グループ通算制度とは?連結納税制度との違いやメリット・デメリットや導入のポイントと税理士の役割
- 最終更新日:
- 2025/10/27

- この記事の監修者
- Vmaster税理士事務所
所長 松田 光弘(税理士)
連結納税制度・グループ通算制度とは?
企業グループの損益を通算して税負担を平準化する仕組みとして、2022年4月1日以後開始事業年度からグループ通算制度が導入されています。連結納税制度は、通算制度への見直しにより、各社は個別申告・個別納税を行いながら、グループとして通算調整・按分を実施する方式に再設計されました。
制度の概要と目的
連結納税制度とは、親会社と完全支配関係にある子会社からなる企業グループを一つの納税単位として、法人税を計算・申告する制度です。完全支配関係とは、親会社が子会社の株式を100%保有しており、意思決定を完全に支配できる関係を指します。2002年に導入された制度で、グループ全体の経営実態に即した課税を実現することを目的としています。
この制度では、各子会社の所得と欠損を通算し、グループ全体での課税所得を算出することで、税負担を軽減できます。
| 【重要な注意点】 2022年4月1日以後に開始する事業年度からは新規に連結納税を選択できません。連結納税の適用グループは原則自動的にグループ通算制度へ移行しています(みなし承認)。本記事では、従来制度である連結納税の仕組みを解説した上で、現行のグループ通算制度との違いも詳しく紹介します。 |
単体納税・連結決算との違い
単体納税制度との最大の違いは、損益通算の可否です。単体納税では各法人が独立して申告・納税するため、黒字法人と赤字法人を相殺できません。一方、連結納税は親会社が一括申告・納税、通算制度は各社が個別申告・納税しつつ通算調整を行い、いずれもグループ全体で税負担の最適化が可能です。
混同しやすいのが会計上の連結決算との違いです。連結決算は株主への財務報告のために作成される会計上の制度で、投資と資本の相殺消去や内部取引の消去など、会計上の連結調整を行います。これに対し、連結納税・グループ通算制度は税務上の制度であり、法人税の計算方法に関わるものです。連結決算を行っているからといって自動的に適用されるわけではなく、別途申請が必要となります。
連結納税とグループ通算制度の違い
2022年4月から導入されたグループ通算制度は、従来の連結納税制度を抜本的に見直した現行制度です。両制度の主要な違いを理解し、既存適用企業や新規検討企業が押さえるべきポイントを整理します。
制度の背景と導入時期
グループ通算制度は、2022年4月1日以後に開始する事業年度から適用されている制度です。従来の連結納税制度が企業グループの実態に合わない部分や、過度な事務負担が指摘されていたことから、より柔軟で使いやすい制度として設計されました。
2022年4月以降、既存の連結納税適用グループは原則自動的にグループ通算制度へ移行され(みなし承認)、新たに連結納税制度を選択することはできません。これから制度適用を検討する企業は、グループ通算制度のみが選択肢となります。
適用対象となる企業グループ
適用できる企業グループは、完全支配関係にある法人同士で構成されます。通算親法人となれるのは、内国法人のうち普通法人または協同組合等(※1)です。公益法人等や人格のない社団等、内国法人の完全子会社は親会社になれません。
通算子法人は、通算親法人による完全支配関係がある内国法人のうち普通法人または協同組合等(※2)が対象です。
国内・国外の取扱いについては、国内法人のみが対象となります。海外子会社は通算制度の対象外です。海外子会社から受け取る配当については、外国子会社配当益金不算入制度の適用を検討することになります。
納税単位・申告方法の違い
最も大きな違いは申告・納税の単位です。
連結納税制度では、親会社がグループ全体を代表して一つの連結確定申告書を提出し、グループ全体の法人税を一括納付していました。各子会社は個別の申告書を提出せず、親会社が全責任を負う仕組みでした。
一方、グループ通算制度では、各法人が個別に確定申告書を作成・提出し、それぞれが納税します。ただし、損益通算などのグループ課税の仕組みは維持されており、各法人の申告内容を調整することで所得法人の税負担軽減が可能です。各法人が個別で申告することによって、親会社への過度な事務集中が緩和され、各社の自律性も保たれます。
時価評価課税と欠損金管理の違い
グループ通算制度においても、その開始及び企業グループへの加入に際して資産の時価評価課税及び欠損金の利用制限を行う取扱いは、連結納税制度と同様、基本的には維持されています。ただし、時価評価課税の対象外となる法人の要件は、次のとおり、組織再編税制における適格要件に整合するよう改められており、連結納税制度と比べて時価評価課税の対象となる法人の範囲が、(離脱時を除き)全体的に縮小されています。
| 開始時:連結納税制度では5年超の完全支配関係のある子法人(長期保有子法人)や適格株式交換等により完全子会社化された子法人等でなければ、時価評価課税の対象になっていましたが、グループ通算制度では親法人との間に完全支配関係の継続が見込まれる子法人であれば時価評価課税の対象外となります。 |
| 加入時:連結納税制度では法人の株式を金銭で購入して完全子会社化して連結納税グループに加入させた場合、その子会社は時価評価課税の対象法人となっていましたが、通算制度では適格組織再編成と同様の要件を満たすときには、時価評価課税の対象外となります。 |
| 離脱時:連結納税制度では子法人がグループから離脱する時に時価評価課税を行うことはありませんでしたが、グループ通算制度ではその子法人と完全支配関係を有する法人等において主要な事業を継続することが見込まれていない場合及び通算法人がその子法人の株式の譲渡等によって損失を計上することが見込まれる場合で一定の要件を満たすときには、離脱時に時価評価課税が行われます。 |
欠損金の取扱いも大きく変更されています。
連結納税制度では連結欠損金をグループ一括で管理しましたが、通算制度では通算欠損金を法人別に管理します。そして、通算グループ内の欠損法人の欠損金額を所得法人に配分します。欠損金の繰越期間が最長10年、控除限度が中小100%・大法人原則50%である点はグループ通算制度も連結納税制度も共通ですが、連結納税制度の控除限度額は連結所得金額を基準に計算するのに対し、グループ通算制度の控除限度額は各法人の所得金額を基準に計算する点が異なります。
グループ通算制度開始前の繰越欠損金の引継ぎには、他の通算法人と支配関係が5年超ある法人及び他の通算法人と共同事業を行う法人として一定のものに該当しない限り、一定期間特別な制限が設けられますので注意が必要です。
どちらを選ぶべきか(既存適用企業向け)
新規に制度適用を検討する企業は、グループ通算制度のみが選択肢です。既に連結納税を適用していた企業も、2022年4月以降は原則自動的にグループ通算制度へ移行しています。
グループ通算制度は、損益通算などの基本的なメリットを維持しながら、事務負担の軽減や企業再編時の柔軟性向上など、多くの改善が図られています。グループの規模や構成、今後の再編計画などを考慮して、制度適用を検討しましょう。
グループ通算制度のメリットとデメリット
グループ通算制度を導入することで得られる主なメリットや、注意すべきデメリットを整理します。グループ全体での税務最適化や、実務上の負担についても詳しく見ていきましょう。
損益通算・繰越欠損金の活用による節税効果
グループ通算制度の最大のメリットは、グループ内での損益通算です。黒字法人の所得から赤字法人の欠損を一部差し引くことで、黒字法人それぞれの課税所得を圧縮し、税負担を軽減できます。
例えば、
- 親会社に4,000万円の所得
- 子会社Aに3,000万円の欠損
- 子会社Bに2,000万円の所得
が生じた場合を考えます。
単体納税では
- 親会社の所得は4,000万円
- 子会社Bの所得は2,000万円
です。
グループ通算制度では、子会社Aの欠損3,000万円を親会社と子会社Bに所得金額の比率で按分して配分しますから、
- 親会社の所得は4,000万円-2,000万円(※3)=2,000万円
- 子会社Bの所得は2,000万円-1,000万円(※4)=1,000万円
となります。
ゆえに、グループ通算制度の導入により親法人の所得は4,000万円から2,000万円に、子会社Bの所得は2,000万円から1,000万円に減少しますので、各法人の税負担が軽減されます。ただし、子会社Aの欠損も3,000万円からゼロになるため、子会社A単体では将来の税負担が増える可能性があります。
特に事業拡大期や新規事業立ち上げ時に赤字が見込まれる子会社がある場合、その欠損を既存の黒字法人の所得と通算できる可能性があるため、グループ全体での投資効率を向上させることができるのが、グループ通算制度の利点と言えるでしょう。
ただし、その子会社との支配関係が5年以内(設立時から支配関係が継続している場合を除く)で、その子会社と通算法人との間に共同事業性がない場合には、その子会社の欠損金の通算に一定の制限がかかったり、特定資産(簿価1,000万円以上の固定資産など)の譲渡損失額等が損金不算入になったりすることがあり得ます。
したがって、グループ通算制度を導入していたとしても、例えばM&Aにより取得した子会社で事業拡大や新規事業を行う際には、欠損金・譲渡等損失の損金算入制限に関する要件を十分に確認する必要があります。
税額控除・キャッシュフロー改善
グループ通算制度では、試験研究費等の税額控除は、グループ全体で限度額等を算定し、各社の調整前法人税額の比率で按分適用します。単体納税よりグループ全体の控除可能額が増える場合もありますが、税額控除は最終的に各社の法人税額から行われる点に留意が必要です。
赤字会社のキャッシュフロー改善
グループ通算制度では、損益通算によってグループ全体の納税額を減少させることができます。赤字の子会社は欠損金を他の黒字法人にシェアするため単体の税負担が将来的には増加する可能性があるものの、グループ通算によりグループ全体の納税額を減少させることができれば、グループ全体のキャッシュフロー改善につながります。
この点ではグループ通算制度は黒字法人の税負担を軽減し、赤字法人への資金支援を行いやすくする効果があると言えますから、特に成長投資を続ける子会社にとっては、資金を事業に集中できる利点があります。
グループ通算制度のデメリットと注意点
メリットが多い一方で、グループ通算制度には導入時のコストや運用上の負担も存在します。導入を検討する際には、これらのデメリットも十分に理解しておく必要があります。
適用開始時の繰越欠損金の取扱い
グループ通算制度開始時における各法人の繰越欠損金の取扱いには制限があります。グループ通算開始前に各法人が有していた繰越欠損金は、一定の要件を満たさない場合、通算対象から除外される可能性があります。
連結納税制度からの移行の場合は比較的緩和されていますが、新規に制度を適用する場合は、各社の繰越欠損金の状況を詳細に把握し、適用開始のタイミングを慎重に検討する必要があります。繰越欠損金が多額にある場合は、専門家のシミュレーションが必要です。
なお、承認申請は最初の事業年度開始日の3か月前の日までが期限です。期末が迫るほどデータ固めと社内ルール整備(通算税効果の精算基準、締切、証憑設計)が逼迫するため、少なくとも1年前から逆算して準備するのが安全です。
繰越欠損金を保有している場合、グループ通算制度の導入ポイントは?

松田 光弘
税理士からのワンポイントアドバイス
繰越欠損金を保有する企業グループがグループ通算制度の導入を検討する際、税理士として最も重視すべき判断ポイントは、開始・加入前の繰越欠損金の取扱いが、制度導入後にどのような制限を受けるかの判定です。
この欠損金が、資産の時価評価課税の対象となる法人に該当することで切捨ての対象となるか、あるいは切り捨てられずに持ち込まれたとしても、特定欠損金(通算できない欠損金)となる制限を受けるかを慎重に確認する必要があります。
特に、この制限は他の通算法人との間に完全支配関係が5年超継続しているか、共同事業性が存在するか、支配関係発生日以後に新たな事業を開始するか、多額の償却費の額が生ずる事業年度に該当するか、など様々な条件に影響を受けます。繰越欠損金の持込み制限が適用されるか否かを事前にシミュレーションし、導入の是非と最適な導入時期を決定することが極めて重要です。
事務負担や申告手続きの複雑化
グループ通算制度では、各法人が個別に申告書を作成しますが、グループ内での損益通算計算や税額調整など、通算制度固有の処理が必要となります。
通算制度特有の調整には例として、以下のような項目があります。
- 交際費の定額控除限度額調整
- 通算制度の開始・加入に伴う離脱見込み法人株式の時価評価
- 試験研究費控除の控除額配分
- 欠損金の繰戻し還付の調整計算
- 通算税効果額の社内精算
各社の会計処理や決算スケジュールの調整、データ収集・確認の体制整備、多社間データ連携・申告品質管理など、税務担当者の専門知識やシステム投資が求められます。
制度利用時のリスクや注意点
グループ通算制度は、一度適用開始すると原則として取りやめることができません(一定の要件を満たせば可能ですが、制限があります)。
グループ通算制度においては通算法人の所得金額や法人税額の修正が、原則として他の通算法人の所得金額や法人税額の計算に波及しない仕組み(遮断措置)になっているものの、各通算法人はグループの連帯納付責任を負うため、単体納税と比べると税務リスクが高くなるのは確かでしょう。グループガバナンスや内部統制の強化も必要となります。
グループ通算制度の導入手順と税理士の役割
グループ通算制度の導入フローや必要な準備、税理士のサポート内容を具体的に解説します。導入効果の検討から実際の申請・運用までの流れをわかりやすくまとめます。
導入までのステップと準備事項
グループ通算制度の導入には、十分な事前準備と計画的な進行が不可欠です。一般的な導入フローは以下のとおりです。
ステップ1:現状分析とシミュレーション
まず、現在の各社の財務状況、繰越欠損金の有無、今後の事業計画を詳細に分析します。過去数年分のデータを用いて、グループ通算制度を適用した場合としない場合の税負担をシミュレーションし、導入効果を定量的に把握します。
この段階で、各法人の会計処理方法や決算日の確認も行います。決算日が異なる場合は統一を検討する必要があります。
ステップ2:社内体制の整備
グループ通算制度の実務を担当する組織体制を構築します。親会社の経理・税務部門の強化、各子会社との連携体制の確立、データ収集・管理のための社内ルール策定などが必要です。
また、会計システムや税務申告システムの見直し・導入も検討します。近年ではグループ通算制度対応の会計・申告システム(e-Tax連携含む)導入支援も重要です。税理士のサポートにより、システム面でのミスや遅延を防ぐことができます。
ステップ3:必要書類の準備と申請
グループ通算制度の承認申請書を、適用を受けようとする事業年度開始の日の3ヶ月前までに税務署に提出する必要があります。添付書類として、グループ通算制度の承認を受けようとする各法人の同意書、グループ内の組織図、各社の定款等が必要となります。
税務署の承認を受けた後、適用開始事業年度からグループ通算制度がスタートします。初年度はプロセスと社内ルール(通算税効果額の精算基準・締切・証憑設計)をドキュメント化しておくことが重要です。
グループ通算制度導入の実務ポイントと、初年度によくある失敗例

松田 光弘
税理士からのワンポイントアドバイス
グループ通算制度の導入を円滑に進めるために企業が最も注意すべき実務上のポイントは、グループ内各法人の会計・税務業務の品質を均一にすることと、グループ内各法人間のデータ連携を整備することです。
グループ通算制度は各通算法人の個別申告方式を基本としますが、単体納税とは違って損益通算等のグループ調整計算を行う必要が生じるため、各通算法人間で会計・税務業務の品質、すなわち速度や精度に差があると、グループ各社の会計・税務業務の進捗が滞る恐れがあります。
したがって、特にグループに加わってまだ日が浅い子会社がある場合や、グループ各社の独立性が高い場合には、まず業務とシステムの統合を進める必要があると言えるでしょう。
導入初年度によくある失敗例としては、グループ各社間で事業年度を統一しないことによる事務負担の増大が挙げられます。子法人の決算期が親法人と異なる場合、「みなし事業年度」が生じるため、子法人は実質的に決算を年2回行うことになり、事務負担の増大によって実務が逼迫する恐れがあります。
また、前年実績による中間申告でなく仮決算による中間申告を行う場合には、通算グループ内の全ての法人が仮決算を行わなければならないことにも注意が必要です。
税理士に相談するメリット
グループ通算制度の導入・運用には高度な専門知識が必要であり、税理士のサポートが不可欠です。税理士に依頼することで得られる具体的なメリットを見ていきましょう。
専門家ならではのアドバイス
税理士は、各企業グループの状況に応じた最適な導入タイミングや方法を提案できます。繰越欠損金の状況、グループ構成、事業計画などを総合的に分析し、導入すべきか否か、いつ導入すべきかを判断します。
また、単体納税の継続など他の選択肢との比較検討も行い、グループ全体の税務戦略を最適化するアドバイスを提供します。
導入手続きのサポート
承認申請書類の作成、税務署との折衝、各種届出書の作成など、煩雑な手続きを税理士が代行します。書類の不備や期限遅れによる申請却下を防ぎ、スムーズな導入を実現できます。
初年度の確定申告書の作成も、税理士のサポートがあれば安心です。グループ通算特有の調整計算や税額計算の複雑な処理を正確に行えます。
税務リスク回避と効率化
税理士は税制改正や最新の税務動向を常に把握しており、法令遵守の観点から適切なアドバイスを提供します。また、税務調査への対応や、グループ再編時の税務処理についても専門的なサポートが受けられます。
さらに、グループ通算制度に関する社内研修や、経理担当者への実務指導なども税理士に依頼できます。内部での税務知識の蓄積にもつながります。
導入後の運用・アフターフォロー
グループ通算制度は導入して終わりではなく、継続的な運用と定期的な見直しが重要です。税理士による継続的なサポート内容を確認しましょう。
年次の申告業務サポート
毎年の各法人の確定申告書作成、グループ通算計算、税額調整など、複雑な申告業務を税理士が継続的にサポートします。決算スケジュールの管理、各子会社からのデータ収集・確認、通算調整計算なども含まれます。
また、予定納税額の計算や、中間申告のアドバイスも受けられます。
制度変更時の対応
税制改正によりグループ通算制度が変更された場合、税理士が最新情報を提供し、必要な対応をアドバイスします。制度は導入後も継続的に見直しが行われる可能性があり、専門家のサポートが重要です。
グループ再編時の注意点
子会社の新規設立、買収、売却、合併など、グループ構成に変更があった場合の税務処理は特に複雑です。グループへの加入・離脱に伴う処理、欠損金の取扱い、申告調整やグループ調整計算など、専門的な判断が必要となります。
税理士に相談することで、グループ再編に伴う税務リスクを最小化し、最適な再編スキームを構築できます。事前のタックスプランニングにより、予期せぬ課税を回避できます。
まとめ
グループ通算制度は企業グループ全体での損益通算により大きな節税効果が期待できる一方で、繰越欠損金の取扱いや事務負担の増加といった注意点も存在します。2022年4月以降は連結納税制度に代わり、より柔軟なグループ通算制度が現行制度となっています。導入にあたっては、グループの財務状況や事業計画を踏まえた十分なシミュレーションと、専門家である税理士のサポートが不可欠です。
税理士紹介センターでは、グループ通算制度に精通した税理士を無料でご紹介しています。創業30年、20万件以上の相談実績を持つ専任コーディネーターが、4,200所以上の登録税理士事務所の中から最適な税理士を厳選いたします。お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q.連結納税とグループ通算制度の違いは?
グループ通算制度は2022年4月以降に導入された現行制度で、従来の連結納税制度を見直したものです。最大の違いは申告方法で、連結納税では親会社が一括申告・納税していましたが、グループ通算制度では各法人が個別に申告・納税します。損益通算などの基本メリットは維持されつつ、時価評価課税の対象法人の範囲の全体的な縮小など、より柔軟な制度となっています。現在新規適用する場合は、グループ通算制度のみが選択肢です。
Q.欠損金は無期限に繰り越せる?
いいえ。繰越欠損金の繰越期間は最長10年です(平成30年4月1日前開始事業年度に生じた欠損金は9年)。ただし、控除限度額については、中小法人は原則100%まで控除可能ですが、大法人は原則所得金額の50%が上限となります。期間と割合は別概念ですので混同しないよう注意が必要です。
Q.赤字会社の税額控除を親会社に移せる?
直接「移す」のではなく、通算グループ全体で限度額等を計算し、各社の調整前法人税額の比等で按分することができます。試験研究費の税額控除などが該当し、結果としてグループ全体の控除可能額が増えるケースがあります。最終的には各社の税額に適用される点に注意が必要です。
Q.グループ通算制度を導入する際の注意点は?
導入前の十分なシミュレーションが最も重要です。特に気を付けたいのは、各法人の繰越欠損金の持ち込み制限、赤字法人の欠損金の通算制限、事務負担の過小評価による経理部門の業務ひっ迫、グループ再編計画との整合性不足です。導入の1年以上前から検討を始め、税理士などの専門家に相談しながら計画的に進めることをおすすめします。
Q.税理士に依頼する場合の費用はどのくらいかかる?
費用感は、導入支援100〜500万円、年次申告300〜1,000万円超が一般的な目安です(規模・社数で変動)。費用は増加しますが、グループ全体での税務最適化による節税効果を考慮すると、費用対効果は高いといえます。

- この記事の監修者
- Vmaster税理士事務所
所長 松田 光弘(税理士)
事務所公式ホームページはこちら
- 税理士・税理士事務所紹介のビスカス
- 税理士探し相談ガイド
- 税理士・税理士探し >
- グループ通算制度とは?連結納税制度との違いやメリット・デメリットや導入のポイントと税理士の役割
