法人決算は税理士にいつ頼む?決算前後の相談から見えた年1決算の落とし穴
- 最終更新日:
- 2026/08/25

- この記事の監修者
- 髙谷公認会計士・税理士事務所
代表 髙谷 武司(税理士・公認会計士)
法人決算の相談が決算月の前後2ヶ月に集中する理由
法人税の確定申告期限は事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内と定められており(法人税法74条)、決算月が来た時点で残り時間は最長でも2ヶ月です。ビスカスに寄せられた法人からの相談のうち、決算月が明記されていたものを見ると、約7割が決算月の前後2ヶ月以内に寄せられていました。決算月の内訳は3月が最も多く全体の2割弱、次いで12月が続きます。つまり相談が動くのは「決算が視界に入った瞬間」であり、節税や資金対策を仕込める時期はすでに終わっているケースが少なくありません。
決算を区切りに税理士を入れ替える会社が多い
法人が税理士を切り替えるとき、区切りに使われるのは決算期です。「◯月決算から依頼したい」と期を明示して相談してくるケースは全体の1割を超えます。会計期間の途中で担当が変わると、前任者が入力した仕訳の考え方を新任者が引き継ぐ手間が発生し、二重に報酬が発生する可能性もあるためです。実際の相談でも「今期の決算は現在の税理士に依頼し、翌期から新しい先生へ」という形が定番の落とし所になっています。
年1回の関与のままにしている会社ほど相談が遅れる
決算のみ、あるいは年1回だけの関与を続けている会社は、問題の発見そのものが1年遅れます。ビスカスに寄せられた相談のうち「決算のみ」「年1回の関与」に触れたもののうち、約7割が月次の相談や提案を求めていました。実際の相談では、使途不明金が代表者貸付として処理され続けて残高が数千万円に膨らんでいた、決算前に「利益が出る」と言われて設備を購入したら結果は赤字だった、といった声が寄せられています。いずれも期中に数字を見る機会があれば防げたものです。
法人決算の依頼で経営者が迷うポイントを監修税理士に聞く
決算を税理士に任せるかどうかの判断は、費用の比較だけでは決まりません。依頼のタイミング、期中での交代の可否、前任者が対応できなくなった場合の対処など、実務上の制約が絡みます。ここからは、実際に寄せられた相談をもとに、法人決算の依頼で判断が分かれるポイントを監修税理士に伺います。
決算日を過ぎてから依頼しても間に合う?
質問:決算月を迎えてから税理士を探し始めても、申告期限までに終わりますか。

髙谷 武司先生
記帳が完了していれば間に合う可能性はありますが、余裕はありません。申告期限は決算日の翌日から2ヶ月以内で、税理士は資料の受領、内容の確認、申告書作成までをその期間内に収める必要があります。記帳が途中の状態から依頼する場合、1年分の入力作業が上乗せされるため断られることもあります。決算日の2〜3ヶ月前、遅くとも決算月に入る前に声をかけてください。
決算日を過ぎたあとでも節税はできる?
質問:決算日を過ぎてから相談した場合、税額を下げる方法は残っていますか。

髙谷 武司先生
決算日を過ぎた時点で、その事業年度の損益はほぼ確定しています。取れる手は、未払費用や未払賞与の計上漏れの確認、貸倒処理の要否、少額減価償却資産の判定など、すでに発生している事実を正しく計上し直す作業に限られます。決算賞与や設備投資といった能動的な対策は決算日までに確定させることが必要です。節税を目的にするなら、決算3ヶ月前の着地見込みの段階で相談してください。
今の税理士を解約して決算だけ別の税理士に頼める?
質問:現在の顧問税理士に不満がありますが、今期の決算から新しい税理士に依頼できますか。

髙谷 武司先生
可能ですが、期中の交代は費用と手間が増えます。前任者が期首から決算直前まで記帳していた場合、新任者はその内容を検証したうえで決算を組む必要があり、実質的に1年分を見直す作業になります。前払いした顧問料が返金されないケースもあります。相談現場でも「今期の決算までは現在の先生に依頼し、翌期から切り替える」という進め方が最も現実的です。
決算料が後から値上げされることはある?
質問:契約時の説明より決算料が高くなることはありますか。

髙谷 武司先生
あります。決算料は売上規模、仕訳数、消費税申告の有無で変動するため、期首の想定より取引が増えれば金額も上がります。ビスカスへの相談でも、顧問料の値上げをきっかけに変更を検討する会社が全体の約5%を占めています。契約前に、決算料が月額顧問料の何ヶ月分に相当するのか、消費税申告や年末調整が別料金かを書面で確認してください。金額の根拠を説明できない事務所は避けるべきです。
税理士が廃業して決算を頼む先がなくなったらどうする?
質問:顧問税理士が高齢で引退することになりました。決算はどうすればよいですか。

髙谷 武司先生
まず過去3期分の申告書控え、総勘定元帳、会計データ、固定資産台帳を準備してください。これらがないと、新しい税理士は繰越欠損金や減価償却の残高を引き継ぐことができません。前任者の高齢化や体調不良、廃業を理由とする相談はビスカスへの法人相談の約1割を占めており、決して珍しい事態ではありません。返却を拒まれた場合は、書面で期限を指定して正式に請求してください。
法人決算の申告期限は延長できる?
質問:2ヶ月では間に合いません。申告期限を延ばす方法はありますか。

髙谷 武司先生
定款の定めなどにより決算日から2ヶ月以内に定時株主総会を招集できない常況にある法人は、「申告期限の延長の特例の申請書」を提出することで法人税の申告期限を1ヶ月延長できます(法人税法75条の2)。ただし納付期限は延びないため、見込納付をしないと利子税がかかります。消費税は別途「消費税申告期限延長届出書」の提出が必要です。単に準備が遅れているだけでは適用されません。
まとめ
法人決算を税理士に任せるかどうかは、費用の比較ではなく相談のタイミングで結果が変わります。決算日を過ぎれば損益は確定し、打てる手は計上漏れの確認だけになるため、動くなら決算の2〜3ヶ月前です。切り替えは決算期を区切りにするのが最も摩擦が少なく、前任者からは過去3期分の申告書と会計データを必ず回収してください。年1回だけの関与を続けている会社ほど、問題の発見が1年遅れます。
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決算申告のみをスポットで依頼する場合の報酬相場、顧問契約との比較、必要書類の一覧については以下の記事で詳しく解説しています。
記帳から法人税申告までまとめて依頼したい場合は、記帳プランもご検討ください。

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