海外に住む人が頼む「納税管理人」を税理士に依頼するメリットは?

海外に住む人が頼む「納税管理人」を税理士に依頼するメリットは?
公開日:
2020/07/20
最終更新日:
2020/10/02
 
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急に海外赴任が決まったけれど、その間の日本国内の納税はどうしたらいいのだろう?そんなときには、あなたに代わって必要な事務処理や手続きをしてくれる「納税管理人」に、すべてを任せることができます。でも、誰にどうやって頼めばいいの?注意すべき点は?わかりやすく解説します。

納税管理人とは?どのような場合に依頼できる?

例えば日本の会社に勤めているサラリーマンが、1年以上の予定で海外支店などに転勤する場合、一般的には所得税法上の「非居住者」の扱いになります。
原則として、赴任先で得た所得については、その国で課税されるため、日本国籍を持ったままであっても、日本で課税されること(二重課税)はありません。
ただし、非居住者であっても、日本国内で発生した一定の所得については、引き続き日本で課税され、確定申告が必要になることに注意する必要があります。

確定申告の対象になるケースは?

確定申告の対象になるのは、例えば次のような場合です。

  • 海外に居住することになる年の1月1日から出発日までの間に、日本国内で給与以外の一定の所得を得ていた(保険金なども含む。給与は勤務先で年末調整が行われるため、確定申告は不要)
  • 海外に居住後、国内にある不動産を貸し付けて所得を得たり、日本国内に持つ資産を譲渡して所得を得たりした
  • 国内上場企業の株式を保有し、日本国内でそれを売却した

所得税関係以外でも、日本国内での申告・納税が必要なケース

  • 相続が発生し、相続税の納税義務が生じた
  • 贈与税の納税義務が生じた
  • 1月1日時点で日本に不動産を所有していたために、固定資産税の納税義務が生じた
  • 1月1日時点で日本に居住していたために、住民税の納税義務が生じた

厄介な手続きを代行してくれるのが「納税管理人」

このような場合、その都度帰国して、申告や納税の手続きを行うことはもちろん可能です。ただ、現実問題としては難しい方も多いはず。そこで、そうした手続きを代行してくれる納税管理人の選任が認められているのです。

納税管理人がいる場合といない場合の違いとは?

あらためてまとめると、海外に住む納税者に代わって、税務申告書類の提出、各種税務関係書類の受領、国税の納付または還付金の受領を行うのが、納税管理人の仕事です。
選定に際しては、非居住者となる人の納税地を所轄する税務署長に、納税者と納税管理人それぞれの氏名、住所などを記した「納税管理人届出書」を提出する必要があります。
この「届出書」は、日本を出国する前に提出するのが基本。その提出自体も、納税管理人に頼むことができます。

実は、この届出書を出すか否かで、確定申告のやり方が変わります。

納税管理人がいる・いないは、確定申告の手続きに影響する

納税管理人を選んだ場合には、「その年の1月1日から出国までに得た全所得」と、「出国の翌日から12月31日までに得た国内源泉所得(家賃収入など、日本国内で確定申告が必要になる所得)」の合計額を、翌年の確定申告時期(原則として2月16日~3月15日)に、納税管理人を通じて申告します。

しかし、納税管理人がいない場合には、1月1日から出国までの給与以外の所得については、出国前に確定申告を済ませる必要があります。なおかつ、それをした場合にも、「その年の1月1日から出国までに得た全所得」と、「出国の翌日から12月31日までに得た国内源泉所得」について、翌年の確定申告時期に申告しなくてはなりません。つまり、2度手間になる、ということです。

納税管理人は誰に依頼したらいい?

では、この納税管理人は、誰に頼んだらいいのでしょうか?
管理人という仰々しい名前が付いていますが、特に資格などは必要なく、「居住地が日本」であれば誰がやっても問題ありません。個人でも法人でもOKです。

確定申告書の作成等も依頼したい場合は、税理士を納税管理人にしよう

ただし、単なる書類の受け取りなどにとどまらず、確定申告書の作成や、節税などの税務相談を頼む場合には、税理士資格を持った人を選ぶ必要があります。それらは、税理士のみに認められている「独占業務」だからです。
「税のプロ」である税理士に納税管理人を頼んでおけば、間違いが起こらず安心できる、というのも大きなメリットです。海外という離れた場所から仕事を依頼するわけですから、余計な「心配事」は極力減らしたいもの。日本国内で、ある程度の納税機会がある(予想される)場合には、税理士を納税管理人に選んでおくことをお勧めします。

納税管理人を解任する場合は?

なお、納税管理人を解任する場合にも、税務署への「解任届」の提出が必要です。税務を代理・代行するという重要な権限を付与しているわけですから、その必要がなくなったときには、確実に解任の手続きを取るようにしましょう。

まとめ

海外に移住したり、赴任したりして非居住者になっても、日本で確定申告などが必要になる場合があります。そんなときには、自分に代わってそれらの手続きを行ってくれる納税管理人を選ぶことができます。「安全・確実」を重視するならば、専門家である税理士に依頼するのがいいでしょう。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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