税務調査の基本から対応方法まで徹底解説!いつ来てどこまで調べる?

税務調査の基本から対応方法まで徹底解説!いつ来てどこまで調べる?
最終更新日:
2025/10/30
この記事の監修者
佐藤大貴税理士事務所 所長 佐藤大貴(税理士)
 
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税務調査は、企業や個人事業主にとって避けて通れない手続きです。本記事では、税務調査の基本的な流れから、調査が入りやすい時期やケース、必要な書類、調査中の注意点、そして指摘を受けた場合の適切な対処方法を詳しく解説します。日頃からの準備と正しい対応方法を学び、税務調査に冷静に対応できるよう備えましょう。

税務調査とは?

税務調査とは、納税者(法人や個人事業主など)が提出した確定申告書の内容が、正しく申告・納税されているかを確認するために、国税庁(税務署・国税局)が行う調査のことです。税務調査には「任意調査」と「強制捜査」の2種類があります。詳しく見ていきましょう。

税務調査は任意である

税務調査と聞くと、ドラマや映画の「マルサ」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。あれは、国税局査察部が行う強制調査です。多額の脱税が疑われる会社などに対して、その証拠固めのために行われるもので、その場で調査を拒むことはできません。
これに対して、多くの事業者が経験するのが、税務署の行う一般調査です。これは任意調査ですから、理論上は拒否することも可能なのです。ただ、税務署は税法に基づいた調査権限を持っていて、正当な理由のない調査拒否には罰則規定もあることを、頭に入れておいてください。

任意捜査

任意捜査とは、税務署の調査官が納税者の同意を得て行う一般的な税務調査です。事前に連絡があり、納税者は法的には拒否することも可能ですが、正当な理由なく拒否すると推計課税や重加算税のリスクがあります。調査では帳簿書類の確認や質問が行われ、申告漏れなどが発見された場合は修正申告や追加納税が必要となります。日常的な税務調査のほとんどがこの任意捜査に該当し、適切な記録管理と誠実な対応が重要です。

強制捜査

強制捜査とは、国税局査察部(通称「マルサ」)が悪質な脱税の疑いがある場合に、裁判所の令状に基づいて強制的に行う調査です。納税者の同意は不要で、通常は予告なく早朝に査察官が訪問し、関連書類やデータ、現金などの差し押さえが行われます。刑事事件としての調査であり、脱税が認められた場合は追徴課税だけでなく、刑事告発され懲役刑や罰金刑などの刑事罰が科される可能性があります。

税務調査は何のために行われる?

法人税や所得税などは、納税者が納税額を計算して申告する「申告納税制度」が適用されています。その申告が事実に基づき正しく行われたものかどうかを確認するのが、税務調査の目的です。もしこの仕組みがなければ、脱税が多発し、真面目な納税者がバカを見る状況が生まれるかもしれません。そうなれば、「税の公平性」は失われ、申告納税制度自体が維持できなくなってしまいます。
そのようなことにならないよう、税務署は必要に応じて調査を行い、脱税や税務上の誤りが発見された場合には追徴課税を行います。逆に言えば、正しい申告をしている限り、税務調査を恐れる必要はありません。

税務調査が入りやすい時期とケース

税務調査は、年度末や確定申告後など、特定の時期に集中する傾向があります。特に、決算期が終わった後の3〜6ヶ月の間に調査が行われることが多いです。また、税務調査が入りやすいケースとしては、以下のような状況が挙げられます。

1.異常な経費計上や収益の急激な変動

前年と比較して経費が大幅に増加している場合や、売上が急激に増減している場合は、税務署から不正を疑われる可能性があります。特に、他の同業者と比較して大きな差異がある場合は、税務署が注目しやすくなります。

2.業種特有のリスク

飲食業や建設業など、現金取引が多い業種は、売上の過少申告や経費の不正計上が発生しやすいと見なされ、税務調査の対象になりやすいです。特に、現金取引の多い事業者は、記録を正確に残していないと疑われることが多く、税務署のターゲットになりやすいです。

3.過去の税務調査で指摘を受けたケース

一度指摘を受けた企業や個人事業主は、その後も監視対象として扱われることが多く、再度税務調査が行われることがあります。過去に不正や誤りが発見された場合、それが解消されているかどうかを確認するため、再度調査が行われることがあります。

税務調査の流れや対応の基本

税務調査は、基本的に税務署から税理士に事前通知の連絡が入ることから始まります。具体的な流れやその際に用意すべきことを確認しましょう。

税務調査の流れは?

一般調査では、強制調査のように調査官が突然やってくるということは、基本的にありません。税理士に税務申告を依頼している場合には、税務署からまずその税理士に連絡が入るのが普通です。その流れを簡単に示しておきましょう。

STEP1. 税務署からの事前通知

税務署から調査の連絡が入ります。一般調査では、強制調査のように調査官が突然やってくるということは、基本的にありません。税理士に税務申告を依頼している場合には、税務署からまずその税理士に連絡が入るのが普通です。

STEP2. 調査日程の決定

税務署と納税者(税理士)との間で、調査の日程調整を行います。

STEP3. 帳簿書類の事前準備

調査に向けて必要な帳簿類や関連書類を準備します。

STEP4. 税務調査の実地調査

税務調査が実施されます。通常2~3日間で、過去3期分くらいの帳簿などを調べます。

STEP5. 税務署からの調査結果と指摘事項の説明

税務調査後、税務署から「申告に誤りがある」などの指摘があります。もちろん、税務調査の結果、当初の申告に問題はなかったという「申告是認」になることもあります。

STEP6. 税務署の指摘に対する回答・協議

指摘内容に納得できる場合は修正申告を行い納税します。納得できない場合は税務署と協議を行います。税務署との協議で、指摘された事項の一部だけを認めて修正申告することで決着する、といったこともありえます。協議でも合意に至らない場合、税務署が更正を行います。

STEP7. 修正申告書の提出と追徴課税の納税

足りなかった税金を支払います。自ら修正申告する場合でも更正でも、過少申告加算税や、悪質な税逃れの場合にかけられる重加算税などのペナルティが別途課せられることになります。本来の納付期限から遅れたぶんの延滞税も覚悟しなくてはなりません。

更正とは、税務署が強制的に不足額を決定することです。これに納得がいかない場合には、その決定に異議を申し立てて、国税不服審判所(※)の裁決を仰ぎ、さらには訴訟を提起して争えます。
もちろん、税務調査の結果、当初の申告に問題はなかったという「申告是認」になることもあります。税務署との協議で、指摘された事項の一部だけを認めて修正申告することで決着する、といったこともありえるのです。

一方、足りなかった税金を支払う際には、自ら修正申告する場合でも更正でも、過少申告加算税や、悪質な税逃れの場合にかけられる重加算税などのペナルティが別途課せられることになります。本来の納付期限から遅れたぶんの延滞税も覚悟しなくてはなりません。

※国税不服審判所:税務署や国税局などの執行機関から分離された別個の機関として、国税に関する法律に基づく処分に対する審査請求について採決を行う機関。

税務調査の通知が来たらすべきこと

税務調査の通知が来たら、調査に必要な書類や資料を準備します。
通常、税務調査では過去3年~5年分の申告が正しいかどうかを確認するため、過去3年~5年分の書類や資料を準備しなければなりません。準備する書類は、会社の業種や形態などによって異なりますが、一般的には次のような書類や資料が必要とされます。

  • 申告書
  • 各種帳簿(現金帳、売上帳、総勘定元帳など)
  • 請求書・納品書など
  • 領収書
  • 賃金台帳、源泉徴収簿
  • 棚卸表
  • 議事録など

過去の書類を倉庫などで保管しているという企業もありますが、税務調査で書類や資料の提示を求められたらすぐに出せるように、手元に用意しておきましょう。

税務調査が始まった…気を付けるべきポイントは?

税務調査が始まった場合、まず冷静に対応することが重要です。調査官への対応は適切でなければならず、質問には正確に答えるようにしましょう。ただし、必要以上に情報を提供することは避けるべきです。過度な情報提供は、調査官の誤解を招き、さらに詳細な調査を呼び込むリスクがあります。

税務調査で申告の誤りが指摘された場合の対処方法

税務調査の結果、申告内容に誤りがあると指摘された場合、迅速に対応することが求められます。以下は、指摘を受けた場合の一般的な対処方法です。

1.指摘の内容を確認する

税務署からの指摘内容を正確に理解し、不明点があれば調査官に質問します。理解が不十分なまま対応すると、後にさらに問題が発生する可能性があります。

2.修正申告の手続きを行う

誤りがあった場合、修正申告を行い、不足分の税金を納めます。この際、遅延損害金や加算税が課されることがあります。修正申告の際には、追加の書類提出が求められることもありますので、事前に準備を整えておきましょう。

3.専門家に相談する

税務の専門家である税理士に相談し、指摘に対する最適な対応策を検討します。特に、罰則のリスクが高い場合は、税理士の助言を受けることが重要です。税理士のアドバイスを受けることで、調査官との交渉がスムーズに進むこともあります。

監修者

佐藤 大貴

監修税理士からのワンポイントアドバイス

税務調査で大切なことは、税務調査官の質問等に真摯に対応することです。
税務調査と聞くと、気構えてしまいそうですが、税務調査官は必ずしも悪意を持って来るわけではありません。
そして、税務調査は、企業規模にもよりますが、1日から3日で終わるのが、一般的です。税務調査官も上記スケジュール感で来ていますので、延長せず、求められた資料や回答をおこない、協力姿勢を示すことが大切です。
こちらの対応次第で心証が良くも悪くもなります。心証が良ければ、多少の間違いは、修正申告ではなく、指導程度で済む可能性もあります。
絶対にやってはいけないことは虚偽の対応や書類の偽装をおこなうことです。こういったことをおこなった場合、最も重い罰則である重加算税が課される場合もあります。

税務調査に備えて税理士紹介会社を利用しよう

税務調査時には、税理士のサポートが非常に役立ちます。税理士は、調査官との交渉や書類の整備、修正申告の手続きなど、専門的なサポートを提供します。しかし、税理士を自分で探すのは時間と手間がかかります。そこで、税理士紹介会社を利用することをお勧めします。税理士紹介会社は、納税者のニーズに合った税理士を短期間でマッチングしてくれるサービスを提供しています。

まとめ:税務調査に備えるための総括

税務調査に備えるためには、日頃からの帳簿管理の徹底、正確な申告、そして税理士紹介会社を活用して信頼できる税理士を見つけることが重要です。税務調査は誰にとっても不安なものですが、適切な準備と専門家のサポートがあれば、スムーズに対応することが可能です。税務調査に備えて、事前にしっかりと対策を講じておきましょう。

この記事の監修者
佐藤大貴税理士事務所 所長 佐藤大貴(税理士)
上場企業会社で経理・事業部管理を約11年勤務の後、2023年4月に佐藤大貴税理士事務所開設。リモート等で全国のお客様に対応しております。一宮市から全国へをモットーに、小さく早く切れ目なく対応し、お客様の期待に応えられるよう、常に精進しております。

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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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