「欧米に“税理士”はいない」って本当?
税務に関する海外の制度を調べてみました

「欧米に“税理士”はいない」って本当?  税務に関する海外の制度を調べてみました
公開日:
2021/02/10
 
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会社の税務や個人の確定申告などを税理士に頼むのは、日本ではごく普通のことですね。でも、世界に目を向けると、実は全然“普通”ではないことをご存知でしょうか?
日本と同じような制度があるのはどこ?そうでない国々ではどのような仕組みになっているの?今回は、海外の「税理士制度」を眺めてみることにします。

税理士のいる国はごくわずか

日本の税理士には、「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」という独占業務が認められています。税理士以外の人がこれらを行うのはもちろん違法です。そのため、税理士の資格は非常に重い意味を持っているわけです。
では、海外ではどうなのでしょうか?日本税理士会連合会(日税連)のホームページの「国際交流」の項に、次のような記述があります。

「税理士」とは「税理士法」という法律により資格を与えられた税務を専門とするプロフェッショナルです。税務を専門とする職業が法律により制度化されている国は、日本をはじめ、ドイツ(Steuerberater)、韓国(税務士)、中国(注冊税務師)など極めて限られて おり、多くの国では会計士、弁護士などが税務サービスを行なっています。

このほか、オーストラリアにも有償独占(後述)の税理士制度があり、アジアの国々を中心に、税理士制度を新たに導入しようという動きもあるようです。
ただいずれにしても、日本のような制度を持つ国は、現時点では“少数派”なのです
逆に言えば、欧米をはじめとする世界の多くの国では、「税理士」と言われてもピンと来ません。そのために、このような苦労もあります。

日本税理士会連合会は、「税理士」の英語訳について、次のような方針をとっています。
①「税理士」の英語訳は、現行のCertified Public Tax Accountantとする。
②使用場面により、「税理士」のローマ字表記「ZEIRISHI」を使用することとする。その場合、必要に応じて英語訳Certified Public Tax Accountantを併記することとする。

日税連が英語訳を定めたのは1970年のこと。しかしその後、「この英語訳が税理士の職業を適切に表しているか、外国人に理解されやすいか等の疑義が出されて」(国際交流 | 日本税理士会連合会 より)きたために、2011年に、新たにこうした方針を決めたのでした。

ここには、「公認会計士(Certified Public Accountant)や弁護士(Lawyer, Attorney at law,ほか)など、世界に普遍的に存在している職業と異なり、他国に例をみない日本独自の税務専門家を包括的に表す適切な英語訳を見出すことは極めて困難」(国際交流 | 日本税理士会連合会 )だという現実が、反映しています。

各国の制度を見てみよう

それでは、日本に似た制度を取り入れている国は、どのようにそれを運用しているのでしょうか?

ドイツ

ドイツにおける税理士制度の歴史は古く、「1919年、ライヒ租税通則法第88条2項において、税務署長は納税義務者の代理人を許可することができると規定されたことに由来する」とされます。各地に税理士会があり、その連合組織(ドイツ連邦税理士会)が存在するのも、日本と同じですね。
ただし日本とは違い、業務の独占は徐々に緩和され、弁護士が会社の顧問として税務に携わったりすることが認められ、実際にそういった例が珍しくないようです。2000年には、外国人弁護士にその門戸が開かれるところまで“自由化”が進みました。

中国

中国の「注冊税務師」は、税理士のような税務代理・税務コンサルティングなどの業務を行います。彼らは個人として営業することはできず、資格とは別に、事務所(法人)として税務局から営業許可を取る必要があります。
税務に関して「税務師法」のような法律は制定されていません。税務所の職員である専管員の存在が大きいこともあって、税務師による業務独占もないのです。
ちなみに専管員は、税務相談に乗るなど納税者の申告を指導する立場にあります。

韓国

韓国の税務士は、中国の税務師と違い「士業」です。すなわち、税務士法でその資格が明確に定められており、税務士試験に合格するか、公認会計士資格を有する者ないし弁護士資格を有する者しか、税務に関する独占業務に踏み込むことは許されていません。
そういう意味では、日本の制度に最も近いと言えるのではないでしょうか。ちなみに日本でも、公認会計士と弁護士は、登録すれば税理士として活動できます。
かつては、外国人は税務士になれないという「国籍条項」が資格取得要件に盛り込まれていましたが、現在は撤廃されています。つまり、日本人が韓国で税務士の資格を持つことも可能…というわけです。

オーストラリア

オーストラリアの税理士は、有償独占資格(日本は無償独占)です。
どういう意味かというと、日本では「税務の代理」などの仕事は、たとえ無償=お金をもらわなくても、することができません。
しかしオーストラリアでは、対価を受け取らなければ誰でも他人の申告書を作ったりすることができるのです。逆に言えば、税理士になれば、お金を取ってそうした仕事ができるということです。

彼らは、正確には「登録税理士(Registered Tax Agent)」と呼ばれています。税理士業務を行うには、各州にある「税理士委員会(Tax Agents’ Board)」に申請し、審査に合格し、登録しなければならないところからそう呼ばれます。
人口が2,000万人程度のオーストラリアに、日本に匹敵するおよそ6万人の税理士がいると言われる理由は、オーストラリアでは個人はすべて確定申告が必要なため。8割以上の納税者が登録税理士のお世話になっているそうです。オーストラリアでは税理士が非常に身近な存在なんですね。

まとめ

弁護士や会計士と違い、日本の税理士は、ある意味で“特異な存在”でした。日本なども参考に、税理士制度を確立しようという国々がある一方、もしかするとグローバル化の進展が、今後の日本の税理士制度に影響を与えるようなことがあるかもしれません。

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