「資金繰り」とは? どうしたら健全に保てる?
資金繰りの基本とポイント、資金繰り表について解説

「資金繰り」とは? どうしたら健全に保てる?  資金繰りの基本とポイント、資金繰り表について解説
公開日:
2020/10/05
最終更新日:
2021/01/18
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「会社の資金繰りが悪化して倒産した」というニュースを、時々耳にすると思います。それくらい経営にとって大事なものらしいけれど、そもそも「資金繰り」ってどういうこと?どうしたら健全に保てるの?今回は、個人事業主にとっても重要な意味を持つこのテーマについて解説します。

そもそも資金繰りとは?

「資金繰り」という言葉からは、漠然と”事業のお金をやり繰りすること”というイメージが浮かぶのではないでしょうか。それで正解なのですが、経営に生かすためには、もう少しだけイメージを明確にしておく必要があります。

「資金」とは、現金や預貯金など「すぐに使えるお金」を指します。
例えば、保有する上場株式は、すぐに現金化することが困難です。同様に棚卸資産・貸付金・売掛金・不動産などは「資産」ではあっても、資金ではないのです。
「やり繰り」は、この資金の収入と支出を管理して、上手に運用すること。

噛み砕くと、資金繰りとは、「すぐに利用できる金銭を常にキープできるよう、先を見通した事業運営を行っていくこと」と定義できます。

収支・キャッシュフロー・資金繰りの関係とは?

もちろん、収益の減少が続けば、それ自体が資金繰りの悪化につながります。その結果、事業の継続が困難になることもあるわけです。ただ、会社は必ずしも“ボロボロの赤字”になって倒産するとは限りません。それどころか、日本では、毎年潰れる会社の半分近くが、黒字決算にもかかわらず立ち行かなくなる、というパターン。

なぜ黒字倒産が起こるのか?

黒字か赤字かを示す指標が「収支」です。これは、収入と支出(経費など)の事実を数字にしたもので、資金繰りとイコールではありません。「今月も黒字になりそうだから大丈夫」というスタンスで事業を運営するのは、実は危険なのです。

例えば、今月100万円の物が売れたら、帳簿上は今月の売上に100万円が計上されます。しかし、現実には即金払いというのは稀で、実際にお金が入るのは2ヵ月、3ヵ月後になるはず。その間、手元の資金は増えません。融資を受けた金融機関への返済が迫っているのに、気付いたら現金が乏しくなっていた……。このように、売上が立っているのに資金繰りの悪化を招くケースは、決して珍しいものではないのです。

キャッシュフローと資金繰りは別々に考えよう

同じように事業のお金の流れを示す指標として、「キャッシュフロー」がありますが、これも資金繰りとは別ものと考えてください。簡単に言えば、キャッシュフローは、すでに発生したお金の動きを表します。一方、それも踏まえながら今後発生する金銭の流れを把握するのが、資金繰りです。あくまでも「すぐに使えるお金」を基準に、数ヵ月、半年先までの見通しを具体化するわけです。

資金繰りを改善させるには?

当然、収益が悪化すれば、資金繰りも悪化します。その原因が、外部環境の悪化や取引先の倒産といった不可抗力の場合もあるでしょう。ただ、事業主自らの資金繰りに対する不理解や判断ミスから、それを悪化させてしまうこともあります。注意したいポイントを挙げてみました。

そもそも資金の現状を把握しているか?

目先の収支や受注状況などばかりに目が行って、「使えるお金」を十分把握していないと、突然やり繰りに困る事態になりかねません。まずは、足元をチェックしてみましょう。

経費を見直す

いわずもがなのことですが、「無駄な経費」を使っていては、お金は残りません。今あるものが本当に必要な出費なのか、という視点で見直してみては。もちろん、新たに備品を購入したり、投資を行ったりする場合にも、「費用対効果」を十分検討する必要があります。

取引先との関係を考える

さきほども説明したように、資金繰りの悪化=資金ショートは、モノやサービスの提供から入金までにタイムラグの発生することが、大きな要因となっています。取引先との契約に際しては、「売上の回収はできるだけ早く」、一方「仕入、経費の支払いはできるだけ余裕をみて」という内容を念頭に、交渉すべきでしょう。

また、立場の弱いフリーランスなどの場合には特に、「口約束」ではなくきちんと契約書を交わしておくことが重要です。

資金調達でミスしない

事業を回していく上で、どうしても外部からの資金調達が必要になることもあるでしょう。その際も、「足りないから借りる」というのと、「資金繰りの計画に基づいて調達する」というのでは、可能な選択肢も含めて大きな差が出ます。

融資を受けるには、国や自治体の公的融資であれ、民間金融機関から借りるのであれ、審査などにある程度の時間が必要です。また、借りる以上、実行可能な返済計画をしっかり固めておかないと、あとあと苦しくなってしまいます。

事業資金の全部または一部を支援してもらえる各種の補助金制度を利用する、という方法もあります。新型コロナの拡大に対応したさまざまな補助金、給付金なども設けられました。ただ、制度によっては膨大な文書の提出を求められたり、入金までにかなりの時間を要したりといったネックのあることは、認識しておかなくてはなりません。

しっかり節税する

税金も、しっかりチェックすべき出費です。適切に節税できれば、それだけ多くのお金を残せるでしょう。ただし、「節税ありき」で不要不急の経費を計上したりすることは、お勧めできません。結果的に手持ち資金を削ることにしかならず、文字通り自分で自分の首を絞めるようなものだからです。

流れをつかむツール「資金繰り表」を作成しよう

最後に、述べてきたような資金繰りを円滑に行うための「資金繰り表」について説明しておきましょう。これは、貸借対照表、損益計算書などの決算書とは違い、あくまでも自らの事業のために活用するツールですから、決まったフォーマットなどもありません。

資金繰り表の記入方法は?

基本的には、次のような項目について、先の予定も含め、最低1ヵ月単位で記入していきます。

(1)事業活動による収支(①-②)

①収入

現金での売上、売掛金の入金など

②支出

現金仕入れ、買掛金の支払い/給与、家賃、水光熱費などの販売管理費/税金の納付など

(2)財政収支(③-④)

③収入

借入金の借り入れ/固定資産の売却など

④支出

借入金の返済/固定資産の購入など

資金繰り表を作るメリットとは?

この表を作成することで、例えば

  • (1)-(2)で、「当月手元に残る資金」=「次の月に繰り越す資金」が、正確にわかる
  • (1)で事業活動そのものによる資金の増減が把握できる。減少が予想されれば、例えば③でカバーを検討
  • (1)がプラスなのに当月全体がマイナスであれば、④の問題が把握できる

といったメリットが期待できるでしょう。

まとめ

資金繰りとは、「事業にすぐに使えるお金を確保するためのマネジメント」のこと。状況を正確につかむためには、「資金繰り表」の作成が有効です。ただし、主観に頼っていると、見落としがあるかもしれません。必要に応じて、税理士など第3者のサポートを受けつつ、万全を期すようにしましょう。

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