税理士は「税のプロ」でもあり「数字のプロ」でもある
まず税理士について簡単に説明します。
税理士には、法で定められた「独占業務」、すなわち税理士にしか許されない「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」という3つの仕事があります。確定申告書や相続税申告納付書など、主として税務署に提出する書類を作成して納税者に代わって申告したり、個人や企業に納税や節税についてのアドバイスを行ったりという、「税のプロ」としての仕事です。
経営に関するサポートも提供している税理士が増加中
ただし、みんなが独占業務のみをやっているわけではありません。税理士は「数字のプロ」でもあります。その強みを生かして、会社の経営や個人の生活設計のサポートなどに力を入れる事務所も増えました。会計や税務申告の電子化などによって従来の業務が先細りの傾向にあることも背景に、そうした分野に積極的に仕事の幅を広げていこうという税理士が増えています。
中小企業診断士は「経営コンサルタントの国家資格」
一方で、中小企業診断士は、経済産業大臣が登録する「中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家」で、中小企業庁のホームページには、その業務と役割が、次のように説明されています。
診断士の業務とその役割について
(1)診断士の業務
診断士の業務は、中小企業支援法では中小企業者がその経営資源に関し適切な経営の診断及び経営に関する助言とされています。現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイスが主な業務ですが、その知識と能力を活かして幅広く活躍しています。
(2)診断士の役割
診断士は企業の成長戦略の策定について専門的知識をもってアドバイスします。また、策定した成長戦略を実行するに当たって具体的な経営計画を立て、その実績やその後の経営環境の変化を踏まえた支援も行います。このため、診断士は、専門的知識の活用とともに、企業と行政、企業と金融機関等のパイプ役、中小企業施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できる知識や能力が求められています。
国家資格としての経営コンサルタント
こうした中小企業診断士の仕事をひとことで言えば、「経営コンサルタント」ということになるでしょう。実は、経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格が、中小企業診断士なのです。ただ、経営コンサルは、中小企業診断士の独占業務ではありません。資格がなくてもそれを名乗ることはできます。
この資格を取得するメリットは、経済全般や企業経営に関する高いレベルの知識を身に付けられることにあると言っていいでしょう。スキルアップを目指すビジネスマンにも人気の資格で、合格率5%程度の難関となっています。
ちなみに、一次試験では、経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策の7科目が課せられます。さらに、この資格には5年に1度の更新があり、研修や論文提出が義務付けられているため、常に「勉強」が必要になります。
経営者にとっての税理士・中小企業診断士のスキルのメリット
両者の強みを生かしたアドバイスを受けることも可能!
顧問税理士に対して、数字以外の、例えば「もっと売上を伸ばすには、どうしたらいいか?」「経費削減のために打つべき手は何か?」といったアドバイスを求めたい経営者の方は多いのではないでしょうか。さきほども説明したように、税理士もそうしたニーズに対応して、顧客の獲得に力を入れています。
しかし、会社の規模が徐々に大きくなってくると、そこで発生する複雑な課題への対応は、「税のプロ」の手に余ることも増えてきます。そうした場合に頼れるのが、上記のような中小企業診断士のスキルなのです。
税理士と中小企業診断士のスキルの相乗効果とは
数字の裏打ちを持って事業を見ることのできる税理士と、さまざまな経営課題に対処していく中小企業診断士の仕事は、役割分担であると同時に、お互いを補完し合うものでもあります。実際、税理士が中小企業診断士と提携していたり、あるいは1人で両方の資格を持ったりするケースも増えています。これならば、会計や税務を税理士に任せ、それ以外の課題が出てきたら中小企業診断士のアドバイスを仰ぎ、さらに実行した結果を数字で検証する、といったサービスを受けることも可能になるでしょう。
中小企業診断士のスキルを提供できる税理士事務所を探すには?
では、中小企業診断士のスキルを提供できる税理士事務所(中小企業診断士が在籍する、あるいは診断士と提携している税理士事務所)に依頼するにはどうすれば良いのでしょうか?
経営コンサルティングを得意としている税理士事務所自体は多いものの、実際に中小企業診断士のスキルを提供できる事務所となると、ネットで細かく検索する必要があります。
ただ、ネットで見つけたとしても、本当に自社に最適な税理士事務所であるかどうかは、依頼してみないと分かりません。
そういったリスクを軽減するためにも、是非とも税理士紹介サービスを利用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
税理士は「数字の専門家」、中小企業診断士は「経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格」。違いや自社にとっての有用性を見極めながら、賢く活用しましょう。
参考文献・URL
よくある質問
税理士と中小企業診断士の違いは何ですか?
税理士は税務に関する業務を専門とし、税務代理、税務書類の作成、税務相談などを行います。一方、中小企業診断士は経営コンサルタントの国家資格を持ち、経営診断や助言を通じて企業の成長を支援します。
税理士に依頼するメリットは何ですか?
税理士に依頼することで、正確な税務申告や節税対策が可能となり、税務リスクを軽減できます。また、税務調査に対応する際の専門的なサポートも受けられます。
中小企業診断士に依頼するメリットは何ですか?
中小企業診断士に依頼することで、企業の現状分析や成長戦略の策定、経営改善のアドバイスが受けられます。経営課題の解決に向けた具体的な支援が期待できます。
税理士と中小企業診断士をどのように使い分けるべきですか?
税務や会計に関する問題は税理士に相談し、経営戦略や事業改善に関する課題は中小企業診断士に相談するのが効果的です。両者のスキルを組み合わせることで、総合的な経営支援が可能となります。
税理士と中小企業診断士が提携するメリットは何ですか?
税理士と中小企業診断士が提携することで、税務と経営の両面から企業をサポートでき、総合的なアドバイスが受けられます。これにより、企業の成長と安定が期待できます。