歯科医院の税務調査とは?実際の流れと対策を税理士に聞いてみた

歯科医院の税務調査とは?実際の流れと対策を税理士に聞いてみた
最終更新日:
2026/02/25
この記事の監修者
おだね税理士事務所
代表 小田根 大輔(税理士)
 
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歯科医院への税務調査では、保険診療と自費診療の併存、技工所との取引、金属冠の売却など、歯科特有のチェックポイントが数多く存在します。個人診療所で約10年に1度、医療法人で約3〜5年に1度の頻度で実施される税務調査ですが、事前に適切な準備をしておけば過度に恐れる必要はありません。本記事では、税理士監修のもと、歯科医院の税務調査の流れと実際に指摘されやすい項目について解説します。

歯科医院の税務調査の基礎知識

歯科医院への税務調査は、個人診療所で約10年に1度、医療法人で約3年に1度を目安に実施されます。調査対象として選定される主な理由は、開業後一定期間の経過、前年比で急激な所得増加、経営比率の際立った変化、同業他社との比較による乖離、第三者からの情報提供などです。歯科医院特有のポイントとして、自費診療の収入計上、クレジットカード決済の処理、予約表と日計表の整合性、撤去金属冠の売却収入、技工所との取引記録、歯科材料の在庫管理などが重点的にチェックされます。税務調査は通常「任意調査」として事前通知があり、税理士の立ち会いが可能です。

歯科医院の税務調査の実態を解説

歯科医院は保険診療と自費診療が混在し、技工所への外注や金属冠の売却など、一般的な事業所とは異なる特徴があります。ここからは、実際に寄せられた質問をもとに、歯科医院の税務調査について詳しく解説していきます。

歯科医院に税務調査が来る頻度や理由?

質問: 歯科医院には実際どれくらいの頻度で税務調査が来ますか?どのような場合に調査対象として選ばれますか?

小田根大輔先生

個人診療所は約10年に1度、医療法人は約3年に1度が目安です。ただし、前年と比較して所得が急激に増加した場合、開業から3〜5年経過した時期、消費税の還付を受けた場合などは早期に調査対象となる可能性があります。
例えば、院長の入院で一時的に所得が落ち込んだ後、診療時間延長や日曜診療で大幅に回復したケースでは、その増加幅に注目されます。税務署は保険診療報酬の推移を把握しているため、医業収入と申告所得の整合性、同業他社との経営比率の比較なども選定基準となります。第三者からの情報提供によって調査が実施されることもあるため、日頃から適正な経理処理を心がけることが重要です。

歯科医院の税務調査はどのような流れ?

質問: 税務調査の連絡が来てから終了するまで、どのような流れになりますか?

小田根大輔先生

事前通知→準備期間→調査当日→調査結果の説明・終了手続きの順で進みます。まず税務署から電話または書面で事前通知があり、調査日程・対象期間・必要書類が伝えられます。
顧問税理士がいる場合は税理士に先に連絡が入ることもあります。通知を受けたらすぐに税理士に連絡し、診療日と重なる場合は休診日への変更交渉も可能です。準備期間中に帳簿・申告書・請求書・領収書・通帳・予約表・日計表などを整理してください。
調査当日は調査官が医院を訪問し、通常1〜2日間かけて帳簿や書類を確認します。調査官からの質問には正確に回答し、必要な書類を迅速に提出しましょう。調査終了後、申告内容に誤りがあった場合は指摘事項のフィードバックがあり、「修正申告」を求められます。これに応じない場合は税務署長から更正処分を受けます。一方、問題が全くない場合は、税務署から「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書(いわゆる是認通知書)」が送付され、無事に調査終了となります。

歯科医院の税務調査で特にチェックされるポイントは?

質問: 歯科医院の税務調査でチェックされやすい特有の項目や、実際に指摘を受けやすいポイントを教えてください。

小田根大輔先生

収入面では、保険点数と収入金額のズレ、自費診療の収入計上時期、撤去金属冠の売却収入除外、予約表と日計表の不一致が最重点項目です。社保・国保等からの入金+窓口負担金(保険点数×10円)と実際の収入を照合し、家族や従業員への窓口負担金免除による未計上がないか確認されます。これが見つかると売上漏れだけでなく、免除額が「現物給与」とみなされ源泉所得税の追徴課税に発展するリスクもあります。
自費診療はインプラントや矯正治療など高額で治療期間も長いため、収入計上時期が適切かチェックされます。撤去した金属冠を業者に売却した収入が雑収入として計上されているか、予約があるのに売上が計上されていないケースがないかも調査対象です。
経費面では、家計費の混入、勤務実態のない親族への給与支払い、歯科材料の在庫計上漏れ、交際費の過大計上、専従者給与額と業務内容の不均衡などが問題となります。技工所からの納品物が期末在庫として処理されているか、技工所に預けている金属(預け在庫)も確認されます。カルテの閲覧や技工所・金属買取業者への反面調査も実施される場合があります。

税務調査の事前準備としてできることは?

質問: 税務署から調査の連絡が来ました。事前にどのような準備をしておけばよいですか?

小田根大輔先生

帳簿・書類の整理、顧問税理士への連絡、調査日程の調整を速やかに行ってください。まず顧問税理士に連絡し、税理士の立ち会い日程を確認します。税務代理権限証書が提出されていれば税理士が同席できます。調査日が診療日と重なる場合は休診日への変更も交渉可能です。
準備する書類は、申告書控え、総勘定元帳、請求書・領収書、通帳、給与関連書類、予約表、日計表、金庫やキャビネットの整理などです。保険診療と自費診療の収入記録、技工所への発注・納品記録、金属冠売却の入金証明、歯科材料の在庫リストも用意してください。特に保険点数と収入の整合性、自費診療の収入計上時期、家族や従業員への窓口負担金免除の処理、棚卸資産の計上状況を確認しましょう。
調査担当官の部署・氏名・連絡先も必ず控えておいてください。

税務調査当日の対応は?

質問: 調査当日、調査官にはどのように対応すればよいですか?注意点があれば教えてください。

小田根大輔先生

正確に回答し、必要書類を迅速に提出する姿勢を保ち、感情的にならず冷静に対応してください。調査官は質問検査権を持っているため、質問に対して黙秘や虚偽の申告をすると罰則の対象となります。収入の証明や経費の詳細については内容をきちんと説明できるよう準備しておきましょう。わからないことは曖昧に答えず、税理士に確認してから回答する姿勢が重要です。雑談にも注意が必要で、調査官は何気ない会話から経理操作の矛盾を突いてくることがあります。
カルテの閲覧を求められた場合、守秘義務との兼ね合いで対立することもありますが、自費収入の計上漏れチェックが目的であるため、求められた最低限のカルテは開示せざるを得ません。ただし、税理士が間に入り、患者の病歴などプライバシーに関わる部分は付箋等でマスキングするなどの配慮を求めつつ開示に応じるのが実務上は一般的です。調査は通常1〜2日間で終了し、後日調査結果について通知されます。

まとめ

歯科医院の税務調査では、事前通知から調査当日、結果通知までの流れを理解し、適切な準備を進めることが重要です。保険点数と収入金額のズレ、自費診療の収入計上時期、撤去金属冠の売却収入、予約表と日計表の整合性など、歯科特有のチェックポイントを押さえておきましょう。個人診療所は約10年に1度、医療法人は約3~5年に1度の調査に備え、日頃から正確な記帳と書類保管を心がけてください。調査当日は税理士の立ち会いのもと、冷静かつ誠実に対応することで、円滑に調査を終えることができます。
歯科医院の税務や経営に関する専門的なサポートが必要な方は、歯科医院に強い税理士への相談をおすすめします。

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この記事の監修者
おだね税理士事務所
代表 小田根 大輔(税理士)
業界歴15年間で、法人・個人事業主の顧問業務、申告(法人税、消費税、所得税、相続税)業務のほか、財務・税務のデューデリジェンス業務、公益法人の顧問業務、M&Aや事業承継業務など、幅広い業務に携わってまりました。これらの経験を通じて、企業の成長と発展には、税務・会計の専門家としてのサポートが不可欠であることを確信しております。また、企業経営には、常に様々な課題がつきものです。税務・会計に関するお悩みはもとより事業に関することまで、どうぞお気軽にご相談ください。お客様の立場に寄り添い、最善のサポートをさせていただきます。

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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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