2024年NISAの新制度スタート!現行との違いやメリデメを解説 | MONEYIZM
 

2024年NISAの新制度スタート!現行との違いやメリデメを解説

2014年から始まったNISA(少額投資非課税制度)ですが、国民の長期・積立・分散投資による資産形成をより推進するため、2024年に制度が新しくなります。
 

ここではNISAの新制度について、現在の制度との違いやメリット・デメリットを解説します。
 

※記事の内容は2023年6月20日時点の情報を元に作成したものであり、現在の内容と異なる場合があります。

現行のNISA制度とは?

まずは、現行のNISA制度について確認しておきましょう。
 
株式や投資信託などの金融商品を購入し、運用することで得た利益や配当金には、通常約20%の税金がかかります。NISAは「NISA口座」で金融商品を購入し、運用で得た利益に対して一定期間、税金がかからないという制度です。
 

2014年から始まったNISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があります(つみたてNISAは2018年1月、ジュニアNISAは2016年4月から開始)。

一般NISA つみたてNISA ジュニアNISA
利用可能年齢 20歳以上
(2023年は18歳以上)
20歳以上
(2023年は18歳以上)
20歳未満
(2023年は0~17歳)
※1
対象金融商品
  • 上場株式
  • ETF(上場投資信託)
  • 公募株式信託
  • REIT(不動産投資信託)

など

長期・積立・
分散投資に適した
一定の投資信託
※2
一般NISAと同じ
年間非課税投資枠 上限120万円 上限40万円 上限80万円
非課税保有期間 5年間 20年間 5年間
買付方法 通常の買付、積立投資 積立投資 一般NISAと同じ
投資可能期間
(口座開設期間)
2014年~2023年 2018年~2037年 2016年~2023年
備考 1人1口座。一般NISAとつみたてNISAの併用は不可。
1年単位でどちらかを選択することは可能
新規購入ができるのは
12023年末まで
※1 両親や祖父母などが管理する。
※2 金融庁に届け出があるもの。

2024年から始まる新たなNISA制度のポイント

2024年1月から、新たなNISAがスタートします。現行NISAからの変更点は次の4点です。
 

①「一般NISA」の仕組みが変わる

現行の「一般NISA」に替わって「新しいNISA」が導入され、仕組みが変わります。

②「つみたてNISA」の投資可能期間が2042年までに延長

③ロールオーバーの仕組みが変わる

現行の一般NISA・ジュニアNISAを利用していると、非課税期間終了後に保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移せます。これを「ロールオーバー」といいます。一般NISAの仕組みの変更にともない、ロールオーバーの仕組みが変わります。

④ジュニアNISAの終了

新規でジュニアNISAの口座を開いて商品を購入できるのは、2023年末までです。2023年末までにジュニアNISAの口座を開いていれば、非課税期間終了まで制度を利用できます。
 
次からは、上記の①③について詳しく解説します。

新制度における「新しいNISA」とは

2024年1月から新しくなるNISAの制度ではジュニアNISAの新規購入ができなくなり、一般NISAの仕組みを変えた「新しいNISA」と現行の「つみたてNISA」の2つになります。
 

ここでは、新しいNISAの仕組みと、新しいNISAへの移行にともなうロールオーバーの仕組みの変更について解説します。

2階建ての新しいNISA

「一般NISA」に替わり、2024年1月から導入される「新しいNISA」の概要は以下のとおりです(赤字部分が変更点)。

新しいNISA
利用可能年齢 18歳以上
対象金融商品 ・1階部分:つみたてNISAと同様(長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託
※金融庁への届け出があるもの)
・2階部分:上場株式・ETF・公募株式投信・REITなど
年間非課税投資枠 ・1階部分:20万円
・2階部分:102万円
非課税保有期間 5年間
買付方法 ・1階部分:つみたてNISAと同様
・2階部分:通常の買付、積立投資
投資可能期間
(口座開設期間)
2024年~2028年
備考 1人1口座。新しいNISAとつみたてNISAの併用は不可。
1年ごとにいずれかを選択可能

新しいNISAの特徴は「2階建て」です。1階部分と2階部分では投資の対象商品が異なり、1階部分の対象商品を購入しなければ、2階部分の対象商品を購入することは原則できないルールになっています(2023年までに一般NISA口座を開設している人は、2024年に自動的に新しいNISAに移行しますが、2階部分のみの利用が可能です)。1階部分の対象商品を少しでも購入していれば、2階部分を利用できます。
 

2階部分は従来の「一般NISA」に近いイメージです。ただし、一般NISAでは対象となっていた、高レバレッジの投資信託などの商品は外されています。

ロールオーバーの仕組みも変わる

現行の一般NISA・ジュニアNISAでは、非課税期間が終了するときに以下の3つの中からいずれかの選択をします。

  • 課税口座(特定口座・一般口座)に移す
  • 売却する
  • ロールオーバー(翌年の非課税投資枠に移す)

 

ロールオーバーをする場合、翌年に新規で投資できる額は年間非課税投資枠からロールオーバーする額を差し引いたものになります。ロールオーバーする金融商品の金額は、非課税期間終了時の金額(時価)です。保有する金融商品の金額が非課税投資枠を超えている場合でも、全額ロールオーバーはできますが、翌年は新規で投資ができません。
 

2024年以降、一般NISAが新しいNISAに替わるにあたって、ロールオーバーの仕組みも変わります。新しい制度のもとでロールオーバーが行われるパターンには、次の2つがあります。
 

【2019~2023年に一般NISAの口座で金融商品を購入した場合】

一般NISAの口座で購入した金融商品を2024年以降ロールオーバーする場合、新NISAの口座に移管します。
 

新NISAの年間非課税投資枠は1階部分が20万円、2階部分は102万円です。たとえば、非課税期間終了時に一般NISAの口座に120万円の金融商品を保有している場合、まずは2階部分の非課税投資枠102万円を利用します。残った18万円については、1階部分の非課税投資枠20万円を利用し、翌年に新規購入時に利用できる非課税投資枠は残りの2万円になります。
 

【2024年以降に新しいNISAの口座で金融商品を購入した場合】

2024年以降、新NISAの口座で金融商品を購入した場合、ロールオーバーできるのは1階部分で購入した部分だけです。1階部分で購入した金融商品は、つみたてNISAの口座にロールオーバーができます。新しいNISA1階部分の非課税投資枠は20万円ですが、つみたてNISAの非課税投資枠は40万円です。
 

新しいNISAからつみたてNISAへのロールオーバーは簿価(購入時の額)で行われます。ロールオーバーの時点で簿価よりも時価が上がっていた場合、簿価でのロールオーバーはつみたてNISAの非課税投資枠をお得に使えることになります。

新制度のメリットとデメリット

多くの人が長期・積立・分散投資に取り組みやすいように改正された新制度ですが、メリット・デメリットの両面があります。

【メリット】少額・長期投資がしやすくなる

①一般NISAよりも新しいNISAは非課税投資枠が増える

現行の一般NISAの年間非課税投資枠は120万円ですが、新しいNISAでは1階・2階合わせて122万円に増額されます。
 

②1つの口座の中で上場株式と投資信託の両方で非課税投資枠が利用できる

現行の制度では、一般NISAかつみたてNISAの併用はできません。しかし、新制度の新しいNISAは2階建てになっているため、一つの口座でたとえば投資信託と上場株式を購入し、どちらも非課税投資枠を利用できます。
 

③新しいNISAの1階部分はロールオーバーすれば最大25年の非課税期間

新しいNISAの1階部分は5年間の非課税期間を終了すると、つみたてNISAの口座にロールオーバーができます。つみたてNISAの非課税期間は20年間なので、非課税期間は最大25年間になります。

【デメリット】上場株式などを購入しにくくなる

新しいNISAでは、必ず1階部分を利用して対象となっている投資信託を購入しなければなりません。上場株式や1階部分の対象外となっている投資信託を買いたい人にとっては、非課税投資枠が一般NISAの120万円から新しいNISA2階部分の102万円に減少することになります。

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まとめ

現在のNISA制度は、2024年1月から新しい制度に移行します。これから投資を始める人にとっては、投資信託からスタートすることでコツコツと無理なく資産形成がしやすくなります。
 

一方、ロールオーバーの方法や非課税投資枠などが現行から変更されるため、現在すでにNISAを利用している人は注意が必要です。
 

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長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。