スタートアップ企業・ベンチャー企業に最適な税理士とは?

スタートアップ企業・ベンチャー企業に最適な税理士とは?
公開日:
2022/04/04
最終更新日:
2024/04/03
 
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創業間もなかったり、事業規模が小さいスタートアップ企業・ベンチャー企業の場合、当面税理士をつける必要はないように思われる方も多いかもしれません。しかし、土台固めの時期だからこそ、本業に集中するためにも、“税と数字のプロ”である税理士から経理・税務面のサポートを受けられることは大きな力になります。
また、資金調達やIPO等も視野に入れて動く際にも、経営面でのアドバイスをもらえたり、助成金・補助金の相談ができることは、経営者にとって心強いでしょう。スタートアップの早いタイミングだからこそできる対策やアドバイスも存在します。
本記事では、これから成長を目指すスタートアップ企業・ベンチャー企業に向けて税理士ができること、またどのような税理士を選ぶべきなのか?税理士選びのポイントについて解説します。

スタートアップ企業・ベンチャー企業が税理士に依頼すべき理由

本業に集中し、スムーズな“離陸”が可能になる

会社を設立しようという時や起業・創業当初は、経営者は多忙を極めます。というのも、この時期ならではの“煩わしい業務”が存在し、「分からないことだらけ」になったりすることも少なくないためです。書類提出などさまざまな事務仕事に忙殺されていては、出鼻をくじかれてしまうかもしれません。
スタートアップ企業が早い時期から税理士に依頼すべき理由を一言で言えば、「事業開始に伴う事務的な作業や専門外の仕事から解放され、スムーズに事業を軌道に乗せていくことができるから」です。起業時から本業に集中できるのは、経営者にとって大きなメリットと言えるでしょう。

税務申告以外のサポートも

どんなに小さな会社でも、決算期には数字をまとめて、2ヵ月以内に法人税の申告をしなくてはなりません。法人の確定申告は、個人事業と違い提出する書類も多く煩雑なため、いずれにしてもそのタイミングでは税理士のフォローが必至となります。
また、税理士には、会社の経理などをサポートしてもらうことができます。専門的な知識が必要な経理や税務の業務を任せれば、安心して事業に取り組むことができます。

こんなスタートアップ企業・ベンチャー企業は税理士依頼がおすすめ

本業が忙しすぎて税務に手が回らない

前述したとおり、会計・税務業務をプロである税理士に頼むことで、本来の事業推進に関わる業務に集中することが可能になります。
もし、会計・税務の業務に手を回す余裕がないという場合は、起業まもない会社であっても、税理士に手伝ってもらうことを検討してみましょう。

社内に経理機能がない

ある程度の規模の会社には、経理専門のスタッフがいます。しかし、スタートアップ企業、まだ数人規模のベンチャー企業の場合には、経理担当を置く(人件費を負担する)力はないのが普通です。税理士に依頼すれば、人を雇うのに比べてはるかに安いコストで、会社にとって必要な経理業務を任せることができるでしょう。

起業当初から売上があり、節税を考慮したい

会社設立時からある程度の売上が立ち、伸び続けている。そんなケースでは、しっかり節税して、さらなる成長のための資金をできるだけ多く手元に残すようにしたいものです。
節税は、決算間際になって手を打とうと思っても、できることが限られてしまいます。早めに「節税のプロ」である税理士のアドバイスを受けることによって、より効果的な対策を実行することができるはずです。反対に、誤った情報に踊らされて、気づかないうちに「脱税」になっていた、といった事態を避けるうえでも、税理士に依頼すれば安心できます。

税理士ができること、依頼するメリットは?

スタートアップ企業が税理士に依頼できることを、もう少し詳しく見ていきましょう。創業時に税理士に頼めることには、大別して会社の設立と設立後の経理や税務を中心とする業務があります。

会社設立の手続きなどのサポート

会社を設立するためには、事業の目的や商号、会社の所在地などを記載した「定款」の作成や、資本金の払込、設立登記といった手続きが必要で、ミスは許されません。設立前に税理士に依頼すれば、それらの作業をサポートしてもらえます。
ここで必要になる書類の作成や登記申請の代行は、司法書士の独占業務(司法書士でなければできない業務)ですが、会社の設立に詳しい税理士ならば、司法書士と連携しながら手続きを進めてくれるでしょう(「士業」の連携については後述します)。

また設立後には、速やかに税務署などに次のような書類を提出しなくてはなりません(会社によっては不要なものもあります)。
 

  • 法人設立届出
  • 青色申告の承認申告書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  • 棚卸資産の評価方法の届出書
  • 減価償却資産の償却方法の届出書
  • 消費税新設法人に該当する旨の届出書

 
税務関連の書類の作成や提出の代行は、税理士の独占業務のため、そのまま依頼することができます。やはり煩雑ながら避けて通れない作業を専門家に任せられるのは安心ですよね。

ちなみに、上記のうち「法人設立届出書」「青色申告の承認申告書」がどういうものなのか、みておきましょう。

法人設立届出書の提出

会社が納める税金には、国税である法人税と、法人住民税などの地方税があります。法人設立届出書は、そうした徴税を行う次の3ヵ所に提出します。
①税務署
②都道府県税事務所
③市町村役場
②、③については、書類の呼称や記載項目に若干の違いはありますが、記載すべき内容は基本的に①と同じです。また、③は、自治体によっては不要の場合もあります。

この法人設立届出書は、株式会社はもとより、合同会社や一般社団法人などであっても、提出しなくてはなりません。提出期限は、税務署に対しては、会社を設立してから2ヵ月以内となっています。
 

都道府県税事務所や市町村役場に提出する届出書は、自治体ごとに提出期限が異なり、2ヵ月よりも短い場合もあります。
法人設立届出書は、税務署の窓口、国税庁のWebサイト[手続名]内国普通法人等の設立の届出|国税庁 (nta.go.jp) からダウンロードできます。都道府県税事務所や、市町村役場に提出する法人設立届出書については、各自治体に問い合わせてください。
法人設立届出書の主な記載事項は、次の通りです。
 

  • 法人名
  • 本店又は主たる事務所の所在地
  • 納税地
  • 代表者氏名
  • 代表者住所
  • 設立年月日
  • 事業年度
  • 資本金又は出資金の額
  • 消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日
  • 事業の目的
  • 設立の形態
  • 事業開始(見込み)年月日
  • 「給与支払事務所等の開設届出書」提出の有無
  • 関与税理士
  • 添付書類等

 
記載事項が多岐にわたることがわかります。漏れや誤りがあると、円滑な事業のスタートに支障をきたすかもしれません。起業に詳しい税理士のフォローを受ければ、安心できます。

青色申告の承認申請書の提出

青色申告承認届とは、確定申告を青色申告で行う場合、届出が必要になる書類のことです。
青色申告承認申請書の届出とともに、複式簿記という一定のルールに従って帳簿付けを行うことで、法人税を青色申告することができます。青色申告でない場合(白色申告)に比べ、次のようなメリットがあります。
 

  • 欠損金の繰越控除ができる:今期が赤字の場合、次の期以降にその赤字を繰越すことができる(翌期以降の黒字を減らし節税できる)
  • 欠損金の繰り戻しによる法人税の還付が受けられる:今期が赤字になった場合に、その赤字分を前期の黒字と相殺することができる(前期の黒字を減らし、税金を返してもらえる)
  • 30万円未満の減価償却資産については一括で経費にできる:青色申告の場合で中小企業者であるなど一定の要件を満たす場合には、年間合計300万円までこれが認められる

 
この青色申告の承認申請書は、会社設立日から3ヵ月以内に、税務署に提出する必要があります。例えば、会社の設立日が4月1日の場合、6月30日までに提出しなければなりません。この日を過ぎると、その年は青色申告を適用することができなくなります。

申請書は、国税庁のWebサイト[手続名]青色申告書の承認の申請|国税庁 (nta.go.jp) からダウンロードすることができます。

税務上有利になる青色申告を税理士に依頼すれば、複式簿記による記帳を含めて、代行してもらうことが可能です。

会社の基本設計に関するアドバイス

会社を設立する際には、手続きの前に「どんな会社にするのか」をよく考える必要があります。例えば定款の内容に関しては、次のような注意点があります。

事業目的 将来、業容を拡大する可能性を考慮して、
関連事業なども記載しておく。
資本金 1円でもOKだが、
数十万円レベルだと信用力が問題になる(融資などの際にマイナス)。
反対に1,000万円以上に設定すると、自動的に消費税課税事業者となる
(1,000万円未満は、原則として2事業年度は免税)。
決算期 事業の繁忙期は避けた方がベター。

会社設立の実績・経験のある税理士に依頼すれば、こうした点も踏まえて、先を見越したきめ細かなアドバイスをしてくれるはずです。

適正な申告や節税のアドバイス

先ほども触れた税理士の独占業務には、次の3つがあります。

  • 税務書類の作成(申告書などを納税者に代わって作成する)
  • 税務代理(納税者に代わって税務署に税務申告を行ったり、税務調査(※)に立ち会ったりする)
  • 税務相談(節税を含めた税金の計算や書類の作成などに関して、納税者の相談に応じる)

 
創業間もない企業にとって、売上を確保するのと同時に、適切な節税を実行し、なるべく資金を手元に残すことは、重要な意味を持ちます。とはいえ、節税に目が行くあまり、計上すべき利益がされていなかったりすれば、税務署に「申告漏れ」を指摘される可能性が高くなります。

税務申告は、たとえ意図的なものでなくても、問題があれば「加算税」などが課税されることがありえるため、万全を期さなくてはなりません。税務のプロである税理士に依頼すれば、間違いのない申告書を作成してくれるだけでなく、税金に関するさまざまな相談に乗ってもらえます。

※税務調査:国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。税務署が行う任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

経理、会計業務の代行

決算や確定申告のためには、毎日の帳簿付け(記帳)をはじめとする経理、会計業務を確実に遂行する必要があり、その大変さは個人事業の比ではありません。これらの業務についても、専門知識を持つ税理士に代行してもらうことができます。
社内に経理担当者を置くことも可能ですが、税理士に依頼したほうがコストダウンになるケースも多いようです。スタート時は税理士にフォローしてもらい、売上が伸びてきたら自社でスタッフを置くという方法を考えてもいいでしょう。

資金調達のサポート

事業を始めるときにまとまった資金が必要な場合には、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」などを活用することができます。ただし、信用力に乏しいスタートアップ企業が融資を受けるためには、しっかりした「事業計画書」の作成が不可欠です。
経験豊富な税理士に依頼すれば、数字に裏打ちされた説得力のある計画書などの作成をサポートしてくれるはずです。もちろん、事業を始めてから投資や運転資金などが必要になったときにも、金融機関からの融資や国や自治体の補助金、助成金などによる資金調達の力になってくれます。
スタートアップ企業/ベンチャー企業の場合、事業内容によってはベンチャーキャピタルからの出資が受けられるケースもあります。経験ある税理士ならば、そうした交渉も依頼することが可能です。

経営についてのアドバイス

最近は、税務だけでなく、経営コンサルタント業務にも力を入れる税理士が増えています。税理士の強みは「お金」や「数字」に強いこと。事業の先行きに不安も多いスタートアップ企業にとって、力強い味方になってくれるはずです。早いタイミングからプロのアドバイスを受けることは、経営者としての成長にも大いにプラスになるでしょう。

税理士に依頼するデメリットも理解しておく

一方で、スタートアップ企業・ベンチャー企業が税理士に業務を依頼する場合には、以下のようなデメリット、注意点もあります。

会社設立手続きから依頼するとその分の費用がかかる

会社設立の手続きから税理士にサポートを依頼する場合は、税理士報酬が発生します。会社設立のフォローを税理士に依頼した場合の報酬はだいたい5万円程度が相場といわれています。また、法人の種類によって追加費用がかかります。
会社設立の手続きは煩雑であるうえに、「定款の内容はどのようにすべきか?」「資本金はいくらにするのがよいか?」といったような初心者にとっては判断が難しい部分もあります。そういう面でも専門家のサポートを受けられるのは安心ですが、ある程度の費用はかかります。

 

ちなみに、法定費用として必要となる会社設立の費用は下記のとおりです。税理士にサポートを頼まず、少しでもコストを抑えたいという場合、自身で手続きを済ませれば、最低限、下記の費用のみに抑えることが可能です。税理士にお願いする場合でも、顧問契約前提だと、低コストで会社設立のサポートを受けてくれるケースもあるので、まずは、相談してみることをおすすめします。

項目 株式会社設立時の費用 合同会社設立時の費用
定款印紙代 40,000円

(電子定款の場合は不要)

40,000円

(電子定款の場合は不要)

定款認証手数料 30,000~50,000円 --
謄本交付手数料 約2,000円 --
登録免許税 150,000円

(資本金×0.7%がこれを上回る場合はその金額)

60,000円

(資本金×0.7%がこれを上回る場合はその金額)

合計 約242,000円~

(電子定款の場合は約202,000円~)

約100,000円~

(電子定款の場合は約60,000円~)

顧問契約をする場合は毎月一定のコストが発生する

税理士に業務を依頼すれば、その対価として報酬を支払う必要があります。その金額は、依頼する業務の中身や量、契約の仕方などによって変わってきます。
例えば、月々の財務状況のレポートや経営に関するアドバイスをもらう場合などには、顧問契約を結ぶことになり、月々2万円~3万円程度のコストが発生します。売上・利益が少ない段階では大きい出費といえるかもしれません。そうした場合には、とりあえず決算や申告だけを依頼する、というのも選択肢になるでしょう。
どのような依頼の仕方をするのかは、会社の状況や経営者のニーズに合わせて十分検討する必要があります。

スタートアップ企業・ベンチャー企業が税理士を選ぶときのポイント

では、どのような税理士を選べばいいのでしょうか?ポイントを説明します。

創業に詳しいプロか

税理士には専門分野があると先ほど述べましたが、法人税に詳しく、かつ創業(会社設立)や創業したてのベンチャー企業に求められることを熟知していることが必要条件です。説明した通り、スタートアップ企業ならではの手続きや、資金調達の方策などがあるため、経験が大きくものをいうのです。企業の顧問はたくさんやっているけれど、スタートアップ企業は初めて…という税理士では、ニーズを十分に満たすのは難しいかもしれません。

業界に詳しいプロか

自分の会社が属する業界・業種の知識を十分持っているのかも、欠かせないチェックポイントといえるでしょう。業界によって会計処理が異なることは、珍しくないのです。
ちなみにスタートアップ企業は、ITを事業の中心にしていることが少なくありません。そうした企業が税務をはじめとするサポートを受けるためには、IT分野に通じている税理士を選ぶ必要があります。

経営に関する適切なアドバイスをしてもらえるか

スタートアップ企業のサポート経験がある税理士ならば、会社の財務状況や資金調達、あるいは事業計画などについて、有益なアドバイスがもらえるはずです。ただし、そういったことを期待するのであれば、専門知識を生かした経営のサポートができるだけの実力・経験を持った税理士なのかどうかも、きちんとチェックしておきましょう。

会社設立などをワンストップで依頼できるか

先述の通り、会社の設立手続きを全て税理士が代行できるわけではありません。とはいえ、書類の作成を別途司法書士に依頼すれば、その分の時間も労力も必要になります。

会社を経営する上でも、いろいろな“士業(専門家)”のお世話になることがあります。弁護士・司法書士・行政書士・社会保険労務士など他の士業とのネットワークを持つ税理士ならば、さまざまな課題にワンストップで対応してもらえます。

まとめ

スタートアップ企業・ベンチャー企業が税理士に依頼する場合には、創業をサポートした経験が豊富で、業界に通じた税理士を選ぶようにしましょう。インターネット上で自力で探すこともできますが、創業当初のスタートアップ企業や急成長中のベンチャー企業はやらなければならないことが山積みで、なかなか税理士探しに時間を割けないという場合も多いかと思います。そんな時は、実績のある税理士紹介会社を利用すれば効率的に最適の税理士を紹介してくれるでしょう。税理士紹介センタービスカスでは日本全国4,200所以上の会計事務所ネットワークの中からスタートアップ企業・ベンチャー企業支援に強い税理士を無料でご紹介しています。お気軽にご相談ください。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
税理士紹介センタービスカスは、 株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」サイトです。 税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
創業から28年、税理士紹介で培った知識とノウハウから、確定申告・決算・会社設立・融資・節税のご相談や、税理士料金の相場情報など、「初めて税理士に依頼したい」「顧問税理士を変更したい」という経営者・事業主の皆様に役立つ情報をお届けします。

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