顧問税理士への不満は我慢すべき?変更を判断したい経営者が知っておきたい基準

顧問税理士への不満は我慢すべき?変更を判断したい経営者が知っておきたい基準
最終更新日:
2026/07/29
この記事の監修者
おだね税理士事務所
代表 小田根 大輔(税理士)
 
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顧問税理士への不満は、放置するほど経営の実害に変わります。返信の遅さで融資判断が遅れる、節税提案がなく納税額に差が出る、といった損失は「相性の問題」では済みません。とはいえ、すべての不満が変更に値するわけではないのも事実です。改善要求で足りるのか、変更に踏み切るべきか。実際の相談例をもとに、判断の基準を整理します。

顧問税理士への不満で多い6つのパターンと実際の相談例

顧問税理士への不満は「対応の遅さ」「料金」「提案のなさ」に集中します。税理士紹介センタービスカスに寄せられる変更相談を整理すると、不満は大きく6タイプに分かれ、いずれも放置するほど経営への影響が大きくなります。ここでは実際の相談に見られた具体例とともに、代表的なパターンを紹介します。

1つ目は、対応・レスポンスの遅さです。
「質問への回答が3日後になる」
「月次試算表の作成が遅れ、会社の数字をすぐ把握できない」
といった声が実際に寄せられます。数字の把握が遅れると資金繰りや融資判断の材料が揃わず、経営スピードを落とす直接的な要因になります。

2つ目は、顧問料と値上げへの不満です。
「年間24万円から34万円への値上げを打診された」ことを機に見直すケースや、
「決算料は年間顧問料に含まれる前提だと思っていたが別建てだった」という認識のズレが典型です。
金額そのものより、サービス内容と料金が見合っていない感覚が引き金になります。

3つ目は、節税提案や経営アドバイスの不足です。
「決算書を渡されるだけで税務上の指導がほとんどない」
「節税提案が役員報酬の増額一択」
といった相談が目立ちます。決算後の役員報酬設定について提案がなかった、という具体的な不満も実際に寄せられています。

4つ目は、自社の業種や分野に不案内なことです。
不動産、福祉(就労支援・放課後デイ)、美容といった業種では、その分野の顧問先を持たない税理士だと、本来計上できる経費を否定されたり業界特有の論点を拾えなかったりします。「福祉事業に明るくないため不安」という声はその典型です。

5つ目は、相性・コミュニケーションの問題です。
高圧的な態度、相談のたびに「ダメ出し」で終わる、担当者との折り合いが悪く事務所内での担当変更も難しい、といった人間関係の摩擦です。長く付き合うパートナーである以上、相性は軽視できない変更理由になります。

6つ目は、ミスや申告への不安です。
「仕入計上に約500万円の誤りが後から判明した」
「担当者の高齢化にともないミスが増えた」
といった相談があります。ミスによる追徴課税や延滞税を最終的に負担するのは依頼者側であるため、正確性への不信は決定的な引き金になりやすい項目です。

このほか、税理士の高齢による引退や担当者の退職も、やむを得ない変更のきっかけになります。近年はfreeeやマネーフォワードなどのクラウド会計に現顧問が対応できず、自計化を進めたいのに記帳代行から抜けられないという相談も増えています。

なお、これらの不満を放置した結果、顧問料トラブルで2期分の決算が未了になった法人や、使途不明金が代表者貸付として2,000万円超に膨らんでいた法人も実在します。不満は我慢の問題ではなく、対応の遅れが数字に跳ね返るリスク管理の問題として捉えてください。

顧問税理士への不満、我慢と変更の分かれ目を監修税理士に聞く

顧問税理士への不満は「どこまで我慢すべきか」「そもそも変更理由になるのか」の線引きが難しい領域です。ここからは、実際に多く寄せられる疑問について、監修税理士に伺います。

顧問税理士への不満はどこまで我慢すべき?

質問:多少の不満は我慢して付き合うべきでしょうか。どこからが変更を考えるラインですか。

小田根大輔

小田根大輔先生

業務や意思決定に支障が出ているなら、我慢すべきではありません。ただし、その不満が「他の税理士に変えれば解消されるものか(業界水準として妥当か)」を見極める必要はあります。変更を行うかどうかの 判断の軸は「感情」ではなく「実害の有無」です。返信の遅さで資料提出や融資判断が後ろ倒しになる、必要な節税提案がなく納税額に差が出ている、といった状態は、すでに経営に不利益が生じています。一方、連絡頻度の好みや説明のトーンといった調整可能な範囲なら、まず改善要求で足ります。「実害が出ているか」「改善を求めても変わらなかったか」の2点で線引きしてください。

顧問料が高いという不満だけで変更してもいい?

質問:サービスに大きな不満はないのですが、顧問料が高い気がします。料金だけを理由に変えてよいものでしょうか。

小田根大輔

小田根大輔先生

料金は月額のみではなく「年間のトータルコスト」で判断してください。事務所によって「月額は安く決算料が高い」「月額は高いが決算料は安い」など料金体系は様々です。さらに年末調整や各種申告など、オプション業務の有無によっても総額は変動します。適正価格は企業の業種や規模で異なります。 高いと感じたら、まず現契約の内訳、つまり顧問業務とオプションの切り分けを確認しましょう。複数の事務所から見積もりを取り、年間総額とサービス内容を比較検討して、 割高かどうかを判断しましょう金額とサービスの内容が乖離しており、価格交渉の余地がないと分かった時点で、変更が現実的な選択肢になります。

レスポンスの遅さや提案のなさは今の税理士に改善を求められる?

質問:いきなり変更ではなく、まず今の税理士に改善してもらうことはできますか。

小田根大輔

小田根大輔先生

改善要求は有効ですが、伝え方を具体化するのが前提です。「対応が遅い」ではなく「午前の依頼は翌営業日までに一次回答がほしい」のように、期限と形式を数字で示してください。担当者個人の問題であれば、税理士本人ではなく所長に担当変更を相談する方法もあります。ただし、複数回そろえて依頼しても改善しない、あるいは事務所の体制自体が原因の場合は、要求を続けても状況は変わりにくいのが実情です。改善要求は「一度試して見極める」ものと位置づけるのが現実的です。

不満を我慢して依頼を続けると何が起きる?

質問:決算まではこのまま任せようと考えています。放置することにリスクはありますか。

小田根大輔

小田根大輔先生

申告漏れ、決算の遅延、資金繰り悪化の見逃しといった具体的な損失につながります。税務のミスによる追徴課税や延滞税を負担するのは依頼者本人です。税理士のミスで追徴課税等が発生した場合や、各種届出漏れ(簡易課税の選択漏れ等)によって余分に支払うことになった税金の差額は損害賠償請求が可能ですが、その手続きや交渉にご自身の多大な時間と労力が削がれてしまいます。 また、数字の報告が遅い状態が続けば、融資や投資の判断材料が揃わず、機会損失も積み上がります。実際に、対応の遅れから複数期の決算が未了になり、立て直しに大きな労力がかかった事例もあります。「次の決算までは」と先送りするほど、引き継ぎ時の負担も増える点に注意してください。本業への悪影響を防ぐためにも、不満やトラブルの火種があるなら早めに対処することが重要です。

顧問税理士を変更するベストタイミングはいつ?

質問:変更するなら、いつ動くのがスムーズですか。

小田根大輔

小田根大輔先生

法人税申告書の提出後と、税務調査の完了後の2つが動きやすい時期です。いずれも税理士の業務が一区切りし、責任の所在が明確なためです。例えば3月決算なら申告期限(5月末)を終えた6月頃が目安になります。逆に、決算月の2か月前を切ってからの変更は避けてください。年度の中途半端な時期に変更し、新しい税理士に決算だけを任せようとしても、結局「期首」の取引からすべて確認し直す必要があり、二重の工数とコストがかかり非効率で、 引き継ぎが間に合わず申告が滞るリスクがあります。契約書の解約予告期限や違約金条項も事前に確認し、税理士が不在になる空白期間が生じないよう、新しい税理士を決めてから解約を申し入れるのが安全です。

次こそ不満のない税理士を選ぶには何を確認すればいい?

質問:また同じ不満を繰り返したくありません。面談で何を確認すべきですか。

小田根大輔

小田根大輔先生

まず、提供されるサービス内容(業務範囲)や仕事に対する「方針書」を確認し、ご自身の希望と合致するかを判断してください。単に作業をこなすだけでなく、自分でも気づいていない「潜在的なニーズ」を満たし、会社の価値向上に繋がる提案をしてくれるかが重要です。面談時は、「自社に合うか」「自社を成長させてくれるか」を軸に見極めましょう。また、 「業種経験」「レスポンス」「料金の内訳」の3点を確認することをお勧めいたします。「自社と同じ業種の顧問先があるのか」を確認し業界特有の論点への理解を見ます。次に、初回問い合わせから面談日程調整までの反応速度を、そのまま契約後の対応速度の目安と考えます。返信が遅い相手は契約後も同様になりがちです。最後に、顧問料に含まれる範囲と追加費用が発生する条件を書面で確認し、料金の透明性をチェックします。実績や評判だけでなく、直接会って相性を確かめることが失敗を防ぐ最大のポイントです。

まとめ

顧問税理士への不満は、対応の遅さ・料金・提案のなさに集中します。「相性の問題」と片付けず、申告漏れや決算遅延といった経営リスクに発展する前に、改善要求で済むのか変更すべきなのかを見極めてください。変更するなら法人税申告後など区切りの良い時期が動きやすく、次の税理士は業種経験とレスポンスを面談で必ず確認しましょう。税理士紹介センタービスカスは創業30年、累計40万件以上のご紹介実績をもとに、8,180名の登録税理士から相性の合う一人を無料でご案内します。今の不満を書き出すことが、最適な税理士に出会う第一歩です。

この記事の監修者
おだね税理士事務所
代表 小田根 大輔(税理士)
業界歴15年間で、法人・個人事業主の顧問業務、申告(法人税、消費税、所得税、相続税)業務のほか、財務・税務のデューデリジェンス業務、公益法人の顧問業務、M&Aや事業承継業務など、幅広い業務に携わってまいりました。これらの経験を通じて、企業の成長と発展には、税務・会計の専門家としてのサポートが不可欠であることを確信しております。また、企業経営には、常に様々な課題がつきものです。税務・会計に関するお悩みはもとより事業に関することまで、どうぞお気軽にご相談ください。お客様の立場に寄り添い、最善のサポートをさせていただきます。

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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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