介護事業の税務調査はいつ来る?選定基準と介護業界特有の注意点を解説

介護事業の税務調査はいつ来る?選定基準と介護業界特有の注意点を解説
最終更新日:
2026/03/26
この記事の監修者
おだね税理士事務所
代表 小田根 大輔(税理士)
 
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介護事業の税務調査は、調査対象になりやすいタイミングと介護業界特有の指摘ポイントを把握しておくことが対策の基本です。開業後3年まではリスクが低い一方、事業が軌道に乗り売上が伸びてきた時期から選定されやすくなります。調査で頻出する指摘はヘルパーの源泉徴収処理の誤りや介護報酬と保険外収入の消費税区分ミスです。税理士の解説も交えながら詳しく見ていきましょう。

介護事業者で税務調査の対象になるケースは?

税務調査の対象は「KSK(国税総合管理システム)」によって機械的に絞り込まれます。各法人が提出した申告書・決算書・勘定科目内訳書などのデータを一元管理し、3期比較や同業他社比較を自動で行うシステムです。税務署はKSKが抽出した候補の中から、実際の調査対象を選定します。
主な選定基準は、長期間調査が入っていない法人、売上に対して所得が著しく少ない法人、売上が急増しているにもかかわらず利益が伸びていない法人、決算書の勘定科目に前年比で異常な増減がある法人の4点です。また、前回調査で重加算税が課された法人や大規模法人は、これらの基準と無関係に3〜4年周期で定期調査が実施されます。
一般的に開業後3年(3期)までは税務調査の可能性は低い傾向にあります。税務調査は通常、過去3期分をさかのぼって行われるため、申告の蓄積が十分でない段階では選定されにくい構造です。事業が軌道に乗り利益が安定してきたタイミングから、選定リスクは徐々に高まると考えてください。

介護事業の税務調査での実態や注意点は?

介護事業の税務は一般の法人と異なる特有のポイントが多く、経営者が把握しておくべき事項が数多くあります。ここからは、実際に介護事業者から寄せられた疑問をもとに、介護事業の税務調査の実態について監修税理士の先生に詳しく伺っていきましょう。

介護事業特有の調査で指摘されやすいポイントは?

質問: 介護事業ならではの税務調査での指摘事項にはどのようなものがありますか。

小田根大輔先生

最も多いのがヘルパー・介護職員の源泉徴収税の処理誤りです。給与から差し引く源泉徴収税を誤った税額表(月額表・日額表の使い分けミス)で計算していたり、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出漏れがあると、不足額の追加納付が求められます。
また、介護保険サービス(保険請求分・利用者負担分ともに非課税)と保険適用外の自費サービス収入(原則課税)の消費税区分の誤りも頻出です。外部研修講師への謝金や個人事業者への報酬における源泉徴収漏れも指摘対象になります。

介護事業は税務調査が多いって本当?

質問: 介護事業は他の業種と比べて税務調査が入りやすいと聞きますが、実際のところはどうでしょうか。

小田根大輔先生

税務調査の頻度が業種別に公表されているわけではないため、「介護事業は特に多い」と断言することはできません。ただし、介護報酬が国保連経由で支払われる構造上、税務署は売上金額を把握しやすく、申告内容との乖離が生じると目につきやすい業種であることは確かです。
また、訪問介護や送迎車両など事業の活動が地域で可視化されやすい点も、税務署が実態を把握しやすい要因の一つです。「調査が多い」というより、申告内容の検証がしやすい業種と理解しておくのが正確です。日頃の帳簿管理を適切に行っていれば過度に心配する必要はありません。

社会福祉法人に税務調査が入るケースはある?

質問: 社会福祉法人を運営していますが、法人税がかからない法人でも調査が入ることはありますか。

小田根大輔先生

あります。社会福祉法人であっても、職員への給与支払いがある以上、源泉所得税の調査は通常の法人と同様に実施されます。収益事業を営んでいなければ法人税の申告義務はありませんが、給与・役員報酬・外部講師への謝金などを支払う場合は源泉徴収が義務です。
調査では「給与所得者の扶養控除等申告書」の整備状況、通勤手当の非課税限度額の適用誤り、評議員・理事会出席者への日当の源泉処理などが確認されます。源泉徴収税は給与支払いのたびに発生するため、日常的な整備が不可欠です。
また消費税の調査も要注意です。本来の社会福祉事業は非課税ですが、自動販売機の手数料収入や駐車場の貸付、売店販売などの課税売上が発生している場合、消費税の課否判定や仕入税額控除、さらには特定収入がある場合の仕入税額控除の制限などを確認されることがあります。「収益事業を行っているのに、法人税の申告をしていないのではないか」という視点での確認が入ることもあるため、非課税法人であっても日常的な帳簿の整理は不可欠です。

税務調査に備える日頃の対応と実際に来たときの対応は?

質問: 税務調査の連絡が来たとき、経営者はどのように動けばよいですか。また、日頃から何を準備しておくべきですか。

小田根大輔先生

日頃の備えとして最も重要なのは、顧問税理士との契約を結んでおくことです。税務調査は任意調査であり、事前に日程の連絡が入るのが通常です。顧問税理士が日常的に帳簿を把握していれば、連絡を受けた時点ですぐに立ち会いを依頼でき、調査当日も税務署との対応をスムーズに進められます。調査当日、経営者は質問に対して最低限の回答にとどめ、詳細な説明は税理士を通じて行う形が望ましいです。脱税がなくても、不用意な発言から経費否認や交際費認定が生じるケースがあります。「調べてからご回答します」と伝える姿勢が有効です。

介護事業の税務調査に強い税理士の選び方は?

質問: 税務調査対策も含めて、介護事業に強い税理士を選ぶ基準を教えてください。

小田根大輔先生

介護報酬の会計処理・消費税の課否判定・ヘルパー給与の源泉処理など、介護業界固有の実務経験が豊富かどうかが最重要です。加えて、税務調査の立ち会い実績があるか、調査時に迅速に対応できる体制があるかも確認してください。顧問税理士が日常的に帳簿を把握していれば、調査当日も税務署との対応をスムーズに進められます。税理士との面談時に「介護事業の調査対応事例はあるか」と直接確認することで、実力を見極めやすくなります。

まとめ

介護事業の税務調査は、ヘルパーの源泉徴収処理・消費税の課否区分・介護保険サービスと保険外サービスの区分管理と自己負担の区分管理という3点を軸に、日常的な会計管理の精度が問われます。開業後3年までは調査リスクが低いものの、事業が軌道に乗り始めたタイミングから選定リスクは高まります。税務調査の連絡が来てから動くのでは遅く、顧問税理士との日常的な関係が最大の対策です。
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この記事の監修者
おだね税理士事務所
代表 小田根 大輔(税理士)
業界歴15年間で、法人・個人事業主の顧問業務、申告(法人税、消費税、所得税、相続税)業務のほか、財務・税務のデューデリジェンス業務、公益法人の顧問業務、M&Aや事業承継業務など、幅広い業務に携わってまりました。これらの経験を通じて、企業の成長と発展には、税務・会計の専門家としてのサポートが不可欠であることを確信しております。また、企業経営には、常に様々な課題がつきものです。税務・会計に関するお悩みはもとより事業に関することまで、どうぞお気軽にご相談ください。お客様の立場に寄り添い、最善のサポートをさせていただきます。

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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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