漫画家・クリエイターに税理士は必要?確定申告や節税のポイントを解説

漫画家・クリエイターに税理士は必要?確定申告や節税のポイントを解説
最終更新日:
2025/04/24
この記事の監修者
おだね税理士事務所
代表 小田根 大輔(税理士)
 
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア
漫画家やクリエイターとして成功するためには創作活動に集中することが不可欠ですが、確定申告や税務管理の複雑さに悩まされていませんか?本記事では、フリーランスの漫画家・クリエイターが知っておくべき税金の基礎知識から、税理士に依頼するメリット、費用相場、選び方まで徹底解説します。

漫画家・クリエイターの税金に関する悩みと基礎知識

フリーランスの漫画家に必要な確定申告と帳簿管理

フリーランスの漫画家やイラストレーターなどのクリエイターは、サラリーマンとは異なり「個人事業主」として確定申告を行う必要があります。個人事業主は、毎年2月半ばから3月半ばまでの決められた期間に前年の所得について確定申告をしなければなりません。
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。両者の大きな違いは以下の点です。

  • 青色申告:最大65万円の特別控除が受けられる(電子申告の場合)
  • 白色申告:控除額が10万円と少ない

特に創作活動で収入を得ているクリエイターは、青色申告を選択するメリットが大きいといえます。青色申告をするためには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出し、日々の取引を複式簿記で記帳する必要があります。
帳簿管理を疎かにすると、確定申告時に経費を正確に計上できず、必要以上に税金を支払うことになりかねません。また、記帳義務を怠ると税務調査の際に追徴課税やペナルティを課される可能性もあります。日々の収支を記録する習慣をつけることが重要です。

漫画家ならではの経費とは?認められるもの・認められないもの

漫画家やクリエイターの仕事には、一般的なビジネスとは異なる特有の経費があります。適切に経費計上することで、課税所得を減らし、税負担を軽減できます。

経費として認められる主なもの:

  • 制作用の道具(ペン、紙、タブレット、PCなど)
  • ソフトウェア使用料(イラスト制作ソフト、編集ソフトなど)
  • 参考資料(書籍、雑誌、資料購入費)
  • 取材費(交通費、宿泊費、入場料など)
  • アシスタントへの外注費・人件費
  • 仕事用のインターネット通信費
  • 作業スペースに関わる費用(家賃・光熱費の一部)

自宅の一部を仕事場として使用している場合、家賃や光熱費の一部を経費として計上できます。この場合、自宅の総面積に対する作業スペースの割合で按分するのが一般的です。例えば、自宅の20%を作業スペースとして使っている場合、家賃や光熱費の20%を経費として計上できます。
ただし、プライベートと仕事の境界が曖昧になりがちな点には注意が必要です。例えば、以下のようなケースは経費として認められにくい傾向があります。

  • 普段着として着用できる服(特殊な作業着は除く)
  • 家族との食事を兼ねた会食費
  • 趣味と仕事の区別がつきにくい旅行費

経費計上の基本原則は「その支出が事業と直接関係しているか」という点です。領収書やレシートはしっかり保管し、何のために使ったかメモしておくと安心です。

売上アップでどう変わる?高収入クリエイターの税務リスク

創作活動が軌道に乗り、収入が増えてくると新たな税務上の課題が発生します。

年間売上が1,000万円を超える場合

消費税の課税事業者となり、消費税の申告・納税が必要になります。また、2023年10月から始まったインボイス制度への対応も必要となります。インボイス発行事業者の登録をしないと、取引先が消費税の仕入税額控除を受けられなくなるため、取引に影響が出る可能性があります。

ある年で収入が急増した場合

税金は累進課税制度を採用しているため、収入が増えるほど税率が上がります。特に漫画家やイラストレーターは、ヒット作が出ると一時的に収入が大幅に増えることがあります。そのような場合には「平均課税制度(五分五乗方式)」を利用することで税負担を軽減できる可能性があります。

事業規模の拡大した場合

アシスタントを雇ったり、スタジオを借りたりと事業規模が拡大すると、個人事業主として運営を続けるか、法人化(法人成り)するかの判断が必要になることがあります。一般的に年間所得が概ね800万円を超えると、法人化によるメリットが出てくるケースが多いです。
このような節目では、自分だけの判断で対応するのは難しく、税理士など専門家のアドバイスが非常に重要になります。税理士に相談することで、最適なタイミングでの対応が可能になり、将来的なリスクを回避できるでしょう。

クリエイターが注意すべき税務トラブルとは?

小田根 大輔

監修税理士からのワンポイントアドバイス

起こしがちな税務トラブルとしては、収入・経費の計上漏れや計上時期を誤ったまま確定申告をしてしまい、本来支払う必要のない税金(加算税・延滞税)まで支払うことが挙げられます。
収入や経費の計上時期は入出金のタイミングではなく、原稿の納品日や物品の購入・サービスの消費の時となります。また、事業に関係のない個人的な経費を計上することがないように気を付けましょう。アシスタントへの給料は経費となりますが、所得税を差し引いて支払う必要があります。これを怠ると本来支払う必要ない税金(加算税・延滞税)が発生してしまいますのでご注意ください。
なお、原稿料収入の申告では「平均課税制度」で申告することで低い税率で税額計算することが可能なケースもありますのでご自身の申告内容をご確認ください。

漫画家が税理士に依頼すべきタイミング

漫画家やクリエイターとして活動していると、「いつから税理士に依頼すべきか」という疑問を持つ方も多いでしょう。以下のようなタイミングで税理士への依頼を検討することをおすすめします。

収入が大きく変動したとき

連載開始や単行本発売など、収入が急増する時期には税金の計算が複雑になります。特に印税収入など、毎月安定しない収入がある場合は専門家のサポートが有効です。

事業規模が拡大し、外注やアシスタントが増え始めたとき

アシスタントを雇用したり外注が増えたりすると、源泉徴収や給与計算など新たな業務が発生します。こうした人件費の経費計上や税務処理を正確に行うために、税理士のサポートを受けることが効果的です。

インボイス制度対応や消費税申告の必要が出てきたとき

年間売上が1,000万円を超え、消費税の納税義務が発生する場合や、インボイス制度への対応が必要になったときは、税理士に相談するベストタイミングです。適切な対応を誤ると、後々大きな問題につながる可能性があります。

法人化を検討したくなる収入帯に達したとき

収入増加に伴い、個人事業主から法人成りを検討する際には、法人設立の手続きや税務上のメリット・デメリットを詳しく知るために税理士のアドバイスが必須です。
こうしたタイミングでは、プロのサポートが「節税」だけでなく「時間・労力の削減」にも大いに役立ちます。創作活動に集中するための環境づくりとして、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

税理士に依頼するメリット:クリエイターが得られる安心と効果

確定申告・経理をプロに任せて本業に集中できる

漫画家やイラストレーターなどのクリエイターにとって、最も貴重なのは創作に使える時間です。税理士に経理や確定申告業務を依頼することで、以下のようなメリットが得られます。
まず、日々の経理作業から解放されることで、創作活動に集中できる時間が増えます。売上や経費の入力、帳簿の管理など、これまで自分で行っていた作業をプロに任せることで、締切に追われる忙しい時期でも経理の心配をする必要がなくなります。
また、税務のプロに任せることで申告ミスや書類不備などのリスクが大幅に減少します。特に確定申告は毎年ルールが変わることもあり、最新の税制に対応した適切な申告が可能になります。
「漫画を描くのに集中したいのに、経理作業で頭がいっぱい...」という状況から解放され、本来の仕事である創作活動に専念できる環境が整います。

プロの節税アドバイスで税金を賢く減らす

税理士に依頼する大きなメリットの一つが、合法的な節税対策です。クリエイターとしての特殊な経費や所得の状況を踏まえた、専門的なアドバイスを受けられます。

例えば、次のような節税アドバイスが期待できます。

  • 見落としがちな経費項目の洗い出し(制作環境整備費、研究費など)
  • 青色申告特別控除の最大活用法
  • 小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo)などの活用
  • 所得税と住民税の納税資金対策
  • 設備投資のタイミングと減価償却の最適化

特に収入が不安定なクリエイター業では、税金の平準化や将来を見据えた資金計画が重要です。税理士は単なる「税金計算の代行者」ではなく、あなたの財務状況を把握した上で最適な対策を提案してくれる「財務アドバイザー」としての役割も果たします。

面倒な手続きも安心!税務調査対応や事業拡大のサポート

税理士に依頼することで、税務調査や各種手続きにも安心して対応できるようになります。
税務調査とは、税務署が申告内容に間違いがないかを確認するために行う調査です。個人事業主として活動していると、いつか税務調査が入る可能性があります。そのときに自分一人で対応するのは非常に不安ですが、税理士がサポートしてくれれば専門的な質問にも適切に対応でき、余計な追徴課税を受けるリスクを軽減できます。
また、事業拡大に伴う様々な手続きもスムーズに進められます。

  • 個人事業主から法人への移行手続き
  • インボイス制度への対応
  • 消費税課税事業者となった場合の申告サポート
  • アシスタントを雇う際の給与計算や社会保険手続き

こうした手続きは一度間違えると修正が大変ですが、税理士がいれば初めから適切に対応できます。長期的なビジネスパートナーとして、事業の成長に合わせたアドバイスを受けられる安心感は計り知れません。

税理士に依頼するメリットは?

小田根 大輔

監修税理士からのワンポイントアドバイス

日々の経理業務や確定申告を税理士に依頼することのメリットには次のものが考えられます。
①煩雑な経理処理、確定申告から解放され本業に集中できる
・経理処理、確定申告を行うには専門知識が必要な部分があり、これをご自身で行うと多くの時間と労力を費やしてしまいます。
・これを税理士に依頼することで煩雑な作業から解放され創作活動に集中できます。
②正確な税務処理と節税ができる
・税理士に依頼することで収入、経費を漏れなく計上でき正しい申告をすることができます。
・「平均課税制度」など税制上の優遇措置を正しく活用することで合法的に節税を図ることが可能となります。
③税法の改正への対応
・税法は毎年のように改正されますが、税理士は常に最新の情報を把握しなければなりませんので、法改正に対応した適切な税務処理がなされます。
④専門家としての客観的な視点
・税理士が経理処理、確定申告を行うことにより、経営状況や財務内容も把握できます
・経営状況の課題があれば、専門家として客観的な視点からアドバイスを受けることができます。

税理士費用の相場は?気になる料金体系を解説

税理士に依頼するメリットは理解できても、「費用がどれくらいかかるのか」という点は気になるところです。ここでは漫画家やクリエイターに参考となる費用相場を紹介します。

スポット依頼(確定申告のみ)の場合

個人事業主の確定申告だけを依頼する場合、年商に応じて以下のような相場が一般的です。

  • 年商500万円未満:7万円~8万円程度/年
  • 年商500万円~1,000万円未満:10万円程度/年
  • 年商1,000万円以上:15万円程度~/年

月額顧問契約の場合

継続的に税務サポートを受ける顧問契約の場合、月額顧問料の相場は月額3万円前後が一般的ですが、年商や訪問回数によって以下のように変動します。

  • 年商500万円~1,000万円未満(3~4ヶ月に1回訪問):月額1万円~
  • 年商1,000万円~3,000万円未満(2ヶ月に1回訪問):月額2万円~
  • 年商3,000万円~5,000万円未満(毎月1回訪問):月額2万5千円~

なお、確定申告時には月額顧問料とは別に「確定申告料」が発生することが一般的です。この費用は月額顧問料の約4~6ヶ月分が目安となります。

記帳代行を依頼する場合

自分で帳簿をつける時間がない場合は、記帳代行サービスも検討できます。こちらは仕訳枚数によって料金が変わります。

  • 毎月の仕訳200枚まで:1万5千円程度
  • 毎月の仕訳300枚まで:2万円程度

顧問契約に含まれるサービス内容は税理士事務所によって異なるため、契約前に以下の点を確認しておくことが重要です。

  • 記帳代行は顧問料に含まれるのか、別料金なのか
  • 年間の決算・確定申告料は別途必要なのか
  • 税務相談は回数制限があるのか
  • 消費税申告やインボイス対応は別料金なのか
  • 訪問サービスの頻度はどうなっているか

また、税理士費用を抑えたい場合には、以下のような方法も効果的です。

  • 面談の回数を減らす(リモート対応も検討する)
  • クラウド会計ソフトを活用する
  • 同じ地域内の税理士に依頼する(出張費削減)
  • 日々の記帳は自分で行う

特に漫画家やクリエイターのような個人事業主の場合、初期の段階では確定申告のみのスポット依頼から始め、事業規模の拡大に合わせて顧問契約に移行するというステップを踏むのも一つの方法です。料金の安さだけで選ぶのではなく、自分の事業規模や求めるサービス内容に合ったプランを選ぶことが大切です。

漫画家・クリエイター業界に強い税理士の選び方

税理士を選ぶ際には、単に「近くにある」「料金が安い」といった基準だけでなく、漫画家やクリエイターの業務に精通している税理士を選ぶことが重要です。
業界知識のある税理士を選ぶメリット:

  • クリエイター特有の経費(画材、参考資料、取材費など)の処理に詳しい
  • 不規則な収入パターン(印税や原稿料)に対応した節税対策を提案できる
  • 同業者の事例を基にしたアドバイスが受けられる
  • 業界特有の契約形態や著作権収入の扱いについて理解している

クリエイター業界に強い税理士の探し方:

  • 知人のクリエイターからの紹介を受ける
  • 「税理士+漫画家」「税理士+クリエイター」などのキーワードで検索する
  • 税理士のホームページで対応業種に「クリエイター」「漫画家」が入っているか確認する
  • 税理士会のホームページや税理士紹介サービスで専門分野を指定して探す

最終的には相性も重要です。自分の仕事や状況を理解し、長期的にサポートしてくれる税理士を見つけることが、創作活動に集中できる環境づくりにつながります。

無料相談を活用して相性ぴったりの税理士を見つけよう

税理士を探す際には、初回無料相談を活用することをおすすめします。多くの税理士事務所や税理士紹介サービスでは、初回相談を無料で提供しています。この機会を利用して、実際に話をしてみることで相性を確認できます。
無料相談で確認したいポイント:

  • コミュニケーションがスムーズに取れるか
  • 質問に対して分かりやすく説明してくれるか
  • クリエイターの業務内容や収入形態を理解しているか
  • どのようなサポートが必要か、適切に提案してくれるか
  • 料金体系が明確で、追加料金などの説明があるか

税理士紹介サービスを利用する場合は、「クリエイターに詳しい税理士」「漫画家のクライアントがいる税理士」などと具体的に希望を伝えると、適切なマッチングが期待できます。
無料相談は複数の税理士事務所で受けることも可能です。2~3社に相談して比較検討することで、自分に最適な税理士を見つけられる可能性が高まります。「強引な契約を迫られるのでは」と心配する方もいますが、多くの場合はプロフェッショナルとして誠実に対応してくれますので、気軽に相談してみましょう。
専門の税理士コーディネーターが間に入ってくれるサービスを利用すれば、より安心して相談できます。コーディネーターがあなたの状況や要望を丁寧にヒアリングした上で、最適な税理士を紹介してくれるため、ミスマッチを防ぐことができます。

まとめ

漫画家やクリエイターとして活動する際、税務面の知識と適切な対応は創作活動を長く続けていくための重要な基盤となります。確定申告や経費計上の基本を押さえつつ、事業の成長に合わせて専門家のサポートを受けることで、創作活動に集中できる環境が整います。
特に「収入規模が拡大してきた」「確定申告や経理作業に時間を取られている」「節税対策を知りたい」と感じたタイミングは、税理士の力を借りるべき時期だといえるでしょう。税理士費用は決して安くはありませんが、創作に集中できる時間の確保や適切な節税対策によるメリットを考えれば、十分に価値のある投資です。
まずは無料相談を活用して、自分に合った税理士を探してみることをおすすめします。税理士紹介サービスを利用すれば、専任のコーディネーターがあなたの状況に合わせた最適な税理士を紹介してくれます。税務の不安から解放され、創作活動に集中できる環境づくりの第一歩を踏み出してみませんか?

この記事の監修者
おだね税理士事務所
代表 小田根 大輔(税理士)
業界歴15年間で、法人・個人事業主の顧問業務、申告(法人税、消費税、所得税、相続税)業務のほか、財務・税務のデューデリジェンス業務、公益法人の顧問業務、M&Aや事業承継業務など、幅広い業務に携わってまりました。これらの経験を通じて、企業の成長と発展には、税務・会計の専門家としてのサポートが不可欠であることを確信しております。また、企業経営には、常に様々な課題がつきものです。税務・会計に関するお悩みはもとより事業に関することまで、どうぞお気軽にご相談ください。お客様の立場に寄り添い、最善のサポートをさせていただきます。

事務所公式ホームページはこちら
この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
税理士紹介センタービスカスは、 株式会社ビスカスが運営する、日本初の「税理士紹介サービス」サイトです。 税理士をお探しの個人事業主や法人のお客様に対して、ご要望の税理士を無料でご紹介しています。
創業から29年、税理士紹介で培った知識とノウハウから、確定申告・決算・会社設立・融資・節税のご相談や、税理士料金の相場情報など、「初めて税理士に依頼したい」「顧問税理士を変更したい」という経営者・事業主の皆様に役立つ情報をお届けします。

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア
税理士無料紹介お問い合わせフリーダイヤル
電話番号
日本全国の税理士を探す
特定業種に詳しい税理士を探す
特定分野に詳しい税理士を探す
会計ソフト対応の税理士を探す