建設業に強い税理士とは?選ぶポイントや税理士に依頼するメリットを解説

建設業に強い税理士とは?選ぶポイントや税理士に依頼するメリットを解説
公開日:
2020/05/08
最終更新日:
2023/05/06
 
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顧問税理を選ぶときには、いくつかのポイントがありますが、注意したいことの1つは、「あなたの業種、業界に詳しいか?」という点です。例えば、業種によって必要となる会計処理が異なったりもするのですが、税理士がそれらのすべてに精通しているわけではないのです。今回は、小売業やサービス業などと事業の流れが異なる建設業のサポートを依頼するのに相応しい税理士について解説します。

事業内容は「多種」、仕事の流れも複雑な建設業

数ある業種の中でも、建設業は普通の製造業などとはかなり業態が異なります。
そもそも、ひとくちに建設業と言っても、2種類の一式工事(土木、建築)と、大工工事、左官工事、とび・土木工事、鉄筋工事、内装仕上工事など、27種類の専門工事に分類されていて、会計処理が少しずつ違うのです。

仕事の流れも複雑です。例えば、小売業や卸売業ならば、「仕入→売上」をたどることで、業務の流れはわかります。
これに対して建設業では、「受託→施工開始→施工完了→売上」というフローが複雑で、工期が長い場合には、その掌握がいっそう難しくなります。

建設業の会計には「建設業会計」が適用される

建築業には、「建築業会計」という特有の会計処理が適用されます。
例えば、住宅建築の際の資材は「材料費」であり、施行する大工さんの工賃は「外注費」に仕訳されるのですが、それは住宅が完成してからのこと。工事中は、それらを「未成工事支出金」という勘定科目で処理する必要があり、算定も煩雑です。工事が完成前か完了後かで、「同じもの」が別々の勘定科目に入るわけで、税理士を選ぶ際には、そうした複雑さを熟知している税理士を選ぶ必要があります。

加えて、建築業は、仕事をするためには許可が必要になるところも、普通の製造業や小売業とは異なります。頼む方からすれば、数字面でのフォローも許可関連についても、ワンストップでやってもらえるのが理想でしょう。

建設業に強い税理士とは?選び方のポイント

それらを踏まえて、建設業に強い税理士を選ぶポイントを挙げてみましょう。

「建設業界の会計」を知っている

説明したような「建設業会計」に精通していることはもちろん、業界特有の商習慣や、コストが多岐に渡ることなども理解している必要があります。例えば、材料費や外注費に加え、現場への移動にかかる交通費、作業に伴う廃棄物の処理費用など、他の業種に比べて多種多様な支出が発生します。そうした実情を知らない税理士だと、処理に時間や余分なコストがかかる可能性があります。

常に資金繰りを把握し、的確なアドバイスをくれる

事業規模などにもよりますが、大きな金額のお金が一時に動くのも建設業です。受注の時期や投下した資金の回収時期を読むのも難しく、それだけに資金繰りの状況を常に正確に捉えておくことが求められます。
例えば、予定より工期が伸びて入金も当初予定よりズレ込んだ結果、一気に資金繰りが悪化するようなことが起こり得るからです。
日々の業務に忙殺される社長に代わって、会社の財務状況をできるだけリアルタイムで把握し、先を見据えたアドバイスのできる税理士にフォローを依頼するのが理想です。規模的に経理担当者を雇う余裕がなく、社長自らがそれを担っている場合などには、信頼できる税理士を見つけて「外注」するのも1つの方法です。
経営に専念することで、業績の向上につながるかもしれません。

金融機関からの融資をしっかりサポートしてくれる

この仕事では、基本的に工事が完成するまで入金はありません。その間、支出はどんどん積みあがっていきます。別の案件に取り掛かる必要に迫られる可能性もあります。さまざまな理由で融資を受けたいと思ったときに、スムーズにそれを実現してくれるサポーターがいれば安心できるでしょう。

建設業許可関連も任せられる

建設業では、説明してきたような税理士業務と建設業許可に関連する業務、すなわち行政書士業務が、密接不可分の関係にあります。ですから、行政書士資格を持つ税理士、ないし行政書士事務所を併設ないしそれと連携する税理士事務所に依頼して、両方の業務を請け負ってもらうことが重要です。

例えば、建設業許可を得るためには、申請直前の決算において財産的基礎(※)という要件を満たさなくてはなりません。許可を念頭に置いた税理士ならば、そうしたことを踏まえた決算対策を講じてくれるはずです。

※財産的基礎:建設業は多額の材料費、施工費などが発生するため、一般消費者や取引企業等を保護するため、一定の財産的基礎がなければ建設業許可を取得することができない。「一般建設業」の場合、「直前の決算において自己資本が500万円以上あること」などが要件となる。

税理士に依頼できることとは?

税理士に頼めることをまとめると、次のようになります。

税理士顧問

年間契約(顧問契約)をして、日々の帳簿付け(記帳)から、年間の決算や税務申告にかかわる業務を依頼することができます。定期的な訪問などにより、経理や財務に関する適切なアドバイスももらえます。
依頼する内容や訪問回数などについては、自分のニーズに見合った形で選択することが可能です。

税務調査への対応

申告内容について、税務署の税務調査を受けることがあります。顧問契約をしていれば、基本的にまずその税理士に税務署から調査の連絡が入ります。調査になってから、スポットで税理士を依頼することも可能です。税理士には、税務調査に立ち会い、調査官と対応もしてもらえますから、単独で臨むよりも安心です。

無申告への対応

建設会社などから個人で仕事を受けている、いわゆる「一人親方」には、無申告(所得税の申告・納税をしていない)のケースも少なくないようです。このような場合、当人に税務調査が入らなくても、仕事を発注している会社が調査を受けると、芋づる式に税務署に売上が把握されることになります。
無申告が発覚すると、本来支払うべき税金に加えて、加算税や延滞税などの支払いを求められます。傷が浅いうちに税理士に依頼して申告を行うことで、安心して仕事に打ち込むことができるはずです。

法人化・会社設立のサポート

個人で請け負っている仕事の所得が一定以上に大きくなると、法人(会社)にしたほうが税金面で有利になります。ただ、知識のない人が自分で会社を設立するのは、かなりハードルの高い作業といえます。会社設立に実績のある税理士に依頼すれば、さまざまな手続きをスムーズに進めることができるでしょう。法人化・会社設立のタイミングなどについても、アドバイスをもらうことができます。

資金調達のサポート

多くの会社の顧問をしている税理士(事務所)には、自治体などの補助金や助成金についての知識、情報も豊富です。また、地域の金融機関に「顔が利く」税理士も、多くいます。税理士は、資金調達でも頼りになる存在なのです。

経営のサポート

税務だけでなく、経営コンサルタント業務に力を入れる税理士も増えています。事業を「数字」で見られるのは、税理士の強みといえるでしょう。建設業界に詳しい税理士に経営のアドバイスをもらうというのも、事業を拡大するうえで有益な選択肢になり得ます。

税理士に依頼できないことは?

一方、建設業界に関連するサポート業務には、税理士資格だけでは対応できないものもあります。国家資格である「士業」には、その資格がないと代行などができない「独占業務」があるためです。

建設業許可申請:行政書士

建設業は、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合は「国土交通大臣」、一の都道府県の区域内のみに営業所を設けて営業しようとする場合は「都道府県知事」の「許可」が必要です。この許可申請の代行は、行政書士の仕事になります。自分で申請することも可能ですが、行政書士に依頼すれば、スピーディーにミスのない申請ができます。

経営事項審査のサポート:行政書士

国、地方公共団体などが発注する公共工事を直接請け負おうとする場合には、「経営事項審査」という資格審査を受けなければなりません。行政書士に依頼すれば、必要書類の収集から、申請書類の作成、行政機関や分析機関への申請書類の提出までを代行してもらえます。

労働保険や社会保険の手続き:社労士

人を雇っていれば労働保険(労災保険、雇用保険)、法人は社会保険(健康保険、厚生年金)に強制加入となっています。ただ、労働保険の年度更新事務、社会保険の算定事務を中心に、事務は煩雑で事業者にとって大きな負担となります。これらを的確に処理してくれるのが、社会保険労務士(社労士)です。

労災保険への特別加入手続き(一人親方などが対象):社労士

建設業の中小事業主や一人親方が現場で労災事故に遭っても、請負関係の従業員(労働者)ではないため、元請業者の労災を申請することはできません。労働者とリスクが変わらない一人親方なども労災補償を受けることができるようにしたのが、労災保険の特別加入制度です。この手続きを依頼できるのも、社労士です。

労働基準監督署調査への対応:社労士

労働災害が発生しやすい建設業には、特に法令違反などをしていなくても、労働基準監督署による立入調査が入ることがあります。調査の際には、労働者名簿のほか、時間外及び休日労働に関する協定届、労働時間管理に関する書類(出勤簿等)など、さまざまな書類の提出が求められます。社労士には、その調査に対応してもらうことができます。

建設業に詳しい税理士をお探しの方へ

建設業の方が顧問税理士を選ぶのならば、業種特有の会計を理解し、行政書士機能を持っているというのが、重要なポイントになるでしょう。どのように探したらいいのかわからないという場合は、実績ある税理士紹介会社を利用してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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