にせ税理士って?見分け方はある?
依頼してはいけない理由と依頼した時のリスク

にせ税理士って?見分け方はある?  依頼してはいけない理由と依頼した時のリスク
公開日:
2020/01/07
最終更新日:
2022/05/26
 
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税金の申告や税務相談などで、頼りになる税理士。ところが、この世界にも「にせもの」の出没することがあるので、注意が必要です。
そもそも「にせ税理士」とはどんな人?仕事を頼むとどんな問題があるの?本物と偽物を見分けるにはどうしたいい?詳しく解説します。

“本物の税理士”以外には、禁じられている業務がある

にせ税理士が“本物の税理士”の業務を行うことは違法

2019年11月、京都で、税理士業務を無資格で行ったとして、税理士法違反容疑で無職男性が逮捕される事件がありました。
複数の個人事業主から依頼を受けて確定申告の書類作成を請け負ったというもので、男性は「高額な税理士報酬を払えない顧客から頼まれて、引き受けてしまった」と供述したそう。ちなみに、過去に税理士事務所でのアルバイト経験がありました。

逮捕されたのは、「税理士業務を無資格で行った」からです。つまり、この男性は「にせ税理士」だった、というわけです。

本物の税理士にしかできない業務とは?

では、「税理士業務」とは、具体的に何なのでしょうか? 税理士法は、次の3つを税理士の独占業務として定めています。

  • 税務代理:税務申告や、税務署などの税務調査(※1)への対応
  • 税務書類の作成:申告書類の作成
  • 税務相談:税金に関する相談への対応

そのうえで、法は「税理士又は税理士法人でない者は、(略)税理士業務を行ってはならない」と規定しているのです。
もし税理士法違反となると、報酬を受け取ったか否かに関わりなく、「3年以下の懲役または200万円以下の罰金」という罰則が適用されることになります。

※1 税務調査:国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

「にせ税理士」に依頼すると、これだけのリスクがある!

「にせ税理士」に税務申告などを依頼する、あるいはそうとは知らずに依頼してしまうのは、多くの場合は冒頭の京都の男性のように「安く請け負ってくれる」というメリットがあるからでしょう。逆に言えば、それが彼らの最大のアピールポイントなのです。
しかし、安かろう悪かろうになりやすい仕事の結果、頼んだ人間のほうも、以下のような大きなリスクを背負い込むことになります。

申告書にミスがあった→節税できなかった・脱税していた

税理士は、原則として5科目の試験に合格して得られる国家資格です。それだけの知識を持たない「にせ税理士」がミスを起こしやすいのは、誰にでもわかる理屈でしょう。
そもそも、資格を持っていたとしても、不得意な税法に関してはベストの節税策の提案が難しい、という世界なのです。「にせ税理士」に頼んで税理士報酬は節約できたけれど、払わなくていい税金まで払わされていた…などということが実際に起こり得ると考えてください。

また、ある意味、それならまだ傷は浅いかもしれません。いいかげんな申告書を作成された結果、結果的に税務署に過少申告などを指摘された場合は、大きな実害を被ることになるでしょう。税金の不足分を払わされたうえに、追徴課税(※2)のペナルティを受けることになる可能性があります。

※2 追徴課税:申告漏れや脱税の目的で、本来支払うべき税金よりも納税した金額が少なかった場合に、追加で税金を支払うこと。過少申告加算税などの「加算税」、「延滞税」がある。

正しく有効な税務相談に乗ってもらえなかった

知識が乏しいため、節税のためのアドバイスには限界があります。堂々と脱税を勧められるかもしれません。
税金を少しでも軽減したいという考えは一緒でも、節税は合法で、脱税は違法です。しかしながら、行おうとしている対策が節税か脱税かの判断は、税金・税法の専門知識がないと難しいです。

税理士の署名のない税務書類が作成される

「にせ税理士」は税理士資格を保有していないので、申告書などに税理士の署名・捺印がありません。いくら安いといっても、一定の対価を支払いながら、“税の専門家のお墨付き”はもらえないのです。
もちろん、それでも書類の有効性自体に問題はありませんが、税務署の目には、税理士作成のものに比べて「信頼度」の低い申告書だ、と映るのではないでしょうか。

中には、「名義貸し」といって、書類作成は「にせ税理士」が行い、署名・捺印のみ有資格者がするという悪質なケースもあるようです。この場合も、あくまで形式を整えただけですから、ちゃんとした節税対策などが講じられる保証はありません。

税務調査に対応できない

本物の税理士と契約しているのであれば、万が一税務調査になった場合、基本的には税理士が税務調査に同席し税務署員に対応してもらえます。税金の専門知識が不安な事業者にとっては、意に反して多額の税金を取られるといったリスクを減らせる心強い味方ですよね。
当然ながら、無資格のにせ税理士は、そうした税務調査対応はできません。税理士不在で税務署と対峙するか、新たにコストをかけて税理士を雇うかしかなくなるでしょう。

「にせ税理士」に騙されない・依頼しないために

上記で述べてきたようなリスクを背負わないためにも、多少料金が安いからといって「にせ税理士」に依頼するのは絶対にやめましょう。
一方で、有資格者(本当の税理士)だと信じていたらそうではなかった、ということもあり得ます。まず、他の税理士に比べて破格に報酬が安い場合には、注意が必要です。

「にせ税理士」の見分け方

では、本物の税理士とにせ税理士の見分け方はあるのでしょうか?答えは「あります」。
税理士業務を営むためには、日本税理士会連合会(日税連)の会員にならなくてはなりません。

会員は、日税連の発行する税理士証票(税理士にとっての身分証明書)を持ち、税理士バッジ」を身に付けていますから、怪しい場合には両方の提示を求めましょう。


▲税理士バッジ

また、日税連のホームページからは、全国すべての税理士を個人名、法人名で検索できます。税理士に依頼する前に、こちらで確かめておいた方が良いでしょう。

まとめ

資格を持たない「にせ税理士」に申告書の作成などを依頼すると、思わぬ損害を受ける危険性があります。本物か「にせ税理士」かを見分けるためには、税理士証票、バッジの提示を求めるのが有効です。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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