女性税理士を選ぶメリット・デメリットとは?女性税理士の現状と働き方も解説

女性税理士を選ぶメリット・デメリットとは?女性税理士の現状と働き方も解説
最終更新日:
2025/08/27
 
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女性税理士の現状と特徴

女性税理士の割合と推移

日本税理士連合会の統計によれば、2023年時点で全国の女性税理士は約1万4,000人(全体の約18%)となっています。2010年頃は14%前後にとどまっていたため、ここ10年余りで数も割合も確実に増加していることがわかります。
また、税理士試験合格者に占める女性比率は近年25〜30%で推移しており、今後も女性税理士の存在感はより高まると見込まれます。女性活躍推進の流れや多様な働き方の浸透も、こうした傾向を後押ししています。

税理士の男女比率

女性が税理士をキャリアとして選ぶメリット

女性が税理士という資格を目指す背景には、家庭やライフステージに合わせやすい制度や、男女差が少ない専門職という特徴があります。代表的なメリットを整理すると、以下のようになります。

  • 科目合格制で計画的に学習できる:税理士試験は“一発勝負”ではなく1科目ごとに合格を積み上げる方式です。そのため、出産や育児、仕事と両立しながら自分のペースで受験を進められます。ライフイベントの多い女性にとって、この柔軟性は大きな魅力です。
  • 男女差が少ない専門職:税理士は知識やスキルで評価される実力主義の世界です。デスクワーク中心で体力差の影響も小さく、仕事内容や待遇で性別による不利が少ないとされています。成果を積み重ねることで男女問わずキャリアを築けます。
  • 復職がしやすい:国家資格を持っていれば、出産や育児、介護で一時的に仕事を離れても復帰しやすいのが特徴です。実際に「子育て後に会計事務所に復職」「ブランクを経て独立開業」といった事例も多く、長期的にキャリアを継続できます。
  • 全国どこでも働ける:税理士は国家資格であり、日本全国で活動が可能です。配偶者の転勤に伴っても、新しい土地で開業や勤務ができるため、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方を実現できます。
  • 定年がなく長く働ける:一般企業のような定年制度がなく、健康と意欲があれば長く活躍できるのも大きな強みです。人生の後半で再スタートを切っても十分にキャリアを築ける安心感があります。

このように、税理士という職業は「自分の努力や能力を活かしながら、ライフステージに応じた柔軟な働き方ができる」点で女性にとって魅力的なキャリアパスです。資格を通じて、働き方も人生設計も自分らしく組み立てやすいという特徴があります。

女性税理士の働き方やキャリア

女性税理士がどのような働き方をしているか

女性税理士の働き方は非常に多様です。独立開業して自分の事務所を経営する人もいれば、会計事務所や監査法人で勤務する人、さらには企業内税理士として経理・財務部門に所属する人もいます。
近年では、家庭やライフスタイルに合わせてパート勤務・時短勤務・リモートワークといった柔軟なスタイルを選ぶ人も増えています。例えば、子育て中は在宅ワークで申告業務を受託し、子育てが落ち着いた段階でフルタイム勤務に移行するといった働き方が可能です。
こうした柔軟さは、出産・育児・介護などのライフイベントを迎える女性にとって大きな強みとなっています。

女性税理士のキャリアパス

税理士試験が科目合格制であることは、キャリア形成を考えるうえで大きな魅力です。合格までの過程をライフイベントに合わせて調整できるため、長期的な視点で資格取得を目指すことができます。
合格後のキャリアパスも幅広く、会計事務所勤務から独立開業へのステップアップ、相続や国際税務など専門分野に特化して活躍するケース、また出産や介護で離職した後に復職・再スタートを切るケースもあります。
実際に、数年のブランクを経て復帰し、オンライン講座や研修で最新知識を補強して活躍している女性税理士の事例も少なくありません。女性税理士同士のネットワークや全国女性税理士連盟などの支援も、キャリア再構築を後押ししています。

女性税理士の年収

国税庁や求人調査などによれば、税理士全体の平均年収は600〜800万円程度とされています。ただし、働き方によって収入は大きく異なります。
独立開業して法人顧客を多く抱える場合は年収1,000万円を超えるケースも珍しくありません。一方で、時短勤務やパート勤務を選択した場合は年収が300〜400万円台にとどまることもあります。
また、男女の年収差は存在しますが、それは性別によるものではなく勤務形態やキャリア選択の違いによる影響が大きいといわれています。
年収アップの工夫としては、専門分野を持つこと、顧問契約単価を上げること、企業向けコンサルティング業務に進出することなどが挙げられます。女性税理士は自分のライフプランに合わせて収入の伸ばし方を選べる職業といえるでしょう。

女性税理士が直面しやすい課題と解決策

このように、働き方やキャリアの自由度が高いことは女性税理士の大きな魅力です。しかし一方で、自由度の高さの裏には女性ならではの課題や悩みも存在します。 ここからは、実際に多くの女性税理士が直面する問題と、その解決の糸口を見ていきましょう。

ワークライフバランスの難しさ

確定申告の時期になると、深夜までの残業が続き「家庭の時間を削ってしまった」と悩む声は少なくありません。小さな子どもを育てながら税理士業務を担う場合、精神的な負担も大きくなりがちです。
解決策: 最近ではクラウド会計やチャットでの顧客対応など効率化ツールを活用する事務所も増えています。外注やパートナーと業務をシェアすることで、繁忙期の山を一人で抱え込まない仕組みを整えることが有効です。

時短勤務や育休復帰の課題

「制度はあっても、周囲の理解が足りず思うように時短勤務ができなかった」という経験談もあります。育休後に復帰しても、仕事量や顧客対応の調整に苦労し、キャリアを中断してしまう人もいます。
解決策: 全国女性税理士連盟などのコミュニティで情報交換を行い、実際に時短勤務や復帰を成功させた事例を参考にするのが効果的です。職場内に理解者を増やし、制度を「形だけ」で終わらせない工夫が求められます。

男性社会でのプレッシャー

税理士業界はいまだ男性が多数派です。「女性だから頼りないのでは」といった先入観に直面し、自信を揺さぶられるケースもあります。顧客の一言で落ち込む経験を語る女性税理士も少なくありません。
解決策: 自らの強みを打ち出すことが重要です。例えば相続や資産税など、女性ならではの細やかな対応が求められる分野で実績を積み重ねると、性別に関わらず専門家として評価されやすくなります。

ブランクからの復帰

出産や介護で数年離職すると、「税制が変わっていてついていけないのでは」と不安を感じる方も多いです。特に会計ソフトの進化が早く、自信を失ってしまうこともあります。
解決策: 定期的に研修やオンライン講座を受講し、最新の制度やツールに慣れておくことが安心につながります。地域の税理士会や女性ネットワークでは、復職経験を共有する場もあり、孤独感を抱えずに再スタートを切る後押しになります。

女性税理士に依頼するメリットとは?

あるベテランの女性税理士さんが、「私は、出産、育児、さらには夫の親の介護を経験しました。それが今の仕事に生きています」という話をされていました。女性税理士には、女性ならではの強みがあるとも言えますが、実際に依頼する際にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

顧問契約をする場合のメリット

相談がしやすい

税金のプロである税理士にも、さまざまなタイプの方がいます。
いかにも大ベテランの先生といったタイプの税理士に、「これは経費になるのでしょうか?」といった相談は気が引けてしまいがちです。
人当たりがソフトな女性税理士には、気軽に何でも聞きやすいというメリットがあります。また税理士側としても、依頼者がそういった相談をしてくれることで、要望に対して細やかな対応ができるという利点があります。

特に女性の経営者にとって、本音を語りやすい

「女性の気持ちがわかる」ということが信頼感につながることもあります。
自らも女性として専門職を選び、独立・開業した税理士からは、税金・お金のことだけでなく、色々なアドバイスを受けられるかもしれません。

「男社会で頑張る」という気概に満ちていて、能力も高い

女性税理士が増えたといっても、上記の図の通り、女性税理士はまだまだ珍しい存在です。そうした環境で仕事をしていこうという女性たちですから、その気概には期待できます。能力面も決して男性に引けを取りません。
ちなみに税理士試験の合格率では、例年女性が男性を上回っていますので、今後は女性税理士が更に増えることが予想されます。

会社の経理担当者と良好なコミュニケーションを築きやすい

少し大きな規模の会社になると、税理士と最も接触する機会が多いのは「社内の経理担当者」というケースもあるでしょう。経理担当が税理士と良好なコミュニケーションを築くことは、会社にとって大きなプラスになります。女性の経理担当者でも接しやすいのではないでしょうか。

相続を依頼する場合のメリット

女性の相続人にとって、やはり同性は話しやすい

相続には、財産状況のほか親族の人間関係をはじめ、プライベートな事情がさまざまに絡みます。特に女性の相続人は、そういったことを男性の税理士にあけすけに話しにくい場合もあるでしょう。

きめ細やかな対応をしてもらえる

デリケートな問題が生じやすい相続だからこそ、きめ細やかな対応がより重要になります。上記の「相談しやすさ」からくる柔軟な対応もメリットの一つと言えます。

話し合いをソフトにまとめる

1つ間違えば親族間で骨肉の争いになってしまうのが相続です。女性税理士が、場を和ませながら遺産分割の話し合いを進めることで、そうした事態を防ぐことができるかもしれません。

決算・確定申告を依頼する場合のメリット

決算や確定申告を女性税理士に依頼する場合も、メリットが多いです。
人当たりがソフトな女性税理士には、気軽に何でも聞きやすいというメリットがあります。これは、決算や確定申告を依頼する際にも同じことが言えます。決算や確定申告でわからないことがある場合も、女性税理士は気軽に何でも相談できる雰囲気のある人が多いです。

単発依頼でも柔軟に対応してくれるケースが多い

また、特に個人事業主の場合は、確定申告のみを税理士に依頼したいというケースもあります。女性税理士は、顧問契約ではなく決算・確定申告のみの依頼でも、柔軟に対応してもらえることが多いです。

女性税理士に依頼するデメリットはある?

メリットが多い女性税理士ですが、逆にデメリットはあるのでしょうか?
以下は想定できるデメリットです。

想定されるデメリット

なんとなく頼りなさを感じる

「きめ細やかさ」「話しやすさ」の裏返しとして、こうした印象を抱くことがあるかもしれません。ただ、そういった「頼りなさそうな税理士」であっても、実際に依頼してみたらしっかり対応してくれたというケースも多々あります。

「女性を下に見る」ような人に対しては、逆効果にも

上記の通りメリットとして「相続の話し合いを和ませる」と言いましたが、相続人の中に男尊女卑タイプの人がいた場合には、まともに話を聞いてもらえないこともあり得ます。
税理士と契約後にトラブルを起こさないためにも、契約前に「この税理士に依頼する」という旨を親族に伝えておく必要はあるでしょう。

継続してみてもらえない可能性もある

税理士が、出産や育児、介護、病気で仕事を一時的に離れる、というケースもあります。
税理士はそのような一時的なブランクから復帰しやすい職業ではありますが、顧問契約をしている方は、そのような場合どうするかも考えなくてはいけません。
ただ、男性税理士であっても、それは同じです。万一、税理士側の事情で顧問契約が継続できなくなった場合はどうするか、契約時に確認しておく必要はあります。

女性の税理士が少ないため依頼できる人が限られる

女性の税理士は、今後増えていくことが予想されます。しかし、現状では男性税理士よりも女性税理士の方が少ないです。

女性税理士に依頼したいと考えていても、会社や事務所の近くに女性税理士がいない、複数の女性税理士を比較検討し、より自社に合った女性税理士に依頼することができないといったデメリットがあります。

実際に会って、自分のニーズと一致するかを確かめよう

以上、女性税理士とひとくくりにして述べてきましたが、もちろん個人差はあります。男性でも、女性同様きめ細やかな仕事をする税理士さんもいるでしょう。
最終的には、実際に会ってみて、自分のニーズに叶うのかどうかを見極める必要があります。

女性税理士への依頼を検討中の方へ

年々、女性税理士の数は増えています。実際に女性税理士を希望する場合は、実績のある税理士紹介会社を通じて探すこともできます。

よくある質問

女性税理士を選ぶメリットは何ですか?

女性税理士のメリットには、相談のしやすさ、特に女性経営者にとって本音を語りやすいこと、きめ細やかな対応が期待できることなどがあります。また、税務や経理の担当者と良好なコミュニケーションを築きやすい点も挙げられます。

女性税理士を選ぶデメリットはありますか?

デメリットとしては、頼りなさを感じる場合があることや、相続人に男尊女卑の傾向がある場合に話が進みにくいことがあります。また、出産や育児で仕事を一時的に離れる可能性も考慮する必要があります。

女性税理士の割合はどのくらいですか?

2016年の調査では、女性税理士の割合は14.4%でした。年々増加しており、今後もこの傾向は続くと予想されています。

女性税理士に依頼する際のポイントは何ですか?

女性税理士に依頼する際は、自分のニーズと合うかどうかを確かめるために、実際に会ってみることが重要です。また、紹介サービスを利用して信頼できる税理士を見つけるのも良い方法です。

女性税理士が選ばれる理由は何ですか?

女性税理士が選ばれる理由には、柔軟な働き方ができること、デスクワーク中心で男女差が少ないこと、女性ならではのきめ細やかな対応が求められることなどがあります。また、国家資格であるため、全国どこでも働ける点も魅力です。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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