3,000万円未満 150,000円~/年
年商3,000万円以上 これ以上の規模は通常、確定申告のみ依頼ではなく顧問契約を行う

継続的な顧問契約

継続的な顧問契約を結ぶ場合は、1年間の売上と顧問先への訪問回数によって税理士費用が変わります。継続的な顧問契約を結ぶ場合、税理士費用の目安は以下のとおりです。

年商・年間売上高 訪問回数 料金の目安
年商500万円未満 確定申告のみの場合が多い 70,000~80,000円/年
年商500万円以上1,000万円未満 3-4ヶ月に1回 10,000円~/月 + 確定申告料
年商1,000万円以上3,000万円未満 2ヶ月に1回 20,000円~/月 + 確定申告料
3-4ヶ月に1回 15,000円~/月 + 確定申告料
年商3,000万円以上5,000万円未満 毎月1回 25,000円~/月 + 確定申告料
2ヶ月に1回 20,000円~/月 + 確定申告料
3-4ヶ月に1回 15,000円~/月 + 確定申告料
年商5,000万円以上1億円未満 毎月1回 30,000円~/月 + 確定申告料
2ヶ月に1回 25,000円~/月 + 確定申告料
3-4ヶ月に1回 20,000円~/月 + 確定申告料
年商1億円以上 要相談 30,000円~/月 + 確定申告料

建設業界での紹介事例

建設業界で当社から税理士をご紹介した3つの事例がこちらです。
会社経営における税理士の選定材料は、税理士にかかる費用も一つですが、重要なことが他にもあるといえます。

CASE 01|建築設計―長年の“しがらみ”を断ち切り、対等に相談できる同年代の税理士へ

先代から40年以上付き合った税理士は年に一度しか来訪せず、社長交代後も「子ども扱い」で要望を聞いてくれませんでした。
紹介で出会った新しい税理士は年齢が近くITにも精通。毎月訪問し、メール・電話ですぐに回答、最新税制や資金繰りの改善策を積極提案してくれます。
顧問料は上がりましたが“値段以上の安心感と提案力”を得られ、経営判断のスピードが飛躍的に向上しました。

CASE 02|とび職―税務署OBの堅物から、節税提案に強い若手税理士へ乗り換え

地元紹介で付いた税務署OBの税理士は「税金は払うもの」のスタンスで提案が乏しく、事業拡大とともに不満が募る一方でした。
ビスカスが紹介した若手税理士は建設業の顧問実績が豊富で、初対面の1時間で業務を把握。節税スキームを含む具体的アドバイスを次々提示し、その場で契約を即決。
長年のわだかまりが解消され、利益確保と経営基盤強化の両立を実感しています。

CASE 03|土木建築―“担当者頼み”から脱却、税理士本人が月次で訪問し即答対応

前の会計事務所は担当スタッフ任せで回答が曖昧。経理担当の退職を機に不安が限界へ達しました。
紹介された事務所では税理士本人が毎月訪問し、その場で記帳チェックと税務相談に即答。税制改正への対応もスピーディで、経理負担と不安が一気に解消。
顧問料は月2.5万円→3万円に上がりましたが、的確なサポートでコスト以上の価値を感じています。

よくある質問

建設業に強い税理士を選ぶメリットは何ですか?

建設業に強い税理士を選ぶことで、建設業特有の会計処理や税務に精通しているため、適切なアドバイスを受けられます。また、資金繰りのサポートや建設業許可の手続きもスムーズに進めることができます。

建設業に強い税理士の探し方は?

インターネット検索や税理士紹介会社の利用が一般的です。特に、実績のある税理士紹介会社を通じて探すと良いでしょう。また、知人からの紹介も有効です。

建設業の会計にはどのような特有の処理がありますか?

建設業会計では、「未成工事支出金」などの特有の勘定科目を使用します。工事の進行状況に応じて適切に経理処理を行う必要があります。

税理士に依頼する際の注意点は何ですか?

税理士の専門分野や実績を確認し、建設業に精通しているかを確認することが重要です。また、費用対効果を考慮し、信頼できる税理士を選ぶことが大切です。

建設業の税務調査に対応するためのポイントは何ですか?

税務調査に備えるためには、日頃から正確な帳簿管理を行い、税理士と密に連携しておくことが重要です。適切なアドバイスを受けることで、調査への対応がスムーズになります。

建設業に詳しい税理士をお探しの方へ

工事ごとの原価管理・資金繰り・建設業許可――
建設業の経営には、数字と許認可の両面を理解した税理士が不可欠です。
「建設業会計に精通し、行政書士機能までワンストップで対応できる先生」を探すのは簡単ではありません。
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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
税理士紹介センタービスカスは、 株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」サイトです。 税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
創業から29年、税理士紹介で培った知識とノウハウから、確定申告・決算・会社設立・融資・節税のご相談や、税理士料金の相場情報など、「初めて税理士に依頼したい」「顧問税理士を変更したい」という経営者・事業主の皆様に役立つ情報をお届けします。

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