税理士報酬の一般的な目安は月額3万円といわれていますが、実際は年商規模や業種、依頼内容によって大きく異なります。
法人の場合:月額1万円から5万円程度
個人事業主の場合:年間7万円から15万円程度
実際にこのくらいの費用感が多いものの、法人では50万円以上であったり、個人事業主では年間30万円以上というケースもあるなど、実際には幅広く設定されており、取引数や面談頻度、記帳代行の有無などで料金は変動します。
本記事では、業種別・規模別の具体的な相場から、料金が変動する理由、より良いサービスを受けるためのポイントまで詳しく解説します。
目 次
この記事のアドバイザー

髙谷公認会計士・税理士事務所 代表
髙谷 武司
同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。事業会社で経営企画なども経験していることから、会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。
税理士報酬の相場はいくら?
税理士報酬とは、税理士に仕事を依頼した際に支払う料金のことで、何をどこまで依頼するのか、売上の規模はどのくらいか、などの要素によって決まります。業種によって記帳や経理処理の量が異なるため、同じ年商でも業種によって報酬に差が出る可能性もあります。
税理士へ依頼するには顧問税理士として継続的にサポートを依頼する「顧問契約」と単発で税務申告などの業務を依頼する「スポット契約」の2つのパターンがあり、契約方法の違いによっても受けられるサービスや料金形態が異なります。
それぞれの事務所によっても設定されている金額が異なりますが、まずは目安とされる顧問料相場についてみていきましょう。私たち「税理士紹介センタービスカス」が、今まで、税理士をご紹介した際の顧問料実績を元に、事業の年間売上別に顧問料の相場を法人と個人事業主に分けてまとめました。なお、決算申告料(後述)に関しては、月間顧問料の4~6カ月分が相場です。
法人が税理士に依頼した場合の税理士報酬の相場
一般的に法人の方が個人事業主よりも事業規模が大きいため、売上高や取引件数、税理士の業務量・責任が大きくなり、顧問料も高くなる傾向にあります。
法人が税理士に依頼した時の料金相場は下記の通りです。
年商・年間売上高 | 訪問回数 | 料金の目安 |
---|---|---|
年商1,000万円未満 | 4-6ヶ月に1回 | 10,000円~/月 + 決算申告料 |
決算のみ | 100,000円~/年※ | |
年商1,000万円以上 3,000万円未満 |
2ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 決算申告料 |
3-4ヶ月に1回 | 15,000円~/月 + 決算申告料 | |
決算のみ | 150,000円~/年※ | |
年商3,000万円以上 5,000万円未満 |
毎月1回 | 25,000円~/月 + 決算申告料 |
2ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 決算申告料 | |
3-4ヶ月に1回 | 15,000円~/月 + 決算申告料 | |
年商5,000万円以上 1億円未満 |
毎月1回 | 30,000円~/月 + 決算申告料 |
2ヶ月に1回 | 25,000円~/月 + 決算申告料 | |
3-4ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 決算申告料 | |
年商1億円以上3億円未満 | 要相談 | 30,000~50,000円/月 + 決算申告料 |
年商3億円以上5億円未満 | 要相談 | 35,000円~/月 + 決算申告料 |
年商5億円以上10億円未満 | 要相談 | 45,000円~/月 + 決算申告料 |
年商10億円以上 | 要相談 | 50,000円~/月 + 決算申告料 |
個人事業主が税理士に依頼した場合の税理士報酬の相場
個人事業主は法人に比べ、比較的、税理士費用の相場は抑えめではありますが、事業規模や経理処理のボリューム、打ち合わせの頻度等によって変動します。以下の表は税理士報酬相場の「目安」としてご参考にしてください。
個人事業主が税理士に依頼した時の料金相場は下記の通りです。
年商・年間売上高 | 訪問回数 | 料金の目安 |
---|---|---|
年商500万円未満 | 確定申告のみ | 70,000~80,000円/年※ |
年商500万円以上 1,000万円未満 |
3-4ヶ月に1回 | 10,000円~/月 + 確定申告料 |
確定申告のみ | 100,000円~/年※ | |
年商1,000万円以上 3,000万円未満 |
2ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 確定申告料 |
3-4ヶ月に1回 | 15,000円~/月 + 確定申告料 | |
確定申告のみ | 150,000円~/年※ | |
年商3,000万円以上 5,000万円未満 |
毎月1回 | 25,000円~/月 + 確定申告料 |
2ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 確定申告料 | |
3-4ヶ月に1回 | 15,000円~/月 + 確定申告料 | |
年商5,000万円以上 1億円未満 |
毎月1回 | 30,000円~/月 + 確定申告料 |
2ヶ月に1回 | 25,000円~/月 + 確定申告料 | |
3-4ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 確定申告料 | |
年商1億円以上 | 要相談 | 30,000円~/月 + 確定申告料 |
決算申告料とは?
1年間の事業の収支や財産状況をまとめたものが「決算書(財務諸表)」です。法人は、必ずこの決算書を作成し、確定申告の際に、法人税申告書などとともに税務署に提出しなくてはなりません。決算書の作成には、この他、株主への報告・融資の資料、経営分析の資料・といった意味があります。個人事業主の場合も、確定申告のためには正確な決算が不可欠です。
クラウド会計などを活用し、決算書を自分(自社)で作成することは可能です。ただし、個人事業主であっても、売上が1,000万円を超えて消費税が課税されるレベルになると、簿記などの専門知識を持たずに適切な申告・納税、節税を行うのは難しくなるでしょう。その場合には、やはり税理士の依頼を考える必要があります。
決算書の作成・申告業務を顧問税理士に依頼した場合、普通は別途、料金が発生します。前述の通り、相場は月額顧問料の4~6カ月分程度になります(これには消費税申告代行料なども含まれます)。顧問税理士のいない事業者が、決算申告をスポットで依頼することもできます。その場合はの料金は後述しますが、今の相場よりもやや割高になると考えてください。
依頼内容別、税理士報酬の相場はいくら?
【個人事業主】確定申告のみを依頼する場合の税理士報酬の相場
個人事業主が確定申告のみを税理士に依頼する場合の料金相場は、下記の通りです。
年商・年間売上高 | 料金の目安 |
---|---|
年商500万円未満 | 70,000~80,000円/年 |
年商500万円以上1,000万円未満 | 100,000円~/年 |
年商1,000万円以上3,000万円未満 | 150,000円~/年 |
年商3,000万円以上 | 税理士に要相談 |
【法人】決算申告のみを依頼する場合の税理士報酬の相場
法人が決算申告のみを税理士に依頼する場合の料金相場は、下記の通りです。
年商・年間売上高 | 料金の目安 |
---|---|
年商1,000万円未満 | 100,000円~/年 |
年商1,000万円以上3,000万円未満 | 150,000円~/年 |
年商3,000万円以上 | 税理士に要相談 |
個人事業主と法人どちらでも、年商・年間売上高が3,000万円を超える場合、3~4か月に1回は税理士が客先訪問をすることが一般的です。訪問ありの場合は、料金体系が確定申告のみ/決算申告のみを依頼する場合と異なります。詳しくは上記の相場表を参照してください。
会社設立を依頼する場合の税理士報酬の相場
創業して会社を設立する、あるいは個人事業主から会社設立(法人成り)をする場合にも、税理士のサポートを受けられます。グループ内に行政書士・司法書士がいる税理士に依頼することで、時間や手間、トータルコストを抑えることも可能です。
会社設立そのものにかかる費用は、株式会社の場合、以下の通りです。
- 定款印紙代4万円
- 定款認証手数料3万円~5万円(合同会社はなし)
- 謄本交付手数料2,000円程度
- 登録免許税15万円(合同会社6万円)
- 計約24万円(合同会社は約10万円)
このうち、定款印紙代は、紙ではなく電子定款にすればかかりません。ただし、作成用ソフトなどを揃えると、5万円程度のコストが発生します。
この電子定款の作成も含め、会社設立のフォローを税理士と連携した行政書士・司法書士に依頼した場合の報酬は、大体5万円程度が相場となっています。会社設立後の顧問契約を前提に、報酬ゼロで請け負う事務所も少なくありません。会社設立にあたって資金調達が必要な場合には、そのための事業計画書の作成支援に5万円~、資金調達支援に成功報酬の1%~などといった費用を織り込んでおきましょう。
なお、定款作成や設立登記申請、許認可申請などを依頼する相手は、司法書士や行政書士です(税理士は直接関与することができません)。税理士事務所の中には、他の士業と連携し、こうした会社設立にかかわるサポートをトータルで行うところもあります。
税務調査対応を依頼する場合の税理士報酬の相場
税務申告が事実に基づき正しく行われたものかどうかを確認するのが、税務署による税務調査です。税務署から連絡があった場合には、しっかり対応する必要があります。通常は「任意調査」なので拒否することも可能ですが、正当な理由なく拒めません。
この税務調査には、税理士の同席(立ち会い)が認められていて、調査官とのやり取りも任せられます。立ち会いを依頼した際に税理士に支払う報酬は、1日当たり3~5万円が相場です。1時間当たりで報酬を定めている事務所もありますが、いずれにしても調査が長引くほど、多くの費用が発生します。交通費などの実費が、別途請求される場合もあります。
顧問税理士がいる場合には、通常、税務署からの調査の連絡はまず税理士に行きます。ただし、顧問契約をしていても、基本的に今の報酬は同じように発生すると考えてください。顧問契約には、税務調査の立会料金は含まれていないのが普通だからです。とはいえ、事業の中身などを理解している顧問税理士に対応してもらえるのは、経営者としては心強いでしょう。調査のポイントとなる経費についても具体的に語ることができ、過大な追徴課税などのリスクを軽減できる可能性があります。
相続税申告を依頼する場合の税理士報酬の相場
相続税の申告を依頼する場合の税理士報酬は、遺産総額の0.5~1.0%が相場です。被相続人(亡くなった人)の遺産が1億円だったら、50~100万円になります。むろんこれはあくまで相場で、これよりも安価で請け負う事務所もありますし、次のようなケースでは報酬が加算されることが多くなります。遺産の調査や評価が煩雑で、提出書類が増える…といった理由で一般の相続に比べて作業量が多くなるからです。
- 不動産(土地)が複数あったり、評価が複雑だったりする場合
- 非上場株式がある場合
- 申告期限まで時間がない場合(“特急料金”になる)
- 相続人が多い場合
- 相続税を物納する場合
なお、これらの加算については、最初に「相続人が○人以上の場合は、追加1人につき△円」のように明示されている場合もあれば、後から「追加加算」のような形で請求されるケースもありますので、事前によく確認しておく必要があるでしょう。
事業承継を依頼する場合の税理士報酬の相場
失敗が許されない事業承継は、プロ(税理士)のサポートを受けて進める必要があります。
事業承継のポイントは、「自社株の評価と引き継ぎ」になります。次代の経営者が安定的な経営を行うためには、評価額が高いと贈与や相続が困難になりかねないため自社株をしっかり受け継ぐ必要があるわけです。
そのサポートの報酬は以下が相場と考えてください。
- 自社株の評価:10~30万円
- 相続税のシミュレーション:10~30万円
また、スムーズな事業承継のために、「事業承継税制」を利用することができます。その手続きに関する税理士報酬の目安は、次の通りです。
- 特例承継計画の策定・認定申請:30~70万円
- 納税猶予の贈与税申告書の作成・提出:10~30万円
- 都道府県庁へ年次報告、税務署へ継続届出の提出:15~20万円/回
これらの金額についても、あくまでも相場です。業種や個々のニーズ(例えば、新たに経営計画を策定したい)、企業規模などによって変動する“オーダーメイド”に近い部分もありますから、早いうちから税理士に相談し、計画的に進めるのがいいでしょう。
税理士へスポットで相談する場合の費用は?
税理士へのスポット相談の料金相場は、30分5,000円前後、1時間で1万円前後が一般的です。多くの事務所が新規顧客獲得を目的に初回30〜60分の無料相談を設けていますが、2回目以降や専門性の高い質問は有料になる点に注意しましょう。
主な料金形態は次のとおりです。
- 時間制課金:30分5,000円/1時間10,000円を基準に、延長15分ごと2,000〜2,500円を追加設定するケースが多い
- パッケージ料金:相続や会社設立などテーマを絞った「2時間まで一律2〜3万円」の定額プラン
- 追加費用:訪問相談時の交通費や、書面・資料作成を依頼した場合の作成費などが別途必要になる場合もある
相談料は依頼内容の専門性や緊急性、対面かオンラインかで変動します。初回無料の有無、最低請求時間、延長単価などを必ず確認し、同条件で複数の税理士から見積もりを取るのが安心です。
業種別、税理士報酬の相場はいくら?
飲食業・不動産・サービス業・製造業・卸売業・小売業・建設業の場合の料金相場
飲食業・不動産・サービス業・製造業・卸売業・小売業・建設業の場合の料金相場は、下記の通りです。
年商・年間売上高 | 訪問回数 | 料金の目安 |
---|---|---|
年商1,000万円以上 3,000万円未満 |
2ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 決算申告料 |
3-4ヶ月に1回 | 15,000円~/月 + 決算申告料 | |
決算のみ | 150,000円~/年※ | |
年商3,000万円以上 5,000万円未満 |
毎月1回 | 25,000円~/月 + 決算申告料 |
2ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 決算申告料 | |
3-4ヶ月に1回 | 15,000円~/月 + 決算申告料 | |
年商5,000万円以上 1億円未満 |
毎月1回 | 30,000円~/月 + 決算申告料 |
2ヶ月に1回 | 25,000円~/月 + 決算申告料 | |
3-4ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 決算申告料 | |
年商1億円以上3億円未満 | 要相談 | 30,000~50,000円/月 + 決算申告料 |
年商3億以上5億円未満 | 要相談 | 35,000円~/月 + 決算申告料 |
年商10億以上 | 要相談 | 50,000円~/月 + 決算申告料 |
医療業の場合の料金相場
ただし、医療業の場合は、医療法人と個人医院で料金相場の金額がやや異なります。
医療法人の場合
年商・年間売上高 | 訪問回数 | 料金の目安 |
---|---|---|
年商1,000万円以上 5,000万円未満 |
2ヶ月に1回 | 25,000円~/月 + 決算申告料 |
3-4ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 決算申告料 | |
決算のみ | 250,000円~/年※ | |
年商5,000万円以上 1億円未満 |
毎月1回 | 35,000円~/月 + 決算申告料 |
2ヶ月に1回 | 30,000円~/月 + 決算申告料 | |
3-4ヶ月に1回 | 25,000円~/月 + 決算申告料 | |
年商1億円以上3億円未満 | 要相談 | 40,000~60,000円/月 + 決算申告料 |
年商3億以上5億円未満 | 要相談 | 50,000円~/月 + 決算申告料 |
年商10億以上 | 要相談 | 80,000円~/月 + 決算申告料 |
個人医院の場合
年商・年間売上高 | 訪問回数 | 料金の目安 |
---|---|---|
年商1,000万円以上 3,000万円未満 |
3-4ヶ月に1回 | 15,000円~/月 + 決算申告料 |
決算のみ | 150,000円~/年※ | |
年商3000万円以上 1億円未満 |
毎月1回 | 30,000円~/月 + 決算申告料 |
2ヶ月に1回 | 25,000円~/月 + 決算申告料 | |
3-4ヶ月に1回 | 20,000円~/月 + 決算申告料 | |
年商1億円以上3億円未満 | 要相談 | 30,000~50,000円/月 + 決算申告料 |
年商3億以上5億円未満 | 要相談 | 35,000円~/月 + 決算申告料 |
年商10億以上 | 要相談 | 50,000円~/月 + 決算申告料 |
事例①【北海道】農業など(個人事業)のお客様 年商1,800万円
料金見直し前 | 料金見直し後 |
---|---|
月額顧問料:18,000円 確定申告料:150,000円 年間合計:366,000円 |
月額顧問料:15,000円 確定申告料:100,000円 年間合計:280,000円 |
事例②【東京都】居酒屋経営(個人事業)のお客様 年商3,200万円
料金見直し前 | 料金見直し後 |
---|---|
月額顧問料:50,000円 年間合計:600,000円 |
月額顧問料:30,000円 確定申告料:0円 年間合計:360,000円 |
事例③【神奈川県】建設業(法人)のお客様 年商7,000万円
料金見直し前 | 料金見直し後 |
---|---|
月額顧問料:34,000円 決算申告料:180,000円 年間合計:558,000円 |
月額顧問料:20,000円 決算申告料:100,000円 年間合計:340,000円 |
事例④【大阪府】FC飲食業6店舗(法人)のお客様 年商3億3,000万円
料金見直し前 | 料金見直し後 |
---|---|
月額顧問料:80,000円 決算申告料:250,000円 年間合計:1,210,000円 |
月額顧問料:50,000円 決算申告料:250,000円 年間合計:850,000円 |
「うちの会社はどれくらい費用を削減できるのか」「自分の業種や事業規模だとどれくらい税理士報酬が発生するのか」に疑問をお持ちの方も多いと思います。
ご相談や税理士ご紹介サービスはすべて無料でご利用いただけますのでお気軽にお問い合わせください。
税理士報酬は何で決まる?主な5つの要因
現在は、顧問料の他にも記帳をするか否か、毎月の面談が必要かどうかなど、サービスが細分化された上で報酬が決まっています。
おおまかに、以下の項目によって税理士の報酬が決まります。
- 面談の回数や頻度
- 売上高
- 記帳代行の有無
- 担当者が誰か
- 事務所所在地(地域)
1.面談の回数や頻度
まず、面談の回数が多いほど報酬は高くなります。しかし、費用を抑えるために面談回数を減らしてしまうと、税理士を有効活用することができません。自分に適した頻度で面談を行うようにしましょう。
2.売上高
次に、売上高が大きくなるほど取引数が増え、税理士の仕事量も責任も増えるため、税理士の報酬も上がります。
3.記帳代行の有無
また、記帳を税理士に依頼するか否かを選択することができます。税理士の費用例として記帳以外には、確定申告代行や消費税申告代行などがあります。税理士と契約を結ぶ際には、仕事内容をきちんと確認しましょう。
記帳代行の料金相場は下記の通りです。
仕訳数 | 料金 |
---|---|
~200枚 | 15,000円 |
201枚~300枚 | 20,000円 |
301枚~400枚 | 25,000円 |
401枚~500枚 | 30,000円 |
501枚~ | 35,000円 |
4.担当者が誰か
顧問契約をする場合、担当として対応してくれる方がどのようなスキルや資格を有しているかがサービス内容に影響する場合があります。担当者が自社の業界や事業内容に対しての理解があるかどうかはスムーズなやり取りを行ううえで重要です。
また、ある程度の規模の事務所では、申告業務や相談業務自体は税理士が行うが、窓口となる担当者が税理士資格を保有していないということもあります。そういった際に税理士に直接対応してほしい、など担当者を指定する場合は顧問料が割高になる可能性も考えられます。
もちろん、人と人との関係ですから担当者と相性が合うかどうかもポイントです。スキルや資格の面だけではなく相性面も見極めることが大切です。
5. 事務所所在地(地域)
都市部か地方かによって税理士報酬には“地域プレミアム”が生じることがあります。一般に、東京・大阪など大都市圏では事務所家賃や人件費が高い分、法人向け月額顧問料が5〜10万円、地方都市や郊外では3〜5万円前後が目安とされています。小規模事業者が個人事業主プランを利用する場合でも、都市部で3〜5万円、地方なら1〜3万円程度と約2倍の開きが出るケースが珍しくありません。
この差は「コスト構造(家賃・人件費)」に加え、「競争環境(大都市ほど高付加価値サービスが求められる)」「移動コスト(訪問頻度が高いと都市部事務所が有利)」など複数の要因が絡んでいます。もっとも、オンライン面談中心の契約なら所在地のハンディは小さく、地方の事務所でも都市部水準の品質を割安で受けられることもあります。
税理士報酬の価格設定の要因とは?

髙谷 武司
税理士からのワンポイントアドバイス
税理士報酬は、おもに取引数と面談回数に左右されます。そして、これらに個別の事情を加味して決めるのが一般的です。
まず、取引数が多ければ、報酬も比例して増加します。例えば、記帳代行数もしくは仕訳のチェック数が増えますよね。また、通常、相談対応も多くなります。
そして、面談回数も報酬を決めるうえでは重要です。なぜなら、面談の準備や移動、面談時間を合わせると、それなりの作業量になるからです。
個別の事情としては、取引の複雑性を考慮する場合があります。例えば、海外との取引がある場合、国内の取引と比べて検討すべき事項が多くなりますし、消費税などの申告書の作成も複雑になります。さらに、担当者が税理士の有資格者か否かで、報酬を変動させる場合もあります。
なお、法定調書の作成や年末調整などのオプションサービスを依頼する場合は、これらの報酬を加えた総額で比較検討することが重要となります。
税理士費用をおさえるには?
税理士報酬の自由化により、事務所ごとに料金体系やサービス内容が大きく異なるようになりました。適切な税理士を選び、費用を抑えながら質の高いサービスを受けるための具体的な方法をご紹介します。
依頼範囲を明確に絞り込む
「記帳代行のみ」「申告書作成のみ」「経営相談込み」など、必要なサービスを具体的に決めることで無駄な費用を削減できます。特に小規模事業者の場合、すべてを任せるより部分的な依頼の方がコスト効率は良くなります。
クラウド会計ソフトを活用する
freee、マネーフォワード、弥生会計などのクラウド会計ソフトを導入し、日常の記帳を自動化・効率化することで記帳代行費用を大幅に削減できます。多くの税理士事務所がこれらのソフトに対応しており、データ連携により作業効率が向上し、結果的に顧問料の減額交渉も可能になります。
面談方法を工夫する
オンライン面談の活用
Zoom等を使った面談により、税理士の移動時間を削減し訪問料金をカットできます。月1回訪問を隔月訪問+オンライン面談に変更するだけで月額5,000〜10,000円程度の節約が可能です。
面談頻度の最適化
事業規模に応じて面談回数を調整し、必要最小限の頻度に抑えることで基本料金を下げられます。
資料の事前整理と電子化
領収書の整理、請求書のファイリング、会計データの事前入力を行うことで、税理士の作業時間を短縮し料金を抑制できます。レシートをスキャンアプリで電子化したり、ネットバンキングのデータを活用することで、より効率的な情報提供が可能になります。
料金体系の詳細確認
見積もり時に以下の点を必ず確認しましょう。
- 基本料金に含まれる業務範囲
- 年末調整、給与計算等の追加料金
- 決算申告料の算定方法
- 相談回数の上限や超過料金
複数事務所での比較検討
同じ条件で3〜4事務所から見積もりを取り、料金だけでなくサービス内容、レスポンスの早さ、相性なども総合的に判断することが重要です。極端に安い場合は、サービス内容が限定的な可能性もあるため注意が必要です。
これらの方法を組み合わせることで、サービス品質を維持しながら年間10〜30万円程度の費用削減も十分可能です。
税理士が伝える"費用を抑えるコツ"とは?

髙谷 武司
税理士からのワンポイントアドバイス
税理士との面談では、事業内容や毎月の取引数を明確に伝えるようにしましょう。これらが不明確な場合、どのような会計処理が必要か、又はどのくらいの仕訳数かがイメージしづらいため、報酬の見積りが正確にできません。報酬は、売上高によって区分されることが多いですが、事業内容によって必要な会計処理や仕訳数は異なります。そのため、標準よりも作業量が少なかった場合、報酬が減額されることもあります。一方、作業量が不明確なため、保守的に見積もられた場合は、本来より高くなることもあります。
また、記帳代行を依頼する場合、請求書や領収書を整理してから渡すようにするなど、税理士の手間を省く提案をしてみましょう。税理士によっては、報酬に反映させる場合があります。
その他、面談の回数を減らす、顧問契約ではなくスポット契約を検討するなど、税理士と相談しながら税理士報酬を決めるのが肝要です。
税理士選びのチェックポイント
まず前提として、事前に料金がはっきりしているかどうかチェックしましょう。料金形態を公表していることは、その税理士事務所や税理士紹介サービスの経営もしっかりしている可能性が高いといえます。
次に、税理士が税理士資格の他にどのような資格を持っているのか、これまでにどのような経験をしてきたのか、どのような業務を担当してくれるのかを質問しましょう。例えば、行政書士登録をしている税理士であれば、会社設立時の定款の作成、公証人役場での認証手続きをお願いできます。
最後に、繰り返しになりますが、依頼する税理士と相性が合うかどうかを実際に話してみて見定める必要があります。どれほど良いサービスを提供していても馬が合わなければ、そのサービスの価値も半減してしまいます。
税理士への依頼を検討中の方へ
税理士報酬の費用感は掴めましたか?
最後に、改めて税理士に依頼するメリットとデメリットをまとめました。
税理士に依頼するメリット
業務効率化と本業集中
複雑な税務申告や記帳業務から解放され、経営や営業活動に時間を集中できます。年間数十時間の作業時間を削減し、事業成長に専念できる環境を作れます。
専門知識による適切な処理
税法の複雑な規定や毎年の改正に対応でき、申告ミスや過少申告のリスクを回避できます。消費税や法人税の特例措置も適切に活用してもらえます。
節税効果と資金繰り改善
適切な節税対策により税負担を軽減でき、税理士費用を上回る効果を得られることも多くあります。決算対策や資金繰りのアドバイスも受けられます。
税務調査や金融機関対応
税務調査時の立会いや金融機関への提出書類作成をサポートしてもらえ、信頼性の高い財務資料を準備できます。
税理士に依頼するデメリット
継続的なコスト負担
月額顧問料や決算申告料で年間数十万円の費用が発生し、特に売上の少ない創業期には負担が重く感じられる場合があります。
依存による自社スキル不足
税務や経理を完全に任せると、自社の財務状況把握や経営判断に必要な数字感覚が身につきにくくなるリスクがあります。
コミュニケーションコスト
定期的な面談や資料提出、質問対応など、税理士とのやり取りに時間を要する場合があります。
タイミングの制約
決算期や申告期限に合わせたスケジュール調整が必要で、繁忙期には対応が遅れる可能性もあります。
税理士も医者と同じように得意分野があります。業界特有の会計処理に詳しい税理士か、節税や資金調達支援が得意な税理士かなど、自社のニーズを明確にして選択することが重要です。費用対効果を検証しながら、事業成長のパートナーとして税理士を活用していきましょう。
ご相談や税理士ご紹介サービスはすべて無料でご利用いただけます。
よくある質問
税理士報酬はどのような要因で決まるのですか?
税理士報酬は主に「面談の回数・頻度」「売上高(取引量)」「記帳代行の有無」「担当者の資格・経験」「事務所所在地」の5要因で決まります。取引量が多いほど仕訳チェックや相談対応が増え、訪問回数が多いほど移動・準備時間が発生するため報酬は高くなるのが一般的です。また、医療業や建設業など業種特有の会計処理が必要な場合も、専門性を考慮した料金設定となります。
顧問契約とスポット契約では料金体系がどう違いますか?
顧問契約は月額顧問料+決算申告料が基本で、記帳代行や年末調整などをオプション追加できます。継続的な関係により、税理士が事業内容を深く理解できるメリットがあります。スポット契約は確定申告・決算申告・税務調査立会いなど単発業務ごとに費用が発生し、同じ業務量なら顧問契約より2〜3割程度割高になる傾向があります。
決算申告料や確定申告料の相場はいくらですか?
決算申告料(法人)は月額顧問料の4〜6か月分が目安で、年商1,000万円未満なら10万円前後、3,000万円未満なら15万円前後が一般的です。個人事業主の確定申告のみを依頼する場合は7〜15万円程度が相場ですが、記帳量や事業規模、消費税申告の有無により変動します。複雑な業種や海外取引がある場合は、追加料金が発生することもあります。
税理士費用は経費計上できますか?どの勘定科目で計上しますか?
税理士費用は事業に関連する費用として全額経費計上が可能です。勘定科目は「支払手数料」「顧問料」「外注費」のいずれかで計上するのが一般的で、継続性があれば問題ありません。消費税については、税理士報酬は課税対象のため、消費税課税事業者の場合は仕入税額控除の対象となります。領収書の保管は必須で、電子帳簿保存法に対応したデータ保存も可能です。個人事業主の場合、事業部分のみが経費となるため、相続税申告など個人的な業務は経費計上できません。
税理士への顧問料とは別に費用が発生するケースは?
基本の顧問料に含まれない業務として、年末調整(従業員1人あたり1,000〜2,000円)、給与計算(1人あたり500〜1,500円/月)、税務調査立会い(1日3〜5万円)、相続税申告(遺産総額の0.5〜1.0%)などがあります。また、会社設立手続き、融資サポート、各種許認可申請なども別料金となることが多く、事前に料金表で確認することが重要です。記帳代行を依頼する場合も、仕訳数に応じて月額1〜5万円程度の追加費用が発生します。
税理士費用の支払いタイミングは?
顧問料は月末締め翌月末払いが最も一般的で、銀行口座からの自動振替を採用する事務所が多くなっています。決算申告料は申告書提出時または提出後1か月以内の支払いが基本です。スポット業務の場合は業務完了時に請求されることが多く、相続税申告などの大きな業務では着手金として半額を事前に支払う場合もあります。支払い方法は銀行振込が主流ですが、クレジットカード決済に対応する事務所も増えており、手数料の有無を事前に確認しておきましょう。
税理士報酬を抑えるコツはありますか?
①面談をオンライン中心にすることで訪問コストを削減 ②領収書や請求書を整理して渡すことで税理士の作業時間を短縮 ③必要業務を絞り込む(記帳は自社で行う、クラウド会計を活用等) ④複数の税理士から同条件で見積もりを取ることで相場を把握——といった方法で報酬を削減できます。また、決算期末の3か月前から準備を始めることで、緊急対応による割増料金を避けることも可能です。
税理士に相談だけ依頼する場合の費用相場は?
スポット相談は30分5,000円前後、1時間で1万円前後が一般的です。初回30〜60分を無料にする事務所もありますが、2回目以降や専門的相談は有料になるのが通常です。相続や会社設立などテーマを絞った「2時間まで一律2〜3万円」の定額パックを用意している事務所もあります。オンライン相談の場合は対面より1〜2割安く設定されることが多く、緊急性の高い相談では時間外料金として5割増しになる場合もあります。