「税理士なら、みんな“税金”を知っている」
そうとは言えない理由とは?
「税理士なら、みんな“税金”を知っている」  そうとは言えない理由とは?
最終更新日
2019/7/26
 
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「税金を知らない税理士がいる」。そう言ったら、「そんなバカな」と思われるでしょうか。でも、それは紛れもない事実。正確に表現すると、「税理士の資格を持っているからといって、その人がすべての税法に通じているとは限らない」のです。依頼する方にとってはとても重要な意味を持つその現実と、背景にあるものを探ってみたいと思います。

税理士にはどうやったらなれる?

税理士は、言わずと知れた国家資格です。まず、それはどのようにしたら取得できるのか、から説明しましょう。

一般的には、「大卒で法律学もしくは経済学に関する科目を1科目以上履修している」などの受験資格をクリアしたうえで、税理士試験に合格する+会計事務所などでの2年の実務経験(試験の前でも後でもOK)が、税理士資格取得の要件となっています。では、試験では何が試されるのでしょう?
試験は、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。)について行われます。

要するに、試験科目は会計学2科目と、必修、選択を含めた税法3科目の計5科目で、そのすべてで合格点を取らなくてはなりません。合格基準点は、各科目とも満点の60%となっています。

税法をすべて勉強しなくても資格は取れる

さて、ここから本題に入ります。今説明したように、税理士試験の税法に関しては、「所得税法か法人税法のいずれか」を除いて、選択になっています。例えば、相続税や固定資産税について勉強しなくても、税理士資格を取ることは可能なのです。

国税庁の発表資料を基に、2019年8月の税理士試験申し込み者について、各科目をどれくらいの人が受験するのか(その科目の受験申込者数/税法に属する科目の延べ受験申込者数。小数点2位以下四捨五入)、算出してみました。

科目名 受験申込者の割合 申込者数の対前年比
所得税法 8.3% 95.6%
法人税法 20.3% 90.9%
相続税法 13.7% 91.8%
消費税法 35.7% 93.3%
酒税法 3.0% 91.5%
国税徴収法 9.8% 96.8%
住民税 2.3% 91.0%
事業税 2.0% 87.5%
固定資産税 4.9% 102.4%

母数は、仮に3科目受験していれば「3人」とカウントしていますから、実際の科目別受験申し込み比率(受験生の何%が申し込んだか)と、イコールではありません。実際の比率はこれより高くなり、総計も100%を超えます。ただ、ばらつきがあるなか、消費税法、法人税法の比率が相対的に高くなっている、といった全体的な傾向は読み取れるのではないでしょうか。いずれにせよ、少なくとも受験勉強の段階で、税理士の卵が税法をくまなくマスターするわけではないのです。

もちろん、資格を取ってから、受験しなかったところを学ぶ人は多くいるはず。でも、それにも限界があるようです。税理士であっても、「知らない税金」「不得意な分野」がある。むしろ、それが当たり前なのだという認識を持つべきでしょう。

ミスマッチが生む「悲劇」

とはいえ、この事実は、税理士に仕事を頼む側にとっては「由々しき問題」です。間違って「不得意な先生」に当たってしまったら、思わぬ不利益を被ることになるかもしれません。

相続の事例に見る「悲劇」

話をリアルにするために、ある税理士の先生から聞いた、相続に関する事例をご紹介しましょう。

遺産分割では、「代償分割」という方法が認められています。
1人の相続人が不動産を相続しました。でも他の相続人には、取り分がない…。こんな場合には、不動産を相続した人が、他の相続人に足りない分のお金を支払うことで、遺産分割協議をまとめることができるのです。

ところが、その事例では、代償分割せずにいったん土地を相続人たちの共有名義にして相続を終えました。その後、不動産をもらう予定だった人が、他の相続人からその共有部分を買い取ったのです。

結果は同じようにみえますが、他の相続人たちは、相続の際に不動産の共有部分にかかる相続税を払い、さらにその売却益にも譲渡所得税が課税されるという、税の「二度払い」を強いられたのでした。
譲渡所得税は、約500万円。直接相続を担当した前の税理士に、代償分割の知識がなかったゆえの「悲劇」でした。

原則として、こうしたケースの遺産分割協議のやり直しはできません。しかし、その先生は、知識と経験を駆使して、最終的には税務署にそれを認めさせ、500万円の支払いはしなくて済みました。税理士の腕によって、顧客の利益にこれだけの差が出ることもあるわけです。

税理士の”本当に得意な分野”を見極めるには

「税理士には不得意な分野がある」と言いましたが、それは、それぞれの先生が「得意なところを持っている」ということの裏返しでもあります。税理士選びでは、自分のニーズと税理士の得意分野をどうマッチングさせるか、という点が大きなポイントになるのです。

その際、会計事務所のホームページは参考になりますが、間違えないためには、見る側にもある程度の知識が求められるでしょう。迷ったら、税理士紹介会社を頼るのも、1つの方法です。

まとめ

税理士は税のプロ。ただし、依頼の際には、“得手不得手”のあるのが当たり前と考えて、慎重に選ぶことが大切です。

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