税理士にセカンドオピニオンを依頼するメリットとは? 注意点まで詳しく解説

税理士にセカンドオピニオンを依頼するメリットとは? 注意点まで詳しく解説
公開日:
2019/04/17
最終更新日:
2022/07/15
 
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「セカンドオピニオン」と聞いて思い浮かぶのは、最初に病気を診てもらった医師とは違うお医者さんに、診察を頼むこと。そのセカンドオピニオンが、税理士に対してもわりと普通に行われているのをご存知でしょうか。今回は、上手に使えばメリットのあるその仕組みについて、注意点を含めて解説します。

こんなときには、「別の税理士の意見を聞く」という選択もある

すでに税務を依頼している顧問税理士などがいるけれど、さまざまな理由から別の税理士に意見を求めたい、というのが税理士のセカンドオピニオンです。

どんなときにセカンドオピニオンを依頼する?

  • 今の顧問は当たり前の話しかしない。
  • そろそろ相続対策を考えたいのだけれど、今の先生は相続税に詳しくないようだ。
  • 会社の事業承継を検討しているが、顧問から何の提案もない。他の事務所に「全取っ換え」は難しいので、事業承継に関してだけ、セカンドオピニオンを依頼したい。
  • 現顧問は、当社の業界にあまり明るくない。
  • 「補助金・助成金などの話は税理士業務ではない」というスタンスが不満。
  • 税務調査(※1)が入ったとき、先生は税務署の言いなりで頼りにならなかった。
  • この出費が経費で落ちるのかどうか、別の専門家の意見も聞きたい。
  • 税務以外の、経営コンサルタント的なアドバイスが欲しい。
  • 父親の代からの顧問税理士は、高齢で考え方も合わない。顧問を代えたいけれど、父親の反対もあるので一気には難しい。まずはセカンドオピニオンを頼んで、他の先生との関係性を築いておこう。

といった理由でセカンドオピニオンを希望する方も多くいらっしゃるようです。

税理士の得意分野も十人十色

実は、税理士といっても、すべての税務に精通しているわけではありません。今の話にもある相続を例にとれば、相続の案件を担当したことのある税理士は少数派。法人税や所得税などとは「別の世界」である相続税、資産税があまり得意ではない税理士は、珍しくないのです。長く顧問をお願いしているからといって、そういう先生に高額の資産が絡む相続を依頼すれば、税金面で大きな不利を被る可能性があるでしょう。

セカンドオピニオンは悪いことではない

今の税理士さんに疑問や不安を感じるところがあるならば、セカンドオピニオンを求めることに躊躇する必要はありません。顧問税理士に「セカンドオピニオンを頼んでみます」と断る必要はありませんし、頼んだ先から顧問にその話がバレるようなことも、普通はありません。

※1税務調査
国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。
任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

セカンドオピニオンのメリット

税理士にセカンドオピニオンを依頼するメリットは、さきほどのような問題を解決できる可能性がある、ということに尽きます。
万全な節税対策で事業を助けてもらいたい、「会計のプロ」の視点から経営に対するアドバイスが欲しい――。例えばそういう期待があるのに、顧問税理士とイマイチ話が合わず説明もおざなり、定期的にやって来るのはいつも資格も持たない事務所の若手で頼りない、という状況では、経営者としてフラストレーションが溜まるばかり。そんなとき、別の考え方を持った税理士の意見を聞くことで、自社の課題が明確に見えてくるかもしれません。

セカンドオピニオンは使い方次第

セカンドオピニオンは、例えば相続や事業承継についてスポット的に利用することができます。税務一般は引き続き今の顧問税理士に任せつつ、経営コンサル的なサポートに関して別の事務所と契約するといった、機能別の使い分も可能。会社の成長ステージや経営者のニーズに沿って柔軟に利用できるのもメリットです。通常の相談と同様、基本的に初回は無料ですから、気軽に相談してみてはいかがでしょう。

では、注意すべき点は?

ただし、利用にあたってはデメリット、注意すべきこともあります。

第1に、正式にセカンドオピニオンを使うことになれば、当然コストが発生します。スポット依頼にしろ併用にしろ、利用する間は2人分の税理士費用を支払わなくてはなりません。
第2に、もし、何らかの理由でセカンドオピニオンを利用していることが顧問税理士に発覚した場合は、その先生との関係がギクシャクする可能性を覚悟する必要があるでしょう。これは、あなたが顧問税理士の立場になれば、容易に想像がつくはず。顧問税理士との関係が良好で、「コンサルだけ別の事務所に頼む」というような場合は、事前に話しておくのがいいかもしれません。

慎重な税理士選びが重要

最悪なのは、「間違ったセカンドオピニオンを頼んでしまう」ことです。相続に強いという謳い文句を信じて契約したのに、実は知識の乏しい先生で、ブラックまがいのスキームを提案された、というのでは目も当てられません。どこに依頼するのかは、とても大事になるのです。

対応できるかを最初に聞くのがおすすめ

そもそも、セカンドオピニオンは、どこの事務所でも受け付けてくれるわけではありません。「前の先生との顧問契約を解消してから来てください」といったスタンスのところも、少なくないのです。逆に、「セカンドオピニオン歓迎」とアピールする事務所もあります。

相続と事業承継のセカンドオピニオン

税理士に依頼できる内容は色々ありますが、中でも注意したいのが、「相続」「事業承継」です。

相続のセカンドオピニオン

最初の方でも触れましたが、相続税は法人税・所得税などとは異なるフィールドで、そもそも相続を経験したことのある税理士自体が多くはありません。
ところが、被相続人(亡くなった人)がたくさんの不動産を持っているなど遺産額が大きな場合には、適切な節税ができるかどうかで、納税額に大きな差が出てしまいます。また、税務署に申告漏れなどを指摘されると、高額の追徴課税を課せられる可能性のある、“怖い税”でもあるのです。

相続税の申告に当たって大きなポイントの1つは、不動産をはじめとする現金以外の財産の評価です。土地の評価は簡単ではなく、専門家でも見解が分かれることが珍しくありません。知識と経験のある税理士ならば、立地や形状などを考慮した評価額の減額が可能ですが、そうでなければ路線価などによる単純計算で終わり、結果的に納税額が大きく膨らむこともあるわけです。

また、相続税には納税額を減額できるいくつかの特例が設けられており、これを適切に使える税理士なのかも問われます。
例えば、「相続税の配偶者控除」を使えば、無税で多くの財産を相続することができます。ところが、例えば父親が亡くなった一次相続で、この特例をフル活用して母親が多くの遺産を相続していると、その母親が亡くなった二次相続で、子どもたちに課税される相続税が非常に高額になるリスクがあります。

資産額が大きな相続は、こうしたことに通じた税理士に依頼するのが安心です。「会社の顧問税理士に相談したけれど、不安が残る…」といった場合には、臆せずセカンドオピニオンを受けてみることをお勧めします。

事業承継のセカンドオピニオン

一方、事業承継は、税法のほか民法、会社法などを含めた幅広い知識が要求され、場合によっては他の士業などとの連携が必要になります。
そもそも、ひとくちに事業承継といっても、大きく

  • 親族内承継(子どもなどが継ぐ)
  • 親族外承継(従業員などが継ぐ)
  • M&A(第三者に会社を買ってもらう)

があります。どの方法がベストなのかも含めて、広い視野に立ってアドバイスしてもらえる税理士を選ばなくてはなりません。承継に向けた具体的な手続きや交渉などについても、率先して動いてもらう必要があるでしょう。

気をつけるべき点は、「事業承継に強い」とうたう税理士でも、自分と経験したやり方、得意な方法を提案しがちなことです。抱える事情など会社によって違いますので、繰り返しになりますが、広い視野でベストの選択ができる税理士に依頼すべきでしょう。逆に、例えば「M&Aを頼みたい」といったケースでは、その専門の事務所を選ぶのがいいでしょう。

ただ、いずれにしても、税理士の説明に今一つ納得がいかないという場合には、セカンドオピニオンの利用を考えましょう。事業承継も失敗が許されないだけに、複数の専門家の意見を聞きながら、慎重に進める必要があるのです。

まとめ

今の税理士に不十分さを感じたら、積極的にセカンドオピニオンを利用するのがいいでしょう。ただし、その際に「いい先生」を選べるかどうかが成功のカギ。税理士紹介会社では「セカンドオピニオンに強い先生」もピックアップしておりますので、それを利用して探すのもいいと思います。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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