経理のアウトソーシング「やめとけ」と言われるけどその実態は?よくある失敗を解説

経理のアウトソーシング「やめとけ」と言われるけどその実態は?よくある失敗を解説
最終更新日:
2026/04/22
この記事の監修者
おだね税理士事務所
代表 小田根 大輔(税理士)
 
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「経理の外注を検討しているが、ネットで"やめとけ"という声を見て不安になった」という経営者は少なくありません。「やめとけ」と言われる主な理由は、コスト想定の甘さ・経営数字把握の遅延・情報漏洩リスクの3点に集約されます。ただし、これらは委託先の選び方と導入前の準備次第で十分に回避できます。この記事では、実際に起きやすい失敗パターンと、税理士目線での対策を具体的にお伝えします。

経理アウトソーシングでのメリット・デメリット

経理アウトソーシングとは、記帳・請求書処理・給与計算・月次決算補助などの経理業務を外部の専門業者に委託することです。人材採用の困難化を背景に中小企業でも広がっており、ある調査では回答企業の約7割が何らかのバックオフィス業務でアウトソーシングを活用、なかでも経理・会計・税務への委託が最も多いとされています。

一方で「失敗した」「やめとけばよかった」という声が絶えないのも事実です。問題の多くは、「経理業務を丸投げできる」という期待と、実際の委託範囲・業者の対応力との間に生じるギャップから起きます。経営者への取材の中では、「指示と確認で結局自分でやる以上に時間が取られた」と嘆く声も少なくありませんでした。

なお、税務申告・年末調整における税務書類の作成、税務判断は税理士の独占業務であり、これらまで依頼したい場合は税理士が在籍する業者を選ぶことが法律上の必須条件となります。

経理アウトソーシングでよくある質問

経理アウトソーシングは、一般の経理実務と異なる特有のリスクがあり、経営者が事前に把握しておくべきポイントが数多くあります。ここからは、実際に寄せられた質問をもとに、経理アウトソーシングの実態について監修税理士の先生に詳しく伺っていきましょう。

経理アウトソーシングが「やめとけ」と言われる理由は?

質問:経理アウトソーシングを検討していますが、ネットで「やめとけ」という声を多く見かけます。何が問題なのでしょうか?

小田根大輔先生

小田根大輔先生

主な理由は4つです。
①期待していた業務範囲と実際の対応範囲のミスマッチ
②経理数字の把握の遅れや、ノウハウが社内に蓄積されないこと
③資料提出のやり取りなどコミュニケーションコストの増加
④機密情報の漏洩リスク

これらは事前準備と業者選びで防げますが、「丸投げすれば解決する」という認識のまま導入すると失敗リスクが高くなります。

アウトソーシングで経営数字が見えなくなるのは本当?

質問:知人の経営者から「経理を外注したら試算表が数カ月単位で遅れるようになった」と聞きました。本当にそんなことが起きるのですか?

小田根大輔先生

小田根大輔先生

実際によく起きます。社内に経理担当がいれば「今の業績をすぐ見たい」が叶いますが、外注先は経営者が請求書や領収書を送らない限り動けません。送付が少し遅れるだけで試算表は数週間後になり、気づけば3カ月分・半年分の経営数字が後追いになるケースもあります。黒字なのか赤字なのかさえリアルタイムで把握できなくなり、経営判断が「出たとこ勝負」になるのが最大の落とし穴です。ただし、近年はクラウド会計の活用により、適切な運用を行えばリアルタイムに近い形で数字を把握することも可能です。

「安い業者を選んだら情報が漏れた」という失敗はなぜ起きる?

質問:価格の安いアウトソーシング業者を選んだ結果、情報漏洩トラブルに発展したという事例を聞きました。なぜそのような事態が起きるのでしょうか?

小田根大輔先生

小田根大輔先生

低価格を売りにする業者ほど、セキュリティや人員体制にコストをかけていない傾向があるためです。さらにコスト削減のため、外部へ業務を再委託しているケースも少なくありません。また、秘密保持の徹底やデータのアクセス制限が甘く、管理がずさんになりやすいことも考えられます。経理データには取引先情報・社員の給与情報など極めて機密性の高い情報が含まれます。業者選定は価格だけで判断せず、再委託の有無、ISO27001などの情報セキュリティ認証の取得有無、秘密保持契約(NDA)の締結可否を必ず確認することが不可欠です。

コミュニケーション不足で請求書が遅れた場合、どんな問題が起きる?

質問:外注先との連絡ミスで請求書の発行が遅れ、取引先との関係が悪化したと聞きました。こうした失敗はなぜ起きるのですか?

小田根大輔先生

小田根大輔先生

外注先との業務フローのすり合わせ不足が原因です。「月末締め・翌営業日発行」というルールを社内では当然の前提としていても、委託先に正確に共有されていなければ締め日を守れません。請求書の発行遅延は取引先の支払業務に多大な迷惑をかけて信頼関係を損なうだけでなく、自社への入金遅れにも直結します。アウトソーシング開始前に、締め日・提出スケジュール・緊急時の連絡フローを書面で合意し、定期的な確認ミーティングを設けることが再発防止の基本です。

業務範囲の不一致でコストが膨らむのはどんなケース?

質問:「経理を外注したらコスト削減どころか費用が増えた」という話を聞きます。具体的にどのような状況で発生するのでしょうか?

小田根大輔先生

小田根大輔先生

契約時に想定していなかった業務が後から発生したことによる追加料金や見えない社内コストが積み重なってしまうケースが最も多く見られます。例えば、事業拡大で月次の仕訳件数が増えて超過料金が発生した、紙の書類をスキャンして送る手間が生じ社内工数がかかった、現金管理は外注対応できず経営者が毎月銀行へ足を運ぶことになった、などです。さらに「外注を管理する社内担当者」の人件費も発生します。契約前に追加料金の発生条件を細かく確認し、複数社の見積もりを比較することが対策の第一歩です。

経理アウトソーシングで失敗しないために最初にすべきことは?

質問:これらのリスクを踏まえた上で、経理アウトソーシングを成功させるために導入前に必ずやっておくべきことを教えてください。

小田根大輔先生

小田根大輔先生

最初にすべきことは「何のためにアウトソーシングするか」という目的の明確化と、現在の業務を洗い出して「何を外注して何を社内に残すか」を仕分けることです。また、経営判断を遅らせないためにも、経営数字の把握サイクル(月次での試算表提出タイミング)は必ず契約に盛り込んでください。次に、セキュリティ認証・実績・追加料金条件を軸に複数社を比較し、スモールスタートで対応品質を確かめながら委託範囲を広げる進め方が失敗リスクを最小化する確実な方法です。

まとめ

経理アウトソーシングの「やめとけ」という声の背景には、経営数字が遅延する構造的リスク・コスト膨張・情報漏洩・コミュニケーション不足の4つの要因が挙げられます。いずれも、導入前の目的整理と業者選びの精度を上げることで防げる問題です。一方で、委託範囲を明確にした上で信頼できる業者と連携すれば、人材不足の解消と業務効率化を同時に実現できます。
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この記事の監修者
おだね税理士事務所
代表 小田根 大輔(税理士)
業界歴15年間で、法人・個人事業主の顧問業務、申告(法人税、消費税、所得税、相続税)業務のほか、財務・税務のデューデリジェンス業務、公益法人の顧問業務、M&Aや事業承継業務など、幅広い業務に携わってまりました。これらの経験を通じて、企業の成長と発展には、税務・会計の専門家としてのサポートが不可欠であることを確信しております。また、企業経営には、常に様々な課題がつきものです。税務・会計に関するお悩みはもとより事業に関することまで、どうぞお気軽にご相談ください。お客様の立場に寄り添い、最善のサポートをさせていただきます。

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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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