事業計画書を税理士に依頼するメリットとは?融資を受けなくても必要か
- 最終更新日:
- 2024/10/07
- この記事の監修者
- 篠昌義税理士事務所 代表 篠 昌義(公認会計士・税理士)
事業計画書を税理士に依頼するメリット、デメリット
事業計画書を税理士に依頼するメリット、デメリットを紹介します。
事業計画書を税理士に依頼するメリット
事業計画書を税理士に依頼すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。主に、以下のメリットがあります。
- ●融資を受けやすい事業計画書が作成できる
- ●事業計画書の作成にかかる時間が短縮できる
- ●的確な指摘が受けられる
1つずつくわしく説明します。
【融資を受けやすい事業計画書が作成できる】
事業を始めるときに、金融機関から融資を受ける人は多くいます。税理士に事業計画書の作成を依頼すると、融資が受けやすい計画書を作ることができます。税理士は融資の判断に必要な情報を知っていますからそれらを盛り込んだ計画書の作成が可能ですし、リスクの対応策まで取り入れた事業計画書を作成できます。融資担当者も計画に納得しやすくなるでしょう。
また、売上予測など財務関係の計算は素人にはなかなか難しいものです。税理士は税務、財務関係のプロのため、精度の高い根拠を持った数字を記載できます。金融機関からの信頼も得やすくなります。これまで多くの事業計画書を作成していることから、客観的にわかりやすい計画書になることも、融資を受けやすい事業計画書が作成できる理由の1つです。
【事業計画書作成にかかる時間が短縮できる】
事業計画書の作成を税理士に依頼するメリットとして、時間の短縮もあげられます。事業計画書に必要な記載事項は多岐に渡ります。例えば、以下の項目が必要です。
- ・経営者のプロフィール、経歴
- ・ビジョン、理念
- ・事業の目的
- ・事業内容
- ・市場環境、競合優位性
- ・マーケティング戦略
- ・資金計画
事業計画書の作成に慣れているという人は少ないでしょう。初めて作成するなかで、これら多くの項目を押さえていくのは簡単ではありません。また、資金計画は売上や利益に関する計画、資金調達に関する計画とさらに細かく分かれます。一から準備して作成するには、かなりの時間を要するでしょう。事業計画書を税理士に依頼すれば、かかる時間を大きく短縮できます。その分本来の事業に時間を割くことができ、専念できるでしょう。
【的確な指摘が受けられる】
経営者が自分で事業計画書を書く場合、問題点に気づけないというリスクがあります。問題点に気づかないまま事業を続けてしまうと、大きな損失につながり失敗してしまう可能性があります。税理士に事業計画書の作成を依頼すれば、事業の問題点やリスクを的確に指摘してもらえます。あらかじめ指摘してもらえることで、問題を未然に防いだり起こったときの対応策を考えたりしておくことができます。事業をスムーズに展開していくことができるでしょう。また前述したメリットにも繋がりますが、税理士に依頼すれば融資担当者が抱えそうな疑問点に気づいてもらうことができます。結果として融資が受けやすくなるでしょう。
篠 昌義
記事監修者からのワンポイントアドバイス
事業計画書で特にみられるポイントは、損益計画と資金計画です。事業を進めていく上でどのような損益状況を想定していて、どのような資金の動きを想定しているのかが非常に重要になっていきます。優秀な税理士であれば、誰が事業計画書を見ても、損益計画と資金計画に一定の納得感が得られるようなものを仕上げることができるでしょう。結果として融資が受けやすくなるといったこともあります。
事業計画書を税理士に依頼するデメリット
事業計画書を税理士に依頼すると、多くのメリットがあることは説明したとおりです。しかし、デメリットもあるため理解しておきましょう。事業計画書の作成を税理士に依頼するデメリットは、コストがかかることです。プロに依頼するのですから、どうしても一定のお金がかかります。事業を始めるときは何かとお金が必要なものですが、そのなかで事業計画書にも費用がかかってしまうのはデメリットと言えます。
事業計画書の作成はどんな税理士にお願いすべき?
実際に事業計画書の作成を税理士に依頼したいとなったときに、どのような税理士に依頼したら良いのでしょうか。税理士を選ぶポイントを紹介します。以下の点に着目して税理士を選んでください。
・実績がしっかりある
とくに融資を目的に事業計画書を作成する場合、経験や実績がどれだけあるかも確認しましょう。融資の経験や実績が豊富だったり、資金調達を積極的に扱ったりしている税理士に依頼することが重要です。経験や実績が豊富な税理士は、知識、ノウハウを多く持っています。より融資を受けやすい事業計画書を作成することができます。無料相談のときに、ぜひ過去にどれくらい融資に至った実績があるか確認してください。また、経験や実績はホームページや電話での問い合わせで確認できる場合があります。調べる手段はたくさんありますので、経験や実績を確認しましょう。
・専門知識が豊富
専門知識が豊富かどうかも、税理士を選ぶときの着目点の1つです。実は税理士と言っても得意分野はさまざまで、特に事業計画書や融資は得意・不得意が分かれるところです。税理士に依頼するときは、事業計画書や融資を得意分野とし専門知識が豊富な税理士を選ぶようにしましょう。また、専門知識がある税理士は最新の情報にも敏感な傾向にあります。資金調達には銀行からの借入れのほかに、補助金や助成金などの方法があります。補助金や助成金の時期や要件は、年によって違います。最新の情報を持っていなければ、本来受けられたものも逃してしまうかもしれません。専門知識が豊富かどうかは、補助金や助成金を受けるうえでも非常に重要です。ホームページなどで確認してください。
・的確・具体的なアドバイスをくれる
税理士を選ぶ場合、相談時に的確で具体的なアドバイスをもらえるかは重要なポイントです。税務のスペシャリストの視点からのチェック・アドバイスがもらえるかをしっかり見ていきましょう。また、事業計画書を税理士に依頼する場合、相性も大切です。事業開始後も顧問税理士として長いお付き合いになることも考えながら自分と税理士の相性を確認することをおすすめします。
篠 昌義
記事監修者からのワンポイントアドバイス
良い事業計画書を作成するために重要なのは、「いかにするどいつっこみを想定できるか?」「するどいつっこみがきても耐えられるだけの計画になっているか」というところをつきつめることです。銀行に事業計画書を見せた時に、「なぜここで売上が急激に上昇しているのですか?」「なぜ費用はこんなに少なく済むのですか?」といったするどい指摘が想定されます。この指摘に対してすんなり納得感を与えられるような事業計画書を作成するためにも実績のある税理士のアドバイスは重要と言えます。
事業計画書は融資を受けなくても作成するのがおすすめ!
なかには、創業するタイミングでも融資を受けない人もいるでしょう。融資を受けない場合、事業計画書は不要なのでしょうか。結論として、事業計画書は融資を受けなくても創業時には作成するのがおすすめです。事業計画書は、融資を受けるためだけのものではありません。作ってあれば事業計画を都度見直し、計画通りに展開できているか確認できます。ズレがあれば、素早く修正に向けて対応できるでしょう。また、人を雇用したいとなった場合も、事業計画書があればスムーズです。事業内容や将来のビジョンがわかりやすく説明でき、人材の確保もしやすくなります。たとえ融資を受けなくても、ぜひ事業計画書を作成してください。
篠 昌義
記事監修者からのワンポイントアドバイス
慣れていない人が事業計画書を作るのはかなり難しいでしょう。ですが、事業を拡大させているやり手の経営者で事業計画書を作れないような人は私が知る限り知りません。頭の中にある事業計画を実際にドキュメントに残しておくことは、頭を整理する意味でも非常に重要です。最初は税理士の助けなどを借りながらでも良いので、事業計画(損益計画、資金計画)を作れるように訓練しておくと良いでしょう。
まとめ
事業計画書は、確かに税理士に依頼するとコストもかかります。しかし、融資を受けやすい事業計画書を作成してもらえますし、的確なアドバイスが受けられてリスクに備えることが可能です。かかる時間も短縮できるため、依頼するのがおすすめです。これから事業計画書を作成するという人は、ぜひ税理士への依頼を検討してみてください。
記事監修者 篠税理士からのワンポイントアドバイス
最初は、事業計画書はしっかりしたものでなくても良いので、損益や資金の1年間の計画くらいは最低限描けるようにしておくことが重要です。小規模な経営者の中には、事業計画書を重要視していない人も多いのが現状です。ですが、上場企業をはじめとした大手企業などでは経営陣の仕事は事業計画書をしっかり作りこむことといっても過言ではないくらい重要なものです。長期的安定的に成長する企業を構築するためにも事業計画書は非常に重要です。時には税理士の手助けをえながらよりよい事業計画書を作成できるようにブラッシュアップしていきましょう。
- この記事の監修者
- 篠昌義税理士事務所 代表 篠 昌義(公認会計士・税理士)
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