税理士を変更する方法やタイミング、必要な準備とは?メリット・デメリットも解説

税理士を変更する方法やタイミング、必要な準備とは?メリット・デメリットも解説
公開日:
2020/05/14
最終更新日:
2022/05/26
 
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法人やフリーランスを含む個人事業主、および会社の経営者にとって、税理士は単なる税務申告の代行にとどまらず、事業のパートナーともなり得る存在です。それだけに、プロとしてのスキルは求める水準を満たしているか、相性に問題はないか、といった点は妥協したくないもの。問題を感じて、税理士の変更を検討することもあるでしょう。スムーズな税理士の変更の仕方やそのために必要な準備、税理士を変更することによるメリット・デメリットを解説します。

税理士を変更するタイミング

税理士変更を検討するタイミング、とひとくちに言っても、人によって「税理士を変えたい」と思う理由は様々です。以下で税理士を変更した方が良いタイミングの例を挙げてみました。

節税対策を始めたいとき

節税について意識し始めたときが、税理士を変更する一番のタイミングでしょう。事業にどのように取り組むかを考えるのは経営者の仕事ですが、節税対策は専門家である税理士にはかないません。創業して間もない頃は納税額が少ないので、納税事務をお願いするためだけに税理士と契約することもあるでしょう。会社が軌道に乗って売上が増えてくると、節税について本格的に考える必要が出てきます。節税を意識したときが、これまでの税理士との関係を見直すタイミングです。

事業内容を変更するとき

また、事業内容を変更するときも税理士の再検討が必要です。事業が異なれば、何が経費として認められるのかといった細かな解釈や節税テクニックも違ってきます。税理士にはそれぞれ得意な事業分野があるので、事業が入れ替わるときには、新しい事業分野に明るい税理士に変更することを検討すると良いでしょう。

税理士のサービスに不満があるとき

さらに、サービスに対する不満が高まったときも税理士を変更するタイミングです。

  • 質問してもなかなか回答してくれない
  • ときに忘れられる
  • いざというときに連絡が取れない
  • クラウドの会計ソフトに対応してくれない
  • 高圧的で質問しづらい
  • 事業を十分に理解していない
  • 意味のあるアドバイスをしてくれない
  • アドバイスが間違っている
  • 節税について積極的ではない

…など、税理士に対する不満は枚挙にいとまがありません。
事業を始めたばかりの頃は税務を肩代りしてくれるだけで満足していたとしても、年月が経っていろいろなことがわかり始めると不満も大きくなっていきます。
本来、経営者と税理士は固い信頼関係で結ばれているべきものです。不満が増大し、信頼に基づく関係の維持が難しくなった段階もまた、税理士を変更するタイミングと言えるでしょう。

税理士選びのポイント

税理士業界は規制に守られた業界であるため、顧客の満足感をあまり重視しない“仕事をしてあげる”といった姿勢の税理士も実は少なくありません。そのため、顧客の利益を第一に考える税理士を見つけることは、経営者にとって重要な事業課題であると言えます。

自分に合った税理士を見つけるポイント

最初のポイントは「気持ち」「態度」です。顧客の満足感を重視する税理士は、経営者と一緒に事業を育てる姿勢が自分の利益につながることを知っており、自ずと気持ちの良い態度で接してくれるものです。偉そうな態度をとったり質問にしっかりと答えなかったりする税理士は、顧客サービスに重きを置いているとは言えません。
また、税理士が事業に対してもっとも貢献できる点は「節税対策」です。自分の事業領域に対して理解が深く、適切な節税テクニックをしっかりと教えてくれる税理士を選びましょう。中には「節税よりも納税をしっかりしましょう」というスタンスの税理士もいますので、経営者・事業主として節税対策に力を入れたいと考えるのであれば、税理士選びの際によく確認する必要があります。
その他にも、役員報酬の相談に乗ってくれること、料金が明瞭に設定されていること、決算対策をしっかりやってくれることなどもポイントです。自分の事業に合わせて重視すべきポイントを選びましょう。

個人事業主・フリーランスに合う税理士とは

個人事業主で売上が少なく、ある程度時間がある場合には、自分で確定申告をした方が良いかもしれません。しかし、売上が1,000万円を超える場合や時間的に余裕がない場合は、税理士を探した方が良いでしょう。個人事業主・フリーランスの場合は自分が税理士と直接話すことになるので、事前に相手とよく話し合い、相性が合うかどうかを見極めてから契約すると良いでしょう。

個人事業主が自分に合わない税理士を雇い続けるとどうなるのか

「とにかく安い税理士を見つけて仕事を丸投げしたい」と考える方も多いでしょう。しかし、自分に合わない税理士に仕事を依頼すると、些細なことで対立したり自分が思うような節税にならなかったりと、かえって消耗する結果になりかねません。
個人事業主が税理士を選ぶ場合には、料金とともに、

  • 個人事業主・フリーランスとしての自分の働き方を理解してサポートしてくれること
  • 業界に対する知識があること
  • 税理士が提示する節税方針に納得できること
  • 相談相手として安心を感じられること

なども重視しましょう。

個人事業主・フリーランスと契約している税理士事務所の事例

【例1】

A税理士事務所の場合、月額顧問料1万円で税理士と契約できます。顧問料以外に、記帳代行が月額1万円、消費税の処理が年間6万円、合わせて年間30万円が発生します。

【例2】

B税理士事務所の場合、顧問料は月額3万円です。これに加えて決算について12万円が発生するので、年間で48万円支払うことになります。3ヶ月に1回の定期面談では、試算表などに基づく課題の洗い出しや、節税や経理事務、その他全般について相談できます。

【例3】

C税理士事務所では、毎月50仕訳まで18,333円、100仕訳まで23,333円で帳簿をつけてもらうことができます。さらに年1回の所得税申告料8万円を支払えば、税務のアウトソースも可能です。月額5千円でオリジナル業績レポートを発行してもらうこともできます。相談については別途月額料金が必要です。

※料金はあくまで参考です。実際の料金は、依頼内容・税理士の関与頻度・年商により異なります。

法人向きの税理士とは

個人事業主と異なり、法人の場合は、顧問税理士との契約が必須と言っていいでしょう。税務申告に必要な書類ひとつとってみても、個人の確定申告とは比較にならないほど種類が多く、複雑な作業が必要になるためです。自社のニーズにもよりますが、会社に寄り添い「数字のプロ」として経営面でのアドバイスをできるような税理士が「法人向き」だと言えるでしょう。

法人が自社に合わない税理士を雇い続けるとどうなるのか

個人事業に比べて事業の規模も大きいだけに、「合わない税理士」に依頼し続けるデメリットも甚大です。相性の合わない顧問税理士に対して毎日不満を募らせていたのでは、本業に差し支えるかもしれません。中には、とてもクライアントのことを考えてくれているとは思えない提案をする税理士もいます。例えば「節税至上主義」の税理士の言うがまま経費を膨らませたために、会社に現金が残っていない、というような状態になってしまったりする例も、実際には少なからずあるのです。

法人が税理士を選ぶ場合には、

  • 法人の仕組み、法人税に詳しいこと
  • 自社の業界知識があること
  • 自分の会社の数字などをしっかり把握したうえで、節税以外の経営に関するアドバイスもできること
  • 質問などに対してスピーディーに対応してくれること
  • 経営者や経理担当者に“上から目線”で語ったりせず、同時に「これは間違っています」と言える人であること

などが指標になるでしょう。

法人が税理士を変更する際に注意するべきこと

ただし、法人の場合は、「できれば変更しないほうがいい時期」のあることに、注意が必要です。法人には、それぞれが決めた決算期があります。顧問税理士は、その3ヵ月前には決算の準備を始めています。新しい税理士が、会社の中身を把握して正しい決算を行うためにも、そのくらいの期間は最低必要になると考えると、この時期の引き継ぎは難しいでしょう。変更には、「法人税の申告・納税(年度終了から2ヵ月以内)が終了してからなるべく早い時期」(3月決算であれば6月以降)が、ベストと言えます。

税理士を変更する方法

税理士を変更するには、以下の3ステップを踏み、主な注意点に配慮すれば、税理士の変更はそれほど面倒な作業ではありません。

税理士を変更する手順は、

  • 契約解除の希望を伝える
  • 書類を返却してもらう
  • 新たな税理士と契約する

となります。

税理士を変更するときに気をつけること

税理士を変更するときには、現在の税理士との契約内容をよく確認すること、預けた書類を返してもらうこと、契約解除の通告やスケジューリングを文書化すること、新しい税理士が見つかってから契約を解除することに注意しましょう。

現在の税理士との契約内容を確認する

顧問契約の解除については、契約したときに方法が定められています。契約書をよく読み、手続きをしっかりと確認しましょう。解約予定日のどれくらい前に意思を表明するべきなのか、違約金は発生しないか、中途で解約することで顧問料を無駄に支払うことにならないかなど、細かな点までよく理解しましょう。

預けた書類は早めに返却してもらう

顧問契約をしている間は、会社の帳簿をはじめとするさまざまな書類を預けているはずです。返却が遅れると新しい税理士への仕事の引継ぎが滞ることもあるので、預けた書類の返却申請は、早い段階で行っておきましょう。

契約解除のやりとりはなるべく文書で

契約解除の希望を伝えるときや、契約をいつ解除するかのやりとりは、口頭ではなく文書で行うようにしましょう。契約の解除はデリケートな作業なので、口頭で済ませると「言った/言わない」のトラブルに陥り、場合によっては税理士の変更が滞ることがあります。

契約解除は「新しい税理士」を見つけてから

また、言うまでもありませんが、次の税理士を見つけてから税理士との契約を解除しましょう。税理士がいない期間に税務署から連絡がきて困ったことになる、といった事態は避けなければなりません。

税理士を変更するメリット・デメリット

一般的なメリット・デメリット

一般的なメリット

税理士の変更タイミングでも言及しましたが、節税対策の強化は税理士を変更する最大のメリットです。売上が増える頃には事業についての理解が進み、自分が経営者としてするべきことがより明確になっているでしょう。そのタイミングで、自社の事業分野をよく知る税理士と節税を目的として契約できれば、実質的な収入を大きくアップさせることが可能です。
その他のメリットとしては、有能な税理士に経営全体に対する助言を求めることや、不親切だったりサービス不足だったりする税理士に対する不満や不快感を解消することなども挙げられます。

一般的なデメリット

税理士を変更するデメリットは、これまでの継続性が断ち切られることです。新しい税理士との間で一から信頼関係を築くには、かなりのエネルギーが必要になるでしょう。書類の返却が滞ったりデータ形式が合わなかったりすると、過去の会計データなどをもう一度入力しなければならず、多くの作業が発生してしまうこともあります。

個人事業主・フリーランスならではの変更のメリット・デメリット

個人事業主・フリーランスならではのメリット

個人事業主・フリーランスの場合は、税務作業から逃れるためだけに税理士と契約していることが多いかもしれません。確定申告の時期などにだけスポットで契約するケースも少なくないかもしれません。
いずれにせよ、事業だけではなく個人所得の節税に詳しい税理士に変更すれば、納税額を減額することができるでしょう。

個人事業主・フリーランスならではのデメリット

逆に、事業に詳しくても個人所得に詳しくない税理士に変更してしまうと、納税額がむしろ大きくなってしまうこともあり得ます。

法人ならではの変更のメリット・デメリット

法人ならではのメリット

顧問契約を結ぶためには、スポットで確定申告を依頼するような場合に比べて、高額のコストがかかります。「合わない税理士」から、「自社のことを親身に考えてくれる先生」にチェンジすることで、そうしたコストを有効に活用することができるでしょう。もちろん、税理士を変更することで、負担になっていた顧問料を減額することも可能です。

法人ならではのデメリット

現在の顧問税理士との契約解除、新たな税理士への引き継ぎには、それなりの時間とエネルギーを覚悟しなくてはなりません。特に、現在の税理士との間にしこりを残すと、スムーズな引継ぎに支障をきたすことも考えられます。丁寧な説明や対応を心掛けるようにしましょう。

税理士の変更を検討中の方へ

税理士にも得意分野があり、スキルや経験も千差万別です。自分に合っているのかは、仕事を頼んでみないとわからない…という側面もあるでしょう。現在の税理士に不満を感じるとき、改善を要望してもなかなか聞いてもらえない場合などには、変更を考えてみるべきでしょう。ただし、それには必要な手順や準備もあります。スムーズな切り替えのために、この記事を参考に準備を進めてみてください。

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など、まずはご相談フォームよりお気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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